ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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雪の進軍歌

カチューシャらプラウダが高らかに歌う中、大洗学園の方もまた進軍していた

 

「Ob's stürmt oder schneit,Ob die Sonne uns lacht!!,Der Tag glühend heiß~♪」

 

その進軍する戦車の中にⅣ号の隣を走るパンターから歌声が聞こえた

それはドイツの名行進曲であり映画バルジ大作戦で歌われた

パンツァーリートであった。

そしてその歌を歌っているのはもちろんこの男、武藤義弘であった

パンターのキューポラから半身を出し、流暢なドイツ語で士気高らかに歌いだす

 

「 Es braust unser Panzer!!Im Sturmwind dahin.!!~♪」

 

黒い軍服に女性に似た中性的な顔立ち。そして軍帽から少しあふれる肩まで伸びる黒い髪が風でなびき

まるでその姿は戦女神ワルキューレのようだ

 

 

 

 

 

「う~冷える」

 

パンツァーリートを歌っている。義弘とは違いあんこうチームのⅣ号戦車の中では手袋をはめている沙織がそう呟いている 

 

「一気に決着をつけるのは、ある意味正解かもしれませんね」

 

「うん……………」

 

華の呟きに、みほは小さく答える。

 

そんな時、紙コップにポットのココアを注いだ優花里が、みほにその紙コップを差し出して言った。

 

「ポットにココアを淹れておきました。良かったらどうぞ」

 

「ありがとう」

 

みほはそう言って、差し出された紙コップを受け取ると、ゆっくりと口をつける。そんな中、みほは隣を走るパンターで歌を歌う義弘を見る

 

「どうかしたんですか西住殿?」

 

「え?ううん・・・義君があんなに士気高らかに歌を歌うなんて珍しいなって・・・・」

 

「黒森峰では歌わなかったの?」

 

「うん。いつもの義君は無言なの。それに眼付も氷のように冷たくってちょっと怖かった感じだったかな?それに・・・・」

 

「それに・・・なに?」

 

「ううん・・・多分。気のせいだと思う・・・・そう思いたい」

 

「え?」

 

みほの言葉に沙織は首をかしげる。そしてみほは義弘を再び見る。昔の義弘は普段は温厚で笑顔の絶やさない人間だが、戦車に乗る時はまるで抜身の刀のようにギラギラとしてそして冷静かつ戦術鬼才と言われていた。

それは大洗で再会した時も戦術については変わらなかったが、あんなにも陽気に歌を歌うことなんて一度もなかった。

そして今の義弘は何処か元気なく、やつれているようにみほは見えた

だがみほが思ったことはそれだけじゃなかった

 

「(あれは・・・・気のせいだったのかな?)」

 

先ほどみほが義弘を見た時、義弘にまるで死神のような黒い影のようなものがまとわりついているのを見た気がした。

 

 

 

 

 

 

 

「珍しいわね。あんたが歌を歌うだなんて、中学のあなただったら絶対にしなかったけどね」

 

歌を歌い終えた義弘に道子がインカムでそう訊く

 

「たまにはいいもんだよ。こういう大自然の中、戦車に乗って歌を歌うのも士気向上にもなるしな」

 

「なんでパンツァーリートかしら?もっと他に良い歌はなかったの?」

 

「戦車の歌と言えばこれだろ?なんだ? アンコウ踊りの歌か橙の幻想鄉音頭でも歌えばよかったか?」

 

「馬鹿言わないで?みんなドン引きするじゃないの。て、言うかあんた橙派だったの?」

 

「違う。俺はどっちかというと咲夜派だ。てか、どうでもいいだろ。そう言う道子はどうなんだよ」

 

「私は美鈴派よ。まあいいわ。それよりあんたがドイツ語を話せるなんて驚きだわ」

 

「ドイツに留学していたからな。そこで覚えた」

 

「なるほどね・・・・・それより義弘」

 

「なんだ?」

 

「あんたさっき咳もしていたし、本当に大丈夫なんだよね?顔色も悪いし」

 

「当たり前だ。じゃなかったら試合には出ないよ。ただ寒いのが苦手なだけだ」

 

「そう・・・ならいいわ。でも本当に無茶はしないでよね」

 

「ああ。心配してくれてありがとうな」

 

「仲間なんだし当たり前じゃない。それで単独偵察はしないの?」

 

「あの姉弟子のことだ。既に偵察を出してこちらの動きを察知しているよ。それに単独で行けばいかに足と攻撃防御の強いパンターでも雪上戦の強いやつらの思うつぼだ。囲まれてフルボッコにされるのが落ちだ。ここは相手さん自ら来るのを待つとしよう。最初は偵察車輛と見せかけて出てくるはずだからな」

 

「さすが、プラウダのやり方を知っているわね?」

 

「まあ、あの姉弟子なら最初の手はそうするだろうよ」

 

と義弘と道子はインカム越しでそう話していた

 

 

 

 

そんな大洗の戦車隊を、丘の上から双眼鏡越しに見つめる人影が2つ……………

 

『敵は全8輌、北東方面へ前進中。時速約20キロ』

 

それは、プラウダチームのメンバーの斥候員だった。

 

彼女等は稜線に伏せ、双眼鏡越しに見た大洗チームの様子をカチューシャに送っていたのだ。

 

「ふーん……………彼奴等、一気に決着を着けるつもりなの?それに単独偵察が好きなヨシーシャのパンターも一緒とはね・・・・・ヨシーシャらしくはないわね?そんな博打な戦法を取るなんて・・・・・まあ、いいわ。ノンナ!」

 

そんな中、1人軽食を摂っていたカチューシャは、偵察に出た2人からの報告を受け、ノンナに呼び掛ける。

 

「分かってます」

 

それに淡々とした調子で答えると、ノンナは他のチームメイト達へと視線を送る。

 

「Да!」

 

その視線に、既にT-34/76に乗り込んで準備を済ませていた1人のメンバーが答えると、他2輌のT-34/76を引き連れ、出撃していった。

 

「それじゃ、私達も行動を開始するわよ。姉弟子の強さを弟分に見せつけてやるんだから」

 

そして軽食を食べ終えたカチューシャは残りのメンバーへと呼び掛け、彼女等の作戦を開始しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

再び視点を移し、大洗チーム。

 

現在彼女等は、雪の丘を上ろうとしていた。

 

「服部さん。足掬われないように気を付けろよ?」

 

「はい。任せてください」

 

そう言い服部はパンターのアクセルを踏み込み、一気に丘を駆け上る。

それに続くかのように、大洗の戦車も丘を上っていくが、そんな中で、カモさんチームのルノーb1が上手く上れず、苦戦していた。

 

「おい、そど子。何をしている?モタモタしている暇は無いぞ?」

 

それを見た桃が、みどり子のチームへと呼び掛ける。

 

「ゴモヨ!前に進むのよ!?」

 

「進んでいるつもりなのよ、そど子」

 

上手く坂を上れず、ゴモヨは半泣きになっていた。

それを見たみほが、一旦後退するように指示を出し、b1が坂の麓へと下がる。それを見かねた冷泉がⅣ号を降りてb1に乗り、代わりに操縦をして助けたりもした。

 

「ありがとう!」

 

「何余計なことしているのよ!」

 

「・・・・気にするな」

 

ゴモヨが冷泉に礼を言うがそど子は否定的に言うが冷泉は相手にせずふっと笑う。それから一行はみほの指示を受け、進撃を再開するのであった。

そして目の前に大きな雪の壁が現れると

 

「華さん、前の雪を榴弾で撃ってくれる?」

 

「分かりました」

 

みほの指示に華が答えると、優花里がすかさず、榴弾を装填する。

華が引き金を引くと、激しいマズルフラッシュと共に撃ち出された榴弾は、前方の雪の壁へと吸い込まれていき、一瞬、その雪の壁にめり込んだかと思えば爆発して雪の壁を粉微塵に吹き飛ばし、大洗の戦車隊が通れる程度の道が出来た。

 

その道から、大洗の戦車隊が進撃を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

「奥様!撃ったのはお嬢ですよ!」

 

その様子を観客席から見ていた新三郎は興奮気味に言い、拍手を送る。

 

「華を活ける手で、あんな事を……………それに砲弾の無駄遣いですわ」

 

「え?奥様。今何と・・・・?」

 

「いいえ。なんでもありませんわ」

 

と軽くため息をつく百合に新三郎は首をかしげる

 

 

 

 

そして他の観客席では

 

「さてと・・・・二人の愛弟子・・・・どちらも今までの教え子の中で優れた戦術の才能の持ち主だけど。どっちが勝つかしらね・・・・」

 

同じく試合を見に来たカチューシャや義弘の師であるロスマンもこの試合を見に来ていた。そして空を見上げ

 

「これは・・・激しい嵐がきそうね」

 

と呟くのであった

 

 

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい
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