ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
戦車道全国大会二回戦まで後、数日。新しく加わったエレーナさんたちキツツキさんチームを含め二回戦に向けて練習をする俺たち。そして試合開始前日。その日はリフレッシュも兼ねて練習は休みとなって、皆それぞれの時間を過ごしていた。授業もすべて終わり、俺は何もすることなくブラブラと廊下を歩いていると、廊下の向こうに何やら金髪で猫耳のカチューシャを付けた眼鏡の生徒がボーと三人の生徒を見ていた。その三人は・・・・みほたちか。そしてみほと沙織、華がその生徒に気付かず何か話していた
「へ~継続高校ってそんなに強いんですか?」
「うん。前にお姉ちゃんたちと一緒に練習試合したけど苦戦しちゃって」
「黒森峰なのに?」
「そうなの」
「うちとどっちが強いんだろう?」
「わからないけど、あそこの隊長と副隊長がすごく優秀な人で・・・・・」
と、そんな話をしているのが聞こえた。というより、黒森峰。あの継続と試合したのか・・・・その頃俺は、ここ大洗にいたから知らなかったが、あの黒森峰が苦戦したということは継続の隊長は恐らくあのトウコさんか・・・もしくはあのカンテレか・・・今となってはわからない。
まあそれはともかく眼鏡を掛けた少女はみほたちに声を掛けようとしたが、みほたちはその少女に気付かずそのまま通り過ぎていき、少女もまた声を掛けられずにただボーと立ち尽くしていた。そして・・・・
「ま、また声を掛けれなかった・・・・・・もうダメだチキンハートな僕・・・・次はもっと頑張るんだ、ねこにゃー!!」
「何やってるの?」
「うわっ!?」
急に声がして驚くねこにゃーそして振り向くとそこには義弘がいた
「えっと・・・き、君は・・・・」
「武藤だ。武藤義弘・・・・・でみほになんか用なのか・・・・・えっと・・・」
「あ、僕、ねこにゃーです」
「すまない。できれば本名も教えてくれるか?」
「え?あ、猫田です。西住さんと同じクラスなんです」
「あ、そうなの・・・・それで猫田さんはみほに何か用?もしかして戦車道についてか?」
「あ…うん。僕も戦車道をやろうかなっと思って・・・・・・」
「なるほど、だからみほに声を掛けたのか・・・・ところで猫田さん。戦車の経験は?」
「り、リアルでの操縦はしたことないけど、ネットなら何度もやってるから動かし方はわかるよ」
「ネットゲームか・・・・・もしかして○○○○か?」
「いや、〇〇〇〇〇の方」
「ああ、そっちか。確かにあれも面白い。俺はどちらかというと〇〇〇〇〇の方かいいと思うが」
「武藤さん。マニアックですね?」
「だろ?・・・・・まあともかく戦車道に参加するなら歓迎するよ猫田さん
「ボ、ボクが戦車道に入ってもいいの?」
「ああ、ただし」
「た、ただし?」
「少し体力をつけてからな。聞いたところゲームでしか戦車の経験がないんだろ?リアルの戦車はゲームとは違って操縦桿とか砲弾が重いし体力も使うからな。それと戦車に乗る仲間も必要だぞ最低でも三人は必要だ」
「わ、わかった。ボクと同じような人がいないかネット仲間に聞いてみるね」
「じゃあ、メンバーが揃ったら声を掛けてくれ」
「うん。ありがとう・・・・武藤君。それと次の試合頑張ってね」
「ああ、ありがとな。じゃあ」
そう言い俺は猫田さんと別れるのであった。そしてしばらく歩き校舎を出て。学校のすぐそばにある森の中、そう前に初めてこの学校で練習試合をしたときのあの森だ。そこで俺は昼寝の場を探した。こういう何もない時には昼寝をするのが一番だ。さて場所はどうするか・・・・・
「・・・・・いつもの切り株のところに行くか」
そう言い、俺は切り株へ行く。あそこは今の季節日差しがいいし、今日は心地よい風も吹いているから丁度いいだろう。俺はそう思いながら、その場へ向かう。そして、その切り株に到着し、俺はそこに寝っ転がる。うん。ちょうどいい・・・・・冷泉もたまに来るらしいが。今日は来ていないみたいだ。俺はそのまま目をつぶり潮風を浴びながら寝ている。
「・・・・・・・」
どれくらい時間がたったのだろうか?昼寝をする中、俺は何かの気配を感じ目が覚める。俺はあたりをきょろきょろと見ると誰かが俺の袖を引っ張る感じがし、そこを見てみると
「・・・・・・」
一年生だろうか、女子生徒が俺の傍で寝ていた。あれ?確かこいつうさぎさんチームの丸山紗希さん?だったか?まあともかく
「おい、起きろ。こんなところで、風邪ひくぞ」
そう言い、俺は丸山を揺り起こすと、彼女を目を開けて瞬きすると俺のほうを見る
「やあ、おはよう・・・・・えっと・・・丸山紗希ちゃんで合っているよな?」
そう訊くと丸山はコクコクと頷く。そしてジーと俺を見る
「それで…その丸山はなんでここに?」
「・・・・・・・」
「え?前に冷泉が勧めてくれた昼寝に適したこの場所に来たら、偶然俺を見つけて。俺が気持ちよさそうに寝ていたから、一緒に寝てみた?」
「・・・・・」コクコク
周りから見ても丸山は何もしゃべっていないのだが、俺の場合、丸山の言いたいことが理解できる。なんだろう、俺ってニュータイプかなんかだろうか?それとも髑髏島の先住民みたいに意思疎通出来る体質なのか。まあ、それよりも冷泉がね・・・・・確かに冷泉にこの昼寝場所を教えたのは俺だが、あいつ丸山と仲がいいのか?
「あのな、丸山。仮にも俺は男だぞ?いきなり隣で寝るのはちょっと不謹慎っていうか・・・危ないっていうか」
「・・・・・」
「え?『武藤先輩は優しいから、そんなことしない』?いやいや。そう言う問題じゃなくてだな」
「・・・・・・・」
「はぁ・・・・とにかく。無闇に男性に対してこういうことするなよ?変な男に誤解でもされたら危ないだろ?」
「・・・・・・」コクコク
どうやら納得はしてくれたみたいだが、なんか残念そうな寂しそうな表情をしていた。なんだろ、なんか罪悪感が沸くような感じがした。
「はぁ・・・・まあ、いいよ。昼寝邪魔して悪かったな丸山」
「・・・・」フルフル
「ん?『気にしていない』?でもな・・・・・そうだ。昼寝を邪魔したお詫びに74アイスで特大パフェでも奢るよ」
「・・・・・」
「え?『いいんですか?』別にそのくらいかまわないよ」
俺がそう言うと丸山はにこっと笑う。すると
「あ、紗季ちゃんいたよ!」
「あ、紗季。どこにいってたの!」
と、そこへ残りのウサギさんメンバーがやって来た
「あ、武藤先輩。どうも」
「おう、みんなお揃いで。丸山を探してたのか?」
「はい。急にいなくなってしまったので…それで武藤先輩は?」
うさぎさんチームのリーダーである澤がそう説明すると俺は
「ああ、そこの切り株で昼寝していたんだけど、なぜか丸山がそばにいたんだよ」
「え!?そうなんですか?すみません紗季が何か迷惑を掛けていませんか?」
「いいや、何もしちゃいないよ。まあちょっと驚いたけどな」
「そうですか・・・・・あ、あの先輩ちょっとお聞きしたいことが・・・」
「ん?なに?」
俺と澤が話す中、丸山の傍にいた宇津木が
「紗季。武藤先輩と何をしてたの~?」
「・・・・・・・」
「え?武藤先輩がパフェを奢ってくれるって?」
「えー!紗季ちゃんだけ、ずるい!」
「なんで私たちも誘ってくれないんですか、先輩!」
「そうです。私たちもパフェ食べたいでーす!」
と、紗希のテレパシー?みたいなので知ったのか他の一年生が俺によると澤が
「ちょっとみんな、そんなに言ったら武藤先輩が困るでしょ?」
「いや、別にいいぞ」
「えっ!?いいんですか先輩!?」
「ああ、一回戦で頑張ったご褒美っということで。それに澤は何か俺に訊きたいことがあったんだろ?」
「あ、はい・・・」
「じゃあ決まりだな」
74アイス
「あ、あの・・・すみません先輩。パフェ奢ってもらって」
「いいよ。別にたまには先輩風吹かせてくれ。それに行っただろこれは一回戦で頑張ったご褒美だって」
その後、俺と一年生たちは74アイスにいて、一年生たちはこの店の名物メニューである特大パフェを嬉しそうに食べていた。おかげで俺の財布は軽くはなったがそれでも一年たちが喜んでくれるんなら、まあ大した損害じゃない
「それで澤、俺に訊きたいことって?」
「ああ、はい。実は・・・・・・先輩に訊きたいことがあるんです。先輩はどうやって強くなったんですか?」
「え?」
「実は前に武藤先輩のことをネットで調べたんです。それで先輩や西住隊長の戦歴を見てどうやったら先輩たちみたいに強くなれるかなって・・・・・」
「そうだな・・・・・俺は全然強くはないぞ?たぶんみほに同じことを訊いても同じことを言うと思うぞ?」
「え?強くないんですか先輩?でも先輩って一度も負けないで勝ち続けたって」
「あれはチームの皆と協力し合って成せたことだよ。人間一人だけじゃ強くなれないし何も為せない。やっぱりチームワークが大切なんだよ」
「戦術や作戦とかもですか?」
「ああ、よく言うだろ三人寄れば文殊の知恵って。まあ他には過去の戦術や戦争映画なんか見て作戦立てたりすることもあるな。過去から学ぶことはたくさんあるし。俺も黒森峰時代の時はよく先輩に頭を下げてアドバイスを聞いたりみほたちと相談したり、図書館や図書室で昔の資料を見て勉強したりしたよ」
「そうなんですか。やっぱり先輩はすごいんですね!」
と、なぜか澤にキラキラと尊敬を見る目で見てそう言う。別に尊敬されるようなことしていないんだけどな?そう思っていると
「せんぱーい。武藤先輩は彼女とかいないんですか?」
と、先ほどまでパフェを食べていた大野が突然そんな質問をしてきた
「ん?彼女か・・・・いないな」
「え?いないんですか?」
「いないよ。第一、こんな俺を好いてくれる物好きなんていないだろ?」
「そうですかぁ?確かに武藤先輩って背が小さいし、顔も子供っぽいですけど~?」
「余計なお世話だ」
さりげなく毒吐いたよこの子は・・・・・確かに俺は背は小さいし、顔も童顔だよ。でもこうはっきり言われるとなんか傷つく。すると坂口が
「でも先輩。それはそれで可愛いんですから別にいいじゃないですか?」
「おい、それフォローになってないぞ坂口。まあいいか俺がチビで童顔なのは事実だしな。さてと俺はそろそろ行くぞ」
「え?先輩帰っちゃうんですか?」
「もっとお話ししたいです」
「すまないな。まあ、また何かあったら声かけてくれできる限りの相談は乗るからさ」
そう言い俺は席を立ち店を出ようとすると誰かが俺の袖を引っ張る。俺が袖を引っ張る正体を見るとそこには丸山が終えの袖を引っ張っていた
「どうしたんだ丸山?」
「・・・・・・・・ありがとう・・・・ございました」
聞き取れるか聞き取れないかのレベルでボソッとそうつぶやいた
「そうか。どういたしまして」
俺がそう言い頭を撫でると丸山は少し顔を赤くする。無表情だけど。そして俺は店を出るのであった
「・・・・・・・」
義弘が出た後、丸山は先ほど義弘に撫でられた頭をさすり、みんなにはわからないよう嬉しそうに微笑んでいたのであった。
「ただいま・・・・・・」
学生寮に戻った義弘は荷物を置いて普段着に着替える。そして冷蔵庫からサンドイッチ、そして戸棚からカップ麺を取り出す。そして義弘はカップ麺にお湯を注いで三分経った後、カップ麺とサンドイッチを食べる
「明日から二回戦か・・・・・どんな勝負になるか楽しみ・・・・・・」
そう言いかけた瞬間突如義弘は目を見開き
「ゴホッ!ゴホッ!!ゴホォッ!!!」
義弘は口と胸を抑える。そして義弘は立ち上がり戸棚から瓶入りの薬みたいなのを取り出し、それを飲む。
「くそ・・・またかよ。前よりもひどくなってるな」
薬を飲んだ後義弘は椅子に座り
「・・・・・・これはタイムリミットが近づいているのかもな・・・・・・」
若干、不安と悲しみの入り混じった表情でそういうのであった。そんなこんなで明日はとうとう二回戦であるアンツィオ高校との試合が始まるのであった
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい