ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
日もすっかり沈み、戦車の捜索を終えた一行は、格納庫の前に集まっていた。そして核のこの前に置かれたのはみほたちA班が旧部室棟で見つけた長砲身75ミリ砲である《7.5cm kwk40》と、篠原たちの不良グループの集会場で見つけた快速戦車BT7。そして秋山たちC班が沼地で見つけたルノーB1bisを発見した。資料も満足にないのにわずか一日で二両と砲を一門発見できるなんて奇跡としか言いようがない。
「それにしてもBT7か・・・これまた足の速い戦車が見つかったな」
と、俺がそう呟くと秋山が
「はい。最大装甲20ミリで主砲は45ミリ砲。そして何よりBTの特徴は履帯が外れても72キロと言う快速で走行できるという利点です。まあ、代わりの防御はあまりよくないんですが、それでも快速戦車の名に恥じない戦車ですよ!」
と、目をキラキラさせてBT7をほれぼれするほど眺める秋山がそう言う。いつものことながら秋山が戦車を見て喜ぶ姿は大変微笑ましい姿だな。
「秋山さん。嬉しそうだね義弘君」
「ああ、そうだな。なんか見ていると俺たちも頑張った甲斐があったなって思って嬉しくなってくるな」
俺とみほがそう言い微笑んでいると
「そう言えば、武部と一年生チームの姿が見えないな?」
「そう言えばそうですね?もうそろそろ戻ってもいい頃なんですが?」
俺の言葉に五十鈴さんが首をかしげると、冷泉のポケットから携帯の着信音が鳴り、冷泉はポケットから携帯を取り出すと
「・・・・・・遭難・・・・・・したそうだ」
携帯の画面を暫く眺め、画面を閉じた冷泉が言うと
「え?遭難?どこで?」
「学園艦の船底だそうだ」
「それじゃあ、すぐに探さないと」
と冷泉の言葉にみほがそう言うと
「何か目印になるものがある筈だ。それを探して伝えろと言え」
「ん…………」
頭を掻きながらそう言う河嶋さんに、冷泉は頷きメールを打つ。すると
「西住ちゃん。はいこれ」
と、角谷さんがどこから取り出したのか筒状の紙をみほに渡す
「これ、艦内の地図だから、捜索隊に行ってきて」
「わ、分かりました」
と、角谷さんがそう言いいみほがそう言うと角谷さんは俺の方に顔を向けると
「ほら、武藤君もボケ~としてないで一緒に捜索隊に行ってきてね~何かあった時、か弱い女子を守れるのは武藤君だけなんだからさ~」
と、いたずらっぽい笑みでそう言う角谷さんに俺は軽くため息をつき
「言われなくても一緒に行きますよ」
と、そう言うと
「私たちも一緒に行きます道子さんのこと心配ですし。それに船底は船舶不良団の領土もありますから、万が一絡まれても不良同士なら何かあっても対処できますし」
と、エレーナさんも一緒に行くと言い、俺たちは迷子になった武部たちを探しに行くのであった
それから学園艦内部にて迷子になった武部たちを探す俺たちは今、薄暗い艦内を歩いていて懐中電灯を装着したヘルメットをかぶった秋山を先頭に探索していた。と言うより秋山の奴前にみほの部屋で出した飯盒もそうだが、いろんな便利グッツを持っているな。もしかして彼女未来から来た猫型ロボットの知り合いかな?
「それよりも暗いな・・・・」
「нет。ここはまだましな方です。さらに下にあるお銀たちがたむろっているシマに比べればまだ、明るい方です」
とエレーナさんがそう言う。お銀って前にあった、あの海賊の船長みたいな人か・・・・・あの人たちのいる場所ってここよりも下にいるんだ。
「でも、やっぱり暗いですね。何だがお化け屋敷に来たような気分です…………」
「そうだね」
と、そう言う秋山とみほ。するとエレーナさんが
「Это верно!それでしたら、ほん怖のBGMでも流してより本格的なお化け屋敷にしましょうか?」
「「いいえ、結構です(であります)」」
「Это так・・・・それは残念です」
みほと秋山が全力否定すると、エレーナさんは少し残念そうな顔をする。すると突然、金属製の何かが床に落ちる音が、甲高く廊下に響き渡った。
「「きゃぁぁぁあああっ!!!」」
「うわっ!?」
その音にびっくりして秋山とみほが俺の両腕に抱き着き悲鳴を上げる俺はその行動に驚く。と言うよりきつく抱きしめられているためなんか変な感触が俺の腕に伝わってくる・・・・いや、いや!今はそんなことじゃなくて!
「お、おい。二人とも落ち着けよ。ただ物が落ちただけじゃないかよ!お化けとかじゃないから安心しろ!!」
俺は顔を赤くし慌てて二人にそう言うと、その一言に安心したのか、みほと秋山は安堵の溜め息をつきながら
「そう?よかったぁ~」
「はぁ~びっくりしました・・・・・・」
とそう言う中
「大丈夫ですよ。さ、早く沙織さんたちを探しましょう」
と五十鈴さんは何もなかったかのように涼しい顔をして通り過ぎる。その姿に俺たちは唖然とし
「い、五十鈴殿。本当に肝が据わっています」
「う、うん・・・・」
「本当にそうだな・・・・」
「да・・・・ぜひ、うちのグループに欲しい人材ですね・・・・」
と、そう言うのであった。そして五十鈴さんは
「ちょっと羨ましいです。みほさんと秋山さん・・・・」
と少し羨ましそうな声でそう呟くのであった。そしてみほたちは
「さて、確かに五十鈴さんの言ったように早く、武部たちを探さないとな」
「う、うん・・・・・あれ?冷泉さんどうしたんですか?」
みほがそう言い俺たちは冷泉の顔を見ると、そこには顔を真っ青にした冷泉の姿があった。そして
「お・・・・」
「「「お?」」」
「お化けは…………早起き以上に無理…………」
と、怯えながらそう言う冷泉に俺は
「冷泉・・・・・その気持ちはわかる。俺もスタンドは怖い」
「む、武藤さんもお化け駄目なのか?」
「ああ、あれだけはな・・・・」
とうんうんと頷きながらそう言う。するとみほは
「そう言えば、義弘君って、怪談話とかお化けと幽霊とかのオカルト系が苦手だったよね?」
「ああ、生きている奴なら素手とかで対抗できるけど、アレは無理だからな。それとみほ。お化けとか幽霊とか言うなスタンドって言ってくれ」
俺は苦笑してそう言う。俺はそういう系が苦手でお化けとかそう言うのも『スタンド』って言って誤魔化したりしている。すると、冷泉が
「む、武藤・・・・」
と、そう言うと俺の手をガシッて掴み
「そ、そうだよな普通そうだよな!!スタンドは普通無理だ!!」
と、そう言い俺もその手を握り
「「同志よ!!」」
とそう言いう姿を見てみほと秋山は苦笑するのであった。そして・・・・
「なあ、冷泉。なんで俺の腕をつかんでいるんだ?」
「べ、別にいいだろ?こうしていると落ち着くんだ」
と、そう言う冷泉。確かに先ほどに比べて少し落ち着いた顔になっている。と言うより少し顔が赤いような気がするんだが、気のせいかな?
そう思う義弘だが、その光景を見た秋山とみほは複雑そうな顔をするのであった。
一方、その頃、武部と道子たちはどこかの倉庫らしきところでじっとしていた。
「武部。さっき義弘からメールが来たけど。今みほさんたちがこちらに向かってきてくれるそうよ」
「そう。よかった・・・・・」
と、二人がそう言う中、一年生たちは
「お腹、空いたね…………」
「うん…………」
「今夜は、此処で過ごすのかな…………?」
不安になり、泣きだしそうになるとそれを見た二人は
「だ、大丈夫!あ、そうだ!私チョコ持ってるから、皆で食べようよ!」
「そうよ。それにさっき義弘から救助隊が来るってメールが来たからもう少しの我慢よ。あ、そうだこんな暗いところだからみんな不安になるのよ歌でも歌えば不安な気持ちも吹き飛ぶわよ」
と、泣きだしそうになっている一年生たちを落ち着かせようと武部と道子は笑顔で励ます。そして武部は一年生たちにチョコを配り、篠原は一年生を落ち着かせるため歌を歌って場の雰囲気を和ませようとするのであった
場所は戻り、みほたちは
「あ、あの……皆さん?なんで俺にくっついているのかな?」
と俺が苦笑してそう言う。そう今、みほたち(エレーナさんを除く)は今俺に引っ付いて歩いている。
「別に意味はないのですが、その・・・・」
「先ほども言ったように暗いのが怖くててですね」
「私さっきも言ったように落ち着くからだ」
と五十鈴さんと秋山、そして冷泉がそう言いみほも
「義弘君。くっついて歩くのだめかな?」
と、まるで捨てられた子犬のような目でそう言うが、俺は
「べ、別にだめなわけじゃないけど。なんていうか、歩きにくい。できれば少し離れてくれないかな?」
と苦笑でそう言うと、みほたちは少しだけ離れてくれた。だけど陣形がまるで俺を取り囲むかのような陣形であった。なにこれ?まるで俺、警護されている気分だな・・・・・そう思っているとみほが
「たしか第17地区予備倉庫って言っていたけど・・・・・」
みほは先ほど武部から来たメールを見て角谷さんに渡された地図を見るのだが
「たしかこの辺りだと思うんだけど…………」
と首をかしげながらそう言うと突然砲撃音が鳴り響く。
「ふえっ!?」
突然の砲撃音に冷泉が驚くが、
「あ、カエサル殿からだ」
秋山は平然とした表情で携帯を取り出す。というより先ほどの砲撃音、秋山の携帯の着メロだったのか・・・・そんな中、秋山は通話ボタンを押す。するとケイタイからカエサルの声が聞こえる。冷泉の奴心臓を押さえて顔を青くしている。確かに暗い中、特にスタンドが苦手な人間にいきなりそんな音が聞こえたらだれだってびっくりする。
『西を探せ、グデーリアン』
「西武戦線ですね。了解です!」
と、そう言い電話を切る。すると冷泉が
「誰なんだその名前?」
「魂の名前を付けてもらったんですよ」
「グデーリアン・・・確かドイツ機甲科の父と言われた将軍の名前か?」
「はい!そうなんですよ武藤殿!」
と嬉しそうに言う秋山に五十鈴さんは
「西って言ってもどちらを探せば・・・・」
「ああ、それなら私、知っています。西地区はよくうちらの仲間がたむろしたりする場所なので・・・・あとはコンパスがあれば」
「あ、それ私が持っております」
秋山はそう言いコンパスを出す。すると冷泉は
「そもそも、なんで西なんだ?」
「卦だそうです」
『え?』
秋山の言葉にみんな疑問の声を出すと
「当たるも八卦、当たらぬも八卦ですね・・・・・」
五十鈴さんがそう言い。俺たちは西の方へと向かうのであった。そして、しばらく歩いていると冷泉が
「な、なんか声が聞こえないか?」
と顔を青くしそう言うとほかの皆も耳を澄ませる
「あ、本当です。これは・・・・・歌声でしょうか?」
「もしかして幽霊が歌っているのか!?」
「違うでしょ冷泉さん?」
「この声、日本語じゃないですね?どこかの国の言葉みたいです?」
秋山と五十鈴さんが首をかしげるとみほは
「これって、『ラインの護り』?」
「ああ、ラインの護りだなこの歌は・・・・」
そう聞こえたのはドイツの歌であるラインの護りであった。そして俺たちがそこへ行くと
「あ、いた!」
そこには、一年生チームと武部たちがいた。そして一年生チームが俺たちを見ると花が咲いたような笑みを見せて
「救助隊だぁ!」
「私達、助かったんだ!!」
とうれし泣きをし武部に抱き着く。
「よしよし…もう大丈夫だからね」
と、頭を撫でて優しく言う武部。それを見た秋山は
「武部殿、モテモテですね」
「本当ですね、希望していたモテかたとは違うようですが」
と、そう言う中、篠原がやってきて
「信じて待った甲斐があったよコマンダー」
「ああ、待たせたな篠原。それよりもさっきの歌は・・・・」
「ああ、あれね。私が歌っていたのよ一年生たちを不安を少しでも軽減させるためにね」
頭を掻きながら言う篠原すると
「篠原さん。無事でよかったです」
「あら、エレーナ。あんたも一緒にいたの?すまないね心配かけて。それといつもすまないわね。いつも留守を任せて」
「да。いいえとんでもないです。それに留守番も副官として当然のことですから」
「そう、頼りになる副官だわ」
と、笑いながらそう話し合う二人。本当に仲がいいなこの二人は・・・・・そう思っていると武部が俺の方へやってきて
「武藤も探しに来てくれたんだね。ありがとう」
顔を赤くしそう言うと俺は少し頭を掻き
「別に礼を言われることはしてないよ。で、戦車は見つけたのか?」
「うん。ほらあれ」
「え?」
武部があるところを指さし、俺とみほがそこを向くとそこには暗がりで姿が見えにくくなっていながらも、重厚感溢れる戦車があったのであった。
戦車探索と救助作戦が終わり、戦車道チームの女子陣は今、大浴場にて汗を流している。俺はと言うと軽くシャワーを浴びた後ある場所に向かっていた。その場所は戦車格納庫であった。
「失礼します自動車部の皆さん」
「ああ、武藤君。お疲れ様」
格納庫にいたのは自動車部の人たちであった。そしてその自動車部の部長であるナカジマさんが俺に気付いて声をかける。
「夜間整備お疲れ様です。これ差し入れのコーヒーとコーヒーに合うお菓子です」
「いつもごめんね」
「いいえ、いつも戦車を万全の状態に整備してもらっているんです。これはほんのお礼ですよ」
俺はそう言いコーヒーと菓子が入った袋をナカジマさんに渡す。
「‥‥で見つかった戦車と砲身の方はどうですか?」
「うーん、BT戦車は二回戦には間に合いそうだけどルノーはちょっと二回戦までには間に合いそうにないね。砲身も取り付けるのに時間が掛かるからこれも二回戦までにはちょっと無理かな」
「じゃあ、船底で見つけた奴もですか?」
「うん。見た所いろいろ部品が欠如したりしているからじっくり時間をかけて直さないとね。ごめんね」
「いいえ、ナカジマさんが謝ることはないですよ。むしろ徹夜で整備してもらっている皆さんに謝られたら罰が当たりそうですよ」
と頬を掻き不適を笑みでそう言うと
「あはは!面白いね武藤君は。で武藤君も戦車の整備?」
「まあね。やっぱり自分の戦車の面倒はちゃんと見ないとな」
「そうか。整備道具はあそこにあるから、好きに使ってよ」
「ありがとうございます」
と、俺はナカジマさんに礼を言い、そして自動車部の人と一緒に戦車の整備をするのであった
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい