ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~   作:疾風海軍陸戦隊

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雪の戦場にあんこうたちは踊る

みほは義弘にある提案をし、義弘は頷く。そして義弘はパンターから持ってきた三味線を手に持ち、みほはみんなの前に立ち、そして義弘はみほの一歩後ろに立ちしゃがむ

 

「みぽりん?」

 

「みほさん?」

 

「西住殿?」

 

「西住さん・・・武藤さん。何をしているんだ?」

 

彼女らの前に立つ二人に皆は首をかしげる

 

「に、西住に武藤………………一体、何を…………?」

 

いきなりの事に戸惑いを隠せない河嶋が、おずおずと訊ねる。義弘は振り向くと軽く微笑み、みほの方を向いて言った。

 

「みほ・・・・やるぞ?」

 

「うん。お願い義君」

 

義弘がそう微笑んで言うとみほは頷き返す。そして義弘は三味線を弾き始める。そしてその演奏とともにみほは踊り始めた

 

 

 

 

あんこう踊りを

 

 

 

 

 

「み、みぽりん!?」

 

「あの恥ずかしがりなみほさんが、まさかあんこう躍りを………………それも、自ら………………」

 

引っ込み思案で、聖グロリアーナ戦でアンコウ踊りの内容を知ったとき真っ赤になって恥ずかしがっていたのとは違い、今みほは自ら率先して、しかも1人で踊っていると言う様に、沙織と華は驚愕で目を見開いている。

 

「西住殿、皆を盛り上げようとしているのですね………………」

 

「やり方は兎も角としてな………………」

 

優花里の呟きに麻子がツッコミを入れるが、それでも表情は優しげなものになっていた。

 

「良し!私達もやろう!」

 

「ええ!」

 

そうして、先ずは沙織と華が、その次には優花里と麻子が加わり、何時の間にか、大洗チームの全員があんこう躍りを踊っていた。

 

 

 

 

 

 

観客席

 

「………………」

 

「お、お嬢が………………」

 

その頃の観客席エリアでは彼等の躍りがモニターで流れており、百合は顔を青くし頭を抱え、新三郎は驚きのあまりに言葉が出なくなっていた。

 

「これは・・・・・・」

 

「あら、懐かしいわね…あの踊りまだ続いていたのね・・・・・ねえしほ?」

 

「・・・・・・」

 

ロスマンがしほの方を向いて微笑んでそう言うとしほは顔を青ざめモニターを見る

 

「もしかして‥‥思いだしたかしら?」

 

「な、何のことでしょう?」

 

「大洗に来て初めての練習試合で聖グロリアーナに負けて、翔子たちと一緒にあんこうおど・・・・」

 

「先輩…お願いですからこれ以上何も言わないでください・・・・本当にお願いします」

 

「そう?私にとってはいい思い出なんだけどね?」

 

嫌な思い出でも思い出したのだろうかしほは苦い表情でロスマンに言うがロスマンは若干楽しそうな表情だった

 

「(お母様の過去にいったいなにが・・・?)」

 

二人の会話を聞いているまほは母であるしほの過去に何があったのか疑問に思うのであった

 

「武藤お兄ちゃん・・・・三味線弾けるんだ」

 

「あらあら・・・・」

 

他にも、愛理寿や千代が唖然としつつも、何処か楽しそうな表情で見ていたり

 

「………………」

 

「あらあら………これは正にハラショーですわね………」

 

小高い丘陵の上では、唖然としているオレンジペコの隣で、ダージリンがそう言ったり

 

「これはなかなか面白い踊りだね」

 

「そう?」

 

ミカがカンテレであんこう音頭を引きながらそう言うがそうは思わないアキが首を傾げたりと、観客席での反応は様々なものであった

 

 

 

 

 

 

その頃、場所は戻って廃教会では大洗メンバーが全員であんこう音頭を踊り、半ばお祭り騒ぎになっていた。その時の彼女たちは、先ほどまで意気消沈していたその姿はもうなく、とても楽しそうに踊っていた

 

「あ………………あのぉ!」

 

『『『『『『『『『『『ッ!?』』』』』』』』』』』

 

其所へ突然、大きな声が割り込んでくる。

水を注された一行が躍りを中断して声の主の方へと向くと、3時間前にカチューシャからの伝令として、降伏を勧告しに来たプラウダの生徒が1人、入り口に立っていた。

 

「ん?どちらさん?」

 

「ああ、武藤達は知らないだろうな………………まぁ、彼女は見ての通り、プラウダチームの1人だ。恐らく、勧告の返事を聞きに来たのだろう」

 

「ああ、カチュ姉のところの・・・・」

 

河嶋の説明に義弘が納得した表情を見せるとプラウダの生徒は

 

「もうすぐタイムリミットです、降伏は?」

 

「しません、最後まで戦います」

 

プラウダ校の生徒の問いにみほは迷う事なく返事を返した。

 

「それと…カチューシャさんに伝えて下さい」

 

「なんでしょう?」

 

「義君は…渡しません・・・・と」

 

試合前のおどおどした雰囲気とはうって変わって大声で言ったみほに、プラウダの生徒は目を見開くが、直ぐに表情を戻した。

 

「・・・・・・・・・分かりました。では、そのように伝えておきます」

 

そう言って、プラウダの生徒がプラウダの野営地に戻ろうとした時だった。

 

「ああ。君ちょっといいかな?」

 

「な、なんですか?」

 

「カチュ姉・・・・プラウダの隊長さんに伝えたいことがあるんだがついでに良いか?」

 

「は、はぁ………………まぁ、お伝えしておきましょう」

 

「よか。俺からは『雪の上で常に白熊が勝つとは限らない。せいぜい狼にその喉を嚙み切られないように注意しろ』・・・・そう伝えておいてくれ」

 

「分かりました」

 

その意味が何なのかわからずプラウダの生徒は首をかしげながらプラウダの野営地に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

プラウダ陣営

 

「…で、土下座?」

 

そろそろ降伏勧告から三時間、睡眠をとっていたカチューシャはノンナに起こされまだ少し寝ぼけている。

 

「いえ、降伏はしないそうです」

 

「ふーん…そう、待ったかいがないわね」

 

だがノンナからのその報告に面白くなさそうに目をこするとすぐに気持ちを切り替えた。

 

「なら、さっさと片付けてお家に帰るわよ」

 

「では…」

 

「ちゃんとあいつらにも伝えたはずよ、降伏しなければ今度は容赦しないって」

 

プラウダ側からすれば勝てた状況であえて見逃してあげたのだ、これ以上はあのフラッグ車以外を全滅させる宣言を守る必要はない。

 

「さっさとフラッグ車やっつけて終わりにしてやるんだから」

 

ならばここからは本気だ、大洗のフラッグ車を狙い撃ちにしてやる。

 

「向こうは我々を偵察していたようですが編成に変更は?」

 

「必要ないわ、あえて包囲網の中に緩い所作ってあげたんだから、奴等はきっとそこをついてくる」

 

この三時間の間に大洗がこちらを偵察にくる事くらいはカチューシャも予想していた、その為の罠は最初から用意してある。

 

「ついたら挟んでおしまいね」

 

「上手くいけばいいんですが」

 

「カチューシャの立てた作戦が失敗する訳ないじゃない!それに第2の策でフラッグ車狙いに来ても隠れてるかーべーたんがちゃんと始末してくれる」

 

フラッグ車の護衛にはKV-2を設置した、先ほどたった一発の砲撃で大洗を窮地へと追いやった重戦車だ。

 

「用意周到な偉大なるカチューシャ戦術を前にして、敵の泣きべそかく姿が目に浮かぶわ」

 

意地悪く微笑むカチューシャだがふと気になったのかノンナに尋ねた。

 

「そう言えばヨシーシャのことはどうなの?」

 

弟分をこちらに引き渡すかどうかの要求についてノンナに訊くと

 

「大洗の隊長は。武藤さんを引き渡さないと言っておりました」

 

「・・・・・・そう」

 

その報告にカチューシャは少しだけ寂しそうな表情を見せた。

 

「・・・・まあ、ギリギリ合格かしらね」

 

「え?」

 

「なんでもないわ!さっさと終わらせるわよノンナ!」

 

そう言い立ち上がると、ノンナは思い出したのか

 

「ああ、それとですが、武藤さんからの伝言があるとの事です」

 

「ヨシーシャから?なんて?」

 

「はい『雪の上で常に白熊が勝つとは限らない。せいぜい狼にその喉を嚙み切られないように注意しろ』・・・・とのことです」

 

「っ!?」

 

その言葉に少し驚くカチューシャ。だガ、ニヤリと笑い

 

「へ~イッチョ前にそう言う生意気なこと言うようになったのねヨシーシャは・・・・・いいわ。お望み通りに私も一切容赦はしないから」

 

と、ギラリと目を光らせるのであった

 

 

 

 

 

 

 

「………………以上が、『ところてん作戦』の内容です。では、戦車に乗り込んでください!」

 

『『『『『『『『『『『『はいっ!』』』』』』』』』』』』

 

みほの一声で、メンバーが続々と戦車に乗り込んでいく。そして丘の上に戦車を止めていた義弘やエレーナ達は後かたずけを終えて自分達の戦車の元へと走って向かっていく。

 

「んじゃ、俺も戻るとしますかね」

 

そう呟きながら、義弘は廃教会を後にしようとしたのだが

 

「武藤君」

 

「ん?」

 

と、そこで角谷会長に呼び止められる

 

「どうしたんですか角谷さん?」

 

「ありがとね。こんな私達を信じてくれて………………それから、ゴメンね。利用するような事しちゃって」

 

何時ものような、掴み所の分からない大物感が引っ込み、若干しおらしさを感じさせるような声色で言って、頭を下げる。それを見た義弘は

 

「謝る必要はありませんよ。それどころか感謝しているくらいですよ」

 

「え?」

 

「あなたのおかげで俺はまた戦車道をすることができた・・・・みほと再会してこうして戦車道をすることができた。だから俺は心の底からあなたに感謝しているんですよ」

 

「武藤君・・・・」

 

「ですからここまで来たからには優勝しましょうや。みんなで優勝旗を掲げて‥‥‥ゴホッ!!ゴホッ!!ゴホッ!!」

 

そう言いかけた時、武藤は苦しそうに咳をしハンカチで口を押える

 

「武藤君。大丈夫?」

 

それを見た角谷が少し驚いて彼に訊くと・・・

 

「だ、・・・大丈夫です・・・・では俺はそろそろ戻ります。試合後また話しましょう」

 

そう言い義弘は教会を出て行った。すると彼のポケットから先ほど口を覆っていたハンカチが落ちる

 

「武藤君、落としたよ」

 

そう言うが武藤は彼女の声が聞こえなかったのか、そのまま行ってしまった角谷は試合が終わったら返そうと思い、地面に落ちた彼のハンカチを拾う。

 

「・・・・・っ!?」

 

だが角谷は見てしまった。そのハンカチが血で赤く染まっていたことに、そして角谷は再び義弘のいた方を向き

 

「武藤君……君ってもしかして・・・・」

 

 

 

 

その後、試合が再開されることになった。だがそれは再び死の狂騒曲が再び演奏されることになるとはまだ誰も知らない・・・・・

義弘は生存させる?

  • 生存しない
  • 生存させる
  • 生存するが長くは持たない
  • 死ぬが転生する
  • どっちでもいい
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