ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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西住流からの使者

雪が降る中、義弘とみほは一つ傘の下で自分たちの住む寮へと歩いていた。

 

 

「「・・・・・・」」

 

雪の降る中、二人はしゃべらず、無言のままだった。

正直言って気まずい雰囲気だった。それは二人も同じくなぜかもじもじしたり義弘は軽く頬を掻いたりとただ気まずさだけがあった

 

「「あ、あの!・・・・あ」」

 

この状況をどうにかしたいと思った二人は話しかけるが同時に声をかけて締まり声がはもってしまう。

 

「みほからいいぞ」

 

「ううん。義君から・・・・・」

 

と二人は遠慮してそう言うのだが、一向に喋らず、いっそう気まずい雰囲気になってしまう。そして義弘がやっと口を開いた

 

「も、もうすぐ寮だな・・・」

 

「う・・・うん」

 

他に何か言うことがあるんじゃないかと誰かが突っ込みそうなくらいの短い言葉。そしてみほも軽く頷く。そして二人はこの時思った。

誰かこの状況を動かしてくれはしないかと

 

「…あれ?」

 

と、不意にみほが立ち止まった、そのせいで少し先に進んでしまい、とりあえず傘をみほに向けて俺も戻る。

 

「みほ。どうしたんだよ?・・・・・ん?」

 

みほに隣に立ち、みほの視線の先を見ると寮の前に女性が一人、傘を差して立っていた。しかも和服姿で。だが俺はこの人を知っている

 

「菊代さん!」

 

と、みほは彼女に声をかけた。彼女は菊代さん。西住流の人でありみほの家のお手伝いさんだ。俺も小さい頃は世話になった・・・・・・いろいろと

そして菊代さんはみほに気づいたのか嬉しそうに近づき

 

「みほお嬢様、お久しぶりです。お部屋に居なかったので心配しました、お元気そうでなによりです」

 

「ありがとう、でも菊代さん、どうして大洗に?」

 

「ふふっ、お休みを頂きました、みほお嬢様をびっくりさせたくて内緒で来ちゃいました」

 

と、ニッコリと笑う菊代さん。ほんとと昔っからお茶目な人だよな。すると菊代さんは俺の方を見る

 

「それでみほ様…、そちらの方は?・・・・・はっ!もしかして?義弘君ですか?」

 

「うん!そうだよ。今は同じ学校なの」

 

「そうですか。三年前にいなくなって心配していたのですよ。それにしても立派に成長されて・・・・・背はあまりお変わりないですが」

 

「言わないでください菊代さん。気にしているんですから」

 

俺がジト目でそう言うも彼女はいつものように微笑んで

 

「そうですか・・・みほお嬢様と彼は同じ学校・・・・そうですかそれでは二人の仲は・・・ふふ」

 

「いや、何想像しているかわかりますけど、俺とみほは、もう昔の関係とは少し違いますから」

 

「あらそうですか?今も手をつないでいますけど昔はそこまでではなかったはずのような気がしますが?」

 

ニッコリと笑う菊代さん。俺とみほはいまだに手をつないでいることに築き慌てて手を放し照れた顔をすると菊代さんはまたも微笑む

この人はいつも微笑んでいるけど、逆にそれが怖いときがある。

よく言うだろ?笑っている人ほど怖いって・・・・

 

「みほお嬢様。よろしければ今夜のお夕飯。わたくしが作りましょうか?」

 

「本当!久しぶりの菊代さんのご飯、すごく楽しみ!」

 

と、みほは嬉しそうに言う。まあ菊代さんの料理は幼いころ食べたことがあるが本当においしい。一度食べたら絶対に忘れないほどうまい。これは断言できる

 

「義君もどうかな?菊代さんのご飯、とっても美味しいよ」

 

と、みほに誘われた。だが・・・・

 

「いや。今日は遠慮しておくよ」

 

「え?でも…」

 

「ちょっと自室でやること思い出したし、それにみほも菊代さんと積もる話があるだろ?ありがたい話だけどまた次の機会にするよ」

 

もったいないと思うが俺はその誘いを断った。別に菊代さんの料理が嫌いなわけじゃない。ただいまはみほと菊代さん二人っきりで話したいことがあるだろうし俺がいても邪魔だろう

 

「う・・・うん」

 

みほは残念そうに言うと菊代さんが

 

「…ところでみほ様は普段は自炊をしているんですか?」

 

「え?」

 

急にみほにそう質問をするとみほは少し目を泳がせて

 

「え!?も、もちろんだよ、菊代さん」

 

「本当にですか?まさか…コンビニのお弁当や冷凍食品、カップ麺で済ませている、なんて事はありませんよね?」

 

と、スマイルな顔でそう言う。ああ、やばいこの顔は怖いときの笑顔だ。小さいころ俺とみほが田んぼで遊んで泥んこで帰ってきた時と同じ顔だ。あの時は俺もみほも半泣きになったくらいだ

 

「あ!私ちょっと部屋片付けてもいいかな?ごめん、菊代さん、義君、ちょっと待ってて!!」

 

早口で捲し上げて伝えるとみほは慌てて部屋に向かった。いやみほ誤魔化すの下手すぎだろ。ほぼ菊代さんにはバレてるぞ

俺はちらりと菊代さんを見ると彼女は軽くため息をつき

 

「…コンビニ好きは続いてるみたいですね」

 

やっぱりバレてた・・・・

 

「ですがこの頃は、カレーとかシチューなんか作ってますよ。俺もおすそ分けもらいましたし」

 

「あら?そうなの?それでお味の方は?」

 

「美味しいに決まっていますよ。何より思いがよく伝わった味だったよ」

 

「そうですか」

 

とまたも微笑む菊代さん。そして俺は

 

「それで・・・・・・何しに来たんですか菊代叔母さん。あなたが、ただみほに会いたくて来たわけじゃないですよね?」

 

「ばれていましたか?」

 

「バレバレです。伊達にあなたの甥っ子じゃないんですから」

 

「甥っ子・・・ね。まだ私の甥っ子だと思ってくれるなんて嬉しいわね」

 

俺は軽くため息をつく。そう、この菊代さんは俺の母方の妹・・・・つまり叔母に当たる人だ。と言っても菊代さんが言うには生まれてすぐに養子に出されて母さんとはあまり話すことはあまりなかったという

俺も菊代さんが俺の叔母だと知ったのは祖父ちゃんが死んだ後のことだ

 

「・・・で、みほに会いに来た理由は?まあ、大体は予想は突いてるけどね。大方しほさんがみほさんが今回の試合で負けるようなことがあればみほと勘当・・・・西住家から縁を切られるなんて話じゃないんですか?」

 

「・・・・・」

 

「沈黙は肯定と捉えますよ」

 

俺が静かに目を細めそう言うと菊代さんは軽くため息をつき

 

「はぁ・・・・・お姉さまに似て勘が鋭いのですね・・・・そうですね。本来はみほお嬢様に先に言うべきですが。お答えします。ええそうです」

 

やはりか・・・みほが戦車道を始めてから・・・戦車倉庫で一年前のあのことを話したときから最悪なことを予想していた。だが、本当に実行するとは・・・・

 

「みほお嬢様の大洗での活躍。既に奥様もご存じです。それで今回の準決勝で負ければ西住流から勘当されます」

 

「それはもうみほに西住流の看板を背負わず自由に戦車道をやれという解釈でいいんですか?」

 

「え?」

 

「俺も伊達にしほさんのこと知らないわけじゃない。あの人が不器用な愛情を持つ人だということをね。大方他の古参の西住流がうるさいんだろ?みほのやり方は西住流とはかけ離れた向こうから見れば邪道なやり方。だからしほさんはみほが負ければ、流派から勘当し西住流の古い思想の連中から遠ざけ自由にやらせてあげたい。まあ彼女が勝ち続け、西住流の総本山ともいうべき黒森峰を倒せば、みほのやり方を認めさせることができる。文句を言わせなくすることができる・・・・・違いますか?」

 

俺は真剣な目でそう言う。しほさんは厳しく怖い表情をしているがまほ姉同様冷徹な人じゃない。人よりも何倍も情のある人であり優しい人だ。

ただ少しその表現が不器用なだけだ

俺の言葉に菊代さんは一瞬唖然とするが、すぐに笑って

 

「本当にあなたっていう子は、頭が切れやすい子ね・・・・奥様が本当にそう思っているかはわかりませんが、実は少なくとも私もそう思っています。あの人はあなたのお母さん同様、学生のころから不器用でしたから」

 

と、ふふと笑うと、やがて真剣な顔をする

 

「さて、みほお嬢様の件はそれくらいにして。次から本題に入りましょう」

 

「本題?」

 

「はい。実はみほお嬢様に勘当のことを言うのはついでです。本当は義弘・・・あなたに言うことがあるのよ」

 

「俺に言うこと?」

 

「私が何も知らないと思っているの義弘。ロスマン先輩からすでに聞いてますよ。あなたの体のことを・・・・肺血病についてのことを」

 

「・・・・・」

 

俺が黙って菊代さんを見ると菊代さんは

 

「義弘。これはロスマン先輩からの伝言でもあり、そして私はあなたの叔母としてあなたに忠告するわ。戦車道から身を引きなさい。これ以上戦えば本当に死んでしまうわ」

 

「・・・・・」

 

いつもの笑みはなくただ真剣な表情で俺に言う菊代叔母さん。そして外は少しだけ雪が降るのが強くなってきているのであった

 

 

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい
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