漂流者 ~異世界転移~   作:ぺこぽん

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第七話 選択ノ時

アインから降ろされたライガット。

そこにシギュンやってきた。

 

「ライガット・アロー!」

 

そうしてプレスガンを突きつけ、最後には抱きつく流れになる。

周りの者たちは、驚いた顔で来訪者と王妃を見た。

そしてテラスの上にも、他の者と同様にその姿を憎々しげに見下ろす者がいる。

 

「誰だあいつは、シギュン様と仲良くしやがって!」

 

ナイルの言葉にロギンは率直に返した。

 

「王の友人で、能無しだそうだ」

 

「ふーん。同窓会でもするんかね」

 

とそこで突然、ナルヴィ立ち上がった。

 

「そうだッ!能無しといえばレイト!あいつは一体どこへ行った!?」

 

「さ、さあ。きっと格納庫に戻っているとは思うが」

 

ロギンは顔を上げたナルヴィにぶつかりそうになり、慌てて避ける。

 

「いくら一時的に雇われている傭兵とはいえ、訓練には参加してもらうぞ!」

 

「なに、キリキリしてるんだよ。前に訓練で投げ飛ばされた事でも気にしてんのか?」

 

ギロッと睨んだナルヴィに、ナイルは両手を上げた。

 

「どうせ、またあの場所に言ってるんだろ」

 

「またか。……全く、最近はトゥル将軍まであいつに気を許している。何かあったらどうするつもりなのか」

 

「そういうや、将軍やけにレイトの事、気に入ってたもんな」

 

「あいつはいい奴だ」

 

ふんふんと頷く二人に、ナルヴィは憤慨したように頭を掻く。

 

「だああ!もう、私はレイトを連れて来る。二人は先に訓練所に向かっていろ!」

 

吠えたナルヴィはそのまま城の中に戻って行く。

それに二人は肩をすくめた後、ゆっくりと続いた。

 

 

王の間でライガットと話した後、シギュンは格納庫へとやってきた。

そこにいるであろうレイトと話をしたくなったからだ。

 

「…………」

 

だが、人の気配感じずシギュンは、人知れずため息を吐いた。

 

『シギュン殿、何用であるか』

 

その時、格納庫の一角から掛けられた声に、シギュンは驚いたように微笑む。

そういえば、もう一人、いや一台言葉を交わすものがいた。

 

シギュンはゆっくりとアインがいる場所に向けて進んだ。

足先を伸ばして、転ばない様に気をつけながら進む。

レイトの住処兼作業場となっているそこは、足の踏み場がないほど散らかっているからだ。

設計図や石英が散らばり、自分の部屋とどちらが汚いだろうかとふと、むなしいことを考える。

 

「アイン、レイトは今、どこにいるの?」

 

ようやくアインの前に立ったシギュンは、ここ数週間で呼び捨てになった相手の居場所を聞く。

 

『レイト中尉は、クリシュナ王国からの要請任務を完了。現在、自由行動に移行している。現在地は、第7孤児院である』

 

「そう、またあそこなのね」

 

シギュンは呟くと、机の上に置かれた設計図を見る。

宇宙から来た青年がもたらしたのは、飛行するマシンキャリバーなる機械だけではなかった。

 

この国の技術に興味があると言い出したレイトに、シギュン達は図書館から何から情報を与えた。

すると次々と、レイトは革新した技術案を出してきたのだ。

その全てにおいてこの世界の技術、はては概念すらも飛び越えたものだった。

 

そのおかげでシギュンが、考えていた新型のゴゥレムも現行の性能の40%増しという驚くべき結果になっている。

もちろん、実際に造ったら予想通りの性能にはならないだろうが、アテネスの新型機と拮抗出来るようにはなるだろう。

アインも、レイトからシギュンにコマンド権限なるものを譲渡されて、材料の搬入や作業において作業の効率を速めてくれている。

 

『シギュン殿、ライガット・アローなる人物について詳細情報を求む』

 

シギュンは集中していた設計図から顔を上げた。

アインの顔の部分にシギュンは自然と目を向けてしまう。

 

最初は誰しも、鉄の固まりが話す事に驚くものだ。

特にレイトが来た当初は、格納庫に人だかりが出来て作業が出来ないほどだった。

シギュン自身も、レイトから説明された人工知能という概念を完全に理解出来ず、アインとの接し方を難しく感じる時がある。

 

「あなたが聞いてくるなんて珍しいわね。この質問もレイトのため?」

 

『肯定である。当機はそのためだけに存在している』

 

シギュンはレイトから人類銀河同盟、またヒディアーズとの闘いについて話を聞いていた。

レイトとその機体アインの役割についてもだ。

いずれもシギュンの経験や知識から推し測れる世界ではなかった。

そして、その世界から見れば私達の闘いなんて、なんて無意味な事だろうと感じたのを覚えている。

 

「何について知りたいの?性格や生い立ちくらいしか私は教えてあげられないけれど」

 

『当機が求むのは、ライガット・アローの能無し〈アン・ソサラー〉と呼ばれる特異部分についてである』

 

シギュンはアインの言葉に黙り込んだ。

アインの質問は当然であろう。

宇宙から来たレイトも石英が操れない能無しであるからだ。

シギュンは人々が、石英を操るのを見て怪訝な顔つきのまま固まっていたレイトの姿を思い出した。

 

そしてもう一人。

ライガットも能無しだ。

王都に彼を呼んだ理由がその一つでもある。

 

第118石英採掘場で掘り起こされたもう一台のアンダー・ゴゥレム。

きっと今、ライガットはその場に立っている。

……選択を迫られて。

 

思い出すのは、約一ヶ月ほど前の事だ。

 

 




ここで思いついたキャラ紹介。

ミリア・ジ・アラン・アルヴァトロス

バルド将軍の娘でジルグの双子の妹。
小柄な体躯に長い赤髪を気分によって括る場所を変えている。
整った顔をしていて、小動物みたいに愛くるしいが、獣じみた戦闘能力を持つ。
ゴゥレムの腕は、ナルヴィと一二を争う腕前。
兄であるジルグの事は、会えば一度は殺し合いをするぐらいは好き。
ジルグの事件の時には、いいなあお兄ちゃん、とボソっともらしたくらい。
最近は、レイトの寝込みを二つの意味で襲ったり、体を使って迫ったりとアインを奪おうと画策している。
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