あれから数年の時が経ち、俺は高校一年生になった。
原作開始の年である。柚希はもうウチに来ることになるらしい。
口約束とは言え、来てくれるのは嬉しいものである。
そして俺は暑い戦いをしている!
「このクソじじい!いつまで働けばええんや!?」
「じゃかましい!!オメェは畑仕事しか才能がないんやから雇ってやってるんやろうが!」
「なんやと!!給料なんて出ないくせに!」
近所に住んでる頑固で有名なじいさんに頼まれて(強制的に)畑仕事の最中である。
このじいさんの名前は岩倉源って名前なんだが、このじいさんは俺のことをやたらとかまってくるのだ。給料はもみじ饅頭かお茶ぐらいのものなのだが。
その度に俺は頬を引きつらせているのだが、奥さんのつぼみばあちゃんと近所のじいさんやばあさんは「気に入られてるのぉ」と言うのだ。
ハッキリ言って謎なのだが………
やっとの思いで仕事が終わり今はじいさんの家でお茶を飲んでいる。給料はお茶の葉をもらった。ばあちゃんにあげようと思う。
くつろいでいるとじいさんが
「そういやぁ、刹那坊のとこに知り合いの子が来るんやろ?」
「ん?まぁな、昔夏祭りで会った子なんやけどな。高校はこっちに来るみたいなんよ」
そう言うとじいさんは口を三日月のように歪め、目はからかう気まんまだった。
「ほぉ~、そういえば何年か前に刹那坊が知らない女の子連れとったな」
「ほんまいらんこと覚えとるな。だからなんや?」
「やっぱそうかい!ということはその子はお前を追いかけて来たのかのぉ~?」
ニヤニヤしながら聞いてくる。
「ほんまこういう話題に目がないじいさんやな。今時の女子でもそこまで聞いてこんぞ?」
すると奥からつぼみばあちゃんがお菓子が乗ったお盆も持って来てくれた。
「まぁまぁ、じいちゃんは刹那のことが気になっとんよ。こんなに男前になっとるのに浮いた話が一つも出てこんから」
「ば、ばあちゃん!いらんこと言うなやぁ!!」
じいちゃんが顔を赤くしながらばあちゃんに食ってかかる。
‥‥‥‥‥‥‥ほんと子供みたいでええじいちゃんやで。
心がほっこりしながらもいつも通りじいちゃんと口喧嘩で会話をし、ばあちゃんが笑いながらそれを見ている。それからももう一人のじいちゃんとばあちゃんとの会話を楽しんだ。
俺は今、自転車で家に帰ってる途中である。予想より遅くなってしまったが、まぁいいだろう。
柚希が来る日にちは俺は聞いてない。というより、教えてくれないのである。
聞く度に母ちゃんが「刹那には内緒や」とウィンクと共に答えるので諦めた。
春大は「母ちゃんから口止めされとるからのぉ」ともったいぶる。
まぁええかと思ってるうちに家に着いた。
家からにぎやかな声が聞こえてくる。誰か来とるのか?
そう思いながら玄関を開ける。
「ただいま~」
「あら、お帰り遅かったやないの」
居間から母ちゃんが顔を出す。
「ああ、じいさんと口喧嘩しとった」
「ほんま仲良しやね」
母ちゃんが優しい目で俺を見る。
「そういう訳やないわい!それよか誰か来とるんか?」
「ああ、柚希ちゃんが来たんよ」
「ああ、そう‥‥‥‥‥‥‥って、はぁ!? き、聞いとらんぞ!?」
「だって言っとらんもん」
母ちゃんがなんとも無しに言う。
「‥‥‥‥‥‥‥もうええ」
「ほんなら、挨拶せえ」
「あい」
まぁ、会えるなら嬉しい。約七年ぶりの再会なのだ。嬉しくないわけがない。
ふすまを開けて居間に入ると炬燵に入ってる青大とドラを撫でている美少女がいた。
藍色の髪を伸ばし整っている顔立ちの美少女。間違いなく柚希だ。
「あ……」
柚希は俺を見ると口を開けて、目が点になっていた。
そう言う俺も間抜けな顔をしているだろう。
予想を遥かに超えて可愛くなっていたのだ。ビックリどころではない。
「こ、こんにちは!今日からお世話になる枝葉柚希です!」
俺より早く立ち直った柚希が少しどもりながらも自己紹介をした。
やっぱり俺が覚えてないことを前提に話を進めている。
ふっ、こちとら転生者な上に愚弟のようにアホではないのだ!
「(あれ?なんや俺今罵倒された気が?)」
青大は謎のイラつきを覚えたとか。
「なんや、初めて会った人みたいな自己紹介やないか」
「え?」
柚希が目を見開いている。でも俺は無視して
「久しぶりやな、柚希。めっさ美人になっとってビックリしたで?」
そう言うと柚希が見開いた目から一筋の涙を流した。