ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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訪問と再会

秋山と義弘がサンダースから上手く脱出し、コンビニ連絡船でビデオに撮った映像を編集していたころ、みほたちは学校や戦車道の練習が終わり下校していた。

 

「結局、秋山さん練習に来ませんでしたね。それと武藤さんも」

 

「うん。篠原が言うにはなんか外せない用事があるって言っていたらしいよ」

 

「外せない用事ってなんだ?」

 

「さあ?あ、メールは返ってきた?」

 

「全然、電話かけても二人共圏外だし・・・・・みほ、武藤から何か聞いてる?」

 

「ううん・・・・義弘君とは朝から会ってないから・・・・」

 

「そうなんだ・・・・・」

 

と、そう言い4人は歩く。すると武部は何を思ったのか、ハッとしたような顔をし

 

「もしかしたらあの二人デートしているんじゃない?」

 

「「「え?」」」

 

いきなりの言葉に3人はポカーンと口を開ける

 

「だってさ、あの二人って同じクラスじゃん。聞けば1年生の時から、だからさ、二人とも実は付き合っているんだよ!だから今日学校に来なかったのも納得できるじゃないの!」

 

「沙織、いくらなんでもそれはない。恋愛小説の見すぎだ」

 

「確かに辻妻は会いますがさすがに二人が付き合っている証拠もありませんしたまたま二人とも同じタイミングで用事ができたんじゃ・・・・・・ねえ、みほさん?」

 

「よ・・・義弘君が・・・・・優花里さんと・・・・・つ、つき・・・・・」

 

と、みほはそうぶつぶつと呟きながら歩く。顔を赤くしその目はぐるぐると回っていた。

 

「み、みほ?」

 

「え!?ああ・・・・大丈夫ちょっとびっくりしただけだから・・・・」

 

「そう?・・・・・・まあ、とにかく今日はゆかりんの家、行ってみよ。その後、武藤の家に」

 

「そ、そうだね」

 

と、4人はそう話し合い、とりあえずは秋山の家に訪問することにした。そして歩いて数分後、4人は秋山の自宅に着くのだった。

 

「あれ?ゆかりんの家、床屋さんだったんだ」

 

沙織がそう呟き、4人は入るのだった。

 

「いらっしゃいませ」

 

店の中には一人は椅子に座り新聞を読んでいるパンチパーマがきいた男性とそのそばにいる女性がいた。

 

「あ、あの・・・・優花里さんはいますか?」

 

「あんたたちは・・・?」

 

「友達です」

 

「友達……。と、とと友達ぃい!?」

 

「お父さん落ち着いて!」

 

「だってお前! 優花里の友達だぞ!?あの武藤君以外にも友達が!!」

 

「わかってますよ、いつも優花里がお世話になっています」

 

「お、お世話になっております!」

 

母親が丁寧にお辞儀し、父親は慌てて土下座する。その姿に4人は苦笑していた。すると秋山のお母さんがにっこりと笑い

 

「優花里、朝早くうちを出てまだ帰ってきてないんですよ、どうぞ二階へ」

 

と、そう言い秋山のお母さんはみほたち4人を秋山の部屋へ案内した。すると秋山の部屋の中はいろんな戦車グッズがたくさん置かれていてその部屋を初めて見た4人は興味深く見ていた。すると

 

「どうぞー、ゆっくりして頂戴」

 

秋山のお母さんは4人に麦茶を持ってきた。するとその隣で秋山のお父さんがハサミと櫛をもって

 

「あの~良かったら待ってる間に散髪しましょうか?」

 

「お父さんはいいから!」

 

「……はい」

 

と、散髪するか聞いたら、お母さんにぴしゃりと言われしょぼんとした感じで部屋を出る

 

「すいません……。優花里のお友達が来るなんて、この店のお得意さんの武藤君以外、初めてなもので。なんせいつも戦車、戦車で気の合う友達がなかなかできなかったみたいで、戦車道の友達ができたってすごく喜んでいたんですよ」

 

「そうなんですか・・・」

 

「じゃあ、ごゆっくり」

 

そういってお母さんは部屋を出ていった。

 

「武藤・・・・この床屋のお得意さんだったんだ・・・・」

 

「意外だな・・・・」

 

「それにしても秋山さんの両親。いいご両親ですね」

 

「うん。そうだね・・・・」

 

五十鈴さんがそういうなか、冷泉は秋山の机に置かれた家族写真を見て複雑な顔を顔をするのだった。すると突然部屋の窓が開いたと思ったらそこから

 

「あれ?皆さんどうしたんですか?」

 

と、そこから秋山が入って来た。しかもコンビニ店員の格好で、それを見た4人は驚き 

 

「優花里さんこそ…」

 

「連絡がないので心配しましたよ…」

 

「すいません、電源を切ってましたので」

 

「つか!なんで玄関から入って来ないのよ!!」

 

「この格好だと父が心配すると思って」

 

「「「ああ~」」」

 

となぜか、4人は納得したような声を出すと、部屋のドアが開き

 

「おう、秋山お待たせ・・・て、あれ?みほ?」

 

「よ、義弘君!?」

 

と、いきなり俺が入ってきてみほたちがビックリする。

 

「武藤!?どうやって入ったの!?」

 

「どうやってって・・・・・普通に玄関から入って秋山のご両親に秋山はいるかって尋ねたら部屋で待ててッていわれて来たんだよ」

 

「いや、そう言うんじゃなくてさ・・・・武藤もゆかりんも今朝からどこ行ってたのよ!?」

 

「ああ、そのことか・・・・秋山」

 

「はい!そのことでぜひ見てもらいたいものがあるんです!」

 

そう言い秋山はUSBメモリーを取り出し、サンダースで撮った映像を見せる。因みにカメラマンはブリーフィングルームが始まるまで俺がやっていた。そして最初に映ったのはサンダース大付属戦車道隊長であるケイが俺と仲良く話している姿、そして次にケイと別れ、戦車格納庫の映像やサンダース大付属の校舎の中などを写した。因みにBGMは俺のリクエストでちょっとロックな感じの音楽だ。そして次に映し出されたのは午後のブリーフィングルームでの作戦会議であった。因みにBGMは秋山の好きな曲の一つ『リパブリック讃歌』となっている。そしてナオミが秋山の正体を見破り、俺が秋山の手を引いてブリーフィングルームから逃げ出したところで映像は終わった

 

「なんと言う無茶を・・・・・」

 

「でも頑張りました!!」

 

「でもいいの?こんな事して」

 

「試合前の偵察行動は承認されています」

 

秋山がそう言うと。すると武部が

 

「そう言えば武藤、あんたサンダースの隊長と仲が良かったみたいだけど、知り合いなの?」

 

「まあ、中学のころ試合とか、練習試合の申し込みとかでちょっとな」

 

「あ、そう言えば義弘君。試合の申し込みとかそう言うのお姉ちゃんに任されていたっけ」

 

「ああ、ケイとはその時に知り合った」

 

と、武藤がそう言うと、秋山はビデオから取り出したUSBメモリーをみほに渡す。

 

「西住殿、オフラインレベルの仮編集ですが、参考になさって下さい」

 

「ありがとう…、優花里さんのおかげでフラッグ車もわかったし、頑張って戦術立ててみる!!」

 

みほはUSBメモリーを受け取りそう言うと

 

「でも、ゆかりんよかった~」

 

「怪我はないか?」

 

みんなが心配そうにそう言うと

 

「・・・・・・心配していただいて恐縮です。わざわざ家にまで来てもらって……」

 

「いいえ、おかげで秋山さんのお部屋も見れましたし」

 

「あの、部屋に来てくれたのはみなさんが初めてです、私ずっと戦車が友達だったんで……」

 

と、秋山がそう言うと高部はいつの間にか秋山のアルバムを見て

 

「本当だ、アルバムの中ほとんど戦車の写真」

 

「ん?どれどれ?」

 

俺は武部の見ているアルバムを見る。するとその写真には秋山には似合わないパンチパーマの髪型をした秋山が写っていた

 

「「なんでパンチパーマ?」」

 

「くせ毛が嫌だったのと、父がしてるのを見てかっこいい! と思って、中学からはパーマ禁止だったんでもとに戻したんですけど」

 

「いや、友達が出来なかったの戦車の所為じゃなくてこの髪型の所為じゃ……」

 

「え?」

 

「そうだよ。それに秋山はその髪型のほうが可愛いんだからさ」

 

「ふぇ///!?」

 

俺がそう言うと秋山の顔が赤くなり、それを見たみんながジト目で俺を見る。え!?俺なんか変な事言ったか?俺秋山を褒めただけだけど・・・・・・すると冷泉がコホンと咳をし

 

「ま、なんにせよ、一回戦を突破せねば」

 

「頑張りましょう!」

 

「一番頑張んないといけないのは麻子でしょ?」

 

「なんで?」

 

「明日から、朝練始まるよ」

 

「・・・・・・・・・え?」

 

武部の言葉を聞いて冷泉は固まったのであった。ああ、そう言えば冷泉って朝が苦手なんだっけな・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその後、みんなはしばらく秋山の家で話をし、その後解散した。そして俺は、戦車倶楽部で少し用があったため今そこに向かっていた。すると携帯が鳴る。俺は携帯を取り出した。

 

「メールか・・・・・相手は・・・・・っ!?」

 

メールの差出人を見るとそこには『西住まほ』と書かれていた。俺はそのメールの内容を見ると

 

『今、大洗にいる。ちょっと顔を出せ』

 

と、書かれていた。相変わらず誤解を生むような内容を・・・・本当にメールうつの苦手だなまほさんは・・・・まほさんが大洗(ここ)に?お忍びで来てるのか?だとすると何か大事なようがあって・・・・・とにかく会ってみるか。とにかく会う場所はどこかの喫茶の方がいいだろう。寮だとみほに会う可能性がある。俺はまほさんにメールで会う場所を教える。そしてメールの送信が終わると俺はその喫茶に向かうのであった。

そして、俺は喫茶につくとまだまほさんは来ていなかった。すると店員がやってきて

 

「いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?」

 

「いや、あともう一人くるよ」

 

「そうですかではお二人様ですね。ではあそこのお席にどうぞ」

 

店員に案内され、俺は席に座る。そしてしばらく座っていると喫茶店のドアが開きクールビューティーさを感じる女性が入って来た。そして俺を見るとそこに近づく。そして

 

「久しぶりだな・・・・・義弘」

 

と、俺に微笑むと、席に座る

 

「ええ・・・・久しぶりです。まほさん」

 

「・・・・・・もう、昔みたいにお姉ちゃんとは呼んでくれないのだな義弘・・・・・」

 

と、少し寂しそうな顔をした。確かに俺は幼い頃西住姉妹とは本当に家族のような関係だった。俺もまほさんを姉さんッと呼んでいた。

 

「・・・・ええ、さすがにこの状況じゃ・・・・・恥ずかしいので・・・」

 

「そうか・・・・・」

 

そう言うとまほさんは、

 

「・・・・・・で、義弘。みほは元気か?」

 

「え?ああ・・・・元気だよ」

 

「そうか・・・・・・・」

 

「・・・・・なあ、まほさん。三年前、俺がいなくなったこと・・・・」

 

「別に怒ってはいない・・・・・・あれは何か事情があったのだろ?だからお前を責めるつもりはない。ただ・・・・・少しだけ失望した」

 

「そうですか・・・・」

 

そう言うと互いに黙ってしまう・・・・何というかまほさんも俺もあまりしゃべらないほうだからな・・・・すると

 

「義弘・・・・・一つ頼みがある」

 

「何?」

 

俺がそう訊くとまほさんは頭を下げ

 

「・・・・・・みほのことを頼む・・・・あの子を守ってくれ」

 

「え?」

 

「お前のことだ。あの後の黒森峰のことエリカから聞いているのだろ?」

 

「ああ・・・・」

 

「みほをあそこまで追い詰めてしまったのは私のせいだ。あいつの判断は一切間違ってはいない・・・だが」

 

「西住流としてそして後継者として、表立ってみほを庇うようなことができなかった。そしてその後もできにくいと・・・・・?」

 

「ああ・・・・恥ずかしことだが」

 

「そうか・・・・・わかった。まほさん。みほのことは任せてくれ。でもまほさんもできる限りのことはお願いします」

 

「ああ、わかった・・・・・・できる限りのことはする」

 

そう言うと俺は立ち上がる

 

「行くのか?」

 

「ええ、明日も朝練なんでね・・・・・久しぶりに話せて楽しかったです・・・・・・まほ姉さん」

 

俺はそう言って店を出た。そして喫茶店に残されたまほは注文したコーヒーを一口飲み

 

「ああ・・・・・私も久しぶりに話せてよかった。・・・・・・義弘・・・みほのことを‥‥妹をよろしく頼むぞ」

 

そう言い、まほはまた一口コーヒーを飲むのであった。

 

 

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい

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