当たり前のことだが、ここはディスガイアの世界ではないためプリニーは存在しない。
投げれば爆発し、魔界病院で治療しても単価一HLのあの青いペンギンは存在しないのだ。
だが、あのシステムは人間を教育させるにはいいものだと考えた俺は、一年ほど世界を周り、プリニーシステムを作るための技術を身につけようとした。
錬金術や魔法、謎の技術なんかを全て結集させ、遂に俺は作り上げたのだ。
「今日から新たなプリニーが二人入った。先輩プリニーはここでの基礎を叩き込ませるように」
プリニーとなった二人にも全員と同様に青い紋章が刻まれている。
俺がプリニーを呼べば紋章が反応して俺のもとに瞬間移動してくることに加えて、なんと投げると爆発する!!
しかも爆発して死んでしまってはいけないので、爆発すれば死ぬ前に自動的にオメガヒールがかかるように工夫してある。
それによって一度の戦闘で何度でも投げることが出来ることでオリジナルプリニーよりも使いやすいものになった。
……まあ、そもそものHPが低すぎるため爆発したところで効果は薄いのだが。
「了解ッス!」
「……誰がお前たちなんかの話を……!」
未だに不服の眼差しの娘プリニーを蹴り飛ばし、爆発させる。
だが、やはり爆発したところで危険種一匹殺せなさそうな貧弱な爆発を見せた。
「プリニー心得その一、語尾には必ず「〜ッス」を付けることだッ!!」
真面目に教育を受ける分には俺は乱暴なことはしない。
しかし、再教育プログラムを受けているにも関わらず懲りない輩は永遠に爆発地獄を受けることになる。
見方によっては多分エトナよりもやっていることは酷い。
……それはないか。
うん、ないな。
「娘が申し訳ありません……ッス!」
「!? ……ご、ごめんなさい……ッス」
頭を地に伏せて謝罪するが、別にそこまでしろとは言ってない……。
……まあ、こんな野郎でも娘は大事だよな。
そんでもって父親のそれを娘は無駄にできないよな。
「罰として二人は別々のチームで働いてもらう。ただし、夕食時と就寝時は一緒になることがあれば二人でいても構わん」
「あ、ありがとうございます、ッス!!」
父プリニーが安堵し、娘プリニーが俺に対してかなりの復讐心を向けているのを無視し、他のプリニーに給料の準備をする。
「さて、今月の給料を渡すが……む、今日で一億HLになるプリニーがいるな」
右奥にいるそこそこイケメンプリニーに視線を向ける。
いくら返済したかというのは似顔絵の描かれた給料袋に書かれているためしっかりと把握している。
「お、俺ッスか!?」
「プリナンデスよ、まさかお前が最初のプリニー卒業者とはな」
ここに来た当初といえば醜く顔を歪ませた野郎だったと言うのに、今では綺麗なジャイアン並に透き通った瞳をしている。
……いや、変わりすぎじゃね?
「……まあ、なんだ、正直三年で返済額に到達するとは思わなかったぞ」
そう、たった三年だ。
基本時給百HLに加えて、荒稼ぎしていた頃の分が三年返済を可能にしたのだろう。
「プリナンデス、ここでの日々を忘れることなく、もう一度ここに来るようはこともないようにしっかりと励むことだ」
「ヴァルバトーゼさん、お世話になりましたッス!!」
給料全額をそのまま俺に差し出した。
これできっちり一億HLは返済された。
「もう「〜ッス」をつける必要はない、ウラヌスよ」
「ヴァルバトーゼさん、俺の名前を……!」
ウラヌスは涙を拭い、ゆっくりと道場の扉を開く。
あんなに綺麗な瞳になった男だ、もう悪さなんてしないだろう。
……たしか彼はここを出れば料理人にって自分の店を開くと言っていたな。
その日が来れば教育係として彼の成長ぶりを見てやろう。
「さて、お前たちもしっかりと――」
「師匠!!!」
プリニーに激励の言葉を送ろうとしたところをセリューに止められる。
いつもなら叱ってやるところだが、なにやら様子がおかしい。
それに、後ろには休暇のはずのサヨとイエヤスまでいる。
「……何があった」
「オーガが……奴が罪なき人間を殺しました。事実確認も出来ています」
「あれが、人のすることなのかよ!!?」
「……あんなことが、今の帝都では許されてしまうのですか?」
それぞれがこの帝都での不満をぶちまける。
……あぁそうだ。今の帝都ではそれが許されてしまう。
だから、俺は革命軍に入ろうと迷ったことがあったんだ。
「……ナイトレイドとの接触目的は既に達成された」
もはや奴を生かしておく必要なんてない。
……皇帝との勉強会を終え次第、向かうとするか。
いつまでも停滞しているわけにはいかない。
そろそろ俺も、動くとするか。
次回予告
アカ「世界中のまだ見ぬ食材を求めて旅を続ける超高校級の美食トレーナーアカメ」
ラバ「なんかすっごい設定盛ってきた!?」
アカ「一斬必食村雨を手に、今日も幻の超高級種と言われるタイラントを探し続ける!」
ブラ「幻の超高級種だったのか!!」
マイ「そんなわけないでしょーが!?」
アカ「あ、あれは、まさか伝説の……!」
シェ「伝説の……?」
ヴァル「イワシだ、食え」
「「「お前かよーー!!?」」」
アカ「次回、アカメが食う九話「マイワシ捕獲計画」」
アカ「……これだけ設定が濃ければ、出番も多かったかもしれないな」
マイ「ま、まあここでは多いかも知れないし、それにヒノワなら……」
アカ「…………さあ、どうだかな」
ナジェ「……ははは、私はいつこの作品で出てくるんだろうな」
「「「………あ」」」