ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
みほを誘拐犯から無事救い出した義弘は、みほを救う際、額に怪我をし、そして持病である肺血病の症状が出て、今現在、近くの病院へ運ばれた。
「・・・・・・」
義弘のいる病室ではロスマン先生が寝ている彼の看病をしていた。すると・・・・
「失礼します」
「あら、逸見さん。義弘の見舞い?」
「はい・・・・あの、これお見舞いの花束です」
「ああ、ありがとうね。その花束ならそこの花瓶に入れといて」
と、そこには私服姿のエリカが花束を持って入って来たのだ。そしてエリカは花束をそばに当た花瓶に移し返していると、病室の机には千羽鶴や果物が置いてあった、
「あ、あの・・・先生。私以外にも見舞いの人とか来たんですか?」
「ええ、あなたが来る前に黒狼メンバーや赤星さんたちやまほさんが来ていたわよ。それよりもみほさんの様子はどうかしら?」
「はい。幸い怪我とか無いようです。今、警察の人に今回の誘拐事件の事情を聞かれています」
「そう・・・・・でも良かったわ。みほさんに怪我が無くて・・・・・」
「・・・・・それよりも先生。義弘は・・・」
「彼なら大丈夫よ。医者に診てもらったら、大した深さの傷ではないみたいだったから。全くいくらみほさんを助けるためとはいえたった一人で数十人いる誘拐犯を相手に・・・・・」
「いえ、先生。切り傷のことではありません・・・・・・義弘の肺血病についてです」
エリカがそう言うとロスマン先生は目を見開き
「あなた・・・・なぜそのことを」
「義弘から、聞きました」
「そう・・・・・・なら話は早いわね。なら知っているわね義弘がドイツに行くことを・・・・・」
と、そう言うとエリカは静かに頷く。そしてエリカは
「先生。義弘の病気、なんとかならないんですか?」
「それは私にもわからないわ。ただ、一つ言えることはもう、彼に時間が残されていないということよ」
「っ!?どういう意味ですか先生?」
「さっき、医師の先生に診てもらったんだけど。肺血病の症状が少し悪化していたのよ。だから予定よりは早いけど明日、出発することにしたわ」
「そんな・・・・・・」
エリカが驚く。すると看護婦さんが入ってきて
「エディータ先生。すみませんが黒森峰女学園の学園長からお電話が来ております」
「わかったわ」
と、そう言いロスマン先生が立ち上がり、そしてエリカの方にポンっと手を置くと
「こういうときこそ、親友であるあなたがそばに居てあげなさい」
と、そう言い部屋を出るのであった。そしてエリカはベットの横にある椅子に座り義弘の顔をジーと見て
「・・・・・・起きているんでしょ義弘?」
と、そう言うと、寝ているはずの義弘の目がうっすらと開いて
「なんだ・・・・・気付いていたのかエリカ」
「当たり前よ。あんたとは付き合い長いのよ。あなたの狸寝入りを見抜けないでどうするのよ」
「はは・・・・さすがだな」
と、笑ってそう言うとエリカは
「義弘・・・・・あんた昔から本当に馬鹿よ・・・・・いくらみほを助けるためとはいえ病持ちのあんたがたった一人で犯罪者相手に戦って、それで病気を悪化させるなんて本当にどうしようもない馬鹿よ・・・・・」
と、悲しそうにそう言うが義弘は
「すまん・・・・俺って馬鹿だからさ。こういうことしかできないんだ。だから俺はいつも後悔しない道を選んで進んできた。たとえ持病の病が悪化してもな・・・・・だから俺はみほを助けに行ったことを後悔していない。むしろ助けに行かずにみほを見捨てる方が一番、後悔するよ・・・・」
「義弘・・・・・・」
と、義弘の言葉にエリカは言葉が出なかった。すると・・・・
コンコン
と、誰かが戸をノックする
「誰だろう?先生かな?開いてるぞ?」
と、そう言うとドアが開き、そこから二人が良く知っている子が入って来た
「よ、義弘君。お見舞いに来たよ・・・・・・て、あれ?エリカさん?エリカさんも義弘君のお見舞い?」
「ええ、見てわかるでしょ、みほ。それよりもあなた警察の事情聴取。終わったの?」
「うん。何とかね・・・・・・・それよりも義弘君。頭の傷、大丈夫?」
「ああ、大した傷じゃないよ。先生が言うには数日ここで安静にしてれば退院できるってさ」
「そう、良かった・・・・・」
と、みほは安心したのかそうほっと息をつく中、エリカはどこか複雑そうな顔をしていた。そんな中、みほは
「義弘君・・・・ありがとう。助けてくれて」
「ああ、別に大し・・・「でも」・・・・でも?」
「いくら私を助けるためとはいえ、もうあんな無茶、やめて・・・・もし、義弘君が大怪我をして死んじゃったら。私も逸見さんもお姉ちゃんやみんなもきっと悲しむから・・・・・だからお願い」
と、みほは先ほどのエリカと同じことを言い、そして俺の手を握り震えながらそう言う。みほにとっては誘拐された恐怖よりも俺が怪我をして倒れた時の恐怖が大きかったのだろう。俺はそっとみほの手を取り
「・・・・わかったよ。みほ。なるべく無茶はしないようにする」
「じゃあ約束だよ。義弘君」
「ああ、約束だ・・・・・・エリカにも約束するよ」
「ほんとかしら?あんたのことだから、事と次第によってはすぐに約束破りそうなんだけど?」
「あれ?バレちゃった?」
「よ~し~ひ~ろ~く~ん?」
「あ、いや!破らない!!破らないって!!ボコに誓って約束するからみほさん!?」
エリカの言葉に俺はそう言うとみほが少し黒い笑みを浮かべてそう言うと俺は焦っておろおろしながら訂正する。
「「プププ・・・・あははは!!」」
。俺のそのしぐさと言うかやり取りがなんか二人のツボの入ったのか二人は笑いだし、二人の笑う姿を見て俺も笑いが込み上げ気が付いたら俺とエリカとみほの三人は笑っていた。そしてその後は、普通に世間話をしたり、ボコ談義をしたりした。
「ねえ、義弘君。義弘君が退院して元気になったら、エリカさんと三人一緒にまたどこかへ出かけない?エリカさんもどう?」
「え?そうね・・・・・・」
と、エリカはみほの言葉に少し言葉が詰まりそして俺の方をちらって見る。みほはそのことに気付かず俺の方を見て
「ねえ、義弘君はどこへ行きたい?」
「え?そうだな・・・・・もう春だし、そろそろ桜が見れる季節だから、桜でも見に行こうか?」
「でも、義弘。黒森峰の学園艦には桜はないわよ?あったとしても花見ができるような数はないし・・・」
「それなら、学園艦が熊本に寄港する時に桜名所へ行かない?あそこなら桜がたくさん見れるよ」
「それ、ナイスだなみほ。よし、それじゃあ熊本に行ったら、その名所へ行こうか。なっ!エリカ!」
「ええ・・・・そうね。その時は三人で行きましょう・・・・」
と、俺たちはそんな話をした後、
「じゃあ、義弘君。また来るからね」
と、みほは笑顔でそう言うと部屋から出て行った。そして残ったエリカも
「それじゃあ、私もそろそろ帰るから・・・・」
「そうか」
エリカは椅子から立ち上がり部屋を出ようとする際、ピタッと立ち止まり
「・・・・・・義弘。みほに例のアレ。本当に言わなくてよかったの?」
「ああ、みほには本当に悪いけど。無駄に心配させたくないからな・・・・・・エリカ」
「わかってるわ。最後まで秘密にする・・・・・・でも、なるべく早く。体を治して帰ってきてね。そしてまた一緒に戦車道をしましょう。それにみほと一緒に桜を見に行く約束もあるんだから」
「ああ・・・・・そうだな」
と、そう言うとエリカは少し寂しそうな笑みを見せ部屋を出るのであった。そしてその時俺は見たエリカの頬から一筋の涙が通っていたことを。そしてエリカが部屋を出てから入れ違うようにロスマン先生が入って来た
「・・・・・・二人に別れは言ったの義弘?」
そう言うと俺は首を横に振り
「いいや・・・・言ってないよ。別れの言葉は俺が一番嫌いな言葉だからな。それにこれが最後の別れじゃない。いつかまた、みほたちにまた会えて一緒に戦車道をするような気がする。そんな気がするんだよ先生」
「そう・・・・・・」
その翌日、俺は持病である肺血病を治すためにロスマン先生とともに黒森峰を去りドイツへと向かった。黒森峰の皆には内緒で・・・・・一様、学園長は俺はドイツへ留学したと説明してくれたらしいが、俺が去った後、黒狼チームは解散した。なんでも俺がいなければやる意味がないということで、解散したらしい。そして俺がドイツにいる間、黒狼の名は解散してもその名は轟き、そしてこんな伝説ができたという
かつて森峰中等部戦車道に「黒狼」と呼ばれ恐れられた戦車乗りがいた。修羅さながらに敵戦車を狩り敵からは「黒森峰の悪魔」とも呼ばれ、黒森峰最強神話の基礎を固めたその戦車乗りは突如その姿を消すのだった・・・・・
現在
「・・・・・・・と、言うわけさ」
「・・・・つまり、武藤殿が黒森峰を去ったのは海外へ留学する話があったからですか・・・・確かにドイツは戦車道が盛んで有名ですが・・・・・」
「ああ。まあな。みほ・・・・ごめんな黙って出て行って。ただ俺、お前に別れの言葉を言いたくなかったんだ」
「ううん。別にいいよ義弘君。義弘君にもいろいろ事情があったことがわかったから、私は気にしてないよ」
「そうか・・・・・・」
と、そう言うとチャイムが鳴る
「あ、そろそろ授業が始まります」
「そうですね。急いで戻りませんと・・・・・」
「うん。じゃあ、武藤。戦車道の授業でね。ほら麻子行くよ」
「は~い」
と、そう言い、みんなは弁当を片付け、戦車から降りる
「ほら、武藤殿も急がないと遅刻しちゃいますよ?」
「ああ、そうだな。じゃあ、みほ。放課後でまた会おうな」
「うん」
と、そう言い俺たちはわかれる。だが、俺はみほたちに俺が黒森峰を去った本当の理由、そう肺血病については話さなかった。あくまで黒森峰を去った理由は表の理由である海外留学と説明したのだ。なぜ、この期に及んで本当の理由を説明しなかったのかは俺自身もわからない。ただ、これだけはたとえみほでも言ってはいけないような気がする。そんな感じがしたのだ。そして俺は別れ際にみほの方を見て
「(ごめんな・・・・・みほ)」
と、心の中でつぶやき、秋山とともに教室へと向かうのであった。
義弘は生存させる?
-
生存しない
-
生存させる
-
生存するが長くは持たない
-
死ぬが転生する
-
どっちでもいい