海風に舞う桜   作:座右の銘は天衣無縫

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第十五話

 

帰りの航海は思ったよりもすぐに終わりました。

行きにあちこちに寄っていたのはガープさんがお土産を見繕うためだったらしいです。

 

そして、家の玄関の前まで戻って来ました。

 

ああ、もう綺麗にしてくれていると助かるんですけどね。

 

「ただいま帰りました。」

 

さて、お部屋の方は、、、、

 

お、綺麗じゃないですか。

臭いもしませんし、上出来じゃないですか。

 

さてと、一休みしたらクザンさんのとこ行きましょうか。

任務扱いとは言え、完全に休暇でしたからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りました〜。」

 

「おお、ご苦労さん。」

 

「クザンさんが真面目に書類仕事をやってる!?」

 

明日は大雨でも降るんでしょうか。

 

「まあ、それはどっかに置いといてだな。」

 

あ、露骨に話しそらしましたね。

 

「お前、コンビとか組んだりしねぇの?」

 

「コンビ、ですか?」

 

「そ、お前、出世する気満々だろ? 今の内から信用できる、同じくらいの同僚か、部下作っといた方が良いんじゃないの。」

 

「まあ、余りいい目では見られてませんしねぇ。 特に同期からは。」

 

取り敢えず、嫉妬乙、とでも言っておきましょうかね。

 

「居ねぇんなら、どっかから引っ張ってくるって手もあるけど、どうよ?」

 

「スカウト、って事ですか?」

 

「そういうこった。 どこぞの島からでも、新兵からでもな。」

 

はあ、なるほど。

 

「それじゃあ、取り敢えず新兵から探してみます。」

 

「おう、そうしとけ。 それはそうと、コレ手伝ってくんない?」

 

「ダメです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分後

 

「そらそらそらそらぁ!! 次ぃ!」

 

銃弾が次々と撃ち出され、それを避けていく私。

 

「ノブノブ!」

 

「って言うか、わしに武器渡すだけじゃなくて、お前らも撃たんかい!? はっ、そうじゃった、最低限のちびノブしか出してなかった! そりゃあ是非もないよネ!」

 

「ノッブ!」

 

そして何故か戦闘中にコントを始めるノッブこと織田信長とちびノブ。

 

いや、なんですかこの状況。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前

 

クザンさんから許可を取った私は懐かしの養成所にやって来ました。

 

「ん、どうしたオキタ。 こんなとこに来るなんて珍しいな。」

 

「あ、ゼファー先生。 実は」

 

説明終了

 

「なるほどな。 なら、好きに見て行け。 ヒヨッコ共も気が引き締まるだろう。」

 

窓から外を覗けば丁度組手(能力、武器、覇気何でもあり)をやってるのが見えました。

 

そんな中に見えた、一人の訓練兵。

何か、、、、、周りに居るんですけど。

主にぐだぐだイベで出て来る無駄に種類の多いデフォルメされたノッブ的なのが。

 

「先生、あれは?」

 

「ああ、あれか。 名前はオダ・ノブナガ。 能力者だな。 たしか『グングンの実』の一人軍勢人間とか。」

 

「はあ。 『グングンの実』ですか。」

 

「ああやって周りに変なのを出して使う能力だ。 ついでに武器も出せるらしい。」

 

そりゃまた、便利な能力で。

 

「まあ、出すごとに体力を消費するから使いどころは難しいがな。」

 

「ゼファー先生的にはどうですか?」

 

「伸び代はかなりある。 だが、直ぐに調子づく性格でな。 そこをどうにかすればかなり良くなるとは思うんだが。 物怖じしないのは普通に高評価なんだがなぁ。」

 

「なるほど。 じゃ、あの人私が貰っちゃいましょうか。」

 

「…………まあ、当の本人がそれでいいなら、俺も文句は無いが。」

 

「じゃ、行ってきます。」

 

いやあ、ノッブと沖田さんのコンビ結成のチャンスなんて逃せるわけ無いじゃないですか。

 

 

 

 

 

そして

 

「貴方、私の隊に入りませんか!?」

 

「わしに模擬戦で勝ったらええよ。」

 

的なやりとりがあって今に至る、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むう、これでは埒があかん。」

 

撃ち出された弾は全て回避するか刀で弾き、暫く様子見に徹していると向こうが先に動き出しました。

 

「ようし、ここで打って出るとしよう! ちびノブ部隊は援護じゃ! 行くぞ!」

 

そう言って軍刀を抜き、左手には銃。

銃剣二刀流ですか。

 

こちらに走りながら左手に持った銃で撃ってくる。

それを避けながら私も距離を詰めます。

 

「そらあ!」

 

斬りつけてきた刀を迎え撃ち、鍔迫り合いになります。

 

と、思ったのも一瞬。

急に体を左に逸したかと思うと、

 

「ノッブ!」

 

そこにちびノブの正確な援護射撃。

少し反応が遅れ、髪の毛数本が犠牲になりました。

 

そして、ノッブの薙ぎ払い。

それを後ろに下がって避けます。

 

「今のを避けるんか。 いやぁ、流石は少尉殿。 これなら、少尉殿の下で働きたいと思うのじゃ。」

 

「じゃあ、終わりにします?」

 

「まさか。 一度始めたからには決着をつけなけりゃ、ダメじゃろうに。」

 

それには同意ですね。

 

「と、言う訳で…………三千世界に屍を晒すが良い…………天魔轟臨!  これが魔王の三段撃ちじゃあ!!」

 

いつの間にか増えてたちびノブ部隊が銃を構え、全て撃ちました。

 

でもですね、

 

「あばばばばばばばば」

 

ノッブがいい感じで壁になってくれてるんですよね。

 

「こ、こらぁーー!! わしを狙うとは何事じゃあ!!」

 

「ノッブ、ノブノブ!」

 

「え、わしがいるから後ろを狙えない? だから、仕方なく、じゃと? だったら撃たなきゃ良かったじゃろ! はっ、ちびノブはわしの言う事に逆らえんのじゃった。 じゃあ、是非もないよネ! ちくしょう!!」

 

めちゃくちゃグダグダですね。

まあ、今ちょうど私が求めていたものなんで良いんですけどね。

 

「えっと、ノッブ、じゃなくてノブナガさんの自爆で私の勝ちで良いですかね。」

 

「えっ!? 今のわしの自爆扱いなの!?」

 

「いや、当たり前でしょう。 それに、能力の使い過ぎで体力も相当削られてるでしょうに。 膝が笑ってますよ?」

 

「む、むう。 これから暫くは体力強化かのう。」

 

思ったよりもずっと体力ありませんね。

 

「まぁ、負けは負けじゃ。 わしがここを出た時は少尉殿の下につくとしよう。 約束じゃ。」

 

ガシッ、と握手を交わしました。


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