ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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映画館でガルパン総編集を見ました!!


三年前の黒森峰その1です!

時は遡ること三年前、黒森峰の学園艦の校舎の中で一人の女子生徒が歩いていた。彼女の名は逸見エリカ、義弘やみほと同じく戦車道を履修している生徒で二人の幼馴染でもあった。

 

「早く隊長に頼まれたこの書類学園長に届けないと」

 

と、逸見はまほに頼まれた戦車道に関連する書類を学園長に届けるべく学園長室に向かっていた。

 

「急いで届けないとね。今日はみほや義弘と約束あるしね・・・・」

 

と、ポツリと呟く。そうエリカはその後、義弘と一緒にみほのいる寮へ行き、最近、上映されDVDとなった劇場版ボコを鑑賞する約束をしていたのだ

 

「まったく。みほったらボコのどこがいいのよ。それに義弘も・・・・まあ、あの二人が面白いと思うのなら別にいいけど」

 

と、そう独り言を言っている間にエリカは学園長室につきノックをしようとしたとき、ドアの向こうから声が聞こえた

 

「(この声って・・・・・学園長と・・・・ロスマン先生?)」

 

盗み聞きする気はなかったのだが、エリカはそっとドアに聞き耳を立てるのであった。

 

 

学園長室

 

「なるほど・・・・・君はドイツに帰国するのかロスマン先生?」

 

「はい。もうしばらくここに滞在したかったのですが・・・・・」

 

と、学園長室の中では、初老の男と、そして小柄で一見すれば中学生にも見えてしまう銀髪の女性が話をしていた。初老の男性はこの黒森峰女学院中等部の学園長で銀髪の女性はドイツからやって来た黒森峰中等部戦車道の教官をしているエディータ・ロスマンであった

 

「仕方がない。事情が事情だ。で、出発はいつになるのかね?」

 

「三日後になります学園長。それと()も一緒に連れて行きます。彼の体は最早時間の問題なので・・・・・・」

 

「そうか・・・・彼は承諾したのかね?」

 

「はい。最初はあの子はここを去りたくないと反対していましたが、事情を説明したら彼も納得してくれました」

 

「そうか・・・・・我が黒森峰学園、戦車道に大きく貢献してくれたのにまさか彼も母親と同じ運命を・・・・・」

 

「それはまだ、それはわかりません学園長。もしかしたらドイツに行けば何とかなるかもしれません」

 

「そうか・・・・・・だが二代続いてアレにかかってしまうとは・・・・」

 

「はい。ある意味悲劇的です・・・・・」

 

「それでロスマン先生。彼がここを転校するのを戦車道の生徒たちには知らせているのか?」

 

「いいえ、彼の意見を尊重して知らせていません。どうもあの子は別れを言うのは嫌いみたいなので・・・・・」

 

「そうか・・・・・事情は分かった。今まで戦車道の教官ご苦労だったな・・・・」

 

「はい。短い間でしたがお世話になりました」

 

ロスマン先生は学園長に頭を下げると、ドアの向こうで誰かが走り去る音が聞こえた。その音を聞いた二人は

 

「・・・・・誰かに聞かれたようだね?」

 

「そうですね・・・・・・ですが問題ないでしょう。いつかはわかってしまうことですから。ところで学園長。例の脅迫文のことです」

 

「ああ、黒森峰戦車道履修者に恨みを持つ者の脅迫文のことか。全く逆恨みもいいとこだ・・・・・今のところ警察に報告して学園の警備を強化したり下校する生徒にはなるべく一人で下校しないように言ってある」

 

「そうですか・・・・・何も起きなきゃいいんですが・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

学園長とロスマン先生が話している間、黒森峰戦車道部では・・・・・

 

「今日の練習もきつかったわね~」

 

「そうね」

 

放課後の戦車道の練習も終わり、みんなは更衣室で学生服に着替えて家に帰る準備をしていた。みほも同じく着替えていた。すると

 

「みほさんお疲れ様」

 

「みほさんお疲れ~やっと練習終わったわね~」

 

と、隣のロッカーでみほの同僚である赤星や小島がそう言うとみほは

 

「あ、赤星さん、エミさん。お疲れ。今日も練習きつかったね」

 

と、そう言いみほが言うと赤星の隣にいる飛騨エマとパンターの車長であるゲシ子こと圭子が

 

「そうね。特に三号の砲弾を抱えてランニングなんて結構つらいわよね。あ、あと吊り橋の下で逆さに吊るされるのも、正直言って黒森峰が虎の穴に見えたわよ」

 

「もしかしたら本当に虎の穴だったりして」

 

「そうよね~。でもうちらは反則専門の養成機関じゃないから・・・・・・て、あれ?そう言えば篠原はゲシ子?」

 

「ゲシ子言うな。圭子って名前があるんだから。篠原さんなら風紀委員の集まりがあるとか何とかで練習が終わった後、すぐに着替えて行っちゃったわよ?」

 

「そうなんだ。そう言えば道子さんって風紀委員長だったよね?」

 

「そうよね~人は見かけじゃわからないわよね・・・・・・で、ところでみほさん。高杉のことなんだけどさ」

 

「義弘君?義弘君がどうかしたの?」

 

「いやね。最近みほさんと高杉君ってさ結構仲がいいじゃんもしかして付き合ってるんじゃないかな~てさ」

 

「ふぇ///!?」

 

エミの言葉にみほの顔が赤くなる。すると圭子が

 

「あ~そう言えばそうね~最近みほさん高杉といい雰囲気だし、実は二人は付き合っているって言う噂が出ているんだよね~」

 

「あ、それ私も聞いた」

 

と、エマとメグがみほに聞く

 

「そ、そんな付き合ってるって、私と義弘君はただの幼馴染だよ!」

 

「またまた~みほさんってば。本当はどうなのよ~」

 

「ほれ、ほかの皆には内緒にするからさ私たちに言うてみ?」

 

「えっと・・・その・・・・・」

 

と、みほが困っていると・・・・・

 

「ほら、ほら。あなた達、出歯亀 するんじゃないの」

 

と、高身長の髪の長い女性がぐいぐいと迫るエミと圭子の首筋をくいッと掴み持ち上げる

 

「あ、樫村先輩。お疲れ様です」

 

「ええ、お疲れ様みほさん。赤星さん」

 

と、二人が挨拶すると、樫村と呼ばれた女性は返事を返す。彼女の名は樫村寛奈。黒森峰中等部三年生であり、義弘の乗るパンターの装填手を務めていた。樫村は二人に

 

「二人ともあんまり人の恋路とかそう言うのに首突っ込んじゃいけないでしょ? みほちゃんは初心なんだから」

 

「ちょっ!?樫村さん///!!」

 

「アハハ。冗談よ。みほさんはお姉さんのまほさんと違ってからかい易いわね~」

 

と、豪快に笑う樫村にみほは顔を赤くすると樫村は

 

「あれ?そう言えばエリカの姿は見えないけど、彼女はどうしたの?まさか、またいつものようにまほさんの所に?」

 

「あ、いえ。エリカさんなら。隊長に頼まれて学園長に種類を届けに行きました」

 

「あら、そうなの。あ、そう言えばこの頃不審者がこの学園をうろついているらしいから、帰り道は気をつけなさい」

 

「あ、はい。」

 

「よろしい。それじゃあね」

 

と、そう言い樫村は去るのであった。。そしてみほたちも着替え終わり更衣室を後にして、寮へ帰るのであった。一方、義弘たちも着替え終わり更衣室を出ていた。そして義弘の隣には短い銀髪の少年がいた。こいつは同じ戦車道を履修し俺に乗るパンターの操縦手兼通信手をしている雪風赤目だった

 

「いや~今日の練習もきつかったな赤目」

 

「そうだな・・・・・だがそれよりも俺は女性の目線が結構堪えたよ」

 

「まあ、女子中なのに男子生徒がここにいるんだ。みんなまるで珍しいパンダを見る目だったな」

 

「ああ、近々、共学にするために実験とはいえ男子生徒二人って言うのは流石にな・・・・・まあもう慣れたからいいけどさ」

 

「ああ、俺も最初は緊張したが今では、もう慣れちまった。本当に人の慣れって言うのは恐ろしいもんだな」

 

「そうだな。ところで義弘」

 

「なんだ?」

 

「この頃お前、みほ副隊長と仲がいいみたいだけどよ~もしかして付き合っているのか?もしかしてもう・・・・・」

 

「バ、バカ言ってんじゃねえ!!俺とみほはただの幼馴染だよ///!!」

 

「ほ~お前、見た目によらず奥の手なんだな~もう、告っちまえよ」

 

「だから、そう言うんじゃ・・・・・・」

 

と、俺が困ってそう言うと・・・・・

 

「何やら楽しそうな話をしているな二人とも?」

 

「「っ!?」」

 

急に後ろから声がし、俺と赤目が振り向くと

 

「ま、まほさん!?」

 

「隊長!?」

 

振り向くとそこにはまほさんがいた。するとまほさんは赤目の肩をガシッと掴み

 

「・・・・・ところで雪風・・・・私の妹が義弘とどうしたって?」

 

と、いつもの無表情でそう訊くがその顔はどことなく怒っているように見えた

 

「あ・・・・いえ、その・・・・・ああ、そう言えば今日、俺の寮に従妹が遊びに来るんだっけな~す、すみません隊長!俺はこれで!!義弘、じゃ!」

 

「あ、!てめえだけ逃げるなんてずるいぞ!!」

 

俺がそう言うが赤目の姿は見えなかった。あいつめ逃げ足だけは速いな・・・・・・これは俺も逃げないと。そう思い俺もその場を後にしようとしたが

 

「待て義弘。お前は残れ」

 

と、まほさんに肩をぐっとつかまれてしまった。こういう状態になってしまったらもう誰も逃げることはできない。

 

「義弘・・・・・」

 

「あ、はい・・・何でしょうか?まほ隊長?」

 

俺は冷や汗をかきながらそう言うとまほさんは

 

「何を固くなっているんだお前は?安心しろ。別に先ほどのことを叱るわけじゃない。あれは男子同士のただのじゃれ合いなんだろ?それと二人っきりの時は隊長と呼ばなくていい」

 

と、少し笑って言うと

 

「義弘。お前を呼び止めたのは別の要件だ。実はみほのことなんだがな・・・・・」

 

「みほ?みほがどうしたんだ?」

 

「ああ、来年、私は卒業して高校に行く。その時の中等部戦車道の隊長の後釜が私の妹であり同じ西住流ということでみほという風に決められている。ただ、みほは私やお母さまとは違う。あの子の戦い方は西住流とは違う自由な戦い方だ。だが、もしあの子は西住流とは違う戦い方を見て、みんなから特に西住流の人たちに変な目で見られ、みほに重いプレッシャーを背負わせてしまうかもしれない。もしそうなったらみほは・・・・・・だから義弘。みほが一人ぼっちにならないようにエリカと一緒に副隊長としてみほを支えてくれないか?」

 

と、俺に頼む。いつもは無表情でクールビューティーなまほさんだが、今の彼女は西住流の時期後継者でもましてや黒森峰戦車道隊長、西住まほでもなく、今、この時のまほさん顔は戦車道をしている時のあの顔ではなく一人の姉としてみほのことを心配する西住まほの顔であった。正直言って俺もみほのことを放っておけない。できれば彼女の傍にいて支えてあげたい。だが・・・・・俺はもうすぐ・・・・

 

「いや。今すぐに答えなくていい。心に整理がついたら聞かせてくれ」

 

まほさんは俺の肩をポンっと叩きその場を離れようとすると俺は

 

「待ってくれ、まほ姉。実は・・・・」

 

「ん?どうした義弘?」

 

俺は呼び止めまほ姉は振り向くと

 

「あ・・・・・いや。なんでもない」

 

「そうか・・・・・じゃあまた明日」

 

と、そう言い俺はまほ姉に言いたいことが言えず、まほ姉はその場を去ってしまった。そしてしばらくして俺は近くにあったベンチに座り

 

「はぁ~」

 

と、ため息を一つ。結局言うことができなかった・・・・・そんな後悔を抱き顔を下に向けている。しばらくすると誰かの足音が聞こえ

 

「やっと見つけたわよ。義弘・・・・・・」

 

と、聞きなれた声がし俺は顔を見上げると

 

「エ、エリカ?」

 

顔を見上げ俺の目に写ったのは、みほと同じ幼馴染である逸見エリカであった。しかしその目はどこか怒気を含めていた。そしてエリカは静かに俺にこう言う

 

「・・・・・・・ちゃんと説明してもらうわよ義弘」

 

 

 

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい

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