四八の冒頭で力尽きたSS集   作:四八

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施しの英雄(憑依)×HSDD

『五代宗家』

 

 

 それは古くから日本を魑魅魍魎から守護し、他とは一線を画すほどの規模を誇る五つの異能力集団の総称である。『百鬼(なきり)』を筆頭に『櫛橋』『童門』『真羅』『姫島』が名を連ね、各家が『黄龍』そして『四神』の力を受け継く。そして、その家の出身の者は退魔師、もしくはそれに準ずる国を裏から守る職につくという、いわゆる退魔師のエリート一族なのである。そんなエリート一族である五代宗家は今_____

 

 

「なぜ、あのような小娘一人今だに片付けられんのだ!」

 

「姫島の家は何をしておるのだ!」

 

「この責任どう取るつもりだ!」

 

 

 ____過去に類を見ないほど、荒れに荒れていた。

 

 

 

 事の発端は姫島家のある歳若い女性が家を駆け落ちで飛び出したことに始まる。

 元来、五代宗家は徹底した秘密主義をとっている。その徹底ぶりといえば秘密主義と聞けば多少、響は良いが実際のところはもはやそれは狂信のレベルである。

 

 

 家の内情を探ったもの___殺す

 

 家を飛び出しその力を無闇に使うもの____殺す

 

 生まれた子供が異能の適正を持たない?____是非もなし、追放だ

 

 

 そんなことを当たり前のように行う家なのである。

 そんなことを平然と行う集団ではあるが、唯の娘一人駆け落ちで飛び出した程度なら、本来ここまでの大ごとにはなりはしない。だがしかしここまで問題が大ごとになっているのは彼女の駆け落ち相手がまずかった。

 

 

 相手の名はバラキエル。種族___堕天使である。

 

 

 これに各家は激怒した。本来、滅ぼすべき相手である堕天使と結婚するとは何事かと。直ぐに姫島家はこの不祥事をなんとかすべく彼女の行方をしらみつぶしに探した。相応の時間は要したが姫島家はついに彼女を見つけた。が、見つけたと同時に彼女の近況を聞き更に各家は激怒することとなる。

 

 

 ____彼女は子供を産んでいたのだ。

 

 

 相手など誰が答えるよりも明白。もはや一刻の猶予もならぬ。そう考えた姫島家は随一の腕利きを彼女の元に刺客として放った。

 ようやっと事は終わると各家は踏んでいた。夫であるバラキエルが家にいない時を狙い、家にいるのは彼女とその娘のみ。どうあがいても助かるまい。

 そう余裕を決め込んでいた各家たちの思惑は大きく外れることなる。

 

 

 刺客を放って数日後、刺客は確かに姫島家へと帰ってきた。

 

 

 

 ____失敗した、という言葉と共に。

 

 

 

 どうゆうことかと各家はその刺客に顔を赤くしながら追求した。

 その追求に刺客は顔を青を通り越し、真っ白にしながら答えた。

 

 

 

 _____あの家には私などでは相手にならぬ男がいた、と。

 

 

 

 一番に目につくのは彼が纏う黄金の鎧。その美しさたるや、どんな国宝もそれと並べれば見劣りするほど。そして、その姿。白い肌、白い髪も相まってまるで幽鬼のようであった。しかしながら、纏う闘気は私などとは比べるのも烏滸がましいほどの強者のそれであった。男はその身の丈を優に超える槍を手足のように自在に操る。そして彼が放つ魔術の炎はまるで煌々と輝く太陽を連想させるほど熾烈であった、と。

 

 

 その報告を聞きながら各家の者たちは尋ねた。その男は何者だと。その問いに刺客は一息置いた後ゆっくりと答えた。

 

 

 _____その男は自らを『カルナ』と、そう呼んでおりました。

 

 

 

 

 

 

 ********

 

 

 

 

 

 駒王町に建てられたある神社。姫島神社と呼ばれる場所、そこにカルナと呼ばれる男はいた。カルナのそばには少女がおり、ニコニコとカルナに笑いかけている。そしてその様子を少女と同じくニコニコと笑いながら眺める一組の夫婦____バラキエルと姫島朱璃。

 なぜカルナはバラキエル夫婦の家にいるのか。それには、少し時を遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

神の子を見張るもの(グレゴリ)』の任務のため家を離れていたある日のことだ。バラキエルの元にある知らせが届いた。

 

 

 

 ____ご家族が襲撃を受けました。

 

 

 

 報告書のその一文を読んだ瞬間、バラキエルは飛んだ。一目散に、家族の元へ。頭の中に流れる最悪の状況を振り払い、無心で、一秒でも早く家族の元へ。

 そして家族の元に着いた瞬間____彼は目を疑った。

 家には傷一つなく、庭では娘が見知らぬ青年と楽しそうに遊んでいる。妻である朱璃はその様子を楽しそうに眺めているのだ。

 

 

 ____…え、襲撃受けたんじゃないの…?

 

 

 

 その後、バラキエルに気付いた朱璃は半ば放心状態のバラキエルに声をかけると今までの経緯を説明した。

 本当に襲撃自体はあったこと。命の危機に瀕したこと。その時、たまたま通りかかったと言う彼が自分たちを助けてくれたこと。そのまま去ろうとした彼をお礼も兼ねて家に招待したこと。

 その一連の経緯を聞き、バラキエルは彼に感謝の念と共に疑問を覚えた。

 

 

 彼は何者なのか。

 

 

 話を聞けば襲撃の犯人は妻の家のものと聞いている。ならば一般人が襲撃犯を退けることは難しい。警戒すべきかとも考えたが、目の前で娘と共に遊ぶ彼に悪意など微塵も感じない。

 色々と考えたが、彼が家にいても問題ないと考えたバラキエルは、彼に軽い自己紹介と深く御礼の言葉を述べた後に、彼の名前を聞いた。

 

 

『…俺の名か?…恥ずかしながらカルナという名を使わせてもらっているものだ』

 

 

 その答えに一瞬、目眩を覚えながらバラキエルは確認のためにもう一度彼に質問した。

 

 

『…つかぬ事をお伺いするが、君……あなたの父の名を教えてはもらえないだろうか…?』

 

『…?別に構わないが…。我が父は偉大なる日輪、『太陽神スーリヤ』だ』

 

 

 

 

 瞬間、バラキエルの意識は彼方へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 その後、意識を取り戻したバラキエルに待っていたものは、各神話体系に対する報告書の山であった。

 カルナといえばインドの叙事詩『マハーバーラタ』に登場する半神半人の大英雄である。そんな彼が日本にいるという状況を他の神話体系が捨て置くはずがない。下手をすれば命を狙われる可能性もある。

 それはダメだ。愛する妻と娘の命の恩人に恩を仇で返すような行為は流石に許容できない。

 さらに本音を言えばだ。

 

 

 

 ____パパ、カルナさん、どこかにいっちゃうの…?

 

 

 

 この言葉にバラキエルの子煩悩っぷりが爆発した。その後の行動は早かった。各神話体系に彼がバラキエルの家にいることを承諾させるために直接神たちに直談判をしに言ったのだ。

 後にその時のバラキエルを知る神たちは語る。

 

 

 

 ____あれはやばい、とにかくやばい。

 

 

 

 さて、何はともあれこういう経緯もありカルナは今バラキエルの家で朱乃の遊び相手をしているわけである。

 

 

 

 

「ねぇねぇ、カルナさん。今日は何して遊ぶ?」

 

「……俺はなんでも構わない」

 

「もう、カルナさんいつもそればっかり。偶にはカルナさんがしたいことが私はしたいの!」

 

「…すまない、朱乃」

 

「こら、朱乃。あんまりカルナさんを困らせたらダメよ?」

 

「そうだぞ、朱乃」

 

「むー、だって………」

 

 

 

 自分と妻に軽く叱られ、しかしながら未だに私不機嫌ですとそっぽを向く娘をどうしたものかと考えながら、バラキエルは目の前のカルナを見る。すると彼は朱乃に近づくと、膝を曲げ、目線を朱乃に合わせながらおもむろに朱乃の頭へと手を伸ばした。

 

 

 

「……これで許してくれ、朱乃」

 

「……ふふっ、しょーがないなー、カルナさんは」

 

 

 

 その光景を見て、思う。やはり彼をこの家に置いた判断は間違っていないと。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、当のカルナはというと朱乃の頭を撫でながら考えごとをしていた。

 

 

 

「(……二度あることは三度あるっていうけど……)」

 

 

 

 ____まさか()()目の人生を歩むことになるとはなー。……まぁ、細かいことはわからんし考えるだけ無駄だな!それより朱乃ちゃんを愛でねば!

 

 

 

 

 ……この男、カルナという(ガワ)で奇跡的に周囲は解らないが、実際には中身はただのアホである。

 

 

 

 

 

 

 ********

 

 

 

 

 

 ___これは『マハーバーラタ』の英雄『カルナ』に憑依した元一般人(アホ)

 

 

 

 

「武器など前座。真の英雄は目で殺す」

 

「…目、目からビーム出た…」

 

「さすがですわ、カルナさん!」

 

 

 

 

 ____アルジュナに討たれた後に、なんの因果かカルナの肉体のまま授かった第三の人生で

 

 

 

 

「神々の王の慈悲を知れ。絶滅とは是、この一刺し。インドラよ、刮目しろ」

 

「な、なんだお前は…。お前は…お前は、いったい何者だぁぁぁぁ!」

 

「焼き尽くせ、『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』!」

 

「……もうカルナ一人でいいんじゃないかしら…」

 

「……(白目)」

 

「さすがですわ、カルナさん!」

 

「……是非もなし…」

 

 

 

 

 ____……好き放題するアホの物語である。

 

 

 

 

 




続かない


多分
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