ガールズ&パンツァー~黒森峰からやってきた狼~ 作:疾風海軍陸戦隊
生徒会チームの獅子奮迅の活躍により無事に敵の包囲網を突破した大洗チーム。しかし一両で敵に立ち向かった生徒会チームの38tは撃破されてしまった
『いやぁ~、ゴメンね~。2輌しかやっつけられなかった上にやられちゃった~。後頼むね~』
その頃、反転するための場所へと移動している大洗本隊、あんこうチームには、角谷からの通信が入っていた。
「分かりました、ありがとうございます」
『後は頼んだぞ、西住!』
『お願いね!』
みほが礼を言うと、桃と柚子からの激励も入った。
「此処を脱出します!全車、あんこうについてきてください!」
『『『『『『『はいっ!!』』』』』』』
みほの指示に、その場に居る全チームからの返事が返され、速度を上げていった。
「麻子さん、2時が手薄になっています!一気に振り切って、この低地を抜け出すのは可能ですか!?」
「ああ、一応出来る。だが、かなりキツめに行くぞ………………」
みほの質問に、麻子は即座に答える。
「大丈夫です、やってください!沙織さん、他の戦車に伝えて!」
「わ、分かった!」
そう答え、武部は他の戦車に通信を入れた。
「あんこう、2時の方向に転回します!フェイント入って難易度高いです!頑張ってついてきてください!」
『了解ぜよ!』
『かなりキツいって~、大丈夫なの?』
『大丈夫!やるっきゃ無い!』
『マッチポイントには未だ早い!気ィ引き締めて行くぞ!』
『『『オオーーーッ!』』』
『頑張るのよ、ゴモヨ!』
『分かってるよ、そど子』
武部の指示に、其々のチームのメンバーからの返事が次々に返され、大洗本隊は急激な方向転換を行う。
「何なのよ彼奴等?チマチマと軽戦車みたいに逃げ回って……ッ!」
その頃、追撃していたプラウダの本隊では、先頭を走るT-34/85のキューボラから様子を見ていたカチューシャが逃げる大洗の様子にイラつきながら呟いた。
「こうなったら………………機銃曳光弾!主砲は勿体無いから使っちゃ駄目!」
インカムに向かって叫ぶと、追撃していた本隊のT-34の軍団が、一斉に曳光弾を撃ちまくる。その瞬間、プラウダの戦車から激しい機銃音が鳴り響いた
「ッ!?」
自分達の遥か上から飛んでいく曳光弾の軌跡を視界に捉えた。この機銃弾は戦車を撃破するのではなく曳光弾による光で大洗の戦車を目視しようとしたいわゆる照明弾として上空に向かって撃っていた
それを見たみほは、直ぐ様カモさんチームのそど子に通信を入れた。
「カモさん!後ろから来るプラウダの戦車は何輌見えますか!?」
『えっと………………全部で6輌です!』
その通信に間を入れず、そど子から返事が返される。
「その中にフラッグ車は見えますか!?」
『見当たりません!恐らく、さっきの廃村に居るままだと思います!』
「了解しました。カバさん!前方の丘を越えたら、あんこうと隠れて、敵をやり過ごしてください!相手の主力が居ない内に、敵のフラッグ車を叩きましょう!」
『心得た!』
みほがカバさんチームに通信を入れると、エルヴィンから返事が返される。
「ウサギさんとカモさんは、アヒルさんを守りつつ逃げてください!この暗さに紛れるよう、出来るだけ撃ち返さないで!」
『『『はい!』』』
作戦を伝えると、大洗の戦車は丘を上っていく。Ⅳ号とⅢ突は、その丘を上り終えた直後に曲がって、両サイドの影に隠れる。
残りの3輌は前進していき、後からプラウダ本隊がやって来ると、両サイドに隠れた2輌の事に気づく事無く、フラッグ車である八九式を追う。
「追え追えーッ!」
フラッグ車を追い、撃破する事に集中しているカチューシャはそう叫ぶが、違和感を覚えたノンナが声を掛けた。
「カチューシャ、敵戦車が2輌程見当たりません。それに・・・・」
「そんな細かい事はどうだって良いわ!兎に角彼奴等を永久凍土の果てまで追い回すのよ!」
ノンナはあの戦車の中に一番警戒するべき義弘のパンターの姿が見えないことに気づきカチューシャに注意をしようとしたのだが、カチューシャは、完全に頭に血が昇って冷静さを失い、その忠告など意に介さず、ただフラッグ車を追い回せと叫ぶのであった。
その頃、反転して先程の廃村へと向かっているⅣ号とⅢ突では、みほがキューボラの上に立ち、周囲を見渡していたが、直ぐに車内に戻ると、秋山に声を掛けた。
「優花里さん、もう一度偵察に出てくれる?」
「はい!お任せください!」
そう答えるや否や、秋山は装填手のハッチを開くと、走行中のⅣ号から勢いよく飛び降りて着地すると、みほ達に手を振り、廃村エリアを見渡した。
「何処か、高い所は………………あ、彼処なら!」
その時、少なくとも廃村エリア一帯を見渡せそうな建物を視界に捉え、秋山はその建物へと駆け寄り、大急ぎで階段を上り始めた。
そして、大洗の3輌を追っているプラウダ本隊でも、勝負に出る準備が整いつつあった。
『遅れてすみません!IS-2、只今帰参です!』
そう、現在のプラウダ戦車隊では最も高い火力を誇り、ティーガーの前面装甲もぶち破る強力な122ミリ砲を搭載した重戦車。IS-2スターリン重戦車が本隊に合流したのだ。
「来たーッ!ノンナ!代わりなさい!」
「はい」
待ち望んでいた味方の到着に、カチューシャは歓喜の声を上げ、ノンナに搭乗車両の交代を指示する。プラウダの砲手であるノンナと破壊力のあるIS2。この両者が合わさることによりまさに最強の戦車が誕生するのだ
カチューシャの指示通り、IS-2に乗り移ったノンナは砲手の席に座ってスコープを覗くと、直ぐ様引き金を引く。
轟音と共に放たれた122mm砲弾は、八九式の直ぐ隣に着弾し、八九式は大きく揺れる。
「「「「うわぁぁぁあああっ!!?」」」」
その大きな振動に、車内は軽く混乱する。
「な、何なのよアレは!?反則よ!校則違反よ!」
IS-2の威力を間近に見たみどり子がそう叫ぶ。
「あわわわわわっ!!?どうしよう~~!?」
その振動が伝わったのか、M3操縦手の坂口が悲鳴に近い声を上げる。
「私達の事は良いから、アヒルさんを守ろう!」
「そうだよ桂利奈ちゃん!頑張って!」
「ッ!よっしゃーーッ!!」
そんな桂利奈をあゆみと優希が励ますと、桂利奈は力強く答え、八九式を守れるよう、自らの車体を盾にするのであった。
そんな追いかけっこが繰り広げられている中、その様子を遠くから見ている戦車があった
「IS2か・・・・・あんなのを喰らったらひとたまりもないな」
それは義弘の乗るパンターそしてエレーナの乗るBT7だった。
「・・・で、篠原。お前の腕でIS2の砲弾は迎撃可能か?」
「何を変なことを言っているのよ。風の音と風向きが分かれば可能よ。しかも向こうはご丁寧なことに機銃曳光弾で明るくしてくれているおかげで見えやすいわ」
砲手レンズでIS2を見る篠原は武藤の言葉にそう答える。
「みほたちはあの廃村でフラッグ車を見つけて三突とともに撃破する・・・・だが、その前にあのIS2にアヒルさんが撃破されたらたまらんな・・・・・・・篠原。久しぶりにあれをやるか?」
「あれですか・・・・まあ狙撃に比べれば相手の集中を削ぐことができるわね?それよりも本気?」
「ああ。あの伝令の子に言った通りイッチョ暴れて白熊共の首元に噛みついてやるか?」
俺がそう言うと篠原たちは頷く。すると
『предположение・・・・・なら、わたしたちはIS2や傍にいる二両のT34/85にちょっかい出してアヒルさんが撃破できないようにします』
「すまないがお願いできるか?」
『Без проблем・・・大丈夫です。雪上の戦車戦はロシアの戦車乗りにとっては十八番です。奇麗に舞って見せます』
「よっしゃ。じゃあ・・・・・・・行くぞ」
そう言い、義弘は軍帽を深くかぶりそして、笑うのであった。
一方、あんこう、カバさんチームは廃村でプラウダのフラッグ車を発見し、それを追いかけていた。途中でフラッグ車の護衛であるKV-2重戦車に出くわしたが、五十鈴がKV-2のウィークポイントを狙い撃ちしてこれを撃破した。あとはフラッグ車を撃破するだけだったが・・・・・
『カモチーム撃破されました!アヒルさんチームの皆さん、健闘を祈る!!』
「あとはアヒルさんだけだよ!!」
「…うん」
だが、向こうもウサギさんチームとカモさんチームがやられ、これでフラッグ車の防衛は居なくなってしまった。
「義君・・・・・」
みほが小さく呟いた瞬間。風が吹いた
「え?」
その風にみほは少し驚いた
「どうしたのみぽりん?」
「ううん・・・・なんでもない」
実はそう言い敵フラッグ車に集中する。だがみほには聞こえた。風に交じって狼の遠吠えが聞こえたのを・・・・
「あと一つ…」
フラッグ車の盾となっていたカモチームのルノーを撃破したノンナはそのままアヒルさんチームの八九式を狙う。
ノンナだけではない、カチューシャも、クラーラも、プラウダの車両が次々と八九式に砲撃を放っていく。
「もうダメかもぉ…」
「泣くな!涙はバレー部が復活したその日の為にとっておけ!!」
そのあまりの状況に弱音をはいてしまう佐々木をキャプテンの磯辺は鼓舞する。
「大丈夫!こんな砲撃、強豪校の殺人スパイクに比べたら全然よね」
「そうね…、でも今はここが私達にとっての東京体育館、あるいは代々木第一体育館!!」
「「「「そーれそれそれそれ!!」」」」
再び気合いを入れ直したバレー部の彼女達はプラウダの砲撃の嵐から孤軍奮闘逃げ回る。だが、走り回る八九式をと絶えたノンナは引き金を引いたそしてはなたれた122ミリ砲は八九式の方へと飛んでいく。
だが砲弾は八九式に当たる寸前で爆発した
「「「っ!?」」」
突然の砲弾の爆発にノンナはおろかカチューシャも驚いた
「(信管異常?・・・・・いや違う。何かに迎撃された?そんなはずは・・・)」
ノンナが原因考えたその瞬間、突如暴走族のラッパの音が鳴り響き、BT7が飛び出してきた
「行くわよ天野!樋口!」
「合点!!エレーナの姉貴」
「おっしゃーど派手に行くぜ!バカヤロッ!!」
エレーナの言葉に二人は返事をし、そして彼女の乗るBT7は早い速度でアヒルを狙っていた先頭にいるIS2と両脇にいるT34/85に向けて40ミリと機銃を撃ちあたりをぐるぐる回りながら挑発し始める
「なんなのよ!あの快速戦車!!鬱陶しいわね、払いのけなさい!!」
『(はい、カチューシャ様)』
カチューシャはすぐに周りの車両に指示を送る、真っ先に動いたクラーラが砲撃を放つがBT7はすらりスラリと躱す
「何なのよ・・・・っ!?」
カチューシャは忌々しげにBTを見るがすぐに何か気づいた
「(そう言えば、ヨシーシャがいない・・・・・)
先ほどノンナが言いかけたこと、それは義弘の乗るパンターの姿が見えない。そのことを思い出しさらに義弘が言った言葉を思い出した
『雪の上で常に白熊が勝つとは限らない。せいぜい狼にその喉を嚙み切られないように注意しろ』
「・・・・まさか!?」
カチューシャがそう言った瞬間、カチューシャの隣にいたT34が撃破された
「っ!?」
カチューシャが驚くと、風が大きく吹き荒れる。その瞬間どこからともなく狼の遠吠えのような風音が聞こえた
カチューシャがその聞こえた方向を見るとそこには一両の戦車がこちらへと向かってきた。それは義弘の乗るパンターだった
だが、カチューシャにはそれが戦車には見えなかった。白熊の群れに立った一匹で襲い掛かってくる黒い狼に見えた
「ヨシーシャ・・・・上等じゃないの!!ノンナたちはあの快速戦車を叩きなさい!他の車輛はあのパンターを叩き潰しなさい!」
『『『『『『『『『だ、Да!!』』』』』』』』』」
チューシャの指示で、他のT-34の軍団が、一斉に砲口を向けさらに義弘の乗るパンターもT34軍団に向けて砲口を向けるのだった・・・・・・
その瞬間、風は激しく吹き、それはさながらこの戦いに相応しいような協奏曲のような荒々しい音色であった
義弘は生存させる?
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生存しない
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生存させる
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生存するが長くは持たない
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死ぬが転生する
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どっちでもいい