俺の転生先は『君のいる町』!!   作:修平

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銭湯に行こう

~刹那side~

 

柚希が部活で汗を流しる頃俺も汗を流していた。

 

「こら刹那ー!もっと声出さんかい!!」

 

「だから俺は野球部じゃないんじゃー!!」

 

必死に鳴海さんのボールノックを受けている。あの日神咲から言われた通り野球部に顔を出したらあれよこれよのうちにユニフォームを着せられ、グローブを持たされた。

 

「ラストー!」

 

最後のボールをキャッチして外野からキャッチャーの同級生にノーバンでボールを返す。

 

「相変わらずバカみたいに肩の強いヤツじゃな」

 

鳴海さんは驚きを超えて呆れている。

 

「だからと言って、野球はやりませんよ?」

 

「もったいなのー」

 

そんな会話をしながら練習が終わりお疲れ様でしたーと言いながら帰ろうとすると月がフェンス越しに黄昏ていた。

 

「何て顔しとんじゃ」

 

「うわっ!?せ、刹那!驚かすなや」

 

「勝手に驚いただけのくせに……」

 

文句を言われながら月の目線を追ってみると鳴海さんが後輩たちと楽しそうに笑っていた。

 

「まだ声かけられんのか」

 

「う、うるさい!」

 

俺は月が鳴海さんが好きなのを知っている。俺は割と鳴海さんと仲が良いので何回かキューッピット役をしたのだが、月がテンパり過ぎて失敗に終わった。

 

「ま、今度鳴海さんと出かけることがあったら誘ってやるけぇ」

 

「ほ、ほんまか!?頼むわ刹那!」

 

「はいはい。それより柚希知らんか?月がここにいるってことは部活終わったんやろ?」

 

「ああ、柚希ちゃんならあそこに」

 

「ん?」

 

月が指を指す方を見ると柚希と神咲が喋っていた。

 

「何話とんじゃ?」

 

「なんか銭湯に行きたいんやって。あたしは用事があって無理やから断ったんやけど」

 

「そういうことかい」

 

お風呂イベントか。

 

「なら、青大でも呼んどくかの」

 

「ほんま弟想いの兄貴じゃの」

 

月が苦笑しながら俺をからかう。

 

「ま、兄貴やからな。それにお前のことにかまってるやろ?」

 

「確かに感謝しとるがな。ほんらなの刹那」

 

「おう、またの」

 

そこで月と別れ、青大にメールを送る。

 

『神咲と銭湯行くけど、どうじゃ?』

 

すると一分も経たないうちに返信がきた。

 

『準備すり』

 

テンパり過ぎて文字も満足に送れないのかい………

 

俺はそんな弟に苦笑すると柚希と神咲がきた。

 

「刹那くーん!帰りにお風呂によって行こー!」

 

「おう、月から聞いとるよ。青大も呼んだからの」

 

「あれ?そうだったの?じゃあ、早速しゅっぱーつ!!」

 

そして三人で校門を出て、銭湯まで歩いているのだが唐突に柚希がキラキラした顔で俺に問いかける。

 

「さっき野球部見てたけど刹那君ってあんなに野球上手なんだね~」

 

「ん?まぁの」

 

謙遜するほど下手ではないので無難に返しておく。

 

「むぅ~、なんか素っ気ない!それは運動ができない私に対する嫌味ですか~」

 

「んなこと言われてもの~、じゃあ凄いじゃろ!って言えばええんか?」

 

「それもそれでちょっと」

 

「どっちなんや」

 

「だってなんかずるい~!七海ちゃんも羨ましいよね!?」

 

「あはは……まあの。桐島君は野球以外も上手じゃけぇ」

 

「神咲、おだてても何も出んぞ?」

 

「ふふっ、ほんとに思っとるよ」

 

「じゃあ、今度テニス一緒にやろうよ!」

 

「ええで~。ツイストサーブやっちゃるからの」

 

「できるの!?ていうか私の顔にぶつける気!?」

 

「あはは!冗談や。手○ゾーンをやっちゃる!」

 

「いじわる!」

 

そんな会話しながら目的の銭湯に着いた。

 

青大は先に着いてたらしくソワソワしていた。

 

「青大そんなソワソワすんなや。変態みたいじゃ」

 

「あ、兄貴!?神咲も!」

 

「あたしは~!?」

 

一人だけ呼ばれなかった柚希は少しご立腹のようだった。

 

「ま、早く入ろうや。汗流したいんじゃ」

 

「そうだね」

 

「お、おう!」

 

「刹那君?混浴だったら一緒に入る?~」

 

「ん?ええで」

 

「ふぇっ!?」

 

柚希は俺をからかうつもりらしいが甘いな。

 

「なんや?混浴ならおかしくないやろ?それとも普段家にいる時でもかまわへんで?」

 

「………うきゅぅぅ~~~~~///」

 

柚希は顔を真っ赤にして先頭に先に入ってしまった。

 

「からかい過ぎたかの?神咲フォロー頼むわ」

 

「もう、セクハラで訴えられてもしらんよ?」

 

「はははっ!最初は柚希から言ってきたんやから裁判でも勝てる!」

 

「そういう問題じゃないんじゃが」

 

神咲は苦笑いしながら柚希の後へついて行った。

 

「なら、俺らも行くか」

 

「お、おう(どうすれば、女相手にあそこまで言えるんや?顔か?顔なんか?)」

 

その後柚希と神咲の女の子らしいスキンシップに青大は顔を赤くし、先に上がってしまった。

 

女風呂の方も声が聞こえなくなったので神咲は上がったのだろう。

 

すると女風呂の方から柚希の声が聞こえた。

 

「刹那君?まだ入ってる?」

 

「おう、入っとるよ」

 

「じゃあ………このセクハラ魔」

 

「柚希から言ってきたんやないか」

 

「むぅ~!でも女の子相手にそんなこと言ってはいけません!」

 

どうやた柚希はさっきの混浴発言にご機嫌斜めらしい。

 

「すまんかったって。俺だって初めて言われて動揺してたんや」

 

「へ?」

 

「当たり前やろ?女の子から混浴発言なんて言われたことなんてないんじゃ」

 

「そういうのに慣れてるかと思った」

 

「そんな訳ないやろ」

 

「なら許す!」

 

柚希は急に機嫌を直し嬉しそうな声で許してくれた。

 

「ならそろそろ上がるで?さすがにのぼせそうや」

 

「うん」

 

そこから上がると青大と神咲が楽しそうに喋っていた。どうやら会話は上手く続いたらしい。帰りは神崎が歩きなので青大に送らせ、俺は柚希を後ろに乗せて家に向かう。

 

「ねぇ」

 

「うん?」

 

「青大君、七海ちゃんと仲良くなってたよね?」

 

「そうやな、誘っておいて正解やった」

 

「そっか、私ちょっとのぼせちゃったかも」

 

そう言って柚希は頭を俺の背中にくっつけ腕も申し訳程度に腰に回された。

 

「………そっか、ならしかたないの」

 

「………うん」

 

穏やかな時間を感じながら俺はペダルをこぐのを遅めた。

 

もうちょっとだけこの居心地の良い空気を感じていたかった。

 

 

 

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