ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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流離の詩人と黒き狼

島田ミカ・・・・忘れもしない。三年前の練習試合で彼女のいたチームと対戦した時、彼女の作戦に引っかかり、そして敗れたことを

だが、彼女にあったのはそれっきりで、それ以降は会っていない。噂では継続高校に行ったと言っていたが電話番号を交換していなかったため話すこともできず。そのままだった。

出来ればまた会い、負けた悔しさを返すべく再び挑戦状を送りたかったんだがな。

だが、こうしてまた出会うなんて誰が予想したのか・・・・

 

 

「久しぶりだな・・・・島田」

 

俺は膝枕をしてくれる彼女の名を言った。すると彼女は

 

「その名で呼ぶのはやめてくれないかな?今の私は島田の看板をしょっていない。今の私はただのミカさ」

 

「家で何かあったのか?喧嘩でもした?」

 

「人には言いたくない事情っていうのもあるんだよ。それは君も同じじゃないのかな?君だって高杉から武藤に代わっているしね」

 

「そうだった・・・・すまない」

 

顔が図星とかいているが、ここはこれ以上彼女のことを聞くのはやめるか。あいつにもいろいろあったんだろう

 

「それでなんで膝枕なんだ?」

 

「倒れているのを見つけてね。ちょっとした看病さ・・・・嫌だったかい?」

 

「いや。なんか落ち着くし、別にいいけど?」

 

「君はそんな人間だったかい?」

 

「三年間いろいろあったんだよ。いやだったら起きるけど?」

 

「いや。このままでいいさ。ゆっくり休むのも悪くはない」

 

そう言いミカは若干顔を赤くしそう言う。そして俺はふと思い出したことがあった

 

「あ、そう言えばミカ。お前の妹?多分妹にあったぞ?」

 

「・・・・・・愛里寿に?」

 

愛里寿・・・・やっぱり。あの子は島田流の・・・・

 

「ああ。前の大洗に寄港した時、道に迷っているのを見かけて交番に連れたらちょうどお母さんがいて、再会できたよ」

 

「そう・・・・・二人は元気だったかい?」

 

「ああ。俺が見た限りではな」

 

「そう・・・・・あの子もずいぶん大きくなったんだろうね。あの子が物心つく前に学園艦に行き、そのまま別れたから」

 

「会ってないのか?」

 

「会うことに何か意味があるのかい?」

 

「俺が言うのもなんだが、顔ぐらい見せてやれよ。少なからず家族なんだろ?俺には家族は生まれてすぐいなくなっちゃたから、よくはわからないけど」

 

「そうかい・・・・君の言いたいことはわかったけど。まだ会えない。まだその時じゃないからね」

 

「なるほど、心の準備がまだってことか・・・・・・・それよりミカ。お前なんでこんなところにいるんだ?」

 

「風に乗って、波に運ばれて来たのさ」

 

「それじゃ遭難者だぞ。というより三年前もそうだが、まだ患っていたのかその口調?」

 

「人を重病人みたいな言い方はやめてくれ義弘。これがいつもの私さ」

 

珍しくミカがジト目で俺を見る。いや中学のときからその流離の詩人風な口調を続けたら変にみられるだろ?大人になって同窓会とか言ったら絶対にいじられるだろ『昔はミカってあんなこと言ってたよね~』とか言われて恥ずかしるんだろうな・・・・・

 

「なんか変なこと考えていなかったかい?」

 

「いいえ、なんでも」

 

人の心読まないでくれ。エスパーかよ

 

「で、何しにここに来た?学校はどうしたんだよ?」

 

「学校、そんな所に大切な物はあるのかな?」

 

「まあ、友を作って青春を満喫できるとかじゃないか?知らねえけど。で、何しに来たんだ?家には盗まれるほど戦車は豊富にあるわけじゃないぞ?」

 

「久しぶりに出会って言う言葉がそれかい?人を泥棒みたいに?」

 

「泥棒じゃないんだったら三年前に黒森峰から盗んだ三号突撃砲のG型返してくれないか?」

 

「盗んだわけじゃないよ。借りたのさ・・・・永遠にね」

 

「借りるというのは相手の同意を得て成立するものだ。それ以前に永久て言っている時点で確信犯じゃないか」

 

「・・・・・ここにはね、探し物があって来たのさ・・・・」

 

おい、話題を変えて誤魔化すなよ。もういいけど・・・・・

 

「探し物?」

 

「ああ。とても大切な者さ・・・・・でも風が教えてくれたおかげで見つけることができた。今私の膝の上にある」

 

「・・・・・俺を探していたのか?物好きだな?」

 

「君が自分のことをどう思っているかは知らない・・・・でも私にとっては大切な人なんだよ」

 

つまり、ミカは俺に会いにここに来たらしい。でもなんで俺なんかに?

 

「三年前に消えて以来。私は君のことを考えていた・・・・なぜ消えたのだろうってね・・・・・あれほど楽しい試合は初めてだった。だから今度は試合じゃなくゆっくり君と語り合いたかった・・・・・でも君はもういなかった・・・なぜ消えてしまったんだろうてね」

 

いつもの詩人みたいな口調だが、その声には少し悲しげがあった

 

「お前の言葉を借りるのなら・・・・『風の流れに任せて流れて行った』ってところだな」

 

「風に流された先は何処にたどり着くのかい義弘?」

 

「さあな・・・風に任せるさ」

 

「それが死ぬことになってもかい?」

 

「っ!?」

 

ミカの言葉に俺は驚く。まさかミカの奴おれの肺血病のことを知っているのか?

 

「ミカ・・・・それって」

 

「君のそばには死神が見える・・・・・何時でも君の命を取ろうとじっと傍にいる」

 

そう言いミカは悲しそうな表情を浮かべる

 

「人はいずれ死ぬ・・・・・速かれ遅かれ死ぬ・・・・でもね君はまだ死ぬには早すぎるんじゃないかってね・・・・・」

 

「俺にどうしろと?」

 

「休むのもたまには悪くはないんじゃないかな?」

 

「すまないが、今の俺に休む時間はないよ。時間がないんでね」

 

「知ってたさ・・・・だけど君は後悔しないのかい?君の婚約者だった西住流のあの子を置いて逝くのは・・・・」

 

ミカの言葉に俺は目を閉じる。そして瞼の裏にはみほの姿が浮かんだ。そして・・・・・

 

「俺は・・・・何時も後悔しない道を選んで生きてきた。俺は・・・俺の心に何ら恥じることはないよ。大切な人のために戦うのはこの宇宙に不縁的な摂理さ・・・おれはみほの居場所を守るため・・・・大切な人のために戦うんだ・・・・後悔はしていない・・・・・」

 

「その結果が彼女を悲しませる結果になってもかい?」

 

「人はいずれは別れ終わるときがくる・・・・物事に始まりがあるようにな」

 

「そう・・・・・」

 

そう言いミカは何も言わなかった。そして俺は彼女の隣に置いてあるカンテレを見る

 

「そう言えば、ミカ。またお前の演奏聴きたくなったな」

 

俺は彼女の曲を久しぶりに聞きたくなった・・・・そう、昔熊本の楽器屋で聞いたあの音色をまた聞きたかった・・・・

 

「誰かに言われて弾くのはあまり好きじゃないかな・・・・でも君にならいいかな?リクエストはあるかい?」

 

「君の得意な奴でいいよ・・・・」

 

「そう・・・じゃあ、私の得意なのを弾こうかな?」

 

「題名は?」

 

「曲を弾くのに題名はいらないんじゃないかな?でも強いて言うなら、私はこう名付ける『Tärkeintä elämässä~人生の大切なこと』てね」

 

そう言い一呼吸入れると彼女は俺を膝枕しながら横に置いているカンテレを片手で器用に弾く。その音色とともに彼女は歌いだす

それは心安らかになるような歌だった。

そして俺の意識はどんどん途切れるのだった。そして最後に

 

「お休み・・・・義弘。そして・・・・死なないでくれ」

 

と、ミカの声が聞こえるのであった

 

 

 

 

ミカ視点・・・・・

 

「どうやら寝てしまったようだね・・・・・・」

 

そう呟く私は膝の上で安らかに眠っている彼を見る。三年前に比べその顔は疲れ切り、やつれ顔色も青白くまるで幽霊のような感じだった

 

「やっぱり、例の噂は本当のようだね・・・・」

 

噂・・・・それは彼の体の中に巣くう一種の呪いのような物だ・・・だが、私にはどうすることもできない。私はただカンテレを引くだけしかできない

私は膝の上で寝ている彼の顔を見る。そして私は片手でカンテレを引いた

 

「義弘・・・・あなたは覚えていないかもしれないけど。私があなたにあったのは三年前じゃないのよ・・・・ずっと前に私と出会って。そしてこのカンテレと引き合わせてくれた。私の一番大事な人・・・・・」

 

そう小声で言うと、私は子供のころを思い出す。たまたま母と一緒に熊本に行ったときに、私は、大事なカンテレを無くしてしまい、見つからず泣いていた私に現れたのがそう・・・・君だよ義弘。

そして君はなく私を連れ一緒に私のカンテレを探してくれた。そしてカンテレは見つかったのだけど、弦は切れ、ボロボロの状態だった。

母が誕生日に買ってくれたカンテレがこんな状態を見て私はまた泣いてしまった。すると君は

 

「大丈夫。僕が何とかするよ」

 

そして君は私の手を引き。ある店に連れて来てくれた。それは少し古びた楽器屋さんだった。君は店の店長に私のカンテレを見せると店長さんはニコっと笑い。カンテレをもって店の奥へと入っていった。不安そうにする私を彼は『大丈夫だよ』と言ってくれた。そしてしばらくして店の店長さんが戻ってきて私にまるで新品のように直ったカンテレを渡してくれた

私は彼とお店の人にお礼を言い、お礼にカンテレを弾いた。カンテレは当時私は習ったばかりだったからあまりうまくなかったけど、それでも彼は喜んでくれたことに私は嬉しかった。

だが、彼に会ったのはそれっきりだった。あの後すぐに私は君と別れてそのまま君に会うことはなかった。

久しぶりに会ったのはその数年後・・・中学の時の練習試合でだった。

でも君は私のことは覚えていなかったみたいだ。その時は少し悲しかったことを覚えている・・・・

 

「・・・・あれ?」

 

そう言えば私がカンテレを弾いたのは小学生の時・・・初めて君に会ったあの日だけだ。でもさっき彼は・・・

 

『またお前の演奏聴きたくなったな』

 

また・・・・・もしかして彼は私があの時の女の子だということを覚えていたのかな?聞けばわかるかもしれないが今は彼を起こすのは野暮だ。私は膝の上に寝ている彼の髪をそっと撫でる。そして彼の寝顔に微笑み

 

「お休み・・・・義弘。そして・・・・死なないでくれ。君にはまだ聞かせたい曲がたくさんあるから・・・・・だからお願い・・・死なないでくれ」

 

私は彼に心からの言葉を贈るのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・あれ?ここは?」

 

あの後俺が目を覚ますとそこは校庭の庭では無く保健室だった。保健室の先生曰く誰かがここへ運んでくれたそうだ

俺はミカのことを思い出す

 

「夢・・・・だったのか?いや違う」

 

夢だと思ったが俺はすぐに違うと感じた。なぜなら彼女が弾き歌った歌がまだ耳の中に残っているからだった

 

「結局あいつは俺に何の用で来たんだ?」

 

ミカがなぜ俺に会いに来たのかは、最後まで分からなかったのだった・・・・・                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミカ。今までどこに行ってたの?私とミッコで探してたんだからね?」

 

小さな船の上でカンテレを引くミカに短い髪をツインテールにまとめた少女アキがそう訊くと

 

「古い友達に会いに行っていたのさ・・・・・」

 

「どんな友達?それにミカに友達なんていたの?」

 

「私だって一人や二人はいるさ・・・・・」

 

そう言いカンテレを引くミカ。そしてそのミカを見るアキは

 

「ねえ、ミッコ。なんかミカの様子おかしくない?なんか悲しそうっていうかなんか落ち込んでいるよね?」

 

「そう?いつもとおんなじに見えるけど?」

 

そう二人が話す中、ミカは空を見上げ

 

「(結局・・・彼を止めることはできなかった・・・・彼はきっと誰に言われても止まらずに進むだろうね・・・・それが呪われた一族と言われている高杉家の悲しき運命なのだろうか・・・・・彼が死の呪縛から解き放たれることに私はただ無力に祈るしかない・・・・)」

 

彼女は悲しい目で空を見上げカンテレを引く。その音色はまるで彼女の心を代弁するかのように悲しくまるで泣いているような音色であった・・・・・

 




ミカのセリフを書くのがすごく難しかったです
最終章第三話後編はハラハラドキドキしていたのは今でも覚えています
次回も頑張って書いていきたいと思います

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい
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