ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「ふわぁ~」
俺は今、あくびをしながら学校の廊下を一人歩いていた。今は授業中なのだがいかんせん、男子生徒は俺一人だし、授業中に見られる女子生徒の目線が正直言って痛い。ワンサマーの気持ちも少しはわかるような気がする。え?授業はどうしたって?もちろん自主的に休養しただけさ。別にさぼりではない。まあ武部たちが見たらうるさいけどな。それにちゃんとテストの点数は平均以上取っているのでプラマイゼロで大丈夫だ。
「BTに88㎜・・・・・一日だけですごい戦車が見つかったものだ・・・・・」
俺は先日の戦車捜索の時に発見されたあの戦車を思い出す。BT戦車はロシアの誇る快速戦車でありその速度は52キロ。ぱんたーやt34並みにはやい。しかもBTの最大の特徴は履帯が外れてもそのまま走行でき、しかもその速さは72キロ10式並みの速さだ。まさに天下のクリスティー式というやつだ。そう言えば、あいつの愛車もBTシリーズの奴だったっけな。あいつ、今何をしているのだろうか。また借りると称してどっかから戦車を盗んでいるのかな・・・・・そんなことを考えていると
トントン
「ん?」
誰かに背中をつつかれ俺は背後を見るが誰もいない。すると・・・・
トントン
今度は別の肩をつつかれる。一体誰だろう?そう思い、反対側の方へ振り返ると誰かの指が俺の頬をつついて・・・
「引っ掛かったね~武藤君」
「か、会長?」
俺の頬を突っついたのは干し芋を片手にいたずらな笑みをする角谷会長であった。すると角谷さんは
「ところで武藤君。こんなところで何をしているのかな?確か今は授業中のはずだよ?」
「そのセリフそっくりそのまま返しますよ角谷さん。あなたこそこんなところで何をしているんですか?」
「私のクラスは早めに授業が終わったんだよ。それよりも武藤君の所はまだ授業中だよね?もしかしてさぼりかな?」
「違います。自主的に休養しただけです」
「なるほど、なるほど、物は言いようだね~まあ、それはいいんだ。とりあえず武藤君今日の放課後生徒会室に来てね~」
「は・・・はぁ・・・・」
角谷さんはそれだけ言うと、どこかへ去ってしまった。放課後に一体何があるのだろうか・・・・・・・
放課後、俺は生徒会室に向かい
「武藤。入りますよ」
と、そう言いドアをノックし部屋に入ると
「あれ!?武藤殿!?」
「あれ?秋山?」
生徒会室に入るとそこにはいつものように生徒会三人組の他、なぜだか秋山がいた。あれ?なんでこんなところにいるんだ?俺が不思議に思っていると
「遅いぞ!武藤。貴様で最後だ!!」
と、河嶋さんが怒鳴る。いや最後って部屋にいるの秋山だけだろ?
「まあまあ、河嶋そう目くじらを立てないで。武藤君まってたよ~」
角谷さんが生徒会長専用の椅子に座り、干し芋を頬張りながらニコニコと笑ってそう言う。
「で、何か用ですか?もしかして二回戦に向けての作戦会議とかですか?」
「それだったら西住やほかの車長を呼んでいる。今回は作戦会議ではないぞ武藤」
「そう言えばそうですね・・・・・・そう言えば今日で一回戦の試合は全て終了されたんですね。誰が残ったんですか?」
「確か・・・・黒森峰とプラウダとグロリアーナ・・・・だったかな」
どれも強豪か・・・・・まあ当然と言えば当然だな。黒森峰は去年は優勝はできなかったものの9連勝したという実力はいまだに健在だ。またプラウダやグロリアーナもそれは同じことだ。
「そうですか・・・・ところで角谷会長。作戦会議でないんならなぜ俺と秋山を呼んだんですか?ただ単に呼んだわけじゃないですよね?」
と、俺がそう訊くと角谷さんは意味ありげな笑みを見せる。あの笑顔・・・・何か企んでいる時の笑顔だな・・・・・
「いや~武藤君は本当に感が良くて助かるよ~この前のお疲れ会で秋山ちゃんと一緒にサンダースに潜入偵察に行ったって言っていたよね?」
「いや、潜入っていうか、向こうの隊長と知り合いだったからアポ取って自由に見学させてもらっただけなんだけどね」
「はい!武藤殿のおかげで隅々まで情報を得ることができました」
「でさ、今回も武藤君や秋山ちゃんたちにもう一度潜入偵察に行ってきて欲しいんだよね~アンツィオ高校に」
やっぱりか・・・・・
「はい!偵察任務ならこの不肖、秋山優花里にお任せ下さい!!」
秋山の奴は相変わらずやる気充分みたいだが、まあ他校の戦車が見れるんだから戦車好きの秋山にとっては願ったりかなったりの依頼なのだろう。そして秋山は俺のほうへ顔を向けて
「武藤殿も一緒に行きますよね?」
と、期待を込めた目で俺にそういうと俺は少し頭を掻き
「まあ、良いか・・・・・俺もアンツィオがどんな戦車を保有しているか見てみたいしな」
そう言うと秋山は嬉しそうな顔をする。すると、河嶋さんは
「よし、なら決まったな。武藤。お前、アンツィオ高校に知り合いはいるか?」
「いや、あいにくだがアンツィオに知り合いはいないよ。だから今回は本格的なアポなし潜入偵察だな」
「武藤君・・・なんか楽しんでる?」
「ええ、まあこんな本格的な潜入調査は中学以来なので」
昔はよくみほと一緒にエリカを巻き込んで相手の学校の潜入偵察とかしたっけな・・・あの時のみほは今の大人しい性格ではなく、子供の頃みたいなやんちゃさが少し残っていていたっけな。よく相手の学校連中に見つかって三人で必死に逃げたり、学校に戻ったら戻ったで俺たち三人はロスマン先生に拳骨を喰らって怒られたりと今思えば楽しい思い出だ。まあその時エリカは「偵察なんて二度とごめんだわ!」って怒っていたけどな。
「まあ、とにかく、二人ともアンツィオの潜入偵察よろしくね~」
と、笑顔で頼まれるのであった。その後、学校を出た俺と秋山は潜入捜査の準備のためとある場所にいた
「またいつもの戦車倶楽部か・・・・・」
「いいじゃないですか武藤殿。ここにはありとあらゆるグッズがあるんですよ」
「それはそうだけど・・・・・・まあ、良いか」
今俺たちのいる場所は戦車倶楽部まあ秋山が行く場所とくればここ以外にほかはない。確かにこの店なら潜入捜査に必要なものがたくさんある。因みに秋山がサンダースに潜入する際来ていたサンダースの制服もここで買ったみたいだ。なんで他校の制服なんかが売っているのかが不思議だ。
「そう言えば、秋山。アンツィオって確かイタリア風の学校だったよな?」
「ええ、なんでも創始者がイタリア人でイタリア文化を日本に伝えようとした、イタリア風の学校らしいですよ」
「イタリア風・・・・・とすると使用する戦車も」
「はい。イタリア戦車だと思います。先の一回戦ではCV33とセモヴェンテM41を使用していたこの月刊戦車道に書かれています」
秋山はそう言い俺は彼女の持っている月刊戦車道の内容を見ると一回戦についての内容が書かれていて、その記事には『大洗に続き、またも番狂わせ!アンツィオが防御の強いマジノ女学園を破る!!』と書かれていた。そして下の記事には記者がアンツィオの選手Pさんにインタビューしている記事があった。その内容は
『二回戦は大洗との戦いですが何か意気込みはありますか?』
『応さ!聞いて驚け!我がアンツィオ高校に新型秘密兵器が2輌投入されたんだぜ!これさえあれば大洗なんて目じゃないぜ!!』
『はぁ・・・・はぁ・・・で、その秘密兵器とは・・・・』
『え?確か・・イタリアの・・・』
『ちょーッとまったぁー!!ペパロニ。これ以上は駄目よ!記者の皆さんすみませんけど、取材はここまでにします』
(突如現れたイタリア人少女の乱入により取材はここまでになります)
と、書かれていた・・・・・何やってんのアンツィオの人・・・・・
「秘密兵器って何でしょうね?武藤殿?」
「さあな・・・・・まあ、大体は想像できるな。イタリア戦車を保有し、さらにセモベンテより上の秘密兵器とくれば・・・・」
「重戦車・・・・・P40ですか?」
「恐らくな・・・・まあそれは明日の潜入偵察でわかるだろう。」
「そうですね!あ、武藤殿!これ購入してきますね!」
と、そう言い彼女が持っていたのはアンツィオの生徒服なのだが・・・・・
「なんで二着あるんだ?」
「それは武藤殿が着るんですよ」
「ちょっと待てアンツィオは女子高だぞ。俺に女装しろってか?」
「え?結構似合うと思ったのですが?だめですか?」
「すまない秋山それだけは勘弁してくれ・・・・・・・」
「そうですか・・・・・じゃあ、これは予備として買いますね」
とそう言い秋山は会計所に向かうのであった。確かにイタリア風だけあってアンツィオの制服はなかなかいいデザインだが女物はさすがに駄目だ・・・・・俺ははぁ~とため息をつき雑誌にもう一度目を通すと隣の記事に黒森峰のことが書かれていた。そして取材記事には『新副隊長、逸見エリカさんにインタビュー!!』と書かれていて見出しにはこう書かれていた
『ついに私たちの時代がやって来たわに!』
「・・・・・・・わに?」
俺はその見出しを見て首をかしげる。わにって・・・・エリカの奴また中二病がぶり返したのかな?確か中学初めのころ逸見の奴敵戦車を見つけた瞬間、なんか長い名前の必殺技とか叫んでいたな。確か・・・・・・
「黒森峰最大大技敵戦車撃滅木っ端微塵砲撃・・・だったけか・・・」
黒森峰女学園
「それを言わないでぇぇぇーーー///!!」
「い、逸見さんどうしたの?」
一方、黒森峰ではエリカが突如顔を真っ赤にして叫び傍にいた赤星が苦笑してそう言うと
「だ、誰かが私の黒歴史の一部をしゃべったような気がしたのよ・・・・・もしかしてロスマン先生?」
「はい?」
と、こんな会話がされていたとかないとか・・・・・・
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい