DS - ダイアグラナル・ストラトス - 作:飯テロ魔王(罰ゲーム中)
この辺からチラホラと伏線みたいなものを張ってみる。ようやくプロローグらしい導入部を始められた感じですかね?
ほぼオリジナルの展開になっている場合、必要なタグって「オリジナル展開」なのか「捏造設定」なのか、よくわからないですね。
※先日、誤って最新話を投稿してしまいました。一部の方は混乱したかも知れない事をお詫びします。
一夏の家で過ごす様になって一週間。鈴は当初の目的通り一夏の食生活を見ながら勉強を教えてもらい、8月に入る頃には夏休みの宿題をなんとか終わらせる事ができた。
残っていたのは一夏と同じ自由研究だったが、これは二人で同じ題材をやって提出しよう、という鈴の提案に一夏が同意。テーマはお互いが得意とする料理で話も決まり、早々に料理を作ってレポートを書いて終わらせ、時間が空くと鈴が率先して一夏をあちこち連れ回して遊びまくった。
ついでにここ二、三日ほど前より家の中限定で鈴の防御力は激減した。
一夏による
風呂上りなどは、いつものツインテールからストレートになっただけでドキリとさせられた。
昨日はレースアップされたロンパースのオールインワンにサイドテールという格好で現れ、本当にそれ1枚で下着すらつけていないのを知った一夏が、顔を真っ赤にして注意する一面もあった。
本人は「暑いから」などと言っているが、どう見ても誘っているようにしか見えない。
これで意識するなというのも無理な話だが、一夏はあの日怒られたのを教訓にしたのか、言葉通りに受け取って幼馴染をそういう目で見ない様、必死になってそういう目で見ない様にし、なかなかこちらを見てくれない鈴は大いにヘコんだ。
ならば次だとばかりに過剰なスキンシップに移ったが、小さい頃から
最も、毎日3食鈴が作っていた結果、一夏の胃袋をガッツリ掴んだのを知って結果オーライと喜び、一夏は鈴の防御力が低くなっていく姿に日々
一歩間違えれば、本当に手を出しかねないぐらいに。
そんな日々を過ごしながらも夏休みの登校日を迎え、二人揃って家から出るのが当たり前になってきた自分に、内心絶句する一夏がいた。鈴は気にもせず、一夏と手を繋いで仲良く登校。
その姿がちょっとした騒ぎになり、クラスメイトの「二人は付き合ってるの?」という質問に気を良くした鈴が大胆にも一夏と腕を組んで見せつけ、腕に当たる控えめな柔らかさに一夏が驚く場面もあったが、担任が教室に入って来た事でその場はお開きとなった。
「朝からお疲れだな、一夏」
「……ぉう」
赤い髪の少年――
一夏と弾と数馬。この3人がクラス全員の男子の総数で、教師から見えやすい様、男子は教室の中央に集められる格好で席が集中している。
このクラスは23人と平均的で、残る20人は全員女子。そして女の子というものは他人の恋バナには目がなく、今朝の様に見せつける格好で教室にやってくれば騒ぎになるのは明らかだ。
ホームルームが終わってからは皆に質問攻めにされると思い、ホームルームが終わるなり一夏が逃亡。二人も付き合って逃亡し、皆をまいて屋上へ来ていた。
「なんだって朝からあんな事……」
「ああ、それ俺が教えたから」
え? と呆けた顔で弾を見る。本人はしてやったりな顔でこちらを見て、数馬は苦笑する。
「……なぜに?」
「何故もなにも、鈴から相談されたからだけど?」
「ここ数日のあれこれも?」
「おう。ついでにお泊り
ギギギ、と錆び付いた動きで数馬に視線を向ける。彼はそっと目を
「正直、鈴があそこまで行動起こすとは思わなかった」
「……スッゲェ色々あったんですけど?」
ここ数日、理性をガリガリ削られていく日々を思い出す。正直な話、鈴に手が出そうになった回数は両手の指じゃ足りない。
一線を超えなかった事を喜べばいいのか、ヘタレと落ち込めばいいのかは謎だが。
「いいじゃねェか。
「いや、でも――」
「一夏の悪い所は、女の子に期待させといて何もしない所だと思うよ?」
う、と言葉に詰まる。それは
曰く、期待させるだけで何もしない朴念仁。
曰く、戦闘以外の流れを読まない鈍感などなど、
その都度周りに叱られ、女の覚悟をないがしろにし、恋愛というものを軽く見ているイチカを前に、一時期などは
その甲斐あってか、多少なりとも鈍感さは緩和され、女性への気配りができるようになったのは
誰彼かまわず優しくするのは変わらないが、ある程度の線引きが一夏の中で生まれる様になった。
同時に、距離をとられるようになった事に落ち込む女性も増えたが。
「一夏も鈴の事、嫌いってワケでもないんだろ?」
「そりゃ、まぁ……」
去年の告白騒ぎ以来、気がついたら自然と目で追ってしまう事がある。更にはここ数日の防御力低下で余計女の子として意識するようになった。
だからこそ、一夏には小さくない陰が落ちる。
「けど、なんで俺なんかを」
「お前だからだ。そこんトコ間違えんな」
弾が急にマジな声をして一夏を睨みつける。
「
「自分を認められないっていうのは解らなくもないよ。鈴はそれもひっくるめて受け入れようとしてるんだし、向き合わないと」
数馬もそれまでの控えめな雰囲気が消える。二人とも事情を知っているだけに、真剣に一夏を
「“でも”とか“しかし”なんて言葉で誤魔化すなよ。あいつは選んだ。お前も選ぶ時が来たって事だ」
「……そう、だよな」
絞り出すように答える。言葉にしなくても鈴は一夏を振り向かせようとしている、それこそ後先考えないぐらいに。
彼女の為にも答えなきゃいけない。それが一夏にとってどんなに難しくても。
「まぁ、アレコレ考えずにとりあえず一発ヤッとくのも手なんじゃない?」
「「ぶッ!?」」
いきなりの発言に二人が吹き出す。
「お前と一緒にするな!」
「この夏休みだけでどんだけ遊びまくったんだよ、この種馬!」
失敬な、と憤慨しながら数馬が指折り数える。DSOでのエクエスは口は悪いが紳士という
若い男性が減少した昨今、こういう男の子は女性陣にとっては“都合のいい男”で、数馬は年上の女性とお付き合いする事で小遣い稼ぎをしていた。
「今月は、
「「多すぎるわ!」」
弾と一夏が爆発した。
家に帰って来ると、家の中は静かだった。
鈴はまだ友達と遊んでいるのか、それとも家に帰ったのかは不明だが、久々に一人で家にいることに違和感を感じる。
「……ほんの少しの間なんだけどな」
自分が思っていたよりも、鈴と一緒にいるのが当たり前と感じている事に驚き、そんな自分に苦笑する。
「これも、鈴の狙い通りなのかな?」
あの日から、自分が誰かに必要とされるなんて思いもしなかった。
必要だと言ってた人がいなくなり、大事だと思ってた人に裏切られ、自分のせいで消えない痛みを負った人もいる。
あの時ほど、自分は邪魔な人間なんだとつくづく思い知らされた事はない。そんな人間が必要とされる時が来るなんて、皮肉にも程がある。
「――やめやめ。なんか厨二臭い」
こんな考えをするのは久々に一人になったせいだと自分に言い聞かせる。お前はもっと物事に対して斜に構えているのがお似合いなんだし、弾や数馬の忠告も、考えるのはもう少し先でいい。
――
何度も何度も自分に言い聞かせながら自分の部屋に行き、Tシャツとスウェットというラフな格好になると、ベッドの横に置いてあるナーヴギアを手に取る。
幾つもの傷が目立ち、年季を感じさせるそれは、DSO開始当初から愛用しているもう一つの相棒。
今でこそ次世代型のアミュスフィアや、屋外でも使用可能なオーグマーなども出ているし、それらに手を出せる余裕もあるが、思い入れがあってなかなか手放す事ができない。
滅多に言わないワガママを姉に言って、ネトオクの型落ちを探して格安で入手。後に姉の友人がレストアしてくれた。以来、一度の故障もなく快適な
「まともに必要とされてるのは
実際、千冬の名が売れてから一夏も評価された――
DSOという存在を知り、周囲の声から逃げる様に仮想世界に入った。
その素晴らしさを知ってからプログラムを始めとしたメカトロニクスに興味を持ち、知識を身につけると、ちらほらとそっち系のバイトが舞い込むようになった。
こそそこの稼ぎにはなるし、やってて楽しいから別にいいが、全てはイチカの功績。織斑一夏という現実はその陰で生きていくことしかできない。
そう思わなきゃいけない、そうじゃなきゃいけない。現実が主人公なんて馬鹿げてる、俺にそんな資格はない。
――何度も
「――リンク・スタート」
現実から逃げる様に仮想世界へ飛んだ。
「あら」
「む? 鈴か」
友人達と遊んだ帰り道、道中で千冬と出くわした。
「珍しいですね、こんな所で会うなんて」
「少し余裕ができたのでな。ちょっと一夏の様子を見に来た」
それで会話が続かなくなり、二人は揃って家路に向かう。進む先はどちらも織斑家だ。
「「…………」」
お互い何を話せばいいのか判らず、終始無言で並ぶ様はどこか
横目でちらりと千冬を見る。身長は自分より頭一つ高く、スタイルも出る所は出て引っ込む所は引っ込むという、同じ女性として嫉妬してしまう体型。
それが背筋を正して
(そりゃ、こんなのにしょっちゅう抱きつかれてたらねぇ……)
それに比べて――自分の体形を見ると、発展途上というには控えめな体型と、同世代から見ても低い身長。ともすれば小学生でも通りそうな自身にため息が漏れそうになる。
それに気づいた千冬がフッと笑う。
「そう悲観するな。鈴はこれからだろう?」
イラッときた。『これから』ではなく『今すぐ』じゃないといけないというのに。
その上から目線の物言いは正直腹が立つ。
「それより、一夏と何か進展はあったのか?」
「…………まだ、なにも」
なんとか絞り出すように言うので精一杯だった。
あなたの弟を攻略するのに薄着で誘惑してます、なんて言える訳がない。むしろ風呂上りに髪をおろした姿や、腋や太腿を見せつける様な格好をしてみても、なにも反応しない一夏もどうかと思う。
実際は一夏が意識しない様に必死なのに。
「目的の一つだった食生活は、わたしが面倒みてます」
「…………色々苦労をかけるが、頼む」
今度は千冬が心苦しそうに言う。
一夏がああなってしまったのは自分にも原因があるとはいえ、今の千冬が一夏にしてやれる事がほとんどない。鈴ほどではないにしろ、せめてそこそこに家事ができれば誰かに任せる事もなかったのだろうが、一夏に頼りきっていたツケを幼馴染に任せてしまう自分が情けない。
実際はそれ以上に支えているというのに。
二人そろってため息を吐いた事に気付き、慌てて咳払いするのも二人同時。なんとなく気まずくなった千冬が慌てて話題を切り出す。
「ところで、その、一夏はまだDSOを?」
「ええ、ついこの間も大きいミッションをクリアしたみたいです」
急な話題転換にも関わらず、鈴もそれに合わせる。
「あいつは、どれぐらい強くなったんだ?」
「……確か、今年の春にファストの9まで来た筈です」
予想以上の位置に千冬が驚く。DSOのランクは少々特殊だ。通常ならAとかBの○○、もしくは数字のみだが、DSOの場合はクラスと呼ばれるカテゴリの中にランクがあり、クラスも通常のものとは違ってくる。
千冬も現役当時にDSOの広告塔としてアカウントを貰ってプレイしているが、クラスはドミナント止まり。これは単純にランクに興味が無いのと、ゲームと割り切ってそこまで育てていないのが原因で、実力そのものはもっと上にいる。
それ以上に強くなったのがイチカで、半年ほど前に対戦1000連勝を決めた祝勝会で対戦したが、千冬相手に一歩も退かないどころか余裕で黒星をつけられた。
「どこまで強くなる気なんだ、あいつは」
「約束みたいですから。強くなるの」
約束? 話が見えずに千冬が首を傾げた。
「ほら、一夏がメインで使ってるDSですよ」
「確か、
「それは貰った時の名前。今はメルセネール・ブランって名前です」
メルセネール・ブラン。フランス語で直訳すると傭兵・白だが――確か一夏の二つ名が『白の傭兵』だったなと思い出す。
「随分と直球な名前だな」
「元はランクスが考えた『ブラン・メルセネール』てのを、ゴロが悪いってんで一夏が逆にしたみたいですけど」
二人揃って苦笑。あの二人はどうも単純に考えるきらいがある。もしくは男だから単純になるのだろうか?
「で、そのDSがどうしたのだ?」
「千冬さんは知らないと思いますけど、あの機体の製作者、去年亡くなってるんです」
「その製作者との約束なのか?」
「ええ」
そこまで詳しくはないんですけど、と前置きして話を続ける。
「なんでもあの機体で頂点を目指す、みたいな約束らしいです」
数馬と種馬。なんとなく字が似てるからこういう立ち位置に。
弾もVRプレイヤーなのですが、登場はもう少し先。また変わった立ち位置になりそうです。現時点で彼女持ちという設定ですし。
千冬さん登場。なるべくアンチ扱いにならない様に注意したら、なんか陰のある女性に。
今後の展開でどうしても必要な位置だったので、割り喰ってます。
Q:今更だけど、DSOプレイヤーってどれぐらいいるの?
A:日本だけで三千~四千万、世界規模だと数億人。家に据え置きゲームあるのと同じぐらいの人数がプレイ。ランク入りしてるのは全体の四割ほどと考えています。
この理由は次回で明らかになりますが、ある程度納得できるかと。
Q:鈴ちゃん、大胆すぎね?
A:女子力上がってるので積極的。
ここのヒロイン達は暴力に頼らず、消去法でこうなりました。暴力ない代わりにスキンシップ増量。
Q:イチカはDSOで最強を目指してる?
A:NO。これは鈴の勘違い。
本編で明らかになっていきますが、正しくは最強の対極に位置する場所を目指してます。
ビルト・フルークはWILD FLUGの読み方で、スパロボでお馴染みの行き当たりばったり仕様のテーマ曲。大元でイメージしたのがコレだったので、ちょっとした名残で入れてます。どうしても名前の変わる経緯が欲しかったので……相変わらずネーミングセンス皆無です。
DSOのランク付けですが、A~Cが初級~上級、Dで一芸特化した強者(ブレオンの千冬など)、Eがガチゲーマーぐらい、と位置付けています。イチカがいるFクラスは人力TASをはじめとした人外レベルがいるクラスだと思って貰えれば。名称に関しては当初からAが最低ランク、Fを最高ランクにするのは決めていましたが、もう少しいい名称あったら変更するかも。
ちなみに意味ですが、
このクラスの人間はイチカ以外に5人ぐらい決まっています。原作開始前に出せるかどうかは未定ですが、男2人と女性3人。いずれもISとSAOのキャラで、残りはゆっくり考えていくつもり。オリキャラも混ぜるかも知れません。
ミスリードとか伏線とか自分なりにやってみたけど、後の展開でうまく機能するかがやや不安。
ハードル上げないと弱さに甘んじてしまうのが人間なので、初挑戦だろうが罰ゲームだろうが、このスタンスは変えたくないですね。