ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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戦車を洗車します!

戦車を洗車することになった俺たち。ほかのメンバーは自分たちの乗る戦車を見ていた。ちなみに来ている服は体操着、これは水に濡れて汚れてもさほど気にしない服装だ。

 

「がっちりしてますねぇ」

 

「いいアタック出来そうです」

 

そう言い八九式中戦車を見るバレー部。というかなぜバレー部がそんなところにいるんだ?そう言えばバレー部は確か部員が足りないから廃部したって聞いたが・・・・もしかして会長に戦車道を取ったらバレー部復活させるとかそう話に乗ってきたのかな?

 

「砲塔が回らないな」

 

「象みたいぜよ」

 

「ぱおーん」

 

「たわけ!Ⅲ突は冬戦争でロシアの猛攻を打ち返した凄い戦車なのだ!!フィンランド人に謝りなさい」

 

「「「すいません」」」

 

そう言い北欧がどこの方角かわからないのに頭を下げる歴女さんたち。それと三突が北欧で活躍したのは冬戦争じゃなくてその次の戦争である継続戦争だ。まあ、これは彼女の為に黙っておいたほうがいいだろう。

 

「大砲が二つ付いてる」

 

「大きくて強そう…」

 

M3リーを見て驚いている一年生チーム。まあ、M3は固定75ミリ砲等が特徴だ。俺もあの二段階砲身、結構気に入っている。そして俺の乗車するパンターもところどころ塗装が剥げていたり、汚れたりしていた。まあ幸い心臓部であるエンジンは死んでいなかったからよかったけどな。

 

「これは大変そうね義弘」

 

「そうだな道子。だがこれはこれでやりがいがある」

 

俺と道子がパンターを見てそう言う。横を見ると服部と小波さんが互いに挨拶をしていた。俺はパンターの横にあるⅣ号を見ていたAチームを見る。

 

「うわっ…ぬめぬめしてる!?」

 

武部がⅣ号の装甲を指先でなぞって油汚れの感触を味わい気味悪がっている。まあ20年も放置すればそうなるだろう。するとみほは手慣れたかのようにⅣ号に登り、キューポラの蓋を開けて中の様子を見ている。するとすぐに鼻をつまむ。どうやらすごい異臭らしいな。

 

「うっ…、やっぱり、中の水抜きをして、サビ取りもしないと、後古い塗装も剥がして…」

 

と、清掃する場所を的確に指示する

 

「さすがみほさんね・・・・あの手慣れた手つき昔と変わっていないわ」

 

「ああ、そうだな・・・・」

 

俺と道子がみほの姿を見てそう話し合う、俺も道子もかつてはみほと共に肩を並べて黒森峰中学戦車道をやった戦友だ。みほは中の様子を見終わったのか戦車から降りようとする。しかし・・・・

 

「あっ!?」

 

とたんに足を滑らせる。って、まずい!!俺は急いで走り出し・・・・

 

「ダイビングキャッチ!」

 

俺はスライディングしてとっさにみほを受け止める。

 

「西住殿!武藤殿!大丈夫ですかでありますか!?」

 

「みほ!?だいじょうぶ!?」

 

武部たちが心配してみほたちのところに来る

 

「う、うん私は大丈夫だけど・・・義弘君は・・・」

 

「俺は別に大丈夫だ。それよりもみほ。戦車から降りるときはもうちょっと気を付けて降りろ怪我でもしたらどうするんだよ」

 

「うっ・・・・ごめん義弘君」

 

「まあ、怪我がなかったからよかったけどな。じゃあ、次は気をつけろよ」

 

「うん。ありがとう義弘君」

 

みほがそう言い俺は元の位置に戻るこうして戦車の清掃が始まったのである。

 

ぱしゃぁー!!

 

と、みんな一斉にホースで戦車に水をかけ始める

 

「きゃあっ!もう沙織さん!もう~つ~め~た~い~」

 

「だ、誰ですか!?」

 

武部さんが勢い良く水をかけたのはいいがその水は五十鈴さんにあたり五十鈴さんはまるで四谷怪談に出てきそうな女幽霊みたいに恨めしそうな声で振り向く髪が水に濡れているため前髪で顔が見えず少し怖い雰囲気だ。それを見た秋山も冷や汗をかいて驚いている。隣の三突では・・・・

 

「高松城を水攻めじゃ!!」

 

「ルビコンを渡れ!!」

 

「ペリーの黒船来襲ぜよ」

 

「戦車と水と言えば、ノルマンディーのDD戦車でしょ」

 

「「「それだ」」」

 

一方で、歴女さんたちは戦車を洗いながらそう言う。

 

「もうびしょ濡れ」

 

「恵みの雨だー!!」

 

「ブラ透けちゃうよ~」

 

と、一年生たちはまるで小学生のごとくはしゃぎながら戦車の汚れを洗い流していた。最後の言葉は…‥聞かなかったことにしよう

 

「武藤。そこのスポンジ取ってくれ、ちょっと粗目の奴」

 

「あいよ~これでいいか」

 

「ああ、それそれありがとう。全く車内も結構こびりついているわね・・・」

 

「小波さん。そのマフラー邪魔じゃない?」

 

「いえ、問題ありません。それにこのマフラーは忍にとって命と同じくらいに大事なものです」

 

「忍?」

 

俺たちもパンターを洗車する。俺と道子は内部の清掃。服部と小波は外の装甲を掃除している。

 

一方会長と、河島さんは体操着なんかに着替えず制服のまま、しかも戦車の装甲は副会長の小山さんがやっているしかも水着姿で・・・・。それにしてもあの二人何もしないとは・・・・普通の人なら少しは手伝ってくださいと怒るところだが、小山さんはそんなことは言わずただ黙って清掃していた。小山さん・・・・あんた人良すぎ。俺は小山先輩の人の好さに感心するのだった。それにしてもでかいな・・・

 

「武藤・・・」

 

「え?あ、いやなんでもない」

 

道子にジト目で見られ俺は笑ってごまかし作業を続けた。別に俺はやましい考えなんてしてない。ちなみにこの時気づかなかったのだがあの時みほも遠目で俺のことをジト目で見ていたらしい。まあ、そんなこんなで俺たちはひたすら戦車をきれいにするその仕事が終わった時、空はもう茜色だった。

 

「みんなご苦労だった。あとの整備は自動車部の部員に今晩中にやらせる、今日は早く家に帰ってゆっくり休むがいい」

 

と河嶋さんの号令でみんなは解散した。ちなみに生徒会の戦車は結局小山さん一人で清掃してブラシを杖にしてフラフラの状態で立っていた。

 

「やっと終わったか・・・・」

 

俺は肩をたたきながらそう呟く。ちなみに小波と服部さんは用事があったためか既に下校していた。

 

「お疲れ、義弘君」

 

「ああ、みほもな」

 

俺とみほが話していると・・・

 

「お久しぶりねみほさん」

 

と、篠原がみほに言う。そう言えば篠原とみほってここにいるときあまり会話とかしてなかったっけ・・・しかし声をかけられたみほは・・・

 

「え、え・・・・ど・・・・どなたですか?」

 

久しぶりの再会っと思いきや道子はみほのその一言に固まってしまう

 

「え?・・・・・みほ?もしかして私のこと忘れたの?」

 

「違うよ!今思い出すから!え、え・・・・と」

 

と、みほが必死に思い出そうとする。道子はどんどん暗い顔をするその背中には悲しいオーラが溢れていた。まあ確かに道子って黒森峰時代影薄かったからな・・・・・

 

「ま、まあ・・・・会うの3年ぶりだし…髪型も変えたからわかりにくいよね・・・・・・」

 

あ、やばい篠原の目ひかりがない・・・

 

「髪型?・・・・・あっ!?もしかして篠原さん!?」

 

ようやく思い出したみたいだ

 

「ええ、そうよ。というより一目見てわからないなんてひどいじゃない。たったの1年半とはいえ一緒に戦ってきた戦友でしょ?」

 

「ご、ごめんなさい・・・・」

 

「まあ、いいわあの時の私、今と違って長髪だったし眼鏡もかけてたからわからないのも無理はないわね」

 

「え!?みほ。篠原のこと知ってるの!?」

 

と武部たちがみほに訊く

 

「うん。篠原さんは中学で同じ戦車道をしていた仲なの」

 

「黒森峰にですか!?」

 

みほの言葉にその場にいた全員が驚く。

 

「うん。沙織さんは篠原さんのこと知ってるの?」

 

「それはもう有名だよ!うちの学校の不良集団のボスだよ!?」

 

「え!?そうなのほんと篠原さん!?」

 

「ええ、その話はほんとよみほさん。だけど安心して私の目の黒いうちはほかの生徒たちに危害を加えさせないから安心して。」

 

と、武部たちにそう言うとその場にいた武部たちは少し安堵する

 

「で、でも篠原さんって確か黒森峰では風紀委員の員長だったのになんで・・・」

 

「私もいろいろとあったのよ。・・・・・それにしてもあなたは3年前と同じ変わらないわね・・・」

 

「そうかな?」

 

「ええそうよ。・・・・そう言えばみほ覚えている?あなたと私そして武藤と逸見と一緒に黒森峰の時お世話になった先輩にお花をプレゼントしたこと」

 

「うん。覚えている・・・・・・て、あれ?その時篠原さんいたっけ?」

 

「いたわよ!一緒に夕食会もしたじゃない!」

 

と少し涙目で言う篠原・・・・なんか黒森峰時代もそうだがなんか可哀そうになってきた。すると・・・

 

「姐さん」

 

篠原の側近らしきスケバン風な格好の生徒が道子に小声で声をかける

 

「なんだ?」

 

と、篠原はさっきまでの顔がいっぺんに変わり、不良の棟梁らしき顔に変わる。

 

「実は・・・・船舶科のお銀の下っ端の連中がうちのシマ荒らしてるんすよ。うちらだけでは対処できないので急いできてください」

 

「ちっ!あの海賊娘が・・・部下のしつけぐらいちゃんとしなさいよ・・・・・わかったわすぐに行く。それじゃあ、みほさん。また明日戦車道で」

 

そう言うと道子はみほたちに一礼をし、側近の子と一緒に帰って行った。

 

「なんだったんでしょう・・・・」

 

五十鈴さんは首をかしげて言う。

 

「・・・それじゃあ、俺も帰るから。みほまた明日な」

 

「うん。義弘君もまたね・・・・」

 

そして俺もみほと別れ帰るのだったが、その前に一つやることがあったため、着替えた後、俺は戦車格納庫へと足を運ぶのだった。

 

 

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい

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