ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「う~ん・・・・」
「どうだ秋山?」
「・・・・確かに武藤殿の言う通り調べてみましたが戦車道ルールブックには通信傍受機を打ち上げちゃいけない、なんて事は書いていませんね」
と、戦車道ルールブックを読む秋山がそう言う。まあ、確かにルールブックでは盗聴器による盗聴は反則ではないが、スポーツマンシップとしてはいただけないな・・・・するとそれを聞いた武部たちは
「そんなの酷い!いくらお金持ちだからって!」
「抗議しましょう!」
「武部先輩の言う通りです。こんなの正々堂々とはあ言えません!ここは抗議するべきです!」
「私も武部さんや服部さんに賛成です。盗聴器で盗み聞きなんて卑怯だと思います!」
と、そう言い服部や小波も武部たちの言葉に同意する。
「まあ、良いじゃないかよ盗聴くらい。好きなだけ聞かせればいいさ」
「む、武藤殿!?」
「なっ!?武藤あんた何言ってるの!?」
「車長!?」
「武藤さん!?」
俺の言葉に武部たちは驚き目を丸くする。そんなことを無視し俺はこういう
「まあ、落ち着いて聞けよ。向こうさんが盗聴するならそれを逆手に利用すればいい。」
「というと?」
「つまりだ。相手の使っている通信傍受機を利用する。対策内容はすでに考えているんだろ?みほ」
俺がそう言うとみほは頷く。そしてみほは武部の方へ顔を向け
「沙織さん。頼みがあるんだけど」
「なにみほ?」
「携帯にみんなのアドレス入っている?」
「・・・・・・え?」
一方その頃、別の場所では一両のシャーマンがいた。そしてその車内ではそのM4a1の車長でありサンダースの副隊長の一人であるアリサが通信傍受のチャンネルの周波数を合わせながら聞き耳を立てていた。すると
「いいんですかアリサさん。こんなことをして?」
と、装填手の子がアリサに言うと
「何よ。通信傍受のことはあんたも賛成していたじゃないの」
「でもやっぱりこれは卑怯じゃ・・・・」
「残念だけどルールブックのどこにも無線傍受機を使ってはならないというルールはないわよ?」
「でも、このやり方はケイさんのフェアプレー精神に違反するんじゃ・・・・もしばれたら・・・・」
「反省会・・・・」
と、砲手の子がぽつりとつぶやくと車内全員の顔が青くなり震える。するとアリサが
「大丈夫よ!バレなければいいのよバレなければ!幸い隊長にはまだバレていないんだし」
と、そう言い無線傍受のチャンネルをいじると、大洗女子の無線を拾ったのであった。
『全車、0985の道路を南進、ジャンクションまで移動して!敵はジャンクションを北上してくる筈なので、通り過ぎたところを左右から包囲!』
その無線内容を聞いてアリサはにやりと笑い
「ふふ・・・無線傍受されているのに気がづかないなんて・・・この試合やっぱり私たちの勝ちね」
と、余裕たっぷりの顔でそう言うと無線を取り隊長者であるケイのシャーマンに無線を入れた。
「隊長。敵はジャンクション、左右に伏せてるわね…………囮を北上させて!本隊はその左右から包囲させてください」
『OK、OK!でもアリサ、なんでそんな事まで分かっちゃうの?』
「…………女の勘と言うヤツです」
『アハハハハッ!それは頼もしいわね!』
と、アリサが無線傍受をしていることにも気づかず笑い声でそう答えるケイ。そしてケイはアリサが言った地点へ戦車を向かわせるのであった。
一方、少し高い丘の上では義弘の乗るパンターが様子をうかがっていた。すると義弘は双眼鏡で敵の姿を捉える。そしてそのシャーマンたちが向かっている茂みの後ろには丸太をロープで釣った八九式の姿があった。
「北から3輌、南から4輌、そして西から2輌か・・・・・・思った通り、こちらの罠にかかったな」
と呟くと篠原が顔を出し
「義弘。それじゃあ始める?」
「ああ、ニイタカヤマノボレだな」
と、そう言うと無線から
「囲まれた!全車後退!」
みほの声が聞こえたの同時に茂みに隠れていた八九式が、後ろに括り付けた丸太を引き摺りながら全速力で走り出し、土煙を上げた。それを見た篠原は
「ロンメル戦法ね・・・・・・かつてドイツアフリカ軍団の司令官エルヴィン・ロンメルが相手をかく乱させるために使った戦法」
「ああ・・・・・さて俺たちはさっき、みほに言われた地点に向かうか」
「ええ、そうね。静?」
「はい!」
『見つかった!皆バラバラになって待避!38tは、C1024R地点に隠れてください!』
一方アリサは車内でまたも無線傍受をし、みほたちの無線内容を盗み聞きしていた。そしてその内容を聞くや否かにやりと笑い
「38t、敵のフラッグ車ね…………貰ったわ!チャーリー、ドック、C1024R地点に急行!敵を見つけ次第攻撃!」」
『『了解!』』
アリサの指示で二両のシャーマンがその場へと向かう。
「ふふ・・・これでこの試合は私たちの勝ちよ。」
「でもアリサさん。確か大洗にはあの黒狼がいたはずですよね?チャーリーやドッグたちがその地点に向かう最中に狙撃されるってッことないですか?ここはもっと用心したほうが・・・・」
「そうですよ。それに噂では黒狼って昔、数倍いる敵戦車を一人で倒したり、飛んでいる砲弾を砲で撃って迎撃したなんて話があるんですよ?」
と、砲手と装填手の子が心配そうに言うがアリサは鼻で笑い
「黒狼の強さなんて、所詮、戦場伝説による噂でしょ?隊長はあの男女を黒狼だと言っていたけど。そんなの信じられないわね」
と、そう言いアリサは二人の言葉に耳を傾けようとしなかった。彼女は無線傍受機の性能に頼りすぎていて自分の中にある勘を無視していた。本当は自分でも少しだけ不安を感じていたが無線傍受機をして相手の戦法が丸裸な以上もはやこの試合、勝ったも同然だとこの時アリサは確信したからである。だがその確信が後に大きな痛手を受けることはこの時彼女は知らなかった。
一方、アリサからの指示を受けた二両のシャーマンはアリサに言われた地点へと辿り着き停車しあたりを見渡す
「こちらチャーリー。ドック敵戦車の姿は見えた?」
「いいえ、見えないわ。もしかしてアリサさん・・・・場所を言い間違えた?」
と、二人の車長はそう言いながらあたりを見渡す。
「ねえ、これアリサさんやケイさんに報告したほうが・・・・・」
「そうね。その方が・・・・・・・ん?」
砲塔を回転させてあたりを見渡していたチャーリーが何かを見つける
「どうしたのチャーリー?」
「いや、あの茂みに何かが光ったような・・・・・」
と、そう言い二人は目を凝らしてみるとその茂みの中にカバさんチームのⅢ号突撃砲の砲口がこちらに狙いを定めていたのだ。それを見たチャーリーは目を大きく見開き
「Jesus!?」
「撃てぇぇぇい!!」
と、大声でそう叫ぶのと同時にエルヴィンが発射命令を出し、そしてそれと同時に左右に潜んでいたM3やⅣ号が発砲しそのうちの一発がドッグチームのM4の装甲を貫き白旗が上がった。それを見たチャーリーが無線を取り
『こちら、チャーリー!ド、ドッグチームが敵の奇襲によって撃破されました!』
「ええっ!?」
「何!?」
「ホワーイ!?」
その無線を聞いてケイたちは驚きの声をあげる。なぜ、大洗が奇襲作戦に成功したかというと。実はあの無線伝作戦は欺瞞工作で、本当の指示は武部が携帯のメールで知らせていたのだ。まさに相手の作戦を利用した臨機応変の大作戦である。
「ドッグがやられた!?急いで撤退しろ!」
「はい!」
そう言いチャーリー号はすぐにその場から退避しようとしたがその瞬間ものすごい衝撃が彼女を襲いシャーマンは倒れ、白旗が上がる。その砲撃はⅣ号でもM3でもましては三突の砲撃ではなかった。チャーリー号の車長はキューポラを開けてその砲撃した戦車を見た。その戦車はカーキー色のパンターで砲塔の側面には黒い狼の印があった。それを見た車長は・・・
「あれが・・・・・・戦車道最強の戦車乗り黒狼か・・・・」
と、そう言い悔しそうにその戦車を見るのであった。そしてその姿をスクリーンで見たまほたちは
「大洗がサンダースより先に2両撃破しましたね隊長」
「ああ、どうやらみほや義弘は気づいたようだな。それに義弘の狙撃も衰えていないみたいだな」
「そうですね・・・・・」
と、そう言い試合を眺めダージリンたちは
「やりましたね」
「ええ、相手の作戦を利用した作戦…………みほさん達らしいですわね。それに武藤さんのあの狙撃もなかなかでしたわね」
と二人は紅茶を飲みながらそう言うのであった。
「さて、みほ。上手く言ったな。で、次の手はどうするんだ?この試合はフラッグ戦。敵のフラッグ車を潰さなきゃ勝てない。まあ探せばいい話だがどうする?」
そう、義弘の言う通りこの試合は相手のフラッグ車を倒したほうが勝利となる。だが大洗は試合が始まって以降相手のフラッグ車を見つけてはいなかった。そしてみほは頷き
「うん。義弘君。次の手は・・・・・」
と、みほは義弘に指示を出し
「了解。偵察し相手を攪乱するのなら俺ら黒狼の十八番だ。任せときな。その代わりそっちの方は頼むぞ」
『うん。お願いね』
と、そう言い義弘の乗るパンターはみほたちのチームから離れ単独でどこかへ行くのであった。そして義弘は篠原に
「篠原、聞いたな?」
「ええ、これは楽しくなりそうね義弘。」
と、篠原がそう言うと義弘は軍帽を深くかぶり
「さて…ここからは
とそう言いパンターを走らせるのであった。
誤字脱字やアドバイスが会ったらお願いします
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい