ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「いや~助かったよ武藤君。」
と、角谷さんは履帯を修理しながら俺に言う。
「いえ、いいんですよ。それよりも履帯どうですか?」
「うん。ただ単に外れただけだから直すのに時間はかかると思うけど、試合はできるよ」
小山さんがそう言う。すると河嶋さんは
「武藤!お前なんで撤退した!あそこで撃ちまくれば勝てたんだぞっ!!」
いまだパニック状態で叫んでいた。本当にこの人クールそうに見えて実はメンタルが弱かったりするのかな・・・?
「河島~うるさい~」
と、角谷さんが河嶋さんにそう言う。
「まっ!とにかく武藤君。私たちは履帯直してから合流するから、先に行ってて」
「わかりました。では市街地で」
そう言い俺の乗るパンターは市街地へと向かった。みほと俺が考えた「もっとこそこそ作戦」とは、簡単に言ってしまえば市街地に出てゲリラ戦をやるという単純な作戦だ。狭い町でのゲリラ戦。これはその街のことを良く知っていればかなりの武器になる。そのうえここは大洗町。つまり大洗出身の奴らにとっては庭みたいなものだ。
だからゲリラもしやすくなる。
一方西住率いる大洗チームは、市街地の入り口付近につき、みほが無線で
「今から市街地に入ります、地形を最大限に活かしてください!」
『Bei Gott!』
『大洗は庭です!任せてください!』
そう言い各分散した。
「消えた‥‥?」
一方ダージリンは市街地へと撤退した大洗女子を追撃して市街地の入り口に着いたのだが、大洗女子の戦車は消えていた。すると・・・
『こちら、6号車!』
ダージリンのインカムから38tにとどめを刺しに行ったマチルダⅡから無線が入った。
「どうしたの?38tは撃破できたの?」
と、ダージリンがそう訊く。するとその無線から信じられない言葉が出た
『すみません!38tを撃破する前に『黒狼』にやられましたっ!!』
「っ!?」
ダージリンはその言葉を聞き驚く
「(黒狼・・・・やっぱり武藤さんどこかで狙っていたのね・・・・これから先いつ、どこから彼に狙撃されるかはわからないけど狭い市街地に入らなければ狙撃はされない。彼の戦車が空を飛べなければね)」
「ダージリン?大丈夫?」
「あ、いいえ。大丈夫よアッサム。全車、各分散して追いなさい!あとパンターの狙撃には用心しなさい」
『了解!』
そう指示するのだった。
「くっ・・・・どこに行ったのかしら?」
5両のうちの1両は通りを進んでいた。そして薬局の前を通る。その時マチルダの乗員は薬局の旗に交じって歴女チームが3突につけていた旗があったことに気付かなかった。そしてマチルダⅡはその旗に気づかずそのまま進むと・・・
ドガァーン!!
裏路地に隠れていた三突に側面から攻撃され白旗が出てマチルダⅡは走行不能となった。一方、別の場所ではもう1両のマチルダは駐車場の前に通りかかった。
「ん?」
「どうかしましたのルクリリ様?」
砲手の子が車長であるルクリリに訊いた。
「車庫のランプが点滅している・・・」
ルクリリが指さすと駐車場のブザーが鳴っていてランプが点滅していた。
「おそらく敵戦車はあそこにいる向かえ!」
「かしこまりました。」
彼女は即座に、その中に敵戦車がいると判断し、彼女達はすぐさま、マチルダを扉の前に移動させた。そして車庫の扉が開き始めた。
「ふっ・・・・・馬鹿め」
ルクリリはそう言うが、正面の車庫が開き始めたのと同時にすぐ後ろの昇降機が上がり始めその中には八九式中戦車がいた。そう、これはフェイク。わざと前の車庫にいると見せかけ身動きの取れない狭い駐車場の中へ誘い込みそして後ろにある昇降機の中に隠れ敵が中に入ったら背後から撃って撃破するというバレー部の作戦なのだ。
そしてルクリリは正面の車庫に敵戦車がいないのに気づきそしてその車庫のミラーで敵戦車が背後にいることに気付いた。
「・・・・はっ!?後ろだぁ!」
ルクリリが車内に入りそう言った瞬間。
「そーれぇ!」
「「「そーれっ!!」」」
磯部の掛け声と共に八九式中戦車の五七ミリ砲が火を噴き。放たれた五七㎜砲弾がマチルダⅡに炸裂した。 マチルダⅡから爆炎が上がる。そして
「こちらCチーム。一輌撃破!」
「Bチーム。一輌撃破!」
と、2チームは無線でみほたちに連絡する。それを聞いた義弘たちも
「やったわね義弘。あの子たちやるわね」
「ああ、そうだな。服部。例の場所は?」
「はい。もうすぐ着きます。」
そう言い義弘が乗るパンターはとある場所へと向かうのであった。一方撃破されたマチルダⅡ2輌はダージリンに報告をしていた。
『攻撃受け走行不能!』
『こちら被弾につき現在確認中!』
「なっ!?」
ダージリンはその報告を聞いて驚愕し、思わずお気に入りのティーカップを落としてしまう
「なかなかやりますわね大洗・・・・・けどここまでよ!」
一方、歴女チームは・・・・
「「あははっ!」」
車長のエルヴィンとリーダーのカエサルが高笑いしていると正面からマチルダⅡが現れる。それを見たエルヴィンは
「路地裏に逃げ込め!」
と、操縦者のおりょうに指示しおりょうは路地裏に入り込む。
「入り組んだ道に入ってしまえばよい。三突は車高が低いからな」
塀に隠れながら進みエルヴィンがそう言うが、頭かくしてなんとやら、三突につけていた旗竿が仇となり、敵に場所がばれて側面から撃たれ撃破されてしまった。
一方、駐車場にいるBチームことバレー部たちは・・・・
「Bクイック大成功!」
磯部たちは歓喜の声をあげる。炎上するマチルダⅡ。一見撃破したかのように見えたのだが・・・・・
「あれ?」
火が消えるとそこには無傷しかも砲塔をこちらに向けたマチルダⅡの姿があった。実は八九式が撃ったのはただの予備燃料タンクだったのだ。
「うわぁ!嘘!生きてた!!」
「これでもくらえ!!」
そういい八九式中戦車はマチルダⅡに向けて発砲するが、彼女たちが乗る八九式はもともと歩兵支援のために開発されていたため、戦車戦では不向きな戦車である。放った弾丸は弾かれ、敵の戦車は弾痕はついても撃破することはできなかった。
「サーブ権取られた」
「お返しだ!」
ルクリリがそう言いいマチルダⅡが発砲し、八九式はもろに攻撃を受けて撃破されるのであった。
『Cチーム走行不能!』
『Bチーム敵車両撃破失敗!走行不能!すいません!!』
みほの車両からC、Bチームがやられたという報告を聞く
「残ってるのは我々の車両だけです!」
「向こうは何両?」
「四両です」
すると後ろから二両のマチルダ戦車が現れた。このままだと包囲される危険がある
「来た……!囲まれたらまずい!」
「どうする?」
冷泉が冷静に言うと
「とにかく敵を振り切って!」
「了解」
そう言い、みほたちの乗るⅣ号は聖グロリアーナの戦車に追い回されることになった。いわゆるカーチェイスならぬタンクチェイスとなった。そしてⅣ号は街中の緩やかな坂を下りカーブを曲がった時、一両のマチルダが曲がり切れずとある宿屋に突っ込んでしまった。後に来た話ではその時の宿屋の店主は絶叫の声をあげたがそれが絶望ではなく歓喜の声だったらしい。
話を戻そう。ひたすら逃げるⅣ号だったが、運悪く彼女たちの息着いた場所は行き止まりであった。そしてその後ろからマチルダⅡ4輌、チャーチル一輌が迫って来た。そして5輌はⅣ号の前に止まりそしてチャーチルからダージリンが顔を出し
「こんな格言を知ってる? イギリス人は恋愛と戦争では……手段を選ばない」
彼女がそう言うと相手の砲台がゆっくりとこちらに照準を合わせてくる。もはや万事休す。しかし・・・
『参上~!!』
「生徒会チーム!?」
「履帯直したんですね!」
さすがに聖グロリアーナもいきなりの登場に攻撃の手が止まった。そして
『発射!!』
河嶋さんがゼロ距離から発砲するが、砲弾は相手の戦車に掠りもせず、むなしい空音が鳴るだけだった。
『あ……』
『桃ちゃん、ここで外す?』
河嶋さんのノーコンぶりに小山さんがつっこみをする。そしてその瞬間、聖グロリアーナの戦車隊はお返しとばかりに一斉射撃し、38tを撃破するのだった。
『や~ら~れ~た~!』
「前進!一撃で離脱して、路地左折!!」
そう言いみほは前にいたマチルダを撃破し小道へと逃げた。それを見たダージリンは
「回り込みなさい!至急!!」
と、全車にそう言いグロリアーナ戦車は迂回してⅣ号を追いかけるべくチャーチルとマチルダⅡ3輌は二手に分かれ攻撃をし始めるのだった。
『みほ。第3作戦発動だ。俺はマチルダⅡを相手するからみほは手はず通りに頼むな』
「うん。義弘君も気を付けて。」
『ああ、運が良ければ合流しよう』
みほが武藤との通信を終えると
「みぽりん。武藤と何を話してたの?」
武部がみほに訊く
「うん。昨日義弘君とね」
と、みほは義弘と打ち合わせした作戦を言う。
「なるほど・・・・・ですが大丈夫ですか?武藤殿だけでマチルダⅡ3輌を相手にするなんて・・・・」
秋山が心配そうに言うとみほは首を横に振り
「大丈夫・・・・義弘君ならきっと・・・」
「急げ!急いで回り込んでⅣ号を仕留めるぞ!」
ルクリリ率いる3輌のマチルダⅡはⅣ号を仕留めるべく回り込んでいた。
「Ⅳ号は恐らく大通りに出るはずだわ!」
『ええ、そうですわねルクリリs…』
と一輌のマチルダⅡの車長が無線でそう言いかけた時
ドガァーン!!
「「「っ!?」」」
急にルクリリの傍にいたマチルダⅡが爆発し白旗が上がった。
「な、なんだ!?」
『何が起こったのですの!?』
いきなりのことにマチルダ隊は動揺し始める。すると彼女らの目の前にカーキー色のパンターが現れた。しかも砲塔側面に黒い狼のマーク。
「あ、あれはパンター!?」
「いいや、あれはただのパンターじゃないわ・・・・」
と、ルクリリは冷や汗をかきながら他のマチルダⅡの車長たちにそう言う。ルクリリは知っている。あの戦車には自分の姉が乗っていることを・・・・そして中学生のころお世話になった人のことを・・・・そしてあの二人が操る戦車の実力を・・・・
「(姉さん・・・・・)」
『ど、どうしますか!?ルクリリ様っ!?』
「慌てないで。相手は一輌。こっちはまだ三輌。数で押すわよっ!」
『了解!』
そう言い、マチルダ3輌はパンター目掛けて攻撃を仕掛けた。
「来るぞ。服部さん。なるべく相手に側面をとらせないように!小波さんは装填を。篠原!」
「あいよ!一撃必中必ず当てるよ!」
「任せてください!相手が背後に回る前に逆に回り込んで見せます!」
そう言い、武藤たちの乗るパンターも前進し始めた。そしてパンターは急回転した。いわゆるドリフトだ。そしてマチルダの側面に撃ち一両を撃破。
「なっ!?ドリフトだと!」
ルクリリが驚く中、パンターは次々とマチルダを撃破する。しかも走行しながら正確に敵のウィークポイントを撃ち抜き撃破していた。
「やっぱり、姉さんと義弘さんはすごいわね・・・・・・でも義弘さん。いいえ『黒狼』をダージリン様のもとに行かせるわけにわいかないわ。戦車前進。優雅な勝ち方とは言えないけどこれもダージリン様に近づけさせないため!体当たりし相打ち覚悟で行くわよ!」
「了解!」
そう言いルクリリのマチルダⅡは前進し、武藤の戦車の側面に体当たりする。そしてマチルダⅡの2ポンド砲はパンターに向けて発砲した。しかしパンターは急回転し前面の傾斜装甲で弾いた。
「なっ!?」
いきなりのパンターの動きにルクリリは目を丸くする。そしてパンターは砲塔を旋回しルクリリの乗るマチルダⅡを撃破しその場を離脱するのだった。そしてルクリリはその光景をパンターが見えなくなるまで見て、
「・・・・・ふっ・・・・やっぱり姉さんたちは強いわ」
そう言いふっと悔しさと満足さの入り混じった笑みをするのであった。
「あ、危なかった・・・・」
「ええ、まさか体当たりするなんてね・・・・・・静の運転技術がなければ撃破されていたわ・・・ありがとね静・・・・」
「い、いえ・・・・結構無理しましたけど・・・しかしさっきの運転と体当たりでエンジンの調子が・・・・油圧も下がってますし、いつエンジンが爆発して走行不能になってもおかしくありませんよ」
「そうか・・・・・でどのくらい持ちそうか?」
「そうですね・・・・もってあと10分くらいです」
「そうか・・・・それならそれまでに決着つけないとな・・・・・」
一方、みほたちは見通しの良い広場でチャーチルと鉢合わせしていた。そしてⅣ号はチャーチルの砲撃を躱していた
「後退してください、ジグザグに!」
みほの指示でⅣ号はジグザグに後退する。
「路地行く?」
「いえ、ここで決着を着けます。回り込んでください、そのまま突撃をします」
そしてⅣ号は一旦逃げるように後退そしてUターンからの突撃をするが。
「と、みせかけて合図で相手の右側方部に回り込みます!」
みほの指示でⅣ号戦車はチャーチルへと向かっていき
「はい!」
みほの合図でⅣ号は急ブレーキを市ドリフトをしてチャーチルの側面に回り込み
「撃て!!」
「はい!」
みほの言葉に五十鈴さんは引き金を引き、そしてⅣ号とチャーチルの攻撃が同時に発砲。そしてみほたちⅣ号の放った砲弾はチャーチルの履帯部分に当たりチャーチルの履帯が切れる。そしてチャーチルの砲弾は
Ⅳ号の装甲の薄いところに当たりⅣ号に白旗が上がる。
「あとは武藤さんの車両ですね・・・・・」
ダージリンがそう言うと
「ですがダージリン様。私たちの車輌は履帯をやられて行動不能です。なぜⅣ号は装甲の薄いところではなく履帯を・・・・・」
「そう言えばそうですね・・・・それに・・・・まさか!?」
ダージリンは何かに気付くと目をまるくし動揺し始める
「どうしたの?ダージリン」
「アッサム。なんでⅣ号が広いところに誘いだし、そして履帯を切ったのか・・・・」
「まさかっ!?」
ダージリンの言葉にアッサムも何か気づいたのか驚いて目を丸くする。すると突如、凄まじい轟音と衝撃が彼女達を襲いすぐさま判定装置が作動し、チャーチルに白旗が上がった。ダージリンはキューポラから覗くとそこにはパンターがいた。
「や、やっぱり・・・・・Ⅳ号がこの広場に誘い出したのは・・・・このため」
彼女がそう言うとパンターが突如、黒煙を出しそして白旗が上がった。
『大洗学園、聖グロリアーナ女学園。全車両行動不能……ただし、聖グロリアーナ女学園の戦車が先に全車走行不能になったためこの試合大洗学園の勝利!』
と、アナウンスが鳴り響くのだった。こうして大洗学園戦車道部の初陣は初勝利という白星という形で終わったのであった。
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい