海風に舞う桜   作:座右の銘は天衣無縫

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第五話

「もう一回、お願いします!」

 

「おう、来い!」

 

現在、養成所でゼファー先生を相手に組手の最中です。

私が突っ込んで、ある程度打ち合ったら私が投げ飛ばされて終わり、という流れがかれこれ数十回。

 

本当にゼファー先生には頭が上がらないですよ。

まあ、その分はキッチリ家事で恩返しさせて貰ってますが。

 

ゼファー先生、家事はてんで駄目ですから。

その割に家は小奇麗でしたから、聞いてみたら以前の教え子に家事を時々やって貰っていたらしいです。

 

その人は遠征から戻ってくる度にゼファー先生の家の家事をしていたそうです。

 

そう言えば最近、同期の訓練生の人達に父娘みたいだな、と良く言われるのですが、年齢的には祖父と孫なんですよね。

その割には父娘という言葉がしっくり来るので謎です。

 

そうそう。

私は今、六式の内の四つは完全に習得しました。

『剃』『月歩』『紙絵』『嵐脚』の四つです。

能力の関係上、風や空気を使ったり感じたりするのは直ぐに習得出来ました。

 

その分、純粋に筋力が物を言う『鉄塊』『指銃』はまだ全然出来ません。

 

「そう言えば、お前に飛び級の話が来てたろ。 どうするつもりだ?」

 

「勿論、ありがたく進級させて貰いますよ。」

 

「ったく。 飛び級ってのは調子に乗って勘違いしたアホ共を懲らしめるためのシステムだってのに。」

 

そうなのです。

ゼファー先生が言うには本来、ここの飛び級制度は同期の中で飛び抜けて優秀だからと言って調子に乗った人を、上の学年に放り込むことによって上には上がいるということを体で分かって貰う為の制度だったそうです。

 

まあ、油断も慢心も無い私にはただの飛び級(二回目)ですが。

 

まあ、直感という名の見聞色の覇気が使えるので本当に訓練生レベルだと圧倒的なんですよね。

武装色も取り敢えず実戦レベルまでは仕上がってますしね。

 

「と、なると飛び級してから数ヶ月で卒業試験、か。 一年で卒業試験かよ。 天才ってレベルじゃねぇぞ。」

 

「沖田さんは努力の出来る天才ですから。」

 

フフン、と胸を張ります。

 

「まったく、その言葉、ロギアの能力だけに頼っている奴に聞かせてぇな。」

 

あ、多分ボルサリーノさんの事ですね。

 

「そう言えば、聞いてくださいよ。 この前、また鷹さんに襲われたんですよ。」

 

「またか。 アイツも大概、暇だな。」

 

そうなんですよ。

以前、ゼファー先生と結構ガチで組手をしていた時、王下七武海が一人、鷹の目ことジェラキュール・ミホークさんが乱入してきて、それ以来ちょくちょく、ちょっかいを出してくるようになったんですよ。

 

また、そのせいで他の七武海からも目をつけられ始めて。

しかもゼファー先生曰く、私が目をつけられ始めてから、王下七武海の会議への出席率が良くなったので、暫くは私を王下七武海担当にするとか言う話が出ているらしいです。

 

後生ですから勘弁してください。

 

「よぉし! 今日は終わりだ。」

 

「はい! ありがとうございました!」

 

「俺は本部に用がある。 先に帰ってろ。 ちょっと帰りは遅くなりそうだから先食って寝てろ。」

 

「はい。」

 

帰りが遅いなら、夕飯は何処かで済まして来るんでしょう。

献立、何にしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ゼファー

 

手元の資料に目を落としながらゆっくりと海軍本部まで歩いていく。

 

資料の中身はオキタ・ソウジについて。

正直言って、奴は天才な上に秀才だ。

決して自分の力に自信は持っても、過信はしない。

 

精神面、速さ、技術においては最高クラス。

持久力も余裕で及第点を超える。

難があるとすれば筋力だが、それを他で補っている。

 

その分、卒業後の扱いに頭を悩ませる。

 

今日、呼び出されたのもこの事についてだ。

 

目的地に着き、目の前のドアをノックする。

 

「入れ。」

 

中からそう言われ、ドアを開けて部屋の中に入る。

中にいたのは次期大将の三人の中将、ガープ、センゴク、おつるちゃん、そしてコング元帥のそうそうたるメンバーだ。

 

「来たかゼファー。 取り敢えず席に座れ。」

 

「ああ。」

 

俺が席に座ると、すぐに会議が始まった。

内容は、『オキタ・ソウジをどこの隊に入れるか』についてだ。

 

実際、今でもオキタにはあちこちから勧誘が来ている。

それを俺が本人にまだ知られないように俺のところで止めているのだ。

 

「ゼファー、彼女を海兵とした時に妥当だと思われる階級は?」

 

「・・・・純粋な戦力としては佐官でも構わないと俺は思ってる。 経験が無いことを含めると少尉が妥当なところだな。」

 

「それでも尉官、か。」

 

「階級なんて、能力者なら、その内自然に上がってくでしょうに。」

 

「その通りだがな、クザン。 最初の階級でいざこざが起きてもそれはそれでダメだろ。」

 

「まあ、階級の話はこの際、放っておくとして。 結局、どの隊に配属するんですかい、元帥。」

 

「出来ればぁ、あっしの所に来て貰えると嬉しいんだがねぇ。」

 

「いや、本人に以前聞いた所では彼女は市民を守ることを第一に上げている。 天竜人関連の任務が多いボルサリーノの所には合わんだろう。」

 

「オォ〜〜、悲しいねぇ。」

 

「なら、俺んトコはどうよ?」

 

「たわけ! 不真面目の見本のような貴様のトコに配属させるくらいなら儂がもらっちゃるわ!」

 

相変わらずクザンとサカズキは犬猿の仲か。

 

「この際だから本人に決めさせるのはどうじゃ?」

 

「それは勧誘合戦が起きて、今度は派閥間でのイザコザが出来るから却下と前も言っただろう!」

 

ああでもないこうでもない、と会議が騒がしくなる。

 

「ならいっそ、一年毎にあちこちに回して、その上で決めさせたらどうだい?」

 

と、おつるちゃんが発言すると一気に静まり返った。

 

「なるほどねぇ〜。 それなら全員公平だしねぇ。」

 

「俺ァ、賛成だ。」

 

「儂もじゃ。 それで構わん。」

 

「異論が無いならそれで行くとしよう。」

 

「最初の一年は提案者として私が貰うよ。 後は好きに決めな。」

 

「あっしは最後で構わないから、二人で決めなよぉ〜〜。」

 

「儂は別に何時でも構わん。 好きにせい。」

 

「あっそう。 なら二番目は俺が貰おうかね。」

 

決まったみたいだな。

 

「終わったなら俺は帰るぞ。 本人には伝えておく。」

 

それだけ言って部屋を出た。




アンケート中間発表

1番 3票
2番 0票
3番 2票

アンケート? 何それ?という方は活動報告を見て下さい。

なお、アンケート終了までは超人系という設定で書いていき、アンケート結果で超人系以外になった時は最初から再編集していくつもりです。






読者の皆様、ご迷惑をおかけしました。
アンケートは活動報告の方で続行させて貰います。
運営の目が怖いので感想の方には書かないで下さい。 フリではありません。
また、運営に対応されるまでのアンケートの結果はこちらで記録しておりますので、既に投票して下さった方は投票をしないで貰いたいです。

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