漂流者 ~異世界転移~   作:ぺこぽん

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第十四話 選択

 

最初に警告音を、発したのはアインだった。

その次に敵の襲来を告げる、サイレンがクリシュナ中に鳴り響く。

 

「先日の敵機か?」

 

アインの膝元で、座っていたレイトは顔を上げた。

 

『照合……確認。先日交戦したアテネス国のゴゥレムと判明。他一機が北方環状外門にて交戦中』

 

「残りの三機は?」

 

『不明。獲得した地形データに敵機の予測行動パターンを重ねる。モニターに展開』

 

レイトは契約を果たすため、シギュンを探しに立ち上がった。

 

「なんだ!?何があったっていうんだ?こっちは寝てた最中だったのに……」

 

二階に上がると、ライガットが寝ぼけ眼をこすりながらやって来た。

シギュンも反対側から、荒い息を吐いて走って来る。

 

「アテネスのゴゥレムが攻めてきている」

 

「はあ?まじかよッ……ッ!」

 

ライガットは血相を変えると、そのままアンダー・ゴゥレムの方に走り出す。

 

「シギュン! ゼスと話がしたい。将軍に頼んで時間をつくってくれ!」

 

「えっ?」

 

驚いて動きを止めるシギュンだが、レイトはライガットの肩を掴む。

 

「本気で行くつもりか? 戦争だぞ」

 

「あいつがこんな戦争望んでいるはずないんだ……!話をして兵を退かせる。レイトも来ないでくれ!」

 

だが、ライガットは振り払うとゴゥレムに乗り込んだ。

レイトは息を吐くと、シギュンに呟く。

 

「なあ、もしかしてあいつは馬鹿なのか……?」

 

「……わりと」

 

「まあ、嫌いじゃないが……それより本当に行かせて良かったのか?」

 

シギュンは少し悩んだ顔を浮かべた後、レイトには読み取れない表情を浮かべた。

 

「ライガットなら……なんとかしてくれると、思ってる」

 

「なんとか……ね。俺に対する要請は?」

 

「ライガットが言った通りに」

 

レイトは頷くとテラスからアインの肩に飛び乗り、操縦席に乗る。

 

「邪魔はしない。が、遠くから監視するぐらいならいいだろう?」

 

そのまま、ゆっくりと上昇しここに来た時と同じテラスに降り立った。

 

「ライガットの現在位置は?」

 

すぐさま、モニターに観測データが表示される。

二体の対峙したゴゥレムの肩。

ライガットの姿ともう一人、ゴゥレムの頭で隠れて見えないが黒髪が垣間見える。

 

「なんて言っているかわかるか、アイン」

 

『読唇にて発話音を解析可能。文字情報にて表示する』

 

しばらくする文字を追っているととホズルが、兵を引き連れてやって来た。

相当を無理を押してきたのか、引き返せとばかり文官が袖を引っ張っている。

それを隣の表示枠で確認すると、最後にライガットが言った言葉が表示された。

 

「……条件、か」

 

その時、息を切らせてシギュンがテラスに駆け上がってきた。

レイトはシギュンの姿を見るが、その事を考える暇なくゼスがプレスガンをライガットに向けた。

 

『西方環状外門外部において、戦闘音を確認』

 

「っ……ホズル! 救援を求むか!」

 

問にはシギュンが焦った声で、答えた。

 

「ライガットを助けに!お願いっ!」

 

「西方外門の敵より、民間人の救助か? ホズル!」

 

レイトはシギュンの言葉を無視し、もう一度ホズルに尋ねる。

その言葉にホズルは一度、目を閉じると頷いた。

 

「了解した」

 

レイトはすぐさまアインを急上昇させると、進行方向を向いた。

モニターではすでにカウントダウンは始まっている。

レイトの左側には別のモニター、西方外門で狙い撃ちされているトゥル将軍の姿が見えた。

 

「……間に合え」

 

呟くと、西方を映したモニターを消し急いだ。

だが、時間は足りずあっという間にカウントは0に。

けれども撃たれたライガットはゴゥレムに乗り込み、逃げ出す。

 

「よしっ、アイン。ライガットの機体に通信を繋げるか?」

 

『可能。対応可能な通信で直接繋げる』

 

すぐさま目の前に、必至の形相で叫び声を上げるライガットが映る。

 

「ライガット! 止まれ!」

 

しかしライガットはまるで聞く耳を持たず、全力移動を続ける。

 

「そっちは西方だ! 敵がいる! あいつの機体を緊急停止出来ないか!?」

 

『可能ではあるが、機動中は推奨しない』

 

レイトはライガットに合流するよう進路を左に変更する。

攻撃可能なわずかな距離に、ゼスの機体ともう一機を発見した。

 

『警告。このままではアンダー・ゴゥレムの進路に敵機が接触する』

 

しかしアインの表示したデータはライガットに危機が迫っている。

レイトは一瞬だけゼスを見ると、攻撃はせず離れた。

すぐさまゼスもバルド将軍旗下の攻撃に対応を始める。

 

バルド将軍は左上空に光るものを確認する。

それからライガットが走って行った方を見ると隣を走るミリアに声を掛けた。

 

「ミリア。お前もライガットを援護してやれ」

 

「えぇー!いやよ。なんで戦闘をさせてくれないわけ!?」

 

「どうせこちらは本命ではない。すぐに敵は退く。それよりもライガット君を助ける方が国益だ」

 

「へーいへい。ちぇ、後で何か買ってよね」

 

ミリアはぶーたれるとライガットの後を素早く追いかけ始めた。

 

 

 




ミリアを出した意味ってあったっけ?
レイトと橋渡し的な役割をする相手を悩んでいます。
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