悪魔の妖刀   作:背番号88

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39話

「こんな時に訊くのもアレだけど、ほら、悪いね。最上級生で、一番冷静そうな貴男に訊くよ」

 

 どうする? 続ける……?

 ヒル魔がいなくなってから、円子令司がそう武蔵に問いかける。

 

 白秋ダイナソーズは、投手を潰して地区大会を制覇した。対戦してきたチームは皆、クォーターバックを峨王に壊され、棄権した。

 関東大会、唯一、クォータバックが生き残った太陽スフィンクスがいたが、峨王を阻んで壁となったラインマンが全員病院送り。結果、これ以上の試合はできないと太陽の原尾は試合を棄権した。

 

 白秋ダイナソーズと戦えば、また、誰かが潰される可能性が高い。

 これ以上の被害が増す前に、棄権するのを勧めるのも、ふざけた話ではない。

 

 

「その質問の答えは、おそらく――俺一人で吐くセリフじゃあないな」

 

 

 武蔵が答えられるのは、それだけだ。

 

 

 試合は続行する。

 だが、泥門デビルバッツは戦えるのか。

 

「護れなかった、ヒル魔を……」

 

 栗田は、揺らいじまっている。ぼうっと、意識の半ばが身体から離れているような表情で、心ここにあらず、明らかに試合に対する集中力が欠けていた。

 良くも悪くも、仲間に調子が左右される奴だ。……武蔵(オレ)が離れてから、蒸気滾るプレイが鳴りを潜めてしまった。これまでずっと共に戦ってきたヒル魔を峨王から護れなかったことを一番に気に病んでいて、最もショックがデカい。

 とても、戦える状態じゃあない。

 他の面子も少なからずの動揺を受けている。……自身も含めて。

 

 この場の空気が、重量と粘度が増したように息苦しいものになる。

 ここから士気を立て直すには、強い指揮官が必要だ。

 クォーターバックは、アメリカンフットボールの花形なポジションであるが、その分だけ負担が大きい。

 まず、ボールの扱いが巧くなければ務まらない。

 助っ人ではない、正式な泥門デビルバッツの面子の中で、前衛(ライン)の5人は除く。

 それから、バカで司令塔は無理な瀧、スタミナのない雪光、キャッチはできるが投げる方はノーコンのモン太をさらに除く。

 候補はかなり絞られる。

 セナは、そのスピードで引っ掻き回せるだろうが、リスクがデカい。

 

 クォーターバックは、矢面に立つことになるのだ。

 峨王にやられたヒル魔と同じ運命をたどる可能性が高い。

 

 ならば、ボールの扱いはラインの連中と同レベルだが、大工仕事で鍛えた俺なら……というのは、高望みか。

 だが、3人で始めたアメフト部だ。危険な役回りをするだけの義務がある。

 

 ……いや、わかっている。

 

 ヒル魔の代役を務められるのは、ひとりしかいない。

 武蔵が挙げた条件も揃っている。それに先輩で、()()デビルバッツ創立メンバーだが、地区大会準決勝に復帰するまで離れていた武蔵よりも、今の()()デビルバッツの支柱となってきた……

 

 

「悪いな。ちと包帯を巻くのに手間取っちまった」

 

 

 長門……!

 額に包帯を巻いてきた長門が、フィールドに戻ってくる。

 

 

『泥門、長門が戦線復帰ーー!』

 

 

 たった一人の参戦だが、空気がガラリと変わる。一歩、フィールドに踏み入った途端に会場が静まり返って、次の瞬間に『泥門』の声援が湧き出た。白秋コール一色だった応援も盛り返す。それだけ、期待できる選手。どんなに劣勢でも、“長門村正がいれば覆せる”と思わせることのできる雰囲気(オーラ)と実績を持っているエース。

 そして、チームも、俯きかかっていた顔が上向いた。

 

「長門君!」「長門、おい、大丈夫なのかよ?」「峨王にぶっ潰されたんだろ。あんま無理すんじゃねぇぞ」

 

「問題ない。さっきのは峨王にやられたというよりも、自分で足を滑らせた転倒だ」

 

 駆け寄ってくる皆に軽く手を振って、いつもの調子に振る舞う長門。それだけでこの場の空気が軽くなった。

 

「やられっ放しは寝つきがよろしくないからな。こうも騒がれては大人しく気絶もできん」

 

「はっ、言いやがるぜ! 確かにな。俺達もそんなの趣味じゃねぇ。白秋の奴らを黙らすぞ」

 

「っしゃ、任しとけ、長門! ヒル魔先輩怪我させてくれた復讐戦だ! 汚ねーMAXの峨王、絶対ぶっ倒してやる!!」

 

 泥門の中でも直情的な十文字やモン太らが勇ましく声を上げる。

 長門は彼らが腕を振り上げて士気を高めるのに目を細め、一言、水を差す。

 

「勘違いするな。アメフトってのは、お行儀の良い単なる球技じゃない、格闘技でもあるんだ」

 

 長門は、厳しい声音で言う。

 たとえば、ボクシングでパンチを食らって骨が折られたとして、『骨が折られた! 汚い! 復讐だ!』というのか? と。

 

「敵のエースを潰しに行くなんて当然の戦略だ。きっとヒル魔先輩がいたらこういうだろう。“弔い合戦なんて馬鹿げたことほざいてる暇があったら自分(テメェ)のプレイに集中しやがれ”、ってな」

 

 悪いのは、自分達の司令塔を護れなかった自分達だ。

 勇猛と無謀は紙一重で、その間違いを踏み越えさせないためにも、血気逸る仲間達を諫める。無闇に煽動するのではなく、冷静に先導するその姿勢は、司令官として相応しくある。

 

「でも……」

 

 ぽつりとセナ。涙を拭った顔からそのどうしてもこらえ切れない心中を吐露する。

 

「やっぱり、こんなのって……悔しい。悔しいよ、長門君! ヒル魔さんの夢が、こんなところで……! こんな風に終わりにされるなんて……!!」

 

「いいや、セナ。まだ終わっていない」

 

 そんなセナへ、長門は力強く断言する。長門の目は、今もなお、強い光が篭っている。その裡に燃える灯を火分けするようにセナから全員の顔を見回す。

 

「終わるのは、ここで俺達が負けた時だ。まだこっちが5点リードしている。そして、ヒル魔先輩がこの程度で諦めるような物分かりの良い性格をしてると思うのか? いいや、違うだろ。勝ち目が0.1%でもあれば十分だと言い切る先輩だぞ。たとえ腕を折られたって、都合のいい骨のスペアと差し替えてでもおかしくはないぞ?」

 

「うむ。ありうる奴なら……!」

「いや、あり得ないでしょ」

 

「“I’ll be back!” きっと戻ってくるからバッチリやれってことだねムシュー長門!」

 

「俺らのことアメフトに引きずり込んだくせによ勝手に一人でぶっ倒れるなんて許せることじゃねぇよな。今度は俺らが首に縄括り付けてでもクリスマスボウルに引きずってってやる……!!」

 

 最後に長門は冗談交じりにそう締めくくれば、戸叶らなど一部真に受ける者もいたが、泥門の意思は――一人を除いて――前を向いた。

 

「いいか。戦場のルールは一つだけ。

 ――勝て……!! 勝って、俺達の夢を、俺達の力で守るぞ!」

 

 

 ~~~

 

 

『――ぶっ! こ! ろす!! Yeahーー!!』

 

 

 ~~~

 

 

『おおおおおーっと……! 泥門二代目のクォーターバックは、長門村正ァーー!!!!』

 

 あ~~、やっぱり、そうくるよね、とマルコはため息を吐く。

 他の会場に集っているアメフトの関係者らもこの展開は当然予想していただろう。

 

 ヒル魔の代わりをやれる選手なんて、長門くらいなものだ。

 運良く(あちらには運悪く、また峨王にとっては不本意ながら)叩き潰されたが、どうやらまだプレイに参加できるくらい平気なご様子。

 残念だ。

 

 しかし、ある意味でこれは、最も潰したいエースが絞首台に上ってきてくれたとも考えることができる。

 その手でボールを抱えなければならないクォータバックに、峨王の圧殺力をいなすことなどできやしない。無理だ。痩せ我慢もいつまでも続かない。全国でもトップクラスのラインマン、心身屈強な戦士・番場衛をも沈めた峨王の当たりを、何度も食らって壊れないものなど存在しないのだ。

 

 ……ただ、ひとつ、無視できない懸念もある。

 長門がどのような戦術を取ってくるか、予想がつかない、ということ。

 ヒル魔の補助する形で投手をしてきたこともあったため、付け焼刃というのは望み薄。長門自身がどのような戦術を組み立ててくるのかは、これまでほとんどデータがない未知数だ。

 この試合が、長門村正が一選手ではなく、一指揮官として起用されるデビュー戦となる。

 

 

 ~~~

 

 

「長門は、経験と頭脳もある。チームメイトとの連携も問題ない。何より、その才能(センス)。クォーターバックをやれる資質は十二分にあるだろうね」

 

 王城の高見は、そう評するが、眼鏡越しの視線は依然と険しいまま。

 交流戦でも、キッドとの『ドラゴンフライ』をしたことがあったが、クォータバックは、才能だけでこなせるポジションではない。

 ゲームを組み立てるフィールド上の監督であらなければならない。泥門の中で最もヒル魔の戦術理論を理解しているだろうが、理解しているからと言って、チームメイトを指揮できるというわけでもない。

 教本(セオリー)通りに手堅くいくか、それとも定石を無視した博打を仕掛けるか。

 

「さあ、白秋にどのような手を打つのか。お手並み拝見だ」

 

 

 ~~~

 

 

「出番が早いですが雪光先輩、入ってください。それからセナと石丸先輩もレシーバに加わってください。作戦は……」

 

 モン太、瀧、雪光、セナ、石丸(陸上部だがキャッチもできるようになった)――レシーバー5()()が一番前にズラッと並ぶ。

 

 

 ~~~

 

 

『ななななななんと! 泥門、ライン5人とクォーターバック以外の後衛全員をパスキャッチ要員(レシーバー)に割り振っています!』

『こ、これは、『エンプティバックフィールド』! 村正君が敷いたのは、『ショットガン』を超える『ファイブワイド』のパスフォーメーションです!』

 

 

 WR(セナ)      T(戸叶)G(小結)C(栗田)G(黒木)T(十文字)    WR(雪光)

   WR(モン太)WR(石丸)    QB(長門)     WR()

 

 

 超攻撃力を誇る西部ワイルドガンマンズが得意とする、パスプレイを主軸に設計された陣形『ショットガン』以上に、パス一辺倒に傾いたそのフォーメーションは、『エンプティバックフィールド』。通称、『ファイブワイド』。レシーバー五人体制の過激極まるパス戦術だ。

 だが、それは『孤高の(ロンリー)センター』と似たようなものだ。

 

「長門の奴、まさかヒル魔がやられて自棄になっているんじゃないだろうな……! あんなの峨王に抜けられたらどうしようもないぞ!」

 

 西部の陸は、思わず座ってる席から立ち上がりそうになった。

 観客席から見れば、前衛(ライン)を除けば、長門の周囲には誰もいない。

 後ろががら空き(エンプティバックフィールド)――つまりは、突破されればおしまいの“背水の陣”なのだ。

 ラインの後ろにはクォーターバックしかいない。もしも前衛が破られれば、峨王と一対一(さし)。パスプロテクションに入る後衛などおらず、自らガードを下げるような真似をするなど、なんて命知らずだ。

 

「いいや、彼、冷静なんじゃない?」

 

「キッドさん……」

 

 東京No.1クォーターバック、いいや、全国最強のクォーターバックだと信じるキッドの意見に、陸は立ち上がりかけた腰を椅子に下ろす。

 陸の目には長門が血迷っているようにしか映らないのだが、この人には確実に別のものが見えている。それは陸にはわからない。キッドさんはあまり多くは語らない。だが、その答えは、これからプレイで示されるはずだ。

 

「峨王、封じる気でいるよ、本気で」

 

 

 ~~~

 

 

「SET――HUT!」

 

 

 峨王には、期待することがあった。

 

 面白くなるかもしれない。

 目覚める可能性がある。『優しき巨漢』栗田の本物の闘志が。

 

 ヒル魔妖一が倒されたときに見せたあの長門村正の鬼気。それと同じものと対決できるのではないかと峨王は期待していた。

 

(さっきは、峨王君に潰された)

 

 だが、

 

(今度()もう、これじゃきっと……)

 

 力以外の何も頼らない純粋な重戦士……そう、高く買っていた男は、腑抜けてしまっていた。

 

 

「っ、なに情けねぇ面を晒してやがんだ栗田! お前さんの壁漢(ライン)魂はこんなもんじゃねぇはずだぞ!」

 

 山本鬼平は渋い顔でしかり飛ばすが、その熱いメッセージは今の栗田の耳には届かない。

 

 

 あっさりと、払えてしまった。

 さっきまでの、『百人組手(デススパー)』で獲得したはずの『不沈立ち』の粘りがまるでなくなっている。

 ヒル魔妖一を折られたのが、完全にトラウマとなっていた。

 

「フン……つまらん」

 

 この期に及んでもまだ殺意を眠らせているのか、栗田。

 俺を満足させてくれる者は、貴様しかいないのか、長門……!

 

 

『村正君――!!』

 

 

 実況席から熊袋リコの悲鳴が響く。

 

 ()った……!

 ボールを持っている長門に、峨王のパワーを捌く余裕はない。ヒル魔が倒れれば十中八九長門がクォーターバックになることを予想したマルコが望んだ絶好の展開だ。

 護りに頼れない手薄な陣形で、峨王の破壊(ちから)がまともにぶち当たれば、今度こそ『妖刀』は折れる。ヒル魔に続いて、ジョーカーである長門が倒れれば、泥門は終わりだ。

 

 逃げるには、一歩遅く。

 投げるには、一手遅い。

 栗田があまりにも保たなかったために、パスを投げるためにボールを振りかぶる前動作(モーション)すら整っていない。

 

(おしまい、と……)

 

 

 ~~~

 

 

 ふっ――と峨王の頭上を越えるボール。

 

 

 ~~~

 

 

 指先がヘルメットに触れる寸前で、峨王の手がピタリと止まる。

 ヘルメットから覗く長門の双眸は、瞬きもせずに見据えている。

 

 そして、ボールは既に投じられていた。

 

 

「アハーハー! 僕のベストキャッチが活かせる、ナイスパスだよムシュー長門!」

 

 

 それは、紙一重のタイミングで投げられたノミのダンス(ループパス)

 峨王の頭上を小さく山なりまたいでいったボールを、瀧が長身を生かしてジャンプキャッチする。

 

 

『泥門、パス成功! 4ヤード前進!!』

 

 

 愕然とする。マルコは長門村正が企てた戦術を理解した。

 面倒な峨王をぎりぎりまで引き付けてから、ショートパスで躱すという腹積もりだ。

 『エンプティバックフィールド』で後衛の人員を全部パスターゲット要員に割けば、ショートパスの成功率は飛躍的に上がる。

 

「そして、峨王力哉は、ルールは守る。パスを投げ終えた選手にタックルするのが反則であることをわかっているからな」

 

 だから、パスを投げてしまえば、峨王は破壊(タックル)を止めざるを得ない。

 全力(パワー)で峨王が止めることができないのなら、全速(スピード)で峨王を止まらせる。

 逆転の発想が行き着いたのは、攻撃は最大の防御となるというノーガード戦法だった。

 

(いや、いやいやいや、それで全プレーやっていくつもりなの? そんな命がけでもちょっとずつしか進めないっちゅうのに――つか、今のパス、モーションが見えなかったんだけど!?)

 

 そう、まるで西部ワイルドガンマンズの、東京最強(No.1)クォーターバック・キッドの早撃ちだ。

 

「フン……。長門村正、帝黒学園(ちょうてん)大和猛(アイシールド21)とも同格というマルコの評に偽りはない。今まで俺が出会った中で、貴様ほどに斃したい獣はいなかった……!!」

 

 故に、存分に。

 この“最強の獣”に、全力をぶつけん。

 

「ああ、かかって来い峨王力哉。だが、勝つのは俺達だ」

 

 

 ~~~

 

 

『泥門、連続パス成功!! 泥門デビルバッツ5ヤード前進――!!』

 

 

 まさか、そんなありえない……!

 甲斐谷陸は絶叫を上げるのを堪えるあまりに息詰まってしまう。むせてしまったが、しかしそれほどに衝撃的で、信じ難い光景だった。

 無敵の早撃ち、東京No.1クォーターバック・キッド以外にはできない超クイックパスモーション――それは、何人にも侵すことのできない絶対的な神域で、西部ワイルドガンマンズの象徴なのだ。

 

(普通投げるの0.5秒かかるところを0.2秒で早撃ち(パス)を決めるなんて神業は、キッドさん以外にできるはずがない……! でも、今、長門が投げるモーションが全く見えなかった……っ!?)

 

 その三段論法から飛躍して導き出されるのは、長門村正の『神速の早撃ち(クイック&ファイア)』。

 

「長門の奴、俺の『ロデオドライブ(はしり)』だけじゃなく、キッドさんの“早撃ち(パス)”まで模倣(コピー)して……!?」

 

「いや、それは違うかな。俺のとは別物だよ、アレ」

 

 陸が拳を握り締めたとき、キッドは訂正する。

 長門の投法は、超クイックパスモーションではない。

 

「驚くべきことに、彼、パスを投げるモーションをほとんどなくして、パスを投げてる」

 

 陸がパスモーションが見えなかったのは当然だった。

 なんてことはない、“前動作は省略(カット)されていたノーモーション”なのだから。

 

 キッドは長門と敵として相対し、味方として組んだことがあるからわかる。

 適性がタイトエンドの方が向いているが、クォータバックとしての素養はヒル魔妖一よりも高い。駆け引き以外の総合力は上回っている。

 ヒル魔は相手にすると怖いが、長門は真っ当に強い。ヒル魔は策でこちらの裏をかいてくるが、長門の才覚はこちらの想像の上を行く。

 

 

「白秋は、起こしちゃならない眠れる獅子の尾を踏んじまったかもしれないねぇ……」

 

 

 ~~~

 

 

『ヘイ! 餞別代りに、サムライボーイにとっておきを見せてやる。コイツは俺が尊敬する偉大なアクションスターの必殺技だ』

 

 それは、功夫(カンフー)を得意とし、ハリウッドでただ一人一切スタントマンをつかわないアクションスターで、初めて出会った己よりも格上のアメリカンフットボールプレイヤー。

 中三の頃、通っていた道場で交流を深め、そして、アメリカへ帰る際にちょっとした技を披露してもらった。

 

 あの時の記憶を下地(モデル)にして、古武術の身体運用から構築したノーモーションパス。

 

 肩甲骨を入れながらスナップさせ、素早く前足に体重を乗せる重心移動とともに肩を入れて前に突き出してボールを飛ばす。

 投げるための前準備、振りかぶる動作を省略した、『ワンインチ・パス』

 この変則フォームは、流石に長距離砲(ロングパス)は難しいが、近距離弾(ショートパス)ならば、西部ワイルドガンマンズ・キッドのクイックに近い再現度(スピード)でパスを投げられる。

 

 俺は、日本最強のエースになる。

 そして、日本最強のエースは、チームを全国一に導く選手のことだ。

 

(先輩たちの夢はここで終わらせない。クリスマスボウルまで連れていく。その為なら、どんな危険なプレイでも請け負おう)

 

 今はまだ、栗田先輩は立ち直れていないが、それでも俺が負けなければ泥門は勝てる。

 一度でも遅れて投げ負ければ、峨王の餌食となろうが、一度も負けなければいい。

 

「勝つのは、俺だ!」

 

 自己暗示のように()えた絶対勝利の予告(ライバルとの誓い)が、破滅の重圧(プレッシャー)を撥ね退ける。

 

 

 ~~~

 

 

『泥門パス成功!』

 

 その誰にも触らせない光速疾走で、マークを振り切ったセナへパスが決まる。

 

 

 ~~~

 

 

『泥門パス成功!』

 

 守備網(ディフェンス)の穴へ駆け込んだ雪光へパスが決まる。

 

 

 ~~~

 

 

『泥門パス成功!』

 

 地味にマークを外した石丸へパスが決まる。

 

 

 ~~~

 

 

「なぁああああ!? クォーターバックぶっ潰して勝ったと思ったのに何あれ!? 全然止まらねー!」

 

 『左腕』である如月ヒロミは巻き添えを食らった負傷により試合に出られない。白秋の後衛守備に綻びが生じている。

 

(か~、まずいまずい。ヒル魔がやられたときはお通夜みたいに沈んでたのに、ゾンビのように蘇ってきたよ)

 

 このまま点を獲られれば、泥門に主導権を持っていかれている。そして、得点に勢いづいた試合の流れは、後半にも持ち込む。

 

 しかし、それはありえない。

 前半までもう時間がない。前半残り30秒を切っている。ショートパスを連続して繋いできて、連続攻撃権(ファーストダウン)も獲得しているが、このペースでは間に合わない。タッチダウンは狙えない。

 キックもない。

 何せ、峨王がいる。泥門には『60ヤードマグナム』の長距離砲・武蔵がいるが、今の栗田では峨王を相手にしてキッカーがゴールを決めるまでの時間は稼げない。

 つまりは、どん詰まり。

 連続して攻撃が成功して泥門が攻めているように思われるが、ゴールまで遠い。白秋はこのままでも問題はない。最後に実を結ばなければ意味がないのだから。

 そうして、無意味に徒労に終わったところで、前半終了――白秋の攻撃で後半開始となる。

 

(とにかく攻め続けることでチームに『俺達が勝てる』と錯覚させて、どん底に落ちた士気を持ち直そうっちゅう腹かね)

 

 いきなり代役を担うことになったのだ。ここまで出来たら上等というもの。

 しかし、長門村正は、クォーターバックとしては優れた能力を発揮しているのかもしれないが、やはり戦略性(タクティクス)ではヒル魔妖一の方が奥深く、怖い。

 

 

「――セナのポジションは中央(こっち)じゃない、大外(あっち)だぞ!」

「! ご、ごめん長門君!」

「いいから早く! ゲームが始められない!」

 

 

 先程の小早川セナのプレイは、『スラント』で中央へのパスコース。それからそのまま長門の傍についたセナが長門の指示に慌てて、サイドへ。いつものランニングバックの位置とは違う、ワイドレシーバーの位置取り。慣れてないせいか、勘違いしてしまったのだろう。

 

「ブプーー! 泥門、ただでさえ時間ないのに、ドジってやんのっっ!」

 

 これも指揮官交代の弊害か。

 1秒も無駄にできまいとセナは全速力で長門の前を横切り――

 

 

 ――その前に、栗田からボールがスナップされた。

 

 

 ~~~

 

 

 

  WR(モン太)     T(戸叶)G(小結)C(栗田)G(黒木)T(十文字)    WR(雪光)

     WR(石丸)WR(セナ)  QB(長門)    WR()

 

 

 最初の『エンプティバックフィールド』からモン太が、僅かに前にセットしている。

 これにより、条件が整っていた。

 

 最前線上の7人以外は、誰でも一名に限り、『インモーション』といって、移動しながらプレイを始めることができる!

 

 

「もうプレイが始まってる! セナの『インモーション』だ!」

 

 

 長門村正の動きを注視(マーク)していた白秋・マルコは、雷門太郎が最前線上の7人に加わっていたことに気付けなかった。

 出遅れた……!

 小早川セナは『インモーション』でプレイ前から走り出してしまっている。

 パス一極化のフォーメーション『エンプティバックフィールド』からパスを五連続で成功させてからの、爆走ラン。左サイドに配置したモン太と石丸は、そのままリードブロックの盾に同行させれば一気に抜かれる。セナのスピードなら、一発タッチダウンだってあり得る!

 

 そして、長門の前を横切る寸前でボールを手渡しされたセナは、一気に加速――

 

「囲えーー! アイシールド21の『デビルバットゴースト』が炸裂する前に抑えろーー!」

 

 白秋ラインバッカー・天狗はすぐさまに左サイドの守備を固める。パスを警戒してやや後方寄りに構えていた白秋守備は、包囲網の完成を急ぐ。

 しかし、40ヤード4秒2の光速ランは、すでに陣中深くにまで切り込んでいて……

 

 

 ~~~

 

 

 ――『デビルバットゴース……

 

 

 

 

 

   ゴー……ス……っからかん』

 

 

 ~~~

 

 

「はぁ!? こ、ここいつボール持ってない!?!?」

 

 爆走していたアイシールド21の懐に、ボールがなかった。

 

「アハーハー! これがセナ君の新技『デビルバットゴースッカラカン』だよ!」

「別に新技じゃないでしょ。ってか、“すっからかん”って言葉使わないよね現代人は」

 

 セナは、ボールを持っていなかった。交錯した瞬間に行われたのは、『ハンドオフフェイク(ボール渡したフリ)

 そう、長門はボールを持ったままであり、セナの爆走とは(みぎ)サイドへ駆け出していた。

 

「速っ!?」

 

 『妖刀』が、抜き放たれる。

 これまで秘蔵していた、40ヤード走4秒5――高校エース級のスプリンターである長門村正の疾走。

 今日の試合、爆走ランプレイが炸裂したのはセナだけだっただけに印象はそちらが強かった。白秋の守備が囮役のセナへ集まってしまっている。

 ――ひとりを除いて。

 

 

「っと、危ない危ない。意表は突かれたけど、結局、さっきのヒル魔妖一の『QBドロー(プレイ)』の二番煎じだっちゅう話だよ」

 

 

 円子令司が、前に回り込んでいた。

 長門村正の動きを、否、ボールの動きに視線を固定(ロックオン)していた。『ボールハンドリングの達人』であるマルコの『QB(クォーターバック)スパイ』は、一瞬、セナにボールが隠れたがその行方は見逃さない。

 先程の『QBドロー』もまた同じく、投手の一挙一動のみを只管追跡していたマルコからヒル魔は逃れることはできなかった。

 

「ああ、やはりあんたには、化かし合いは通用しないか。――なら、読み合いのへったくりもない勝負をさせてもらおうか」

 

 ――っ、来る!

 その肌を刺す眼光に、マルコは身構えた。

 

(俺が『スクリューバイト』を編み出し、首を狙う本物のアイシールド21――大和猛――そのライバルの長門村正。これ以上の模擬戦相手はいないっちゅうわけで……!)

 

 としかし、向こうは右にも左にもカットを切ろうとする気配がない。

 ――となれば、力だ。神龍寺・金剛阿含を吹き飛ばした破壊的な体当たり(パワーラン)――『(ドロウ)デビルバットソード』。長門村正にはコレがある。

 先程、強烈なタックルをもらっているだけにその威力は嫌でも想像できてしまう。マルコからすれば、爆走ランの小早川セナ(アイシールド21)よりも、読み合いもへったくれもない直球勝負を仕掛けてくる長門の方が遠慮願いたい相手である。長門を一人で止めようだなんて、無理難題だ。

 だが、ここを抜かれるのはまずい。体を張ってでも足止めして、他の守備が追いついてくる時間を稼ぐしかない――

 

 覚悟を決め、腰を落としたマルコから――長門は、離れた。

 

「生憎と、今の俺にある選択肢(カード)は、ランだけじゃないんでな」

 

 時空を捻じ曲げたと錯覚するほどの超速のカットバック。反応して、マルコはボールへ手を伸ばしたが、届かない。

 

(この動きは……パス? はあ!? この超速カットで下がりながら、パスを投げてくんの!?)

 

 後に下がりながら――重心を背後に傾けながら、ボールを投げようとしている。まるでバスケットボールのフェイダウェイシュートのように。

 

 

 ~~~

 

 

「まったくうらやましい才能だ。現代のアメリカンフットボールの完全移動砲台(はしるクォーターバック)……それをここまでやってみせるとはね」

 

 自分が思い描いたクォーターバックとしての理想像に、王城の高見は、眩いものを見るように目を細めた。

 

 

 ~~~

 

 

 安定したボディバランスに、上半身だけでもパスを投げれるパワー。

 姿勢は後ろに傾いているが、長門にはこの状態からでもロングパスを発射できた。

 

 

 ――『60ヤードマグナム(シャトル)パス』!!

 

 

 一球入魂から発射される超長距離砲。

 フィールド上空を勢い良く突っ切っていく放物線。

 ボールの軌道を背中(バック)の目で追いながら、その落下地点へ最短距離(まっすぐ)へ駆け込むのは、泥門のエースレシーバー・雷門太郎。

 

「まずい――!」

 

 モン太と空中戦を競り合えていた如月はいない。

 誰もそのロングパスを邪魔することができない。

 

 

「ビックキャッチパスMAーーX――!!」

 

 

 パスが、通った!!

 雨の中、磁石のようにくっつくキャッチ力でボールを捉えた。

 長門からのロングパスを捕球したモン太は、そのまま独走状態へ。

 

「行けェエ!」

「そのままタッチダーーーゥン!!」

 

 だが、まだひとり。

 モン太の眼前には、抜かなくてはならない障害はいた。

 

「無っ茶言うなってよ。このままゴールライン行くには、もうひとり白秋の守備がいんだっつの!」

 

 そして、モン太の背後から追いかける気配。

 それはボールじゃないけれども、モン太にはその正体がわかった。

 

「だから、頼むぜセナ!」

「そのまま行って、モン太!」

 

 光速で疾走するその影は、アイシールド21。

 囮役として突っ切ったまま、注意が外された後も走り進んでいた超速ランナーが、モン太の盾(リードブロック)として、白秋のセーフティへ果敢に当たりに行った。

 

 

『セナ君捨て身の超高速ブロックーーー!!! セナモン太最強コンビプレーで、白秋最後の砦も抜き去ったー! そして、そのままモン太君、ゴールラインまで一直線で――――タッチダーーーーゥン!!』

 

 

 ~~~

 

 

 11点差……だが、これだと一回のタッチダウン(6点+2点)と、キック一発(3点)で追いつかれる。

 今現在は通用している『ワンインチ・パス』のショートカットも、どこまで続けられるかわからない。キックという長距離砲も、それを活かせる壁の存在が不可欠だ。白秋ダイナソーズは、さっきの『インモーション』を使ったトリックプレイが、二度も通じるような甘い相手ではないだろう。使える手札は、少ない。

 やはりここは、12点差にしておきたい。このボーナスゲームのチャンスを、逃したくはない。

 

「……セナ、次の武蔵先輩のキック、代わりにボール立てを頼めるか」

 

「う、うん。長門君は……?」

 

「俺は、壁に加わる」

 

 そういって、長門は前を見た。

 

 

「じゃ……若輩!!」

 

「え……? 若……なに……??」

 

 

 『若輩者の自分が後ろを固めますんで些細な取りこぼしなど気に掛ける必要はありません! 師匠の力、存分に峨王に見せてやってください!!』

 と小結はパワフル語(パワフルな男だけに通じる言語)で熱く語ったのだが、栗田には通じてなかった。

 

「し、ししょう……」

 

 ……タッチダウンを決めれたが、栗田はまだ立ち直らない。

 こうなると峨王に対抗できるのは、ひとり。

 

「というわけで、前はがっちり固めますから、キック決めてくださいよ、武蔵先輩」

 

「ああ……任せておけ」

 

 言葉少なに頷いた武蔵は、今喉まで出かかった言葉を胸の奥に呑み込んで、自らの仕事に集中する。

 

 

 ~~~

 

 

『得点差10点差以上に広げた泥門の追撃! 武蔵君のボーナスキーーック!』

 

 

 セナがボール立てで、長門が壁に加わる……なるほど、ね。

 点差がさらに離される苦しい場面で、マルコは静かに笑う。

 

 絶対に破壊のできない、完全無欠の超人など存在しない。

 あの瞬間、強引な体当たりを避けたのは、ひょっとすると……

 

 

 ~~~

 

 

 ガゴン! とゴールのポールに当たったが、キックボールはゴールに入った。

 

 

「うおおおお!」

「やーーー! これで12点差ーー!!」

「相変わらず、危なっかしい荒れ球キックだ。超スレスレで入れやがった」

 

 

 キック力は凄まじいが、精妙なコントロールに欠けている、と評されるキッカーの武蔵。

 だが、今のキックに苦言を呈されるのは、武蔵ではない。

 

「んだよ今のよ! スマートじゃねぇぞセナ!」

 

 東京No.1キッカーである佐々木コータローが非難する矛先を向けるのは、ボールをセットしたセナ。

 

 そして、笛が鳴る。

 

 28-16。

 泥門デビルバッツ優勢で、前半終了。

 

 

「セナ、ボールの向き」

 

「?」

 

「ボールの縫い目にキックが当たるとコントロールが狂う。立てる瞬間に見極めて縫い目を裏っ側に回してくれ」

 

「え……」

 

 キックの後、武蔵はセナへ注意する。

 いつもはヒル魔が難なくしている一手間だが、その工夫でキックのし易さが大きく違う。

 ……そんな細かいところまで求めるのは少々酷かもしれないとは思っているが、このキックゲームには相当の負担をかけてしまっている。それを骨折り損の徒労とするわけにはいかない。

 

「できれば、頼む」

 

「は、はい!」

 

 キックゲームの際、キックティーを渡されたときに長門の腕を見た。

 そこには薄らと痣のような痕があった。クォータバックでのプレイで、峨王の指先が、一瞬触れたのだろう。

 勝ち続けていたように見えたが、あれは、紙一重だった。

 峨王との毎プレーが生きるか死ぬかの戦い。たとえ剛腕が直撃せずとも、峨王に潰される精神的な負荷(ストレス)となる。それをスレスレで、躱し続けている。

 

(死ぬか勝つか――ヒル魔みてぇなやり口だ。あのバカ野郎の似なくてもいいところ迄似てんじゃねぇぞ、長門)

 

 拳を、握り込む。

 うちの糞親父は、体にガタが来てっ時にわかってて無茶しやがって、取り返しのつかねえ事になった。

 二度と……俺の目の前で、そんなやつを出すわけにはいかねぇ。

 

 その消耗具合が半端ないのは簡単に察することができる。

 しかし、今の奴は指揮官として、そんな揺らいじまうような弱みは決して見せられない。そんなチームのためにしているコイツの無理を、易々とは無下にできない。

 

 

 ~~~

 

 

『ここで後半戦を前に、20分のハーフタイムに入ります!』

 

 

「ひぃぃぃいい! 傘じゃ防ぎきれないくらい雨強い!」

「キッショここロッカーねぇからどっかで雨宿りしねぇとな」

 

 そんな選手全員がずぶずぶの濡れ鼠となっている泥門陣営の前に、一台の大型デコトラが停車。

 運転席から豪快に笑い飛ばすのは、コーチの溝六。

 

「おおおおぉおお!!?」

 

「がははは、新・デビルバット号だ!! ロッカールーム機能搭載! 神龍寺戦での賭け金が丸っと無くなっちまったが、お前らのことびっくりさせたくてな! ほら、体冷やしちまう前に早く入ってこい!」

 

 ゴエモン式ユニットバスに仮眠用ベッド、ビデオ映像を編集再生可能な映像機器を揃えている。ガソリン節約の自転車発電機もあり、それから酒蔵もある(飲酒運転ダメ絶対!)。

 酒奇溝六の実益と趣味を反映したトラック式ロッカルームへ泥門の選手は駆け込んでいく。

 

 だがしかし、皆の目があるところでは意地でも弱みを見せられない奴がいる。

 

 武蔵は長門を呼び止めた。

 

「……長門、悪いがハーフタイム、救護室のヒル魔の様子を見に行ってくれ。あまり大勢で行くと迷惑だろうし、頼む」

 

「ヒル魔先輩なら、怪我人に構ってる暇があったら、勝つために休息か練習に集中しろとかいって、追い返してきそうなんですが」

 

「かといって、ひとりも様子を見に来なかったら薄情だろう。いいから、ついでに後半の指示も仰いで来い」

 

「武蔵先輩……。はい、ありがとうございます」

 

 感謝なんて言ってくれるな、というセリフを武蔵は大きく深呼吸して呑み込んだ。

 そして、沸々としたものを噛み砕いたものをぶっきらぼうに吐く。

 

「早く行ってこい」

 

 じゃないと、その面をぶん殴ってでも、気絶さ(ねむら)せたくなる。

 

(わかってる。俺に口出しする権利なんかありゃしねぇ)

 

 男が黙って血を流しているときは、見殺しにするのが情け。

 長門は、待っている。

 あいつらが再び立ち上がってくるのを。

 それでも、だ。

 

(俺達が最初に目指した絶対クリスマスボウルの夢のために無茶して、長門の未来を潰させるようなら……そんな重荷は俺の手で幕を下ろす)

 

 ギリギリまで、見極める。

 そう、決めたものの、胸中には噛み切れないものが燻っている。

 これを抱えたまま、自分だけゆっくり腰を落ち着けさせるなどできやしない。

 

「あれ、ムサシ先輩、トラックに行かないんすか?」

 

「20分も寝てたらキックが腐っちまう。後半開始まで、蹴ってくる」

 

 

 ~~~

 

 

 決してふらつかずに、皆から離れていくその背中から視線を外さない者がもう一人。

 

「…………フゴッ」


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