ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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初めての他校試合です

「マチルダⅡ五両、チャーチル一両、前進中……」

 

「さすが、きれいな隊列を組んでいますね!」

 

「うん! あれだけ速度を出して隊列を乱さないなんてすごい」

 

岩陰の中、グロリアーナの戦車を誘き出すべく向かったⅣ号は岩山のところで止まり、みほと秋山は双眼鏡で敵の様子をうかがっていた

 

「こちらの徹甲弾では相手の正面装甲を抜けません」

 

「そこは戦術と腕かな?」

 

と、みほは秋山の顔を見てそう言う。秋山は最初はきょとんとしていたがすぐに笑顔で

 

「はい!」

 

というのだった。そして二人はⅣ号へと向かった。

 

「麻子さん起きて!エンジン音を響かせないよう注意しつつ、旋回してください」

 

と、操縦席で寝ていた冷泉を優しく揺り起こして言う。すると冷泉は眠たい目をこすりながら頷き、みほたちが車内に入ると、エンジンが始動しみほたちの乗るⅣ号は敵を誘き出すべく射撃地点へと向かうのであった。そして射撃ポイントにつきみほは双眼鏡で敵戦車隊を捉えた。

 

「敵、前方より接近中、砲撃準備」

 

「装填完了!」

 

「チャーチルの幅は……」

 

「3.25メートル」

 

「4シュトリヒだから……距離810メートル」

 

「撃て!」

 

みほがそう言いⅣ号の方針から75㎜徹甲弾が放たれる。そしてその徹甲弾はマチルダの一歩手前で着弾した。

 

「仕掛けてきましたわね」

 

「こちらもお相手してさしあげましょうか」

 

そう言い聖グロリアーナの車両は発砲してきた場所へと向かう。囮作戦がここで発動した。

 

「すいません」

 

「大丈夫、目的は撃破じゃないから」

 

外したことを謝る五十鈴さんだが、みほは問題ないと彼女にそう言いキルゾーンへと撤退する。

 

「あれは・・・・Ⅳ号。となると武藤さんのパンターは別のところに?全車両、パンターの狙撃に注意しつつ前方Ⅳ号へ攻撃開始」

 

と、ダージリンは全車両にそう指示しⅣ号を追う

 

「ダージリン様。なぜあそこまでパンターを警戒なさるのですか?確かにパンターは攻撃力が上ですが・・・・」

 

「確かに普通のパンターならそんなに警戒することはありませんが、彼の乗るパンターは他のとは別格ですから・・・・」

 

「彼っというと武藤さんのことですか?」

 

とペコは首をかしげて言うとアッサムが

 

「そう言えばダージリン。初めて彼と戦ったとき、彼にコテンパンにされましたわね」

 

「えっ!?そうなんですか?」

 

「ええ、あれは中学の時の黒森峰の練習試合の時。10対10の殲滅戦の時でしたわ。最初は善戦して黒森峰の車両を9両撃破し大して私たちは3両しか撃破されなかった。その時は勝ったと思ったわ。ねえダージリン?」

 

「ええ。その時はわたくしたちの勝利と確信していましたわ。なんたって残った車両は相手は1両大してこちらは7両でしたからね・・・・ですが。その一両を探している中次々と仲間が撃破されたの。無線で確認したら『狼にやられた』っと言ってたわ」

 

「狼・・・・とすると武藤さんのことですか?」

 

「ええ。そしていつの間にか残った味方は私たちだけになってしまったわ。そして最後には一対一の勝負をしたのですが・・・・」

 

「撃破されてしまったと?」

 

「ええ、しかもパンターではありえない機動力でね・・・・だってドリフトとかありえないでしょ?ペコ?」

 

「え!?ドリフトですか!?」

 

と、ダージリンは昔のことを思い出しながらふっと笑う。

 

「ダージリン隊長!砲弾が敵に当たりません」

 

と、操縦手の子がそう言うと

 

「思っていたよりやるわね、速度を上げて……追うわよ!」

 

と、全車両に言うと聖グロの戦車は加速するのだった。

 

「どんな走りをしようとも……我が校の戦車は一滴たりとも紅茶を零したりはしませんわ」

 

と、彼女たちはティーカップを持ちながら少し警戒はしているが余裕の顔を見せているのだった・・・

 

 

 

 

一方Ⅳ号は聖グロの砲撃を躱しつつキルゾーンへと敵を誘導していた

 

「なるべくジグザグに走行してください、こっちは装甲が薄いからまともにくらったらお終いです」

 

「了解……」

 

と、冷泉の巧みな手腕でⅣ号はひょいひょいと敵の砲弾を躱すまれで後ろに目がついているかのようだ。すると一発の砲弾がⅣ号の横をギリギリ通っていき着弾する。

 

「ふう……」

 

みほは砲弾が外れたことに安堵する。すると通信室ハッチから武部が顔を出した

 

「みぽりん危ないって!」

 

と、彼女は心配そうに言うとみほは彼女を安心させるように笑顔で

 

「え? ああ、戦車の車中はカーボンでコーティングされているから大丈夫だよ」

 

とみほは武部にそう言うが武部は首を振って

 

「そういうんじゃなくて、そんなに身を乗り出して当たったらどうするの!」

 

「まぁ、めったに当たるものじゃないし、それにこうしていた方が状況がわかりやすいから」

 

「でもみぽりんにもしものことがあったら大変でしょ!? もっと中に入って!」

 

と、武部はみほのことを心配してそう言う。みほは彼女のやさしさに嬉しさを感じ

 

「心配してくれてありがとね、じゃあお言葉に甘えて」

 

そう言い車内に入りⅣ号はキルゾーンへと進み続けるのだった。

 

 

 

一方その頃、他のチームは例のキルゾーンで敵が来るのを待っていた。

 

「革命~」

 

「嘘~!」

 

「しまったどうしよ~!?」

 

一年生チームは戦車の上でトランプの大富豪をしていて

 

「いつも心にバレーボール!」

 

「そ~れ!」

 

バレー部チームはバレーのトスの練習をしていた。一方、武藤たちはそのキルゾーンから1・5キロ離れていたところの草むらに上手い具合で隠れ待機していた。狙撃するためだ。そしてその車体の上では

 

「これでどうだ?義弘?」

 

「む?そう来たか・・・・・なあ、篠原」

 

「待ったは無しだよ義弘」

 

「そんなつれないことを~お前と俺の仲じゃないかよ」

 

「いくら車長でもこれはできないよ」

 

「そうか・・・・・じゃあ、これで」

 

「ふむやるな・・・・・」

 

と。武藤と篠原は将棋をし、服部と小波は車内で少し仮眠をとっていた。一方生徒会チームでは角谷さんはイスに寝そべって日光浴。河嶋さんはなかなか来ないⅣ号にいらだっていた。

 

「遅い!」

 

「待つのも作戦のうちだよ~」

 

いらだっている河嶋さんに角谷さんがなだめる

 

「いやしかし……」

 

と、河嶋さんが言いかけた時

 

『こちらAチーム、敵を引きつけつつ待機地点にあと3分で到着します』

 

みほたちから無線が入る。来たか・・・・・

 

「Aチームが戻ってきたぞ、全員急いで戦車に乗り込め!」

 

「えー、ウソー」 

 

「せっかく革命起こしたのに」

 

と一年生チームは残念そうな顔をし

 

「そろそろ来るか・・・義弘。将棋の決着はまた後日に」

 

「いやその必要はないぞ。篠原。3一金、詰みだ。車内に戻るぞ」

 

「なっ!?ま。負けた・・・・・」

 

優勢だったはずの自分が負けたことに篠原は驚くのだった。

 

『あと600メートルで敵車両、射程内です!!』

 

みほからの無線を聞き、武藤たちを覗いてみんな緊張し敵が来るのを待ち構える。そしてその緊張と焦りの結果。

 

「撃て撃てー!!」

 

河嶋さんは誘導していたⅣ号を敵と勘違いし砲撃し始めるそしてそれにつられ他の車両も撃ってしまった。

 

『あ、ちょっと待ってください!』

 

と、みほが焦っていうが砲撃が止まらない

 

「おい!全車撃つなっ!落ち着け!あれは味方だ!」

 

俺は双眼鏡で向こうの状態を確認し無線で今来たのが味方だと言うと砲撃が止まる。

 

「味方を撃ってどうすんのよー!!」

 

武部が無線で怒鳴る。まあ味方に撃破されるのは嫌だしそう言いたくなるか・・・・さて敵の姿が見えた果たしてこの作戦、どうなるやら・・・・・その後はみんな砲撃をしているみたいだがやっぱり練度不足のせいかなかなか当たらない。河嶋さんが何か叫んでいるみたいだがそれは無視しよう。

 

「そんなバラバラに攻撃してもダメです、履帯を狙ってください!」

 

みほがそう言った瞬間。聖グロの車両が左右に分かれ始めるのだった。

 

 

 

 

一方聖グロチームは、崖の上にいる大洗チームの戦車を見て、彼女らが立てた作戦がなんなのか理解しそして

 

「こんな安直な囮作戦、わたくしたちには通用しませんわ」

 

ほくそ笑んでいた。そして大洗チームは砲撃をするが一向に当たらない。そんな中ダージリンは

 

「アッサム。パンターの姿は?」

 

「今のところ見えません」

 

「そうですか・・・・」

 

と、ダージリンはあたりを見渡して安全を確認すると

 

「全車両……前進」

 

彼女の言葉でマチルダやチャーチルが右左に別れ大洗チームを包囲する形に進む。そして・・・

 

「……攻撃」

 

と、彼女の言葉でマチルダの40㎜砲やチャーチルの75㎜砲が火を噴くのだった。そしてその弾は彼女たちを動揺させるかの如く履帯元に着弾する

 

「すごいアタック…!?」

 

「ありえなーい!」

 

はじめて相手側からの攻撃にみんな動揺をし始めた

 

「落ち着いてください……攻撃をやめないで!」

 

みほがそう言って落ち着かせようとしているが

 

「無理です!」

 

「もういやー!」

 

「あ~逃げちゃだめだよー!」

 

あまりの恐怖に一年生たちは戦車を降りて逃げ出してしまった。まあ一人はそれを止めようとしていたが・・・・その瞬間無人となったM3リーに40ミリ砲弾が側面に命中し白旗が上がる。

一方、他では

 

「あれ?あれれ?」

 

攻撃を受けていた38tは相手の砲弾が着弾した時、車体が浮きそして、操縦ができなくなってしまう。恐らくさっきの砲撃でが原因なのか履帯が外れてしまったのだ。

 

「あー、履帯外れちゃったねー。38⒯は外れやすいからな~」

 

角谷さんが他人事みたいに言い38tは少しくぼんだ所に落ちてしまうのだった。まずいな…これ。俺は双眼鏡で遠くで乱戦しているのを見ていた。すると篠原が

 

「どうする武藤。乱戦に入るか?」

 

「いや篠原。今乱戦すれば、確実に敵さんを殲滅することができる。しかし・・・」

 

「あいつらの為にならないっか?」

 

篠原の言葉に俺は頷く。そう今回の試合は試合に勝つことが目的ではなく戦車道を始めてする奴に少しでも経験をしてもらうための試合だ。俺たちが乱戦に入り込めば勝てるんだがそれでは意味がない。俺の役目はあくまで検分役。まあ、多少は助けるがな

 

「『獅子は我が子を千尋の谷に落とす』ってやつね・・・・・あ、みほさんたちが動いたわね。第二作戦開始かしら?」

 

「『ああ・・・・わかった。任せろみほ。あそこでおち合おう』・・・・・・・そうだな。今、無線でみほと確認した。聖グロの連中も追いかけているな・・・・・」

 

「でも一両残ってるわ。動けない38tにとどめを刺すみたいだわね。義弘」

 

「ああ、篠原。照準をあのマチルダにロックしろ」

 

そう言いパンターは一キロ先にいるマチルダに狙いをつけるのであった。

 

 

「私たちどうしたら?』

 

「隊長殿、指示を!」

 

「撃って撃って撃ちまくれー!!」

 

少し戻って、大洗チームは各車の状況確認を終えた後、この後どうするか話し合っていた。河嶋さんに関してはもはや敵を撃って撃破することしか頭にないようだ。 

 

「このままいてもやられるだけ……」

 

「隊長は西住さんです」

 

「私たちみほの言う通りにする!」

 

「どこへだって行ってやる」

 

「西住殿、命令してください!」

 

五十鈴さん。武部さん。冷泉さんそして秋山さんがみほにそう言う。それを見てみほは頷き 

 

『B、Cチーム、私たちのあとについて来てください!移動します!義弘君。例の作戦発動です。お願いします!」

 

『わかりました!』

 

『心得た!』

 

『わかった。任せろみほ。あそこでおち合おう』

 

『なに!? 許さんぞ!』

 

と、他の車長は頷き(河嶋さんを除き)、昨日の夜、みほが義弘とともに徹夜で話し合って決めた第二作戦を決行するのだった。

 

『もっとこそこそ作戦を開始します!!』

 

そう言いみほたちの車両はとあるところへ向かうのだった。それを見たダージリンは

 

「逃げだしたの?追撃するわよ!それと一両は残って38tを撃破しなさい」

 

『了解!」

 

そう言いダージリンは一両をその場に残し、みほたちを追撃するのだった。そして残されたマチルダ一両は履帯が外れくぼみにはまって動けない38tに向かっていた

 

「会長!マチルダがこっちに来ます!?」

 

「撃て撃てっー!!」

 

河嶋さんはトリガーハッピーになって砲弾を撃つがマチルダには全然効かなく弾かれるだけであった

 

「弾かれちゃってるよ桃ちゃん!?」

 

「モモちゃん言うなっ!」

 

「やっぱ38tの37ミリ砲じゃあ豆鉄砲か~」

 

と、生徒会三人は会長を除きうろたえていた。

 

「ふっ・・・・38tの豆鉄砲ではうちのマチルダは抜けませんことよ」

 

と、マチルダの車長がそう言いマチルダの砲身は完全に身動きできない38tをとらえた。そして2ポンド砲を撃とうとした瞬間。

 

ドガァーン!!

 

急にマチルダが爆発。ついには白旗が上がった。そして車内では何が起きたかわかんないって言う顔でマチルダの車長は慌てていた

 

「な、なんですの!?エンジントラブルですか!?」

 

「ち、違います車長。敵の狙撃です!」

 

「狙撃・・・・・・あ!」

 

マチルダの車長はキューポラから顔を出し。当たりを見渡すと一両の戦車がいた。その戦車は少し暗いカーキー色をしたパンターだ。しかもその砲塔側面には黒い狼の絵が描かれていた・・マチルダの車長はそのマークに見覚えがあった。

 

「こ・・・・・黒狼」

 

撃破されたマチルダの車長はそう顔を青ざめて、その場から立ち去るそのパンターを見るのだった。

 

 

 

 

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい

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