ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
茜の空、授業も終わり、義弘は教室を出て,寮に帰ろうとする
「‥‥一人で帰るのは久しぶりか…」
そう小さくつぶやく。戦車道を再び始めてからはみほと帰ることが多かった。いや、毎日ではないが、一緒に帰ることが多かった
「…ま、一人なのも悪くはないのかもな」
そう呟いた瞬間・・・・・
「あっ!居た居た、おーい!武藤せんぱーい!!」
「お疲れさまでーす」
テレテレテレ~野生のウサギさんチームが現れた!!
「ん?あぁ…お疲れさん・・・・気をつけて帰れな」
・・・・という冗談は抜きにして、突如、義弘の前に現れ声をかけたウサギさんチームたち。帰りの挨拶だと思った義弘は、彼女らに返事をし帰ろうとすると・・・・
「待って下さい!てかあきらかに用があるから声かけたじゃないですか!今の!!」
「普通、そこで帰ろうとします?」
と、慌てて義弘を呼び止める
「え?帰りの挨拶じゃなかったの?」
「違います!」
どうやら彼女たちは、彼に用があったみたいだ
「それで・・・・・俺に何の用?」
「まぁまぁ、ここではなんですから~」
「ちょっと私達に付き合って欲しいな~、なーんて♪」
大野と宇津木がニッコリスマイルでそういう
「その手の誘い文句でいい思い出が無いんだが…」
「え?武藤先輩、そんな風に女の子に誘われた事あるんですか!?」
「なにそれ聞きたい!!」
なんでそんな驚かれているんだよ…そんな珍しいか?
「あれはたしか・・・・まほさん・・・ああ、西住の姉さんのことな。そのまほさんに気に入られてるとか贔屓されてるって、因縁つけた嫌な先輩方が言っていてな、ついてきたらその人たちに果し合いを・・・・」
「ああ・・・そういう喧嘩話とか武勇話はいいので・・・・」
「俺だって、そういうくだらない自慢話はしない主義だよ・・・・で、本当に何の用だ?何もなければ俺はいくぞ?」
と、そう言い行こうとすると、だれか俺の袖をつかむ、その人物は・・・・
「・・・・・・」
丸山だった。無表情だが、その目は『行かないでください』と懇願しているような目だった
「・・・・わかった。話を聞こうか。ここではなんだし。どっか話せる場所に移動するか?」
「え?先輩。いいんですか?」
「断る理由もないしな。それに何か聞きたいことあるんだろ?それに丸山にそんな目で見られたら、ほっといて帰れないだろう・・・」
ため息交じりに言う俺に
「作戦通り!」
「やっぱり武藤先輩。沙希ちゃんには甘いよね~」
「やっぱり弟子に甘い人なんだね」
一言余計だ。あと聞こえているぞ・・・・・まあ、頼りにされるのはあんまり悪い気がしないからいいけどな。そう考えるとやっぱり俺って甘いのかな?
「・・・・・」
「ん?『すみません。無理言って』だって?問題ないよ。別に急ぎの用事があるわけじゃないからな」
と軽く、丸山の頭をなでると、微妙ながら彼女の口元が笑ったように見えた。
「んで、どこ行くんだ?」
「せっかくですし、どこかでお茶とかどうですかぁ?」
横からひょいっと顔を出してきたのは宇津木だ、この小悪魔的な口ぶり・・・あざといというかなんというか・・・
「私ラーメン食べたい!武藤先輩にオススメのお店があるんですよ!!」
「こんな時間にラーメンって…まあ、美味いからいいけど・・・・そんな大人数はいる店。この学園艦にはないぞ?」
そう、どこかの店で話すっていう手もあるのだが、こんな大人数一緒に座れるテーブルのある店ははっきり言って無い。かといって学校内の練習場と戦車格納庫は使えない。もうすぐ学校が閉まるし、生徒会の許可もらえばいいのだが、あいにく今日は角谷さんら生徒会三人衆はロスマン先生と一緒にどこか出かけているらしい、かといって風紀員が使用を認めるわけないしな
「何処か都合のいい場所があれば・・・・・・・」
俺が考えてると
「あ~私いい場所がありますよ~~~」
宇津木がニッコリとしたスマイルでそういうのだが
「・・・・・で、なんで俺の部屋なんだ?」
そう、宇津木が言っていた場所とは。俺の部屋だった。
「へ~ここが先輩の部屋なんだ~」
「意外と綺麗だね?男の人の部屋って汚いと思ってた」
「俺は綺麗好きなんだよ。あと一言余計だ・・・・」
ため息をつきながら俺hがそう言う。最初は別のところで話さないか?といったんだが、坂口、大野、宇津木ら、やんちゃっ子にごり押しされたため。やむなく部屋にあげていた
「すみません先輩・・・・・・」
「・・・・・」
「いやいいよ。澤も丸山も気にするなよ。前に聖グロリアーナからもらった紅茶もあったから」
澤は申し訳なさそうに謝る。本当に澤は優等生だな・・・・
「今、お茶作るから、座って待ってな」
「あ、私も手伝います先輩」
「だいじょうぶ。すぐに終わるから。澤も丸山もくつろいでくれ、まあ何もないけどな」
そう言いながら、俺はティーポットにお茶葉を入れお湯を注ぎ、カップに注いだ後、茶菓子に戸棚にあったバームクーヘンを出しお皿に載せ、彼女たちが座っている今のテーブルに置いた
「ほい。お待たせ。遠慮せずに食べろ」
「「「「いただきまーす!」」」
「い、いただきます・・・・」
「・・・・・」
俺の言葉に澤や丸山を除いた連中が目を輝かせ、お茶とバームクーヘンを食べる。
「それで?俺に用ってなんだ?」
「はい!私達、決勝戦に向けて作戦を考えてきたんです!!」
「ほぉ・・・・」
大体の予想はしていたが、やはりそうか・・・
「それは感心だ・・・・・だが、相談する相手が違うんじゃないかな?俺よりも隊長である、みほに訊いた方がいいんじゃないかな?」
俺も紅茶を飲みながらそう返事すると
「だって、武藤先輩に却下される作戦を西住隊長に採用されるとは思いませんし…」
「うん、まず武藤先輩をクリアしてからって話になって」
「それに武藤先輩は、作戦参謀だしね」
「いつ俺が作戦参謀になった?俺はただの戦車好きの男子であり戦車道界ではすでに老いぼれのような感じだぞ?」
「いや、先輩、まだ若いじゃん」
「物の例えだ。あまり気にするな・・・・・逸れたな。でお前たちの考えた作戦は?」
「はい、名付けて…【戦略大作戦】!!」
「なるほど…大体の内容は察した。あの映画だろ?」
あの映画は確かに面白い。俺も何度か見たからな
「えぇ!なんでわかるんですかー!!」
「ひょっとして武藤先輩、ストーカーなんじゃ…」
「バカ抜かせ。戦車好きなら誰でも知ってるぞ」
決勝戦、市街地の狭い路地を決戦の地にするのはコイツらも知ってる事だし、それを踏まえてあの映画を見たならやる事はだいたいわかった。
影響しすぎで馬鹿正直だが、面白い作戦だ・・・・
「え…と。やっぱりこの作戦だめですよね・・・・」
「落ち込むな。誰もだめとは言っていない。やってみたら良いんじゃないか?」
「え?良いんですか!?」
「ああ…俺的には面白いと感じた。だが、ちゃんとみほに許可をもらってからだぞ」
まあ、みほならきっと採用するだろう。デメリットがあるわけじゃないし、むしろ彼女はこういう作戦は好きな方だからな
「あとは西住隊長に合格を貰うだけだね!!」
「せっかくなら強い戦車を倒したいよね、重戦車ってやつ」
「目指せ、重戦車キラ~♪」
「よーし!やるぞぉー!!」
わいわいと盛り上がる一年生、気合いは充分だし、これなら心配はいらないか。はじめは自信なさげな感じだったが、彼女らも成長しているんだな‥・・・彼女らの将来が楽しみだ
「ところで武藤先輩、重戦車ってどんなのですかー?」
「ありゃ?」
最期の言葉がなければきれいに終われたんだがな・・・・・
「アハハハ・・・・お前ら・・・・・こほっ!こほっ!」
くそっ・・・こんな時に
「せ、せんぱい!?大丈夫ですか!」
急に苦しそうに席をする俺に澤たちは慌てて駆け寄る
「だ・・・大丈夫だ。薬飲めば治まるから」
「ですが・・・・・」
「大丈夫だ。少なくとも今、倒れる気はないよ。それよりもそろそろ帰った方がいいぞ。あんまり遅くなると明日が辛いぞ。明日も朝練だろ?」
俺がそう言うと、ウサギさんチームの子たちはうなずき、とりあえず今日はお開きになった
「あ、あの先輩。今日はありがとうございました」
「いいや。また何かあればいつでも訊きに来いよ」
「はい!」
「・・・・・・・」
「おう、丸山もいつでも訊きに来い」
そう言い彼女の頭をなでる。そして丸山が帰ろうとすると
「丸山・・・・」
義弘が呼び止め、丸山が振り返る
「‥‥友を助けるほどの力を持つほど大きくなれ・・・・強くなれよ沙希・・・」
「・・・・?・・・・・・!?」
俺の言葉に丸山は最初は首をかしげたが、やがて少し驚いたように目を大きく見開く。その表情は何かを悟ったような表情に近かった
「…また明日、学校でな」
「・・・・・・はい…先輩」
霞んで消えそうなくらいの小さな声で丸山は返事をした。そしてウサギさんチームは帰っていった
「・・・・・喜ばしいことだな。あいつらが成長するのは」
俺はぽつりとつぶやく・・・ただ・・・
「あいつらの成長姿をもっと見てみたかったな・・・もう少し時間があれば・・・・それができないのが心残りだな」
ガラにもないことを口にしながら俺は食器を片付けるのだった
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい