悪魔の妖刀   作:背番号88

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34話

 攻撃二回目の狼煙であるHUTコールを上げる。

 ヒル魔は栗田からボールをスナップされたが、すぐに動けなかった。

 攻略の糸口が、見えない。思考演算が、この場の最適解を導けない。

 

 神龍寺中央の守備に、陣取る二人。

 一人、ではない。

 金剛阿含と金剛雲水

 並んでゾーンを固めている。その様は、阿吽の金剛力士像に睨まれているかのような錯覚に陥らせるほどに、厚い。

 

「破ァ!」

「!!」

 

 あの類い稀な才能、神速の反射速度(インパルス)にあかせて、ただ暴力的なプレイをしていた糞ドレッドの姿勢が変わりつつある。

 だが、弟だけじゃない。

 変わっているのは兄の方もだ。

 先日、『俺が22人いりゃ、それがドリームチームだ』とほざいていたが、今ここには、その天才が二人いる。雲水(あに)に、阿含(おとうと)の姿がダブって見える――!

 

「ち……っ!」

 

 一休のマークの厳しいモン太ではなく、瀧へのショートパスを繋ごうとしたが、雲水の反応が迅い。長門を囮にするよう動かしたが、そちらには反応しない――阿含が既についているから。それを悟っているからの、迷いのなさ。

 そう、弟という“超反応の鏡”を通して、自分が考えるよりも速い動き出しを可能としている。ある種の、無我。過酷な修行僧が鍛錬の果てに至るという、トランス状態とでも言うのか。

 

『雲水選手、パスカーット! 泥門、攻撃失敗!』

 

 

 ~~~

 

 

 攻撃三回目。

 今度もヒル魔へボールがスナップされる。――同時に迫られる。

 

 

『何ィィィ、金剛兄弟、二人揃って『電撃突撃(ブリッツ)』です!? 守備を放棄して泥門の投手潰しに突っ込んだーっ!』

 

 

 悪手。普通に考えればそうだ。ボールがヒル魔と長門の二択で、的が絞りづらい『ドラゴンフライ』に一人に二人がかりで突っ込むという選択はない。もしも長門へボールがスナップされていればノーマークで、しかも守備陣が手薄になっているという大ピンチを招くことになっただろう。『ドラゴンフライ』本家本元の神龍寺ナーガならばその危険性はどのチームよりも承知しているはずだ。

 だが、長門(それ)はないと読み切られていた。

 どちらかにスナップする栗田の動きを()()()()――そして、その気づいた阿含の呼吸を()()()()――神速の判断速度、それを共有する亜神速は、まったく同時にスタートを切ってくる。

 

 ――だったら、ヒル魔(こっち)に引き付けるか。

 『ドラゴンフライ』は変幻自在。最初が筒抜けであろうとも、土壇場での急変(アドリブ)で対応できる。このまま厄介な金剛兄弟を誘導してからのパス回し。長門もこの意を読み、動き出している――しかし、“動き出し”というのであれば、『神速』である向こうが先手を打つ。

 

 ――糞カタナへのパスコースに割って入られた!

 途中で分岐した阿含が、ヒル魔と長門の間に割って入ろうとしている。まずい。頭の回転速度は速くても、凡人(ヒル魔)の反応速度では、わかっていてもすぐに動けない。

 そして、雲水は迷いなくヒル魔にタックルを決める――

 

「ケケケ、なめんじゃねぇぞこの野郎」

 

 雲水を、躱すヒル魔。

 ヒル魔妖一は、元々、移動型のクォーターバックだ。泥門初期のころ、素人たちの(ライン)がまともに機能しない環境下で、相手のチャージを回避する術を身に着けることを強いられたプレイヤーだ。

 雲水個人は、あくまでも凡人。『疑似神速のインパルス』が働かない1対1の勝負となれば、雲水の動きはヒル魔にも対処可能な範囲内だ。

 ――しかし、これは、1対2。

 

「そっちに逃げてはだめだヒル魔先輩!!」

 

 長門がヘルプに入ろうとするが、スピードでは間に合わない。

 

 

「ああ、そこは(おれ)の領分ではない」

 

 

 ヒル魔が回避した先――そこには、長門とのホットラインを断とうと動き出したはずの阿含が、超反応でヒル魔へと舵を切っていた。そして、雲水は弟の方へ追い込ませるよう誘導した。

 阿含兄弟は、挟み撃つようにヒル魔妖一を仕留めに来る。

 

「本物の才能相手にテメーみたいな狡いだけのカスは相手にならねーんだよ」

 

 ガドッッ!!!

 鬼神の一刀が、ヒル魔妖一を、フィールドに叩きつけられる形で潰した。

 

『で、泥門、攻撃失敗ー!!』

 

 

 ~~~

 

 

「ヒル魔君! 血……」

「小石で切っただけだ」

 

 金剛阿含の攻撃的なチャージに叩き潰されてしまったヒル魔先輩が、顔から血を流している。姉崎先輩が心配しているが、先輩の言う通り、頭が割れたとかじゃなくて、小石で切っただけなのだろう。それでも血止めくらいはして欲しいが……

 

「血……赤いんだな」

「何だと思ってたんだ」

 

 戸叶がそんなことをわりと真剣気味にぼやいたが、ヒル魔妖一は人間である。悪魔よりも悪魔らしいが。

 そんなチームメイトはどうでもいい発見を気にすることができるのも、ヒル魔先輩がすぐに立ちあがったからだ。

 

(……しかし、ダメージはある)

 

 長門は、その微かな腕の震えを見逃さない。アレは肉体の頑強さではなく、屈強な精神で保っている強がりだ。少しは休ませないと体が壊れる。それに試合に引きずるほどではないにしても、このすぐのプレイでは動きを鈍らせるだろう。

 

 

『泥門最後の攻撃のチャンスにボールが託されたのは長門! 栗田のいる中央を目掛けて、『爆破(ブラスト)』かーー!』

 

 

 泥門デビルバッツ、攻撃四回目。

 最後のチャンスに選択した作戦(カード)は、長門村正と栗田良寛の中央突破――『爆破(ブラスト)』だ。

 

「栗田先輩、行きますッ!」

「ふ――ん――ぬらばああああああっ!!!」

 

 泥門最高の身体能力を有する『妖刀』の後押し(ブースト)を受けた、泥門最強のパワーを持つ重戦士のラッシュ。

 山伏を中核とする神龍寺ラインが山の如く不動であろうと、これは山をも動かすプレッシャーに違いない!

 

 

 最初、泥門の快刀乱麻にガタついていたチームだったが、雲水の喝と阿含の睨みに引き締め直された。

 今、神龍寺ナーガは、全身全霊でプレイに望めている。ようやく、チームとしての本領を発揮できるようになってきている。

 

(ようやっと……この時を、どれだけ待ち望んでいたことか)

 

 ヘルメットの中で、密かに主将・山伏は涙を流す。

 

(おぅ、そりゃ怖い奴だったけど、やっと火ぃついてきた阿含と一緒に、すんごい神龍寺ナーガをやれるのかぁ……!)

 

 栗田良寛――この神龍寺に特待生枠で入るはずだった男。

 スピードはない。だが、パワーがある。山伏よりも上だ。どっしりと安定した下半身の力は、山伏の弾きでも突き倒せない。

 それが、仲間(ながと)を背負った今の栗田は全身から蒸気を噴き上げさせて突撃を仕掛けている。たとえ、八浄戒と二人がかりでも押し切られてしまったことだろう。

 だが、山伏権太夫の背にも負うべき者がついている。

 

(阿含と雲水が、背を支えてる。俺に力を貸してくれてる! おぅ……! こりゃ負けられんわい!)

 

 長門村正の中央突破――これに動き出した金剛兄弟。阿含と雲水が、山伏の左右両肩に手を置き、背中を支える。

 栗田良寛、そして長門村正。凄まじい力だ。二人のどちらとも1対1で力の押し合いとなれば、山伏は負けるだろう。

 現時点、押し込まれている。そんな最中でも山伏の眼力は、その視界が濡れていようが一瞬の気を逃さない。

 

 (カッ)! と開眼する修験者の双眸。発気に微かにあった雫の跡は蒸発する。

 

「――(ア゛ァ゛)!」

 触れている背中の動きから、阿含の神速の反応速度が山伏の“弾き”の前動作を察知。

 

                    「――(ウ゛ン゛)!」

 この阿含の反応に合わせることで、雲水もまた山伏の“弾き”の呼吸を感じ取る。

 

           「破アアアアアアッ!!」

 

 三人が一斉に、押し込む。山伏を起点とした『粉砕ヒット』。金剛兄弟の力を一切無駄に(ロス)せずに加算して一点集中。

 力の差は三人がかりでほぼ互角、だが、この一丸の瞬発力(スピード)は、こちらが圧倒した。

 

「栗田さんが……」

「栗田!!」

 

 鳩尾に決まる痛烈な肘打ち。抉り込まれた栗田の巨漢は後ろに大きく仰け反った。後ろで支えていた長門が青天を阻止したが――詰められた。

 

「どけデブ。――そして、テメェは死ね!」

「っ!」

 

 山伏に栗田を押し切らせて、阿含が来る。

 栗田が押し切られた直後で、体勢が悪い長門。

 この状況下で挑まれれば、どちらが勝つかは明白――

 

 

『泥門、『爆破(ブラスト)』が不発! 連続攻撃権を得るための10ヤードに届かず、神龍寺ナーガに攻撃権が移ります!』

 

 

 ~~~

 

 

 泥門デビルバッツの攻撃を阻止した……!

 

 観戦していた王城のメンバーは驚愕に目を見開く。

 泥門の攻撃力は関東でもトップクラスだ。長門村正が参加している今、王城がぶつかった決勝の時以上の破壊力だったはずだ。

 これを封殺してのけた神龍寺ナーガのディフェンス。

 

 キーとなったのは、雲水だ。

 雲水が阿含と組んだことで、ぐらつきかけていたチームの息を吹き返させた。

 

 『百年に一人の天才』の個人技ではなく、金剛兄弟――いや、神龍寺ナーガの力で、阻止したことは、大きい。これは勢いづくだろう。

 

「最初は、泥門のペースに持ち込めていた。『これはもしかしたら勝てる()()しれない』と」

 

「だが、長門村正との対決を経て、金剛阿含が変わりつつある。この戦いで、神龍寺は高みへの殻をひとつ破るか……!」

 

 金剛石は金剛石にしか斬れない。

 長門村正という天才を相手に、金剛阿含の在り方(かたち)が、変わりつつある。

 

 

 ~~~

 

 

「鬼すげぇ、阿含さん、雲水さん、山伏さんの三人が泥門をブチ破った! 鬼スゲェ!」

 

 神龍寺の攻撃。

 守備で封殺し、さらに流れをこちらに持っていくには、これを確実にものにする必要がある。

 どうするか?

 安全策で攻めるか。『ドラゴンフライ』で苛烈に攻め立てるか。

 

 いや……安全策に出る方が読まれ易い。ヒル魔妖一の十八番だ。

 最強のカードこそ、最高の安全策。『ドラゴンフライ』――

 

「雲水、どうする。ここは大事に攻めるか。それとも、一気に『ドラゴンフライ』で流れを持っていくか?」

 

「いえ、泥門は長門村正が屈さぬ限り、まだ勝機があると思い込む。そんな僅かな芽を潰えさせないといけない」

 

 前回の攻撃の失敗を払拭する。泥門に格の差を思い知らせる。そして、弟を“最強”とする。

 その為には、長門村正でも対応し切れぬ圧倒的な攻撃をする。

 

「超攻撃的にいきます。――『金飛龍(ゴールデン・ドラゴンフライ)』で」

 

 

 ~~~

 

 

「SET!!」

 

 神龍寺の攻撃が始まる。

 だが、セナたちは神龍寺が敷いてきた異様な陣形に瞠目した。

 

「んだこれ?? 投手が……1人2人――3人……!!?」

 

 金剛阿含と金剛雲水の二人投手体制の『ドラゴンフライ』、ではない。

 今、金剛兄弟の隣には、最前線に位置付くレシーバーである細川一休も並んでいるのだ。

 

 

『なんとこれは……阿含くんに雲水くんに、一休くんまで投手ゥゥ!?』

 

 

 ――『金飛龍(ゴールデン・ドラゴンフライ)

 1988年に、日大で誕生した3人ものクォーターバックを並べる、常識外れの『ドラゴンフライ』の亜種だ。

 金剛雲水、ここでこの神龍寺ナーガ最強の札を切ってくるとは、顔に似合わず大胆不敵!

 

 

「HUT! HUT! HUT!!」

 

 

 山伏からボールがスナップされる。

 選択は、三人。

 

「うお誰にボール投げた!?」

「2人でも混乱するっつうのに……!」

「3人もいちゃ誰に……!」

 

 セナが、『電撃突撃』――電光石火で金剛阿含に迫る。

 だが、ボールは雲水の方へ。

 そして、雲水は、即座に三人目の投手一休へボールを回す。

 

「ア……アハーハー! 早いヨ! パス回しが……!」

 

 三人の投手体制で、更にショートパスで確実に繋ぐ。

 一休のマークにモン太がつこうとしていたが、間に合わず。

 

(これは、金剛阿含だけに張り付いていては対応しきれない!)

 

 3人のうち誰にボールが渡るのか。

 その選手は走るのかパスを投げるのか、それとも3人の誰かに回すのか。

 起点のプレイヤーが3人いて、そこからの攻撃パターンが3種――3×3=9通りのオフェンスの幅を瞬時にすべて把握するなど不可能だ。

 

 

「そして、次は――阿含!!」

 

 

 金剛阿含にボールが渡る。

 だが、阿含にはセナが迫っている。

 疾い……!

 光速のチャージは、阿含の時間を削っている。

 

「あ゛あ゛ああああ!!」

 

 だが、鎧袖一触。

 そして、阿含は中央を強引にブチ破る。容赦なく振るわれる手刀の暴威のままに、セナに続いて、十文字と戸叶が薙ぎ払われた。

 

「仕留める……!」

 

 それでも、この3人を相手にした分、時間を浪費した――『妖刀』の切先が届くまでに。

 『蜻蛉切(スピア)タックル』!

 長門村正の強烈な突きを、金剛阿含は手刀で軌道を逸らす。

 しかし、これと同時にもう一本の腕が、回避経路を遮っている。

 手刀は、一本。槍腕は、二本。単純な数ならば防ぎようがない。

 この瞬間、金剛阿含は――ボールを、放棄した。

 

 

「阿含が後ろにボールを――雲水にボールを回したぞ!!」

 

 

 傍で並走していた雲水へボールを預けるや、自由になったもう片手で二本目の槍を凌いで、阿含は長門を抜く――!

 

 そして、阿含から横へ流されたパス。これを雲水は反射的に斜めへとパスを返していた。

 そこには突っ込んできた『妖刀』を躱した阿含が走り込んでいる。

 『神速のインパルス』と『疑似神速のインパルス』が成す、神速のワン・ツーリターン。

 

「――いいや、いかせん!」

「チッ……!」

 

 超速の後方移動。ほぼ仰向けに倒れ込みながら半捻りして、長身長腕を限界まで伸ばす長門。阿含がこれに超反応して、ヘルメットを押さえて地面に叩きつけようとしたが、硬い。

 

 後方への移動、ここの傾いた重心の隙を突かれて大和猛(ライバル)に倒された――この経験が、長門村正にただならぬ執念を纏わせる。

 二度も同じ失態は繰り返さん……!

 長門、抜かされかかったが、強引に阿含を止めた。

 

 

『神龍寺ナーガ、ファーストダウン! 連続攻撃権獲得!』

 

 

 それでも、前進を許す。

 

 

 金剛兄弟のプレイに唯一合わせられる一休を投手に加えた『金飛龍(ゴールデン・ドラゴンフライ)

 ヒル魔妖一にもプレイを予測し切れず、長門村正の対応力の限界を上回る。

 結果として、泥門は神龍寺の猛攻を止められない。何の打つ手もなく、着実にゴールへと近づかせていく。

 

『おおおおっ、今度は雲水くん、自分でボールを持って突っ込んだァーーー!

 ――い……いや! 違う囮だっ! 阿含くんにバックパス――そして、阿含くんから一休くんへパス!』

 

 

 連携が、噛み合う。この上なく、噛み合っている。

 そんなプレイの最中、雲水は、見た。

 

「ククッ」

 

 阿含(おとうと)が笑っているのを。

 そして、雲水は気づかない。

 今の雲水は、阿含の鏡――すなわち、彼自身の顔も笑みを作っているということに。

 

 

『タッチダーーーウンッ!! 金龍、悪魔の蝙蝠を寄せ付けず! 神龍寺ナーガ、やはり最強――!!』

 

 

 そして、キックゲームも決めて、7-7。

 神龍寺ナーガ、泥門デビルバッツに同点に追いついたところで、前半終了。

 点差で見れば、互角の勝負。

 しかし、後半からの追い上げを見るに流れは完全に神龍寺ナーガにあった。

 

 最強はいかなる時も最強。実力に紛れ無し。

 

 

 ~~~

 

 

「あ゛ー、そっちの狡いカスとデブカスっつう鈍間な足手纏いを抱えなきゃなんねぇとは哀れだなあ?」

 

「……何?」

 

「ククク、俺が神龍寺から弾き出しといて、ホンッット良かったわ!! テメェみたいに足を引っ張られる無様は晒さねぇで済んだんだからよ!!」

 

 後半が始まる時だった。

 阿含さんが、長門君へ言う。

 

全国大会決勝(クリスマスボウル)? 夢見ちゃったカス共を振り切れなかった時点で、テメェは終わっちまってんだよ」

 

 言うだけ言って離れていく阿含さんに、ヒル魔さんは、何も言い返さない。

 けど、栗田さんは、泣いていた。悔しそうに、申し訳なさそうに。俯いたまま動けない。

 

 

 カッ――目を見開く。

 

 

 こんなにも、キツく人を睨みつけるなんて初めての経験かもしれない。

 だけど、固く拳を握り締めて、小早川セナは思う。

 カスとか。

 チビとか。

 何言われたっていいんだ。

 でも――終わってるとか。ヒル魔さん、栗田さん、ムサシさん、長門君たちの全国大会決勝の夢を馬鹿にされるのだけは、許せない……!

 

 

「…………そうだな。神龍寺の連中を見誤っていた。本気になられちまったら、太刀打ちできない」

 

 

 絶句。

 誰もが言葉を失った。何故ならば、今の発言は、ヒル魔さんだったから。

 誰よりも貪欲に勝利を求めてきた人が、こんな試合を放棄するかのような台詞を吐くなんて……

 

「ヒル魔先輩、それは、本気か?」

 

「糞カタナ、テメーには先がある。……こんなところで怪我をしちまう前に、お前はもうベンチに下がっていろ」

 

 長門君が確認するが、ヒル魔先輩の口から出る返事は変わらない。どころか、長門君をベンチに下げようとしている。

 こんな弱気なヒル魔さんは初めてだ。これにカッと声をあげたのはモン太。

 

「何言ってんスか!! どーすんすか全国大会決勝!! ヒル魔先輩たちラストチャンスで、絶対行くってあんだけ……」

「無責任に威勢良いこと吠えてんじゃねぇこの糞猿!」

 

 

 しんと静まり返る泥門陣営。

 冷静な司令官が、幕を下ろそうとしているのは、神龍寺からも窺えていた。

 

「思ったより簡単に心折れたっすね~」

「しかし何も、指揮官が後半キックオフ直前に、んなこと言わんでもなあ……」

 

 ……あ゛――?

 金剛阿含の洞察()からしても、ヒル魔妖一の行動は異様に映る。

 あの狡いカスが、軽く煽ってやったくらいで白旗上げる性格(タマ)か? 

 またくだらねぇ小細工(ハッタリ)を……

 

 

「で、でででも……」

 

「はなっから、練習や努力でどうなる相手じゃなかった。そんだけのこった……」

 

 

 ――いや、周りの雑魚の動揺は、演技じゃない。

 そして、奴も……

 

 

「ヒル魔先輩、あんたにはがっかりだ。俺を強引にチームに引き込んでおきながら、勝手に勝負を投げるのか?」

 

「ああ、もう泥門の勝率は0コンマ数%っきゃねぇ状態なんだかんな。ブン殴りたきゃ殴れ。それでテメーの気が済むならな」

 

 

 ゴンッ! と長門村正の感情に任せて振るわれた拳が、ヒル魔妖一の面を殴り飛ばす。

 寸止めとかじゃない。本気でその顔を殴り抜いた。狡いカスがまともな受け身も取れずに倒れた。

 

 

「糞っ! こんな、くだらない真似をさせてくれやがって……! ヒル魔妖一、俺はあんたを絶対に許さない」

 

 

 チームの精神的な支柱であった二人の喧嘩。

 ここから予見しうる結末は悲惨。チームは、バラバラの空中分解で終わるだろう。そう、会場全体は思い込んだ。

 

 

 ~~~

 

 

「ど、どどどうしちゃったの、妖一兄(よーにい)!? ねぇ、まも姐……まも……姐………?」

 

 後半開始、フィールドへ選手たちが向かった直後に、泥門デビルバッツ・マネージャーの姉崎まもりはひとつの差異に気づいた。

 

『神龍寺ボールでいよいよ後半スタート! 泥門のキックオフです!』

 

 本当に、気づかないくらいだけど、皆、配置が少しだけ後ろに下がってる……?

 

 きっとこれは、『60ヤードマグナム(ムサシくん)』の巨大キックのインパクトを、自然と警戒してる……!

 

 サインを出す。フィールド上の指揮官(ヒル魔)には伝わった。

 

 これは――『オンサイドキック』のチャンス……!!!

 

 阿含が一番奥にいる。手前に転がしゃ、泥門(うち)がボールをブン捕れる可能性は十分ある。やるなら、今ここしかねぇ。

 ……だが、神龍寺相手じゃ虚を突かなきゃ成功しっこねぇ!

 

 今から作戦を出し直すような真似をすれば、絶対警戒される。

 特に最も乱戦に混ぜたくねぇ糞ドレッドは、こっちの狙いを看破してくるはずだ……!

 

 どうする……

 神龍寺の連中には悟られねぇで、うちの連中に作戦変更を伝える方法――んなもんあるわきゃねぇ。どうする……!!

 

 

 そして、ヒル魔妖一は、賭けに出た。

 

 

 ~~~

 

 

『こんなところで怪我をしちまう前に、お前はもうベンチに下がっていろ』

 ――ハ? んなお優しい柄かよ! 言ってること違和感バリバリじゃねーか!

 

『もう泥門の勝率は0コンマ数%っきゃねぇ状態なんだかんな』

 ――ほんの僅かでも勝ち目が残ってるのに、ヒル魔さんが本気で諦めるなんてありえない!

 

 0%じゃなきゃ勝負するに十分だと言い張る人だ。

 そうだ。皆で絶対全国大会決勝(クリスマスボウル)って誓った。

 だったら、これはウソだ。

 そして、ウソならば、発言の裏は全て逆の意味――

 

 “ケガするな”は、“ケガしそうな”プレイをやらせるということ。

 このキックオフのプレイで、勝ちに行くのは――『オンサイドキック』だ……!!

 

 

 キッカー・武蔵はボール目掛けて駆け出す。

 自身は、ヒル魔の意図を察している。だが、他の全員がどうだかはわからない。

 

(全員で突っ込まなきゃ捕れっこねぇんだ。作戦変更も伝えねぇで正気かよあのバカ野郎……!)

 

 ――ムチャクチャだ。言葉なしで11人全員に伝わって、気持ち揃ってなきゃ無理なんだぞ……!

 ――目線一つでも合図を送ったりすれば警戒される。皆の思いを確認する方法なんてない……

 ――天才(あごん)の洞察力から手加減(えんぎ)して喧嘩するのは無理だった以上、あれは誰がどう見ても仲違いに見えたはずだ。それでも――

 

 

 誰ひとり、全国大会決勝を諦めてないって信じ合っていること――信じていくしかない……!!

 

 

 武蔵が足先にすくい上げるようにボールを蹴り転がす――その方向へ、十文字、黒木、戸叶、栗田、小結、セナ、モン太、瀧、ヒル魔、長門が、一斉にスタートを切った。

 

 揃った! 全員、『オンサイドキック』の方に……!!

 作戦も伝えていない。なのに、11人の意思は同じ方を向いていた。

 

 

 ~~~

 

 

「ボールを押さえろ! 上がれーーっ!!」

 

 乱戦乱闘。後半開始早々に、博打に出た泥門のプレイ。

 これにわずかに出遅れたものの神龍寺もボールを追いかける。

 

「がああああああ!!」

「痛ぇえええええ!!」

「ケガ上等だコラ! ぶっ飛ばしてやれ!!」

 

 一番後方に待機していた金剛阿含は、まだ追いつけない。

 ひとつのボールを巡って入り乱れる泥門と神龍寺――そこに活路を切り開かんとする『妖刀』。

 

「破!!」「いかせん!!」

 

 山伏のチャージを長門が抑える。

 そして、セナがボールを押さえようとし――楕円形のボールは予期せぬ方へ(イレギュラー)バウンド。セナの手を逃れるよう、真上に跳ねて――そこに、飛びつく二人の影。

 

「西部戦では結局捕られちまった『オンサイドキック』ッ! 今度こそ――今度こそ……!!」

 

 ボールに手を伸ばすのは、モン太。――だが、指一本、先にボールに触れたのは、空中戦最強戦士・細川一休。

 

「おおおおでかした一休!! そのままボールを弾き飛ばせっ!」

 

 ――いや、そんなチャンスは与えない。

 背面捕りをしてくる雷門太郎だったら、零れ球にも反応して飛びついていく。だから、捕る。弾かず、一休の手で確保する。

 宙のボールに触れたたった指一本、それで軽く弾く。指一本に跳ねられた、そのわずかに浮いた時間で伸ばした両手がボールを確保した。

 

 

「ククク、あの状態から弾くんじゃなくてキャッチにまでいける奴は、テメーくらいのもんだ」

 

 

 ボールを弾かず、あの指先一本から空中ですでに捕球成功にまで繋げてみせた。器用なんてものではない。だが、常人には無理な行為を成す、だからこそ細川一休は関東最強のコーナバックだった。

 

 

「いいや、()れるだろモン太。俺に全力を出させたお前は、まだ終わりじゃない」

 

 

 ボールを抱え込んで確実に確保しようとした――そのレシーバーの習性とも取れる行動を待ち構えていたかのように、大きな手があった。

 

『アメフトは、野球とは違い、ボールを捕れれば終わりと言うわけじゃない。奪い合って最後にモノにしたヤツが勝ちだ』

 

 長門との『千本(デス)ノック』。本庄鷹の『デビルバックファイア』にも対応できた長門に普通のキャッチ勝負じゃ歯が立たなかった。だから、もつれ込んだ状態からでもチャンスとなれば奪い取れる術を身につけなければならなかった。

 

 コイツ、いつの間に――何でこんなとこにコイツの手が……!?

 経験と本能で知っていた。それを長門村正との『千本ノック』がさらに尖らせた。雷門太郎のキャッチ感覚を、乱戦(アメフト)仕様に磨き上げた。

 モン太の手は、縫い目を精確に掴む。そして、相手の腕の中からかき出すよう、キャッチ力で強引にもぎ取る。

 

「こ、の、野郎……!!」

「キャッチMAーーX!!」

 

 ――『無刀取り(ストリッピング)

 長門村正との競り合いの最中で、モン太が学習したアメリカンフットボールの技。

 

 

『泥門オンサイドキック成功! 泥門ボール!!』

 

 

 ~~~

 

 

「それっぽく見せりゃいいっつうのに、血が出る程ブン殴ってんじゃねぇ、この糞カタナ!」

「あんなアドリブをぶっ込んでおいて注文が厳しいっすよヒル魔先輩。それよりも、問題はここからじゃないんですか」

「チッ…ああ、糞猿が作った勢いを殺す手はねぇ。――ビックリ芸で一気に畳み掛けっぞ!」

 

 『オンサイドキック』というギャンブルを制して、モン太がもぎ捕った攻撃権。

 しかし、待ち構えるのは前回封殺された神龍寺の守備。阿含と雲水、金剛兄弟の連携を掻い潜らなければ、泥門はこの試合勝つことはできない。

 

「ケケケ、ハーフタイムで体あっためてあんだろうな! 糞ハゲ!」

 

 泥門デビルバッツ、後半から参加する攻撃専門のレシーバー・雪光学。

 運動部助っ人の石丸が抜けて、これで泥門の本当の攻撃態勢が整った。

 

 

「な……泥門のレシーバー4人が、何で一ヵ所に固まって……」

 

 こんな偏りまくったフォーメーションは論外だ! とアメフト関係者が慄く。

 泥門デビルバッツが取った陣形は、なんと片側にモン太、雪光、瀧、長門を配置して、超強力(ストロング)サイドに偏らせていた。

 

 

「ケケケ、パスターゲット×4人で、威力4倍にする究極のパスフォーメーション――『ガトリング』だ……!!」

 

 

 神龍寺の『金飛龍』が“発射台”を三人揃えるのなら、泥門は“的”を四人に増やすとばかりに泥門司令塔ヒル魔は口上を上げる。

 レシーバーを四人配置する『ショットガン』をさらに片側に四人集中させたのが、『ガトリングガン』。

 

 あからさま過ぎるパス特化陣形。

 これを前にしては、競り負けた直後の最強のコーナーバックがざわつく。

 

「何人来ようが関係ありません。モン太だろうが、長門だろうが、瀧だろうが、雪光だろうが、誰が相手だって俺が捕ります。――空中戦No.1は俺だ」

 

「冷静になれ一休。ヒル魔妖一――奴は神龍寺の堤防に空いた蟻の巣のような穴から一気に決壊を狙っている。煽られずに落ち着いてプレイしろ」

 

 冷静に、雲水は見定める。

 ヒル魔妖一。身体能力を奇手と謀略でカバーしてくる泥門の司令塔。

 だが、そんな策も阿含(おとうと)にかかれば、容易く破られる。

 

「テメーら4人のルート取りにかかってんだ。死ぬ気で走りやがれ! それぞれのパスルート1mmでもズレたらブチ殺すぞ……!!」

 

 レシーバーの4人に近づいて発破をかけるヒル魔。後半直後、前半の最後を追い上げられた形となった泥門からすればここで攻撃を失敗するのは大きい。神龍寺から点を取るのは無理だと思い知らされる。

 『オンサイドキック』という大博打を成功させたが、後に続かなければ無意味

 

 

 ~~~

 

 

 ボールが、投じられた。

 

 

 ~~~

 

 

 その瞬間、場の空気は止まったかのように、観客神龍寺側の人間は唖然と呆けた。

 え? ヒル魔がまだセットポジションについていないのに、プレイが始まった。

 

 そして、誰もが目で追う、栗田からスナップされたボールの行方には――アイシールド21!

 

 

『なにいいいい!?』

 

 なんとボールはヒル魔を完全無視して、直接――前半まったく攻撃に参加しなかった――セナの元へ。

 ヒル魔がレシーバーたちに発破を掛けにいった行動は、“一人だけ移動しながらプレイを始められる” ――『インモーション』だったのだ。

 

「ケケケ、レシーバー4人いたからって威力4倍になんざなるわきゃねぇだろ! ――ブロッカー4人だったら、話が違うがな!」

 

 これは、パスプレイじゃない。ランプレイだ。レシーバー4人がリードブロックに参加した『掃除作戦(スイープ)』!

 

「止めろ!!」

 

 即座に回り込む神龍寺。

 意表を突かれ、一瞬の隙を許した出遅れは、光速の世界では厳しい。この試合、初めて目の当たりにする小早川セナのランプレイに、神龍寺の対応が間に合わない。

 

「くっ……!!」

「抜けェ――セナ!」

 

 モン太と瀧、それに力のない雪光も盾に入って、光り輝く走路(デイライト)に神龍寺の守備が侵入するのを遮る。

 そして、『妖刀』――後ろに仲間を背負って、『護る為の殺意』を解放した長門村正が壁を切り開く!

 

 

「うおおおお! 阿含と雲水が来たー!!」

 

 

 ディフェンスを躱す曲がり(カット)の分だけ遠回りになったその一瞬に、阿吽の仁王像が追い付いてきた。

 

 

「足手纏いなんざ抱えてる時点で、俺には勝てねーんだよ!」

 

 雲水さんが前に出てきた。長門君を相手にするつもりだろう。そして、無防備になった自分(セナ)を阿含さんが潰しにかかる。

 見てから0.11秒で反応する『神速のインパルス』に弱点はなく、小早川セナに敵を薙ぎ払える芸当(パワーラン)は無茶だ。

 

「足手纏い……? 何を言っているんだ?」

 

 セナの身体が、長門の身体の真後ろに入り、阿吽の金剛力士像の睨みから(のが)れる。

 左右に小刻みに揺れる。クロスオーバーのステップを二人でこなす。ブロッカーでありながら、ランナーのステップをマスターしている長門と練習した連携プレイ。一瞬の超速からの踏み込みに釣られた直後に抜き去る、セナと長門のコンビランが繰り出す秘太刀!

 

「この泥門デビルバッツに、足手纏いがいるなど俺は知らない」

 

 ――『変移抜刀霞斬り(バニシング・デビルバットゴースト)』!

 無視できない存在感でプレッシャーをかけるリードブロックに、後方から逆方向にカットを切るランナーの姿を見失う。人の習性を利用した視線誘導(ミスディレクション)

 

 

「うるせぇぞ。50に10が足されたところで能力100には敵わねぇんだよ」

 

 

 長門がセナを身体で隠したように、雲水(あに)を壁に出させたことで、見れば釣られるはずの視線誘導から逃れる。そして、『神速のインパルス』の超反応がセナの前に迫る――

 

 

「――ああ、あんたならコイツに反応すると思っていた」

 

 

 阿含がチャージをした先で、長門の長い腕が無造作に伸ばされているのを見た。そして、開かれた手に、セナがボールを持っていくのを。

 

「なっ……――」

 

 この瞬間、この土壇場に――『聖なる十字架(クリス・クロス)』のボール渡し(スイッチ)

 長門は振り返っていない。だが、心眼――信頼した仲間の行動は見ずとも覚る。

 『神速のインパルス』の迅さを上回るには、考えていたら間に合わない。

 一点の曇りなく全開で動きながら、尚且つ、考えず、直感に委ねて動く。

 信じろ!

 あのアイコンタクトなしで『オンサイドキック』を成功させた今なら、やれるはずだ!

 

 長門とセナ、抜き去りながらの綱渡りなボール渡し(ハンドオフ)を成功。

 

「うおおおお!」

 

 そして、セナはそのまま阿含へ人間砲弾で特攻するリードブロックに入る。

 同時、ボールを受け取った長門も、雲水と接触する寸前で、斜めに潜る。

 『卍』と見せかけて、『/』を仕掛ける要領で抜き去った。

 

 

「あ゛あ゛ああああ!!!」

 

 

 セナを捌き、0,1秒で立て直す。そして、追いかける。

 文字通り、鬼気迫る勢い。

 再び阿含が、追い縋ってくる。

 

「しつけえええええ!!」

 

 どこまでも、立ちはだかる。

 

「うおおおおお!!!」

 

 雲水もまた、これに触発されたかのように連動。

 『疑似神速のインパルス』――雲水は真後ろに倒れ掛かりながらも、手を伸ばし――その指先を長門のスパイクの踵に引っ掛けた。

 雲水の執念を脚力でもって強引に振り切った長門だったが、その時にはすでに阿含が回り込んでいて――

 

 

「ケケケ」

 

 

 そこに、割って入ってきた悪魔の哄笑。

 パワーとスピードとタクティクスを爆発させるアメリカンフットボールプレイヤーは、持っているカードの力を切り方次第で、120とする……!

 

「いくら奇策珍策練ろうがな結局最後にモノ言うのは基礎トレだ」

 

 間に合うはずがない。

 たとえこの展開を読めたとしても、40ヤード走5秒2、ヤツのスピードではこの局面にギリギリで追いつけるはずがなかった。

 

 

「おう、糞ドレッド。テメーが神龍寺で練習サボってる間――0.1秒縮めるのに、1年かかったぜ……!!」

 

 

 ヒル魔妖一の40ヤード走は、5秒1――

 『インモーション』で騒ぎ立てていたヒル魔妖一が、走ってくる。それに長門村正はボールを回すや、阿含へチャージを遮るリードブロックに入った。

 

「だから、泥門に足手纏いはいない。――一人たりともな」

 

 ガッチリと長門に両腕を回して腰を捉えられた阿含は、ヒル魔の背中に手を伸ばしながら、指間に捉えるそれが小さく、遠くなっていくのを見送るしかなく。その背中を地につけた。

 

 

『タッチダァアアァァウン!!!』

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