アマランサス~人でなしとろくでなしの学生生活~ 作:只の・A・カカシです
プロローグ
天井が、壁が、そして床が、ガラガラと大きな音を立てて崩れる。
「こっちへ!」
一人の少年とポニーテールとショートヘアーの二人の少女は、その死の手から逃れようと必死に廊下を走っていた。
「やり過ぎた!」
「確かに!」
どこか楽しそうに、少年とポニーテールの少女が叫ぶ。
「貴方達、私を殺しに来たの!?」
その二人とは対照的に、ショートヘアーの少女は鬼の形相で走っていた。
「何で怒ってんの?ちゃんと助けたじゃんか!」
少し頰を膨らませ、ポニーテールの少女は言い返す。
「解放しただけを助けたとは言わないわ!」
「アーハッハッハッ、ごめん!重油ならボヤ騒ぎ程度で済むと思ってたんだ!」
この崩壊の切っ掛けを作った少年が大笑いし、釣られて共犯のポニーテールの少女も笑い出す。
「笑ってる場合ではないわよ!」
狂気じみている二人の精神に耐えかねて、ショートヘアーの少女が二人を怒鳴りつけた。
「楽しい?」
「二度とごめんよ!」
角を曲がり、その先にあった階段を駆け上がる。
しかし、ここにきて少年とポニーテールの少女は徐々にペースが落ち始め、ショートヘアーの少女と差が生まれ始める。
「急ぎなさいよ!」
「「先に行って!」」
「待つつもりはありません!」
ショートヘアーの少女はペースを上げる。その一方で二人のペースは更に落ち、両者の差は瞬く間に拡大していく。
二人は、ショートヘアーの少女の背中が見える距離にはいようと頑張るものの、既に息切れしており階段を上るだけで精一杯。
「駄目・・・かもね。」
「・・・多分ね。」
諦めたように二人は呟く。それでも歩みは止めず、出口を目指して移動を続けた。
一心不乱に走り続けたショートヘアーの少女は、無事に脱出を果たした。
安全な場所へ辿り着いた安堵と全力で走り続けた疲労から、倒れるように大地に仰向けで大の字になる。
「はあ、はあ・・・助かった・・・。」
短く速かった呼吸は徐々に落ち着きを取り戻す。ほどなくして、最低限の体力が回復したので少女は立ち上がった。
遠巻きに出口を見てみるが、二人が出てくる気配がない。
「あの馬鹿共・・・。」
そう呟いた瞬間だった。大地が振動を始め、出口が土煙を吹き上げる。目の前にあった小高い丘には亀裂が走り、大小様々な鳥が一斉に飛び立った。
「何だ・・・これは・・・。」
信じられないことに丘は目に見えて陥没を始め、数分と経たず大きなくぼみへと様変わりしてしまう。
呆気にとられるショートヘアーの少女。
「・・・あいつらは!?」
ふと我に返り、急ぎ出口へと戻る。
「?何だ、あの明かりは?」
ほこりが舞っていても分かる光度の明かりがついている。脱出の時にはなかったはずだと、更なる崩落の危険性があったが彼女は意を決し中へと入った。ほこりを吸わぬよう口に袖を当てているが、泥臭さまでは防ぎきれない。
「嘘・・・だろ・・・。」
近付くにつれ、彼女はその明かりの正体が人工的な明かりではないことに気づく。
もう、廊下はもうどことも繋がってはいなかった。それは途中で寸断され、先端は断崖絶壁にせり出していた。
「何で・・・・・何でなんだ!!」
少女の悲痛な叫びだけが、廊下に虚しく反響した。
不定期更新ですがよろしくお願いします。
2019/04/01 小説家になろうへの投稿を開始しました。