ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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投稿が遅れて申し訳ございませんでした。やっと書き終えることができました。


次はアンツィオです!

冷泉のおばあさんのお見舞いから翌日、俺はいつものように目を覚まし、朝食を食べた後、制服に着替えて、部屋を出ると隣の部屋のドアが開く。そしてその部屋から幼馴染であるみほが出てきた。そしてみほは俺の顔を見て

 

「あ、義弘君。おはよう!」

 

と、にっこり笑い俺に挨拶をする

 

「ああ、みほ。おはよう」

 

俺はみほにそう言い俺とみほは一緒に学校へと向かう。するとみほの顔が少し暗い。何かあったのか?

 

「みほ?」

 

「え?何義弘君?」

 

「どうしたんだ?暗い顔をして?どこか具合でも悪いのか?」

 

俺が心配してそう言うと、みほは

 

「ううん。なんでもないよ」

 

「そうか・・・・それならよかった・・・・」

 

俺がそう言った瞬間

 

「ミポリ~ン。武藤~」

 

「「ん?」」

 

後ろから聞きなれた声がし、俺とみほは後ろを振り向くと

 

「お~は~よ~」

 

「沙織さん!?」

 

と、そこへ武部がやって来たのだが、なぜかいびきをかいて寝ている冷泉を背負って辛そうな顔をしていた。

 

「沙織さん大丈夫!?」

 

「な、なんとか・・・・・」

 

そう言うものの武部は今にも倒れそうになる。それを見た俺は

 

「仕方がないな・・・・・武部、代わりに俺が背負ってやるよ」

 

「あ、ありがとう・・・武藤」

 

と俺は武部から冷泉を受け取り彼女を負ぶる。そしてそのまま学校へ向かうのだが学校の校門で

 

「寝ながら、しかも男子生徒に負ぶってもらってと登校とはいい御身分ね冷泉さん」

 

と、校門の前には風紀委員の委員長の園さんがいた。すると冷泉が目を覚まして

 

「おお~そ~ど~子。私はちゃんと起きているぞ~」

 

とふらふらしながら彼女に歩みよりしがみつく。

 

「ちょっと冷泉さん!そのソド子はやめてっていつも言っているでしょ!園みどり子って・・・・・」

 

と彼女らはいつものようにじゃれ合う中、みほと武部が校内を見る。校舎を見るとそこには『祝戦車道全国大会一回戦突破!!』と書かれそして屋上には大きな戦車のアドバルーンが上がっていた

 

「すごい・・・・・、まるで甲子園・・・・・」

 

「本当だ!私たち注目の的になっちゃうかな?」

 

「生徒会がやっただけだから。それより冷泉さんを何とかしてよ!!」

 

俺たちが個人個人の感想を言う中、そど子は引っ付いている冷泉を引き離しながらそう叫ぶのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間、みんなが教室や食堂や屋上でご飯を食べたり楽しく話をする中みほはお弁当を持って戦車格納庫へ向かっていた。そしてみほは格納庫の扉を開けその中にあるⅣ号戦車を見て

 

「2回戦、この戦車で勝てるのかな…………あのサンダースとの試合だって義弘君たちのおかげで何とか勝てたけど、次は・・・・・」

 

と、みほが不安そうにつぶやく。そうあの時の試合は武藤たちが相手を狙撃して数を減らしたり相手を押しとどめてくれたから何とか勝てたのだ。次の試合でも同じような事が起きるとは限らない。そう不安に思っていると

 

「あれ?みほ?」

 

と、Ⅳ号の隣にいるパンターのキューポラから義弘がひょっこりと顔を出す

 

「義弘君?どうしたのこんなところで?」

 

「どうしてって・・・・・俺は昼休み前はいつもここで飯を食べるんだよ。まあ戦車道が始まる前は教室で食べていたんだがな」

 

「そうなんだ。そう言えば義弘君、中学の時でもいつも戦車と一緒にお弁当を食べてたね」

 

「ああ、で、みほもここで昼食か?」

 

「う、うん…………」

 

と、そう返事した瞬間

 

「あれ?西住殿に武藤殿?」

 

「優花里さん?」

 

すると其所へ、弁当箱を持った優香里が姿を現した。

 

「おお、秋山。秋山もここで昼食か?」

 

「はい!今日は戦車と一緒に食べたいと思いまして。武藤殿もですか?」

 

「ああ、こんないい日は戦車の上で食うのも悪くないと思ってな」

 

と、俺がそう言うと秋山の後ろから武部と五十鈴さんが入って来た。

 

「あ、いたいた。なんだ武藤もいたんだ」

 

「教室にも食堂にもいないんできっとここだと思って・・・・」

 

「あ、パン買ってきたよ」

 

「ありがとう」

 

「秋山さんと武藤さんはお弁当ですか?」

 

「はい」

 

「まあな」

 

「じゃあ、一緒に食べようよ」

 

と、武部がそう言うと

 

「私にも分けてくれ・・・・・」

 

と、後ろから声がし振り向くと、そこにはⅣ号のキューポラから冷泉が出てきて眠たそうに目をこする

 

「あれ?冷泉。いつからそこにいたんだ?」

 

「・・・・・武藤さんが格納庫に来る前から・・・・・」

 

「麻子、授業をさぼったでしょ?」

 

「違う。自主的に休養した。だからこれはさぼりではない」

 

「も~屁理屈言って。おばあに言いつけるよ?」

 

と、武部がそう言うと冷泉は顔を青ざめ

 

「それは・・・・・・・困る」

 

とそう言うのであった。まあ、確かにあのおばあさんじゃ、しょうがないか・・・・・その後、みほたちアンコウチームはⅣ号の上で、俺はパンターの砲塔によりかかり、静かに弁当に弁当箱を開けると

 

「あれ?武藤も一緒に食べないの?こっちに来なよ」

 

「そうですよ。せっかくだから一緒に食べましょうよ」

 

と、俺を誘うのだが、

 

「いや、俺はパンターの上でいいよ。それに定員オーバーだろ?」

 

「そんなのつめればいいじゃないの」

 

「そうですね。少しつめれば一人くらいは入れます」

 

「武藤殿も一緒に食べましょう!」

 

と、三人がそう言うと俺はちらっとみほの方を見ると

 

「武藤君もこっちに来て食べよ。みんなでご飯食べるの楽しいよ?」

 

と、不適の笑みでそういう。やれやれ・・・みほにはかなわん。

 

「そうか・・・ならお言葉に甘えるかな」

 

と、そう言い俺はパンターから降り、みほたちのいるⅣ号のエンジン部分に座る。それを見たみほたちは嬉しそうな笑みをするのであった。そしてみんなでお昼ご飯を食べていると隣で秋山が

 

「実は母がこれ、戦車だって言い張るんですよ」

 

ご飯の上に海苔で戦車が描かれてある弁当箱を見せながら嬉しそうに言う。

 

「すごーい!キャラ弁だ!」

 

「これは、食べるのが勿体無いですね」

 

と、それを見た武部が携帯でその弁当の写真を撮り、五十鈴さんもその弁当を見て嬉しそうに言う。すると秋山が

 

「あ、そうだ。そう言えば見ましたか?生徒会新聞の号外!」

 

「う、うん・・・・」

 

「え?なになに?号外って?」

 

「ほら、生徒会新聞のあの記事ですよ!」

 

と、秋山はそう言いながら、ポケットから小さく折り畳まれた新聞を取り出し、広げて見せる。その記事の表面には『大勝利!大洗学園強豪校を倒し一回戦突破!!』と大きく書かれた文字にその下には戦車道チームをべた褒めする記事とみほたちアンコウチームの写真と同時にその下では『復活!!戦車道最強伝説だったあの黒狼が帰って来た!!』と俺たちのことが書かれていた

 

「凄かったよね…………」

 

「ええ。何せあの、サンダース大学附属高校に勝ったんですからね」

 

「『勝った』と言うより、『何とか勝てた』の方が正しいと思うけどね…………」

 

「でも勝利は勝利です!!」

 

と秋山が胸を張ってそう言うと

 

「そう、だよね…………」

 

『『『『『?』』』』』

 

突然、沈んだように顔を俯けるみほ。その顔は今朝見せたあの顔であった。そしてみほは

 

「勝たなきゃ、意味がないんだもんね・・・・」

 

と、暗い表情で言うと

 

「それはどうかなみほ?」

 

「え?」

 

「少なくとも俺はそうは思わないぜ。それに戦車道はただ勝つとかそう言うのだけじゃないと思うぞ?」

 

「そうです。武藤殿の言う通りです。楽しかったじゃありませんか?」

 

と秋山の言葉に武部たちが頷く。その言葉にみほは顔を上げる。秋山が

 

「サンダースとの試合も。その前の聖グロリアーナ戦もそれから練習も戦車の整備も練習帰りの寄り道もみんな!」

 

「うんうん。最初は狭くてお尻が痛かったけど何か戦車乗るのが楽しくなったよ!」

 

と、秋山の言葉に武部が頷きながらそう言うとみほは

 

「そう言えば、私も楽しいって思った。前はずっと『勝たなきゃ』って思ってたから・・・・だから負けた時に戦車から逃げたくなって・・・・・・」

 

「私、あの試合をテレビで見てました!」

 

「!?」

 

突然声を張り上げた秋山に、みほは顔を上げ、そしてみほは静かに語る。秋山の言ったあの試合とは今から一年前の全国大会決勝で黒森峰はプラウダ高校相手に10連勝を賭けた戦いをしていた。

そして荒れ狂う雨の中断崖絶壁の道を走っていたみほたちは突如プラウダ高校の奇襲に会う。

そしてみほが車長を務めていたフラッグ車の前を走っていたⅢ号戦車が、プラウダの砲撃でバランスを崩して、川に滑り落ちる。その下は濁流で三号戦車は濁流に飲み込まれそうになっていた。

それを見たみほはその戦車の乗員を助けにいくために、フラッグ車から降りそれで川に潜って、Ⅲ号戦車のハッチを抉じ開けて、中の人達を引っ張り出し救出することに成功したのだが、その隙をついてプラウダ高校は車長不在のフラッグ車を仕留め結果は黒森峰の敗北となった。

俺はその話をエリカから詳しく聞いていたが改めて訊くとやはり問題がある。まず最初に悪天候の仲断崖絶壁で身動きの取れにくい道を通ったこと。普通悪天候の仲そんなことをすれば大事故に繋がったり相手に奇襲攻撃をしかれられ全滅する可能性がある。普通はそんな危ない橋は絶対にしない。第二にフラッグ車の車長が不在だったときに寮車は何も行動をしなかったことだ。万が一、車長や隊長が不在の時は臨機応変に独自の判断でフラッグ車を守るのが鉄則だ。

それは黒森峰中等部では当たり前にやっていたことだ。だが俺が思ったのはその試合前に俺は改めて自分が黒森峰を去ったことを後悔した。もし俺が黒森峰を去らなければみほはこんなに苦しまなかったかもしれない。そう言う罪悪感がした。

 

「それで黒森峰は十連覇できなかったの・・・・・」

 

『『『『『……………………』』』』』

 

みほの話を話を聞き終えた一行は、その話の重さに黙り込む。すると秋山が

 

「私は西住殿の判断は間違っていないと思います!!」

 

「優花里さん・・・・」

 

「俺も同意見だ。みほ、確かに黒森峰は敗北した。だがみほは勝負以前より人命を優先した。それはそれで誇ってもいい行為だ。俺がもし、みほの立場だったら勝負を捨てて同じことをしていたさ」

 

「義弘君・・・・・・」

 

「武藤殿の言う通りです。それに、西住殿に助けられた選手の人は…………きっと、感謝してると思いますよ」

 

「優花里さん・・・・・ありがとう」

 

みほがニコッと笑いそう言うと秋山は顔を赤くし

 

「す、スゴいッ!私、西住殿に『ありがとう』って言われちゃいましたぁ~~っ!!」

 

と、秋山はわしゃわしゃと髪を撫でる。すると五十鈴さんが

 

「そうですね…………戦車道の道は、1つだけじゃないですよね」

 

「そうそう!私達が歩んできた道が、私達の戦車道になるんだよ!」

 

と、武部がそう言い天井に指を指す。武部のポーズ意外とかっこいい俺がそう思い笑うのであった。そしてその後みんなが弁当を食べ終わった時、みほが

 

「ねえ、義弘君」

 

「ん?なんだ?」

 

「・・・・・聞いてもいいかな?義弘君が黒森峰を去った理由・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

みほの言葉に俺は動揺する。そしてアンコウチームの皆は俺のほうを向きじっと見る。するとみほが

 

「あ、ごめんね。別に言いたくなかったら言わなくていいから」

 

と、そう言うと俺はふう~とため息をつく。もうここらで潮時かな・・・・・

 

「みほが話したのに俺が話さないのは筋が通らないよな・・・・・いいぜ。訳を話すよ・・・・・」

 

と、俺は静かに語りだした。三年前、俺は黒森峰を去らなければならなかったあの出来事のことを・・・・・・・・

 

 

 




久しぶりに書いたので誤字脱字があると思いますがもしありましたが誤字報告、お願いします

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい

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