海風に舞う桜   作:座右の銘は天衣無縫

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第二話

「う〜〜ん、アレでもないコレでもない。」

 

「まだかの?」

 

「中将、悪魔の実が全部でどれだけあると思ってるんですか。 もう少し待ちましょう。」

 

現在、本とにらめっこ中です。

 

なぜそうなったのかと言うと、一晩寝て完全復活した私は中将さんに質問されました。

 

『人並みに戦えると言ってたけど、どれ位戦えるのか?』と。

 

親と祖父に教えて貰った活人剣と殺人剣。

そして悪魔の実の能力、と答えたところ、何の能力かと聞かれました。

 

私自身、何の実を食べてしまったのか分からないと答えたら、ボガードさんが何冊か分厚い本を持ってきてくれました。

 

題名全て『悪魔の実 一覧』

 

この中から記憶を頼りに食べた実を探せ、と言われたので五十音順に見ているのですが、

 

「アレも違う、コレも違う。」

 

『あ〜う』、『う〜え』の二冊を調べても見つからず、今は『え〜か』を読んでいる最中です。

 

「あっ! ありました!!」

 

「どれ、貸してみい。 ・・・『カゼカゼの実』かの。 超人系で周囲の風を操ったり、風を生み出したりできる、と。 帆船の操作に使えそうじゃの。」

 

風、、、セイバー、、、使いようによっては強いんじゃないですか!?

 

ホラ、『風王結界(インビジブル・エア)』とか『風王鉄槌(ストライク・エア)』とか!

ハッ!

応用すれば魔力放出のマネもイケる!?

 

ちょっと待って下さい。

鎌鼬とかも使えるようになれば、『燕返し』もワンチャン?

 

やりました、沖田さん大勝利確定ですよ、コレは!!

 

ドラゴンさんの能力が『カゼカゼの実』という説がありましたが、気にしたら負けです。

 

私が食べたなら違うんでしょう!

きっと! 多分!

 

「ところで嬢ちゃん。 歳は?」

 

「へ? 十一ですけど、」

 

「む、むむむ。」

 

「十一、か。」

 

「え? え? 何ですか?」

 

「いや、その、実に言いづらいのだが、、、、」

 

「海軍の募集なんじゃが、年齢制限があっての。 十二歳からなんじゃ。」

 

な、なんですと!?

 

あと一年待たなきゃいけないんですか!?

 

「だが、抜け道が無い訳でもない。」

 

「抜け道、ですか?」

 

「現在、海軍は人員が全くと言っていいほど足りないのじゃ。 そこで、お主が相応の見込みあり、と認められれば入れん事もない、、、はずじゃ、多分。」

 

「何か最後、不安になる言葉聞こえましたけど!?」

 

「き、気のせいじゃろ。」

 

「せめて目を見て言ってくれませんか!?」

 

メチャクチャ不安になるんですけど!?

 

「なぁに、安心せい! センゴクも儂からの推薦とあらば無下にはせんじゃろう! と、言う訳で組手でもするかのう。 相手は、、、、うむ、ボガード、お前がやれ。」

 

「言うと思いました。」

 

はあ、ボガードさんとですか。

まあ相手が誰であろうと全力で行かせて貰うだけですから構いませんが。

 

「ホレ、甲板に行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、甲板まで案内されて出て来たのですが、

 

「な、何で囲まれてるんですか?」

 

沢山の海兵さんが集まって来ました。

 

「中将のせいか、船でこういう事があると集まるようになってな。」

 

コッソリとボガードさんが教えてくれました。

 

「ハァ。 まったく、頭が痛い。」

 

「本当にご苦労様です。」

 

この隊に配属されないように注意しときましょうか。

 

ま、それはそれとして。

 

「では、よろしくお願いします。 ボガードさん。」

 

「ああ。 来い・・!」

 

『乞食清光』を手に取り、FGOの沖田総司の構え方で構えます。

そして私から10メートルほど離れた場所に立っているボガードさんは無造作に構えています。

 

「はじめっ!」

 

ガープさんの掛け声と共に私は『縮地』で飛び出しました。

 

『縮地』はFateでは空間転移、などと呼ばれていますが、実際には相手の目の錯覚を利用した移動法です。

 

初動を一切見せず、さらに出来るだけ一歩で距離を詰める。

そうすると相手は勝手に『動いていない』、と勘違いするので、まるで瞬間移動したかのように見える訳です。

 

私の『縮地』一歩分の間合いはおよそ7〜8メートル程。

 

10メートル程度なら『縮地』一歩と普通の一歩で剣の間合いに入る!

左手を突き出し、右手は刀を持ったまま引き絞る。

 

「せやっ!」

 

ですが、その一撃は何事も無かったかのように弾かれました。

 

大丈夫、想定内!

 

右手は弾かれて、すぐには戻せない。

なら!

 

左手で『菊一文字則宗』を掴み、裏手持ちなので体を回転させながら斬りかかる。

 

これは後ろに下がって回避されました。

 

ですが、まだ間合いの中!

 

そのまま体を回転させ、右の刀で切り払う。

 

「っ!」

 

僅かに目を見開いてボガードさんはそれをガードする。

防御にまわられては分が悪い。

一旦、間合いを取りましょう。

 

そう考えて『縮地』で後ろに下がる。

しかし、今一瞬だけ慌てたような・・?

 

「疾いな。」

 

「男の子には力では勝てませんから、必然的に技と疾さを磨くしかなかったんです。」

 

「なるほど、道理で。」

 

『菊一文字則宗』は一旦、鞘に戻します。

元々私は一刀流、あのような事は奇襲程度にしか使えません。

 

先程、持った感じでは重さのバランスも良かったので、ゆくゆくは二刀流も使えるようになれれば良いですね。

 

ボガードさんは何やら考えてるようですし、今の内に能力使えるかどうか試してみますか。

 

刀の周りに風を纏わせるように意識。

覆い隠すように。

風王結界(インビジブル・エア)』を意識します。

 

「今度はこちらから行くぞ。」

 

「は、はい!」

 

正直、準備が出来たわけではありませんが、実戦で待ってくれる人などいません。

ぶっつけ本番でやってやろうじゃありませんか。

風王結界(インビジブル・エア)』は無理でしょうが、こっちなら!

 

「風よ、舞い上がれ!」

 

「なっ!?」

 

ゴウ、と風が刀に纏わり付く。

 

周りに被害を出す訳にはいかないので、風を周囲360度に放つのはダメです。

 

だから、足元ギリギリから掬い上げるように斬り上げ、風も上へと逃がす。

それを横に跳んで避けたボガードさんは、、、消えた!?

 

ゾクリ、と寒気が走ると共にイメージが頭の中に入り込んできました。

 

ボガードさんに背後を取られ、刀の峰で頭を思い切り叩かれ、私が気絶する。

 

咄嗟にしゃがむと、ブオン! とさっきまで頭のあった位置を刀が掠めていきました。

 

体を捻らせて反撃しようとしたところで何かが迫ってきているのに気が付く。

 

あれ? これって刀の鞘、ですよね。

 

そう考えると同時にお腹に強い衝撃が走り、視界が暗転しました。




沖田さんに食べさせたのはカゼカゼの実。

確かモンキー・D・ドラゴンが食べたんじゃないかと言われている実の一つもカゼカゼの実だったので違うことを祈ってます。

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