ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「ピンポンパ~ン!本日戦車道の親善試合が午前10時に開催されます。競技が行われる場所は立ち入り禁止区域となっておりますので皆様ご協力をお願いします。なお、アウトレットの他見学席を・・・・」
「地元チームの試合なんて久しぶりね~」
大洗町で試合が開始されるアナウンスが鳴り、観客席には地元の人たちが楽しそうに話していた。
そして試合会場ではみほたち車長たちが整列していた。すると向こう側から戦車が来た。間違いない聖グロリアーナの戦車隊だ。チャーチル一両にマチルダが5輌。どれも防御力の高い戦車ばかりだ。そしてチャーチルから一人の女性が降りてきた。なんだろう・・・戦車が来た時になぜか「ブリティッシュ・グレナディアーズ」が流れてきたような気がしたんだが・・・・・。
まあ、そんなことはさておき、チャーチルから降りてきた女性が俺たちの前に出る。そして河嶋さんも
「聖グロリアーナの隊長のダージリンですわ」
「大洗学園生徒会広報の河嶋だ。本日は急な申し込みにも関わらず、試合を受けていただき感謝する」
「構いませんことよ……。それより、個性的な戦車ですわね」
ダージリンさんが口を抑えて言う。まあ、彼女から見ればカラフルな戦車に真ピンクの戦車に金色の戦車。初めてその戦車を見た人からすれば当然だろう。河嶋さんも痛いところをつかれて返す言葉もない。
「ですが、ご安心ください。ライオンはウサギを狩るときも全力を尽くすと申しますの・・・・・我々も全力で戦わせていただきますわ」
そう自信に満ちて言うダージリンに。俺は一歩前に出て
「それは助かるぜ・・・・」
「義弘君?」
みほが首をかしげているのをよそに俺は腕を組んでダージリンにこう言った
「俺たちが鷹かヒヨコかこの試合で見極めていただこうかな?ダージリン」
ダージリンは俺の目をじっと見る。そしてふっと笑うと
「我々はサンダースやプラウダみたいな下品な戦い方はいたしませんわ。騎士道精神でお互い頑張りましょう」
「残念だが俺は騎士道のことはよくわからない。こっちは武士道精神でやるよ」
「ふふふ・・・そうですか」
そう言うのだった。そして審判の人がやってきて
「それではこれより聖グロリアーナ女学院対大洗学園の試合を始める。一同、礼!」
『よろしくお願いします!!』
試合の挨拶も終わり俺は自分の戦車に向かおうとするが
「ちょっとお待ちになってくださる武藤さん?」
と、ダージリンが俺に声をかける。さすがに無視するのは失礼だと思い俺は振り返り
「・・・・お久しぶりですダージリンさん。」
「ええ、かれこれ3年ぶりですね・・・・・」
「そうですね最後に戦ったのは中学の時だったもんな・・・・・・」
「ええ、そうですね・・・・・それにしても高杉…いえ、武藤さんは3年たっても変わりませんね。特に身長が・・・・」
「余計なお世話だ。それを言うならダージリンさんもですよ。3年たっても相変わらず奇麗なままだ」
「ふふ・・・本当に変わらないわね武藤さんは///」
と、ダージリンさんは顔を赤くし妖艶な笑みでそう言う。何か変な事言ったかな?
「とにかく今日の試合。お互いに頑張りましょう。・・・・それと武藤さん」
「ん?なんだダージリンさん」
「おかえりなさい黒狼・・・・・」
「・・・・ああ、戻ったよ俺は。戦車道の道に・・・」
そう言い、俺は戦車に戻るのだった。
一方、別の所では篠原がパンターの最終チェックをしていた。すると・・・
「姉さん・・・・」
「ん?」
篠原が振り返ると、そこには聖グロの制服を着た三つ編みの女性がいた
「・・・・みつk・・・」
「本名は呼ばないで姉さん。今はルクリリって言う名前だから・・・」
「そう・・・・で、ルクリリあなた何しに来たの?」
「何って?久しぶりに会った妹に言う言葉がそれ?『会いたかったわ~お姉ちゃん感激っ!」とかそう言う言葉はないの?」
「あ”?#」
「ごめん冗談。だから睨まないで、すごく怖いから…‥でもよかった。元気みたいで・・・」
「ええ、ルクリリもね・・・・ご飯ちゃんと食べている?」
「大丈夫よ姉さん。ちゃんと食べてるわ。」
「そう・・・・良かったわ」
「あ、やっと笑ってくれた。」
そう言い二人は笑いながら話をする。
「ルクリリ。もうすぐ試合が始まるから、あなたは戻りなさい。久しぶりに話せてよかったわ。試合お互いに頑張りましょうね」
「ええ、姉さんもね」
そう言い、ルクリリは篠原の前を去っていった。それと同時に義弘がやって来た
「おかえり義弘。いつでも行けるよ」
「おう、ご苦労さん篠原。・・・・・で、さっき話してたのってルクリリか?」
「ええ、そうよ」
「・・・・で、どうだった?久しぶりに妹と話しできて?」
「ええ、とっても楽しかったわ。」
「そうか・・・・・そろそろだな。」
そして試合開始の時間。両校の戦車はスタート地点で今待機していて審判の合図を待っていた。
『用意はいいか隊長?すべては貴様にかかっている、しっかり頼むぞ』
河嶋さんがみほに無線でそう言う。みほは少し緊張した声で返事をした。そして
『試合開始!』
と、アナウンスが入り全車両が一斉に動き出した。
「いよいよ始まりましたね!」
「うん・・・」
Ⅳ号の中で秋山が目をキラキラさせながらみほ言う。ようやく始まった本格的な練習試合で彼女は嬉しくてたまらないんだろう。するとM3リーに乗っている一年生たちから無線が入る。
『あのー、それでどうするんでしたっけー?』
「えっと、先程説明した通り、今回は殲滅戦ルールが適応されるのでどちらかが全部やられたら負けとなります」
『そうなんだー』
一年生たちの質問にみほはわかりやすく教え一年生たちは納得したように答えた。
「まず我々Aチームが偵察にでますので他のチームは100メートルほど前進したとこで待機してください」
『『『わかりました!』』』
『『『『『は~い!!』』』』』
『『『御意!』』』
『なんか作戦名はないの?』
と角谷がみほにそう訊く。すると、みほはしばらく考えて、
「こそこそ作戦です! こそこそ隠れて相手の出方を見て、こそこそ攻撃を仕掛けたいと思います」
『ふん。姑息な作戦だな』
っと河嶋さんがそう言う。姑息ってあんたが考えたんだろうが・・・・・、無線を聞いた武藤は内心そう呟いていると
『義弘君。義弘君・・・』
急にみほから無線が入る
「ん?なんだ?」
『さっきの作戦名だけど変じゃないかな?』
「別にいいんじゃないか?みほらしくて可愛いネーミングセンスだと思うけど?」
実際にみほが立てた作戦名って意外と可愛らしいものが多い。堅物ばっかりの黒森峰の先輩たちはしかめた顔をしていたが同学年や下級生たちには結構受けたりしていた。まあ、まほさんは顔はいつもしかめた顔をしていたが、一人になると「グッジョブ!ナイスネーミングみほちゃん!」っと大声で叫んでいたりもした。え?なんでそんなこと知ってるかって?細かいことは気にするな。
『そ、そう・・・ありがとう///』
みほは嬉しそうな声で返事をする。そしてみほの乗るⅣ号は敵を誘き出すべく本隊と離れるのであった。
一方、聖グロリアーナの方ではダージリンがチャーチルから身を乗り出し優雅にお茶を飲んでいた。その光景はまさに気品のあるお嬢様の姿であった。そしてしばらくお茶を飲むとペコと目が合う。そしてダージリンは戦車の中へと入り
「全車、前進」
彼女の号令で聖グロリアーナの戦車は一斉に動き出した。ついに大洗にとって初の練習試合が今始まったのであった。
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい