日常を取り戻したい主人公たちがおくる。一つの世界。 作:空色 輝羅李
第五話~問答無用~
とりあえず、ひと段落したので眠りにつきたいところである。ざっと十年ほど。
しかし、それをよしとしない同居人が一人。
「もーそろ行こうぜ、龍。」
...もーそろとはなんだ、もーそろとは。ちゃんともうそろそろといいなさい、まったく。
ま、確かに時間的にはいい頃合いだ。今から家を出ればいい感じの時間帯にいい感じにつくだろう。いい感じに。
「そういえば、今日の時間割って...」
そういって確認する切亜。なぜ忘れるんだこの野郎。
...切亜は女子だからやろうじゃなくって尼か?
いつまでも自分のカバンを漁って時間割の書かれた紙を探すのを不憫に思い、俺の神を見せる。最初からそうすればよかったかもな。
「今日はこれだよ。」
「お、サンキュー。えーなになに?」
書かれている時間割は、一時間目国語、二時間目英語、三時間目道徳、四時間目HR、五時間目と六時間目に、魔法詠唱。
が、今日は始業式の翌日ということもあってか五時間授業、そして道徳の授業もHRの授業も、クラス交流となっている。
...いらねえだろ交流会。
「あー...今年から午後の授業は全部魔法詠唱なんだよな...」
そんなあからさまに落胆されても...
周りに青いオーラをまといながらも、思い出したことでもあるのか、自室になにか取りに行く。
「これがないと、だめだよな。」
...俺は普段から使わないし、持ち合わせがないのに。
「オレが予備持ってくから安心しろよ。」
「サンキュー。必要だったら借りる。」
まあ、壊れないことを祈るが。
ということで、二人で家を出る。姉さんはもう出ているし、紗那はいつも最後に出ている。学校に行かないこともあるようだが。
...周りの目線がすさまじい。切亜が人気というのは、本当に本当のことだったようだ。集団でうそをついていないことも分かった。
だが、切亜だけでなく、俺にも目線が来ている気がする。朝になにかし忘れた気もするので、それが原因だろうか。
「間違いなくそれが原因だね。髪、隠せてないよ。」
...認識疎外の魔法をかけるの忘れてたのか。
切亜の指摘がなかったのは、普段から見ているから慣れていた。だからこそ気づかなかった。
流石に髪の毛で片目を隠しているやつを見つけたら、笑うしかないよな。悪い意味で。
...一応理由も、あるのだが、急いで認識疎外の魔法をかける。
「そういえば、今日はあれがあるね。」
「あぁ。そうだな。」
「「クラス交流会」」
―――――――
地獄である。クラス交流会なぞ、ただの地獄である。そんなことを考えながら歩いていると、昨日の生意気な生徒...大埜湧廼に出会った。めんどくさそう。
「あ、お前...」
おはようと切り返したら、
「尾は...じゃねぇ!何喰ってたらそんな呑気に」
「うるさいなぁ...消すよ。」
やれるものならやってみろ。そう言われたらやるしかない。力の差を明確に、わかりやすく教える必要がある。
人を簡単に支配するには、恐怖が一番手っ取り早い。欠点こそあれど、楽だし確実性も高い。ヒトラーも恐怖政治に頼ることがあった、らしい。この世界にいたわけではないので、事実かどうかは知らないが、どっかのパラレルワールドの歴史書に、書かれていた。つまり、恐怖で人は支配できる。
...一時的に。
「ソラトニックアロー」
「...ひっ!」
無数の矢が、目の前で自分を串刺しにする。その寸前ですべてが止まっている。
最高に怖いだろうな...
「君、俺に勝てるの?」
背後から、耳元でそう伝える。
湧廼は、膝から崩れ落ちる。痛そうなほど、鈍い音が廊下に響いた。中学生といえど、オーガの肉体はかなり重い。つまりダメージがでかい。
ちょっとやりすぎたかもしれない。
「だ、大丈夫...オエ...」
今にも吐きそうじゃないか。今までどんだけ平和に生きてきたんだ。
「...俺がお前を、みくびっていたようだ。すまない。」
そんなこと言われてもなぁ...トイレに行かれたらちょっと何も言えないかもなぁ。
――――――
現在、三時間目である。先生は
「宿題作るし、みんなで勝手にやっといてね。」
と言って、職員室へ向かった(と思われる)。
...転校生への注目とは、いつまでもつのか。それは大体、一週間にも満たない。
これが嫌いなのである。
「世界一めんどくさい時間だ!」
この叫びが、誰かに伝わることを祈る。
書き直せた...(2021/06/11現在)