甘兎の千代子さん   作:赤山グリテン

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お世話になります。

リゼ、千夜、チョコはパーティー会場に向かいます。
パーティーイベントがスタート、夢の始まりです。
2018年2月号(単行本第7巻第6話)をお読みになり、対比させると、もっと楽しめます(知らなくても楽しめます)。

それではお楽しみいただけるとありがたいです。
(今回も途中で終わります。ご容赦下さい)


第15羽 Call Me Sister(その2)

―パーティー当日、甘兎庵にて―

 

リゼ「チョコ、千夜、迎えの車が来てるから、一緒に乗って行こう」

 

チョコ「あれ、リゼ先輩は着替えてないんですね」

 

リゼ「ああ、私は現地でいろいろやることがあるからな」

 

チョコ「それと千夜ちゃんも甘兎庵の着物姿で行くんですね」

 

千夜「お嬢様学校のパーティーのうち、進級記念パーティーは、甘兎庵が共催・後援してるの。今回は私も会場スタッフの仕事があるのよ」

 

チョコ「さすが若社長、すご〜い」

 

リゼ「ともかく、二人共、準備はいいな!」

 

千夜「ええ、OKよっ」

 

チョコ「よろしくお願いします、リゼ先輩!」

 

―甘兎庵前―

 

千夜「黒塗りのリムジンが止まってるわ」

 

運転手「天々座様、宇治松様、相須様、お待ちしておりました…。どうぞ」

 

ガチャ(リムジンのドアを、運転手が開ける音)

*運転手は開けたドアを持ち、そのまま待機している

 

チョコ「なんか凄い。こんな大きな車乗ったことないよ」

 

リゼ「この車だぞ。さあ、乗った乗った」

 

*リムジンに乗り込む3人。パーティー会場へ向けて出発。

 

チョコ「走行音がほとんどしない。静かな車ね。私しあわせ〜」ニコ

 

リゼ「運転手とは防音ガラスで仕切られているから、プライバシーは保てるんだ」

 

千夜(私も、こんなリムジンに乗る女社長になるわっ!)

 

リゼ(チョコが喜んでる。チャーターした甲斐があったぞ)

 

リゼ「このまま車を会場の正面玄関につける。チョコはここで降りて、会場で受付してくれ」

 

チョコ「わかりました。リゼ先輩と千夜ちゃんは?」

 

リゼ「私と千夜は裏方の仕事があるから、裏の通用口からスタッフとして入る。チョコは単独行動になるけど、きっと楽しめるはずだ」

 

千夜「私も今は甘兎庵の和服だけど、挨拶が終わったら、『きぐみん』のきぐるみで出るわよ」

 

リゼ「みんな仮装するから、誰だか判らない出席者もいるぞ。私も変装するから、チョコは私の所在を探しだせるかな?」

 

チョコ「はい、リゼ先輩の挑戦は受けましたよ」ニコ

 

チョコ「千夜ちゃん、ちょっと心細いけど楽しんできます!」

 

千夜「毎回、お祭り騒ぎになるわ。絶対おもしろくなるわよ、期待してね!」

 

リゼ「そろそろ正面玄関に到着だ」

 

 

―パーティー会場(木組みの街内、とある高級ホテル)、正面玄関―

 

ガチャ(玄関で待機しているガードマンが、外からリムジンのドアを開ける音)

 

*玄関に横付けされたリムジンから降りるチョコ

 

リゼ「悪いが、チョコ、あとは楽しんでくれ。チョコが知ってるOBも来るからな…」

 

千夜「チョコちゃん、またお会いしましょう」

 

チョコ「はい、リゼ先輩、千夜ちゃん」

 

ホテルマン「お嬢様学校進級記念パーティーのお客様ですね、会場へご案内します…」

 

*リムジンはホテルの裏の通用口へ

 

リゼ「じゃ、千夜、始まるまでに私のコーディネートも頼む」

 

千夜「ええ、リゼちゃんには、チョコちゃんも恥じらう素敵なプログラムを用意してるわ…」

 

・・・・・・・・・・・・

 

リゼ「ここの部屋が私個人で借りた、同じホテル内の楽屋部屋だ」

 

千夜「ドレッサーとか必要な調度品は一通り揃っているわ。私とリゼちゃんで使っていいのね。」

 

リゼ「ああ。私と千夜専用だぞ。会場には誰にも知られず、エレベーターで直行できる」

 

千夜「リゼちゃん、こんなに積極的になるなんて、やっぱりチョコちゃんを…」

 

リゼ「そ、そんなんじゃないぞ」カァァ

 

千夜「この前、ココアちゃんに相談受けちゃったの」

 

リゼ「え?」

 

千夜「リゼちゃんにお嬢様学校の制服着せられて、下着姿のリゼちゃんをもふもふしちゃったって」

 

リゼ「………」

 

千夜「さらにその現場を見たチノちゃんから誤解されて、何日も無視されちゃったって困ってたわ」

 

リゼ「…ココア、千夜には喋っちゃったんだ…」

 

千夜「チノちゃんに何かあると、ココアちゃん、黙っていられなくなるの」

 

千夜「今回はショックが大きすぎたわ。リゼちゃん、ココアちゃんを責めないで」

 

リゼ「………(千夜とココアは親友同士だよな。話してあたりまえか)」

 

千夜「ココアちゃんとチョコちゃんってそっくりで、リゼちゃんは区別がつかないでしょ」

 

リゼ「う…」

 

千夜「リゼちゃんは、ココアちゃんをチョコちゃん代わりにしたんじゃないかなって」

 

リゼ「ココアやチノには悪いことをしてしまった…」

 

千夜「でもそのことは、他にはシャロちゃんも含め、誰も話してないわ。安心してね」

 

リゼ「スマン、私どうかしているのかも。欲望が出てきてしまうんだ…」

 

千夜「その欲望のためにここまで努力してきたんでしょ。今我慢しちゃだめよ」

 

リゼ「ああ、そのために、千夜にお願いしたんだったな…」

 

千夜「リゼちゃんは、自分より小さいもの可愛い物を対象にしたり、興味があるの」

 

リゼ「ああ、逆に、自分より大柄な人から子供扱いで撫でられると、普通は恥ずかしさで逃げ出したくなる程、嫌になるんだよな…」

 

千夜「チョコちゃんはリゼちゃんより小柄で小さいから、チョコちゃんの魅力に惹かれちゃったのね」

 

リゼ「そう…なのか」

 

千夜「さらにチョコちゃんは背はココアちゃんくらいなのに、お姉さんオーラが凄いから、リゼちゃんはチョコちゃんに甘えたくなっちゃったのよ」

 

リゼ「チョコは見た目はココアなのに、そこがココアと大きく違うんだよな」

 

千夜「妹属性で可愛い子は自分より小さく可愛い、お姉さん属性がある人は自分より大きいことが多いから、今までそういうことが無かったのよ」

 

リゼ「そ、そういうわけなのか?…」

 

千夜「確かにチョコちゃんは珍しいタイプね」

 

リゼ「こんな気持ちになったのは初めてだけど、どうにも止められないし、いつも夢に出てくるんだ…」

 

千夜「その夢を本当にするお手伝いを、これからやってあげる。チャンスは今日1日だけだけど、夢を叶えてね、リゼちゃん」ニコッ

 

リゼ「ありがとう、千夜」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

*パーティー開始

 

凛「私が今回、このパーティーの司会を仰せつかりました、OBの真手 凛です…」

 

パチパチパチ…

 

チョコ(本当に仮装パーティーだよっ。人数も多いし。あと凛さんはここのOBだったんだ…)

 

凛「…今夜は厳しい校則や世間体などから皆さんの欲望を開放し、無限に発散して日頃のストレスを解消してください…このパーティーは先輩後輩のしがらみも無く無礼講ですから、我慢は禁物です」

 

チョコ(そういうわけなのね。すごいパーティー…)

 

凛「学校でいくつか開かれるパーティーのうち、このパーティーは時期が年度の始めのため、部活に予算がありません。そのため今年度もいつもどおり甘兎庵株式会社様から、多大なるご支援をいただいています」

 

凛「景品も、全てがそのご支援から提供されたものです。それでは、甘兎庵株式会社様を代表して、ご来賓の宇治松 千夜様から挨拶があります」

 

チョコ(千夜ちゃんが甘兎庵の和装で壇上に…マイクの前でかっこいい)

 

千夜「ご紹介に預かりました、甘兎庵株式会社専務取締役、宇治松 千夜です。本日は、第〇〇回、お嬢様学校進級記念パーティーにお招きいただき、ありがとうございます」

 

千夜「今回も各部活からミニゲームや、出し物もあり、景品も用意されてます。皆さん奮って、チャレンジして、楽しんで、景品をお持ち帰り下さい!」

 

千夜「私も会場内で参加してますので、ご一緒に楽しみましょう!」

 

千夜「あと、学校帰り、休日には、ぜひ甘兎庵の天下一品の和菓子をご賞味ください!おみやげもあります!学校帰りに寄っても校則違反にならない旨、学校には確認してます!」

 

千夜「おいしい白玉、あんみつ、抹茶パフェ〜!、学校帰りには甘兎庵へ是非おいで下さい!」

 

チョコ(宣伝も抜け目がない。さすが千夜ちゃん…)

 

凛「ちょ、ちょっと、千夜さん?」

 

千夜「え、なんですか? 凛さん」

 

凛「お店の宣伝もいいけど、景品は私が全ていただくわ」

 

千夜「皆さん、早速凛先輩からの挑戦がありました。皆さんも負けずに闘いましょう!」

 

会場全員「おーっ」

 

チョコ(みんな纏めちゃった…千夜ちゃんの才能見せつけられちゃったよ)

 

凛「私も負けませんよ、それではイベントに入ります!」

 

 

*イベント開始

 

チョコ(ところで、リゼ先輩どこかな…)

 

チョコ(あの軍服風の人がそうかな)

 

チョコ「あ、あの…」

 

?????「な〜に?」

 

チョコ「あ、人違いでした。リゼ先輩じゃなかった」

 

ユラ(結良=吹き矢部長)「はぁ〜い、こんばんは〜 リゼじゃなくてごめんね〜」

 

チョコ「(リゼ先輩を呼捨て…)あの、リゼ先輩のお知り合いかなにか…」

 

ユラ「私、リゼとおんなじクラスだしね〜」

 

チョコ「じゃ、どこにリゼ先輩がいるか、教えてくれますか?」

 

ユラ「吹き矢勝負に勝ったら、教えてあげる〜(本当は知らないけど〜)」

 

チョコ「負けたら、どうなんですか?」

 

ユラ「あなたがこの吹き矢部に入部してね〜」

 

チョコ「わ、わかりました、この勝負、受けて立ちます」

 

*吹き矢勝負

 

チョコ(吹き矢はやっぱり難しいよ。シャロだと凄く上手いって聞いてるけど)

 

ユラ「どうしたの〜 これを外したらあなたの負けよ〜」

 

チョコ「う〜んどうしよう、この部活入ると、バイトができなくなる〜」

 

ユラ「これで部員ひとりゲット〜」

 

チョコ「うぅ〜っ」

 

??「その勝負、待った〜!」

 

チョコ(リゼ先輩の声?)

 

ズザザザ〜

 

チョコ「(とっても綺麗な方が私の前に滑り込んで…)どうしたんですか?」

 

ロゼ「すみません、私はロゼといいます。慣れないハイヒールで、足が痛くて…」

 

チョコ「?」

 

ロゼ「歩けないので、助けて頂けますか?」

 

チョコ「私なら、救護スペースまで抱っこできますが、いいですか?」

 

ロゼ「うれしい〜っ」

 

ユラ「ちょっと〜 勝負はどうするの〜」

 

ロゼ「部長様には、あちらの方と続きをお願いしますわ…」

 

チョコ「きぐみん?」

(注:きぐみんは、木組みの街のイメージキャラクター(ゆるキャラ)で、宣伝用に等身大のきぐるみもある)

 

きぐみん(in千夜)「おまたせ!」ボソッ

 

チョコ「千夜ちゃん!」

 

きぐみん(in千夜)「その吹き矢借りるね、チョコちゃん」

 

ヒュッ ストッ ストッ ストッ(百発百中)

 

ユラ「……」ボーゼン

 

きぐみん(in千夜)「これでも、シャロちゃんの方がもっと上手いのよ」

 

チョコ「千夜ちゃん、凄い」

 

きぐみん(in千夜)「勝負は、チョコちゃんの勝ちね、部長さん」

 

ユラ「もう一歩だったのに〜」

 

きぐみん(in千夜)「悪いけど、チョコちゃんは、そちらのロゼさんの介抱をお願いね…」

 




 シャロのパーティー参加話からヒントを得て、高級シティーホテルで開催されるパーティーにしてみました。それも、千夜(甘兎)が後援してる設定にしました。

 今回もこの拙いssをお読みいただきまして、ありがとうございました。
 

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