ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

46 / 98
三年前の黒森峰その3です!

突如、赤星にみほが何者かにさらわれたと聞いた義弘はエリカや赤星に警察や教師に知らせるように言い、自分は一人でみほを助けるべく走り出す。そして義弘は走りながらみほが誘拐された場所を考える

 

「(場所は恐らく人目のつきにくい学園艦の端っこ当たりのエリア。だけど、この学園艦は10万人以上が住んでいるほどの巨大艦。一つずつ端から探しては時間が掛かりすぎる……どうする)」

 

俺がそう考えていると、ふっとあることを思い出す。そう言えば、南の外れの方に使われなくなった戦車格納庫があったはずだ。しかもあそこは最早廃墟みたいで幽霊が出るという噂もあるため誰も近寄らない。もしみほを攫った連中がそこに潜伏し攫われたみほがそこに監禁されたとしたら・・・・・・

 

「当たりは4分の1・・・・・ここはイチかバチか南の方へ賭けて見るか・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「なんですって、みほさんが攫われた!?」

 

一方、エリカたちはすぐにロスマン先生やその時、傍にいたみほの姉であるまほにみほが攫われたと報告した。そしてロスマン先生はすぐに他の教師たちに連絡を取りすぐに警察に通報するように指示した後、ロスマン先生はエリカたちの方へ顔を向け

 

「それで、あなた達。みほさんはどこにさらわれたの?」

 

「はい。赤星が言うにはあっという間の出来事でどこに連れ去られたのか・・・・・・ですけど義弘がこう言ってました」

 

「高杉が?」

 

「はい。高杉が言うには誘拐者は恐らく、人気のない学園艦の隅の方だと言っていました」

 

「そう・・・・・で、高杉君はどうしたの?あなた達一緒ではなかったの?」

 

とロスマン先生がそう訊くとエリカは

 

「じ、実は義弘は。みほが攫われたと聞いてすぐに『みほを助けに行く』と言って一人で走り去ってしまって・・・・・・」

 

「っ!?」

 

と、その言葉を聞くや否やまほは戦車の方へ走り出す

 

「どこへ行くのまほさん!」

 

「決まっている。義弘やみほを助けに行く!!あいつ一人だけでは危ない!!」

 

「待ちなさい!!」

 

「止めないでください先生!!」

 

「いいから落ち着きなさい!!気持ちはわかるけど、正確な場所もわからずにむやみに走り出してどうするの!!」

 

「っ!?・・・・・・・すみません」

 

と、ロスマン先生の言葉にまほは冷静になりそう言うと、ロスマン先生は学園艦の地図を広げその隅あたりを見る

 

「恐らくみほさんを攫った連中は、高杉君の言った通り人気の少ない隅の方に潜伏している可能性があるわ。問題なのはこの4つの隅っこの内どこにみほさんが監禁されているかよ」

 

と、ロスマン先生がそう言うとまほは

 

「西と北は住宅街があって潜伏できそうなところが無い。けど東と南は住宅地が少なく使われなくなった倉庫や建物が多い。つまりみほが監禁されている場所は・・・・・・」

 

「東か南ってところでしょうね・・・・・・」

 

「先生。警察を待っていては手遅れになる可能性があります。ここは急いでその二つの地点に行くべきでは・・・・?」

 

「そうね・・・・・わかったわ。では二手に別れましょ。私と逸見さんは南にまほさんと赤星さんは東に言ってちょうだい。そしてみほさんを見つけたらすぐに私と警察に連絡するのよ。みほさんを誘拐した相手が複数の可能性もあるから、くれぐれも警察が来るまで勝手な行動はしないように。いいわね?」

 

『はい!』

 

と、そう言いロスマンやまほたちは二手に分かれてみほを探しに行くのだった。そして南に向かうロスマンは

 

「(まったく、あの馬鹿弟子は一人で無茶をして!!)」

 

「(みほ、義弘。無事でいて!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南区域

 

「ここだな・・・・・」

 

一方、義弘は学園艦の南の端にある。古い戦車格納庫に着く。そして義弘はその倉庫に向かうと、その倉庫の前にいたガラの悪い男性が義弘のもとへやってくる

 

「おい、小僧。こんな夜中に何の用だ?ここはガキのくるとこじゃねえぞ?」

 

「いや~少し人を探していましてね。お兄さんたち知りませんか?」

 

「人だぁ?知らねえなそんなの」

 

「いやいや、知っているはずさ・・・・・茶色の髪をした黒森峰の女学生、ここに監禁しているんだろ?誘拐犯」

 

「・・・・・・」

 

と鋭い目で男を見る義弘に男は目を細めるとその後ろから

 

「どうかしたんですかい?」

 

「ん?なんだこいつ?」

 

と、取り巻きらしき男二人が現れ先ほどの男はニヤッと笑う

 

「ああ、どうやら招かれざるお客さんのようだ。てめえら。丁重に歓迎しろよ」

 

そう言うと男たちは義弘を囲む。そして義弘はふっと笑い

 

「どうやらあたりのようだな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

格納庫の中では手足をロープで拘束され、口にガムテープを張られてたみほがいた。そしてその周りには数人の男性が囲っていた。

 

「おい、兄貴。こいつはとんだ大物だぜ」

 

「ああ、もう一人いた少女には逃げられたが、代わりに捕まえた奴があの西住流の娘だからな。これはいいぜ。西住まほじゃないのは残念だが、こいつを使って西住流を脅せばいい大金が手に入る。てめえらも黒公にはいい思い出はねえよな?」

 

「ああ、こいつら黒森峰は戦車道の名門だからって威張りやがって、それに俺が金を賭けた学校が戦車道の試合で負けたのもこいつらが勝ったせいだしな。おかげでこっちは文無しになっちまったぜ」

 

「なあ、兄貴。黒公に対する憂さ晴らすのと大金手に入れる前にこいつで楽しみませんか?」

 

「おお、それもいいな。見るからにいい体しているし、西住流の女がどんな表情を見せるか見ものだな」

 

と、薄気味悪い笑い声を出誘拐犯たちはみほに近づく

 

「(いや・・・・・だれか・・・・誰か助けて・・・・・お母さん。お姉ちゃん。逸見さん・・・・・義弘君!!)」

 

と涙を流し助けを求めるみほ。すると背後から誰かが来る。それに気づいたのか兄貴と呼ばれた男は振り向くとそこには先ほど格納庫の入り口に立っていたあの男であった。

 

「なんだ、てめえか。おい見張りはどうしたんだよ?」

 

と、そう訊くが

 

「つ・・・・・・強ぇ・・・・・」

 

と、そう言いその男が倒れるとその背後に真黒いドイツ風の軍服を着た少年が立っていた。

 

「(義弘君・・・・・)」

 

「なんだてめえは!!」

 

「高杉義弘・・・・・見ての通り戦車好きの中学生だよ」

 

「中学生!?おい表の連中は何をしていた!!」

 

「あ?ああ、表の連中ならなかなか中へ入れてくれないから、少しだけ眠ってもらったよ。それよりもみほは返してもらうぞ」

 

とそう言い静かにみほのいる所へ向かうと

 

「ざけんなわれぇ!!」

 

と、誘拐犯の一人が殴りかかろうとするが

 

「邪魔だ・・・・・」

 

「へばぁ!!」

 

義弘はその男の攻撃を躱すとその男を殴り飛ばし気絶させた。そして義弘はみほの方へ着くとロープを解き、口に張られていたガムテープをはがした

 

「みほ。大丈夫か?あいつらに変な事されてないか?」

 

「う、うん・・・・・大丈夫だよ義弘君」

 

「そうか・・・・じゃあ、帰ろう。みんなきっと心配しているからな」

 

と、そう言いが

 

「おい、ただで帰れるとは思うなよガキが」

 

「そうだぜ。俺等の計画を邪魔してくれやがって……生きて帰れると思ってんじゃねぇぞ!」

 

と、今にも襲い掛かろうとする誘拐犯に対し義弘は

 

「は?ただじゃすまねえのはてめえらの方だ。てめえらこそ、みほにこんなことしてただで済むと思ってんじゃねえぞ!!」

 

と、殺気を込めた目で誘拐犯たちを睨む。睨まれた誘拐犯たちはその殺気に震え上がったが兄貴と呼ばれたリーダ格の男が

 

「てめえら、ビビってるんじゃねえ!おい、集団で掛かれ!タコ殴りにしてぶっ殺せ!!」

 

『おおぉー!!』

 

と、そう言い誘拐犯たちは義弘に向かってくると義弘はみほの方をちらっと見て

 

「みほ。柱の陰の方に隠れてろ。こいつらは俺が何とかするから」

 

「で、でも義弘君・・・・」

 

「大丈夫。大丈夫。俺を信じろって」

 

そう言うと義弘は拳を鳴らし、そしてみほが柱の陰の方に隠れるのを確認するとその誘拐犯たちに向かって行くのであった。そして誘拐犯の最初の一人の攻撃を躱し、その男の腹にボディーブローをして倒し気絶させた後、すぐさま真っ正面から向かってくる2人の男に向かいそのうちの一人のあご目掛けて飛び膝蹴りを喰らわす。膝蹴りを喰らった男は悲鳴も出る間もなく白目をむいて気絶し倒れる。そしてもう一人は鉄パイプで義弘を攻撃したのだが、義弘は見事な回避術でその攻撃を避け、まるで弓矢のごとき速さでその男の腹を殴り気絶させた。

 

「ひっ!な、なんだこいつ!?本当に中学生のガキか!?」

 

と、誘拐犯の一人が震えてそう言うと、義弘はギラリとその男を睨み

 

「あ?見てわかんないのか?どう見てもあんたらの言うただの中学生ガキだよ!!」

 

と、そう言うと義弘はその男の腕をつかみ一本背負いをして相手を放り投げる放り投げられた男は受け身も取れずにもろに床にたたきつけられ泡を吹いて気絶する。そして周りにはリーダー格の男を除き全員が気絶し倒れていた。

 

「残るはてめえだけだな・・・・・」

 

「そうのようだな・・・・・まさかてめえみたいな女みてぇなガキに、こうまでやられるとわな・・・・・」

 

「で、どうする?逃げるなら見逃す・・・・・・」

 

と、義弘がそう言いかけた時

 

「ゴホッ!ゴホッ!!」

 

と急に苦しそうに咳をする

 

「(くそっ!こんな時に!!)」

 

と、義弘が口を押えた瞬間

 

「隙ありだ小僧!!」

 

と、そう言いリーダー格の男は懐に隠していたナイフで義弘を斬りつけた。義弘はすぐに躱そうとしたが少し躱すのが遅かったため男の持っているナイフが義弘の額に傷をつけ、額からは血が流れ出す

 

「義弘君!!」

 

みほはその様子を見て声を出すが義弘は

 

「大丈夫だみほ。ただの切り傷だよ」

 

と、そう言うと義弘はナイフで切りつけた男を睨みつける。

 

「つくづく救えない奴だな・・・・・貴様は」

 

と、殺気を含めた赤い瞳がギラギラと光る。その目に男は

 

「な、なんだ貴様!?なぜ斬りつけられたのに平気でいる!?貴様痛みを感じないのか!?」

 

と、義弘の姿に驚きそして震えながらそう言うと義弘は

 

「そりゃあ、痛ぇよ。血がだらだら出てるし頭もズキズキする・・・・・だがな」

 

義弘はそう言って、左手で男の胸倉を掴み上げると

 

「こんな切り傷の痛み。誘拐されたみほの気持ちに比べれば大したことねえんだよ!!!」

 

と、そう言い義弘はその男の顔面を思いっきり殴り殴られた男は吹っ飛ばされ壁に激突。そのまま項垂れるように倒れ気絶するのであった。そしてその廃墟の中に残っていたのは柱の陰に隠れていたみほと、額から血を流した義弘。そして地面に伏せて気絶していた誘拐犯たちだけになっていた。

 

「ふぅ・・・・・やっと終わったぜ・・・・みほ。もう大丈夫・・・だぞ」

 

「義弘君!!」

 

と、そう言うと義弘は倒れ、柱の陰に隠れていたみほは慌てて義弘のもとへ駆けつけるのであった。そしてその後、その廃墟にロスマン先生とエリカ、そして警察が着き、そこでのびていた誘拐犯を全員逮捕、一方義弘とみほも保護されたのだが、義弘は傷を負って気絶していたため、すぐに近くの病院へ運ばれるのであった。

 

 




次回で過去編は終了となります

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。