ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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お見舞いの後の夜です

冷泉のおばあさんのお見舞いが終わった後、俺たちは電車に乗って連絡船がいる大洗港へ向かっていた。空は日が落ちオレンジ色に染まる。そんな中、冷泉は武部の膝の上でまるで子猫のように寝ていた。

 

「麻子さんのおばあさん思っていたより元気でよかったね」

 

「ええ」

 

「そうだな」

 

俺も一年ぶりとはいえあのおばあさんが元気でほっとしていた。すると秋山が

 

「なんか、冷泉殿が単位が欲しい、落第できないって言う気持ちわかった気がしました」

 

「おばあ様を安心させたいんですね」

 

「うん。卒業して早くそばにいてあげたいみたい」

 

「家族思いだな冷泉は・・・・」

 

俺がそう言うと武部は頷いて膝の上で寝ている冷泉の頭をそっと撫でる。

 

「実は麻子、昨日からあまり寝てないんだ、お婆ちゃん、もう何度も倒れてて」

 

「おばあさまがご無事で安心したのかもしれませんね」

 

五十鈴さんの言葉に俺は冷泉を見る。冷泉の顔は安心しきったかのように清々しい寝顔であった。そんな顔を見るとこっちも安らかな気持ちになる。

 

「でも、昨日は凄く動揺してましたね、あんな冷泉殿を見たのは初めてです…」

 

「たった一人の家族だから」

 

「…え?ご両親は」

 

そう言えば去年もそして今日も冷泉のおばあさんの見舞いに来たのは冷泉以外誰もいなかっけ。すると武部は少し暗い顔をし

 

「麻子が小学生の時、事故で…」

 

「そうだったんですか・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

俺は武部の言葉に無言で驚く。因みになんだが俺が冷泉の両親について驚く中、みほはじっと俺のほうを見ていた。

そして日が落ち暗くなった時、電車は大洗駅につき、現在俺たちは学園艦に向かう連絡船に乗っていた。そしてさすがに疲れたのか秋山や五十鈴たちはベンチの上で冷泉と寝ていた。そして俺は星を眺めていると

 

「義弘君?」

 

「ん?ああ、みほか。どうかしたのか?」

 

「うん。ちょっと水平線を見ようかなって、義弘君は?」

 

「俺か?俺は星空を見ていたのさ。こんなきれいな星、都会や陸じゃなかなか見られないからな」

 

「うん。そうだねまるでプラネタリウムみたいだね・・・・」

 

と、そう言いみほは俺の隣につく。

 

「ねえ、義弘君。覚えている?」

 

「ん?何をだ?」

 

「よく熊本の実家で逸見さんとよく星を眺めていたのを」

 

「ああ、そう言えばそんなときもあったな。三人一緒にテントを張って星を眺めて、そう言えばみほ、こぐま座を見つけた時『ボコ座』って言ってはしゃいでいたよな?」

 

「うっ・・・だって、本当にボコに見えたんだもん」

 

と、みほは恥ずかしそうに顔を赤くしそう言う。すると

 

「けほ・・・けほ・・・」

 

「義弘君大丈夫?」

 

急に咳が出る俺にみほは心配そうに訊くと俺は少し笑みを見せ

 

「大丈夫だよ。ちょっと咽ただけだから」

 

「でも、義弘君、顔色が少し悪いよ?やっぱりどこか悪いんじゃ・・・・・」

 

「だから大丈夫だって、少し疲れただけだから・・・・・さて、俺は自販機でソーダを買ってくるけど。みほは何かいるか?」

 

「え?わたし?私は・・・・・・私はいいや」

 

「そうか。わかった」

 

と、そう言い俺は自販機に向かう。そして俺は財布から小銭を出し、ソーダを買う。そして俺はみほのいる場へ戻ろうとしたが、そこには武部がいて、みほと何か話していた。これは会話に入らないほうがよさそうだな。俺はそう思い、船の船尾辺りに行く。そしてそこから見た光景は星空とともに明るく光る本土の街の明かりであった。まるで地上でも星が輝いているようで奇麗だった。俺はその光景を見ながらソーダを飲む。すると・・・・

 

「そんなところで何をしているんだ武藤さん」

 

と、声が思振り向くとそこには冷泉がいた

 

「ああ、冷泉、起きてたのか。寝てなくていいのか?」

 

「十分寝たから大丈夫だ。で、何をしているんだ武藤さん?」

 

「ん?ああ、最後に本土を見ておこうと思ってなこの後いつ入港するかわからないしな」

 

「そうか‥‥じゃあ、私も最後に見ておこう」

 

と、そう言い冷泉は俺の隣につき一緒に街を見る。すると冷泉が

 

「今日は・・・・ありがとう。おばあの見舞いに来てくれて」

 

「礼なら、俺にじゃなくてみほたちやお前をここまで送ってくれたエリカに言ってくれ。俺は何もしていない」

 

「謙虚なんだな、武藤さんは・・・・」

 

「そうじゃねえよ。事実を言ったまでだ」

 

と、そう言い俺はソーダを飲む。すると冷泉が俺の飲むソーダを物欲しそうに見る。俺はその視線に気付き俺はもう一本のソーダを出す。基本俺は缶ジュースを買う時は二本買う。

 

「ほら、これやるよ」

 

「いいのか?」

 

「ああ、こういう夜景にはソーダを飲むのが一番だからな、ほら」

 

「すまない」

 

俺がそう言いソーダを出すと冷泉はソーダを受け取りふたを開けて俺と一緒に飲む。すると

 

「武藤さんの言う通り、きれいな景色を見ながら飲むソーダは格別だな」

 

「だろ?」

 

そう言い俺と冷泉はソーダを飲む。すると冷泉が

 

「武藤さん、武藤さんの両親は今どうしている?」

 

「ん?なんだよいきなり」

 

「武藤さん、一人で大洗(ここ)に来ただろ?親が心配しているんじゃないのか?」

 

と、。そう心配そうな顔でそう言うと俺は無言になる

 

「・・・・・・武藤さん?」

 

「・・・・・死んじゃったよ」

 

「・・・・え?」

 

と、その言葉に冷泉は目を丸くする

 

「俺が幼い頃、病気や事故でな・・・・・しばらくは祖父と一緒に暮らしていたんだがな、その祖父も13の時にな・・・・・・・今思えば、親孝行とかができなかったのが唯一の心残りだな・・・・」

 

「それから武藤さんは一人でくらしていたのか?」

 

「いや、高校に入るまでは、母親の師匠って言うか、まあ、知り合いに引き取られたよ。今は別々に暮らしているがな」

 

俺は母と父の顔を知らない。写真では見たことがあるが直接話したことは一度もない。祖父によればとても心の優しい人物だったと聞いた。もし生きていれば、俺の人生は変わっていたのだろうか・・・・もし生きていたら俺は二人に目一杯親孝行していただろうな。それができないのが俺の唯一の後悔であった・・・・そんなことを考えていた。すると冷泉は

 

「そうか・・・・・・」

 

そう言うと冷泉は何も言わなくなった。そして俺たちは学園艦につくまで黙ってソーダを飲むのであった。

 

 

 

 

「すっかり暗くなっちまったな」

 

「うん。そうだね」

 

と、学園艦についた後、みんな各自家に帰り、そして俺とみほも同じく寮へと戻っていた

 

「・・・・・・・」

 

「どうしたんだみほ?」

 

「うん。みんないろいろあるんだなって・・・・・」

 

と、何やら深く考えてそう言う。恐らく冷泉のことだろう。俺はみほの言葉に頷き

 

「そうだな・・・・・みんないろんな人生を送っているんだな」

 

と、そう言い俺は空を見上げそう言うのであった。その後、俺は、みほと別れ自分の部屋に戻りそしてベットに転がる。そして俺はそのまま目を閉じて眠りにつくのであった

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい

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