~柚希side~
私の名前は枝葉柚希。
今は15歳の高校生!私はバスで広島のある町に向かっている。
私にとって大事な思い出の地でもあり初恋と言ってもいい男の子が住んでる地だ。
始まりは小学校三年生の時だった。お父さんの知り合いがその町に住んでいて連れてこられたのがきっかけだった。
あの時の私は家族が好きではなかった。だから見つからないように1人で歩いていた。すると男の子とぶつかってしまった。驚いて見てみると同じ年齢くらいの男の子もビックリした様な目で私を見ていた。
男の子は謝り私も大丈夫と言うと何故か上を仰ぎ鼻を押さえていた。今思っても謎な行動であるが、彼はそんな私の葛藤を無視して親はどこにいる?と聞いてきた。
私を迷子と思ったみたいだった。私は連れて行かれないように少し距離をとろうとしたが彼は、帰りたくないんならいいんじゃない?と言った。
私はこの子が何を言っているのか理解をできなかった。仮にも女の子が1人で歩いていて家族の元に行きたくないと言ったならおかしいと思う筈なのに。
刹那君という名前らしい彼は気がつくと彼は私の手を取りいろんな所に連れて行ってくれた。でも、「金はねぇから、タダでやらせてくれや。やらせてくれなかったらおっちゃんの秘密を奥さんにばらす」というのは脅しではないか?
小さかった私は気がつかなかったが今思うとおじさんは涙目だったと思う。
そのことを思い出して私はバスの中だというのに吹き出しそうになった。
目的の地に着きお世話になる家に向かう。刹那君がお父さんの知り合いの人の子供だと知らなくて驚いて行かせてくれと頼み込んだのだ。
インターホンを押す。
すると中からお母さんと思わしき女性が出てきた。そして一人の男の子が降りてきた夏祭りの時に一緒に写真に写った男の子だと思う。名前は青大といい刹那君の弟さんらしい。
居間に通してもらい、ここまで大変だったねぇみたいな会話をしていた。
「あの、もう一人の男の人がいると聞いていたんですが……」
本当は知っているけどここでは知らないことにしておく。青人君も気づかなかったし。
「あぁ、刹那いうんやけど今は源さんのとこやね」
源さん?
「兄貴また源じいさんに捕まっとるのか」
青大くんも知っているらしい。
「あの、源さんというは?」
「ああ、この近所のおじいさんなんやけど刹那のことえらく気に入っとてなぁ。何かある度に連れ出すんよ。もうそろそろ帰ってくると思うんやけど」
おばさんは苦笑いで答えてくれた。
すると、玄関が開く音と「ただいま~」という高校生の男の子にしてはすこし高い綺麗な声が聞こえた。
その声に私の心臓はドキッとした。やっと会えた。ずっと会いたかった彼がすぐそこにいる。落ち着かなくて近くにいたドラちゃんを抱きかかえる。
抵抗するようにムニャーと言うが、ごめんね。もうちょっとだけ。
居間の向こうで言い合う声が聞こえふすまが開いた。
その人物を見ると私の頭は真っ白になった。平均より少し高い身長に、黒髪というより漆黒といってもいい綺麗な黒髪だった。猫みたいに少しつり目がちな目に整った顔立ち。すごくカッコイイと思った。
刹那君も私を見て目を丸くしている。多分知らないからだろうと思い少し落ち込む。でもしょうがない七年も前なのだから。
「こ、こんにちは!今日からお世話になる枝葉柚希です!」
刹那君相手に他人行儀みたいで残念だがそうしないとわからないよね。
すると刹那君は苦笑するように私を見た。
え?
「なんや、初めて会った人みたいな自己紹介やないか」
「え?」
彼は今なんて言ったの?もしかしてという思いから目を見開くことしかできない私に刹那君は構わず
「久しぶりやな、柚希。めっさ美人になっとってビックリしたで?」
と悪戯っぽく笑ってみせた。
そんな彼に私は何も言えなくて、嬉しくて言葉が出なくて喜びの涙しか出なかった。