リリカル非怪奇前線   作:おーり

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少年魔法士が完結したので、つい


第1話

 ――死んで花実が咲いたのか、今となっては私は知らない。

 

 元より私は知らない。

 私には見えなかったモノなのだから、見なかったモノなのだから、その果てに得られた何かがあったのかと今更になって教えられたとしても、ふーんそうですかとしか言いようのない事実でしかない。

 

 遠回りに回顧を嘯いてしまったが、どうやら私は通常の呼ぶ輪廻とやらには乗り切れなかったらしい。

 元より無駄に超常を垣間見ていた生き様ではあったものの、それに憧れを抱いたと言えば過言に過ぎる。

 自身を自我を備えたままに、まさか過去へ逆行する羽目になろうとは。

 ご先祖と噂のトロイア女王カッサンドラでさえも見抜けなかったであろう先行きは、見事に私の決断をご破算へと導いてくれたわけである。

 

 佐田(サタ)一花(イチカ)の成り行きに思うところが無かったと言えば嘘になるが、彼女の生きた証と遺された娘をなかったことにしたい、とまでは思いたくはない。

 何よりそんな未来を偽造(つく)れるのだという淡い期待が存在すること自体が、私が身を挺してまで自身へと災禍を引っ張ってきた自称親友への裏切りに他ならない。

 

 ゆえに、蟹喰(ガニハミ)菜々生(ナナキ)はやり直したりはしない。

 

 元来父親へと取られるはずだった親権を、無理にでも祖父を抱きかかえてまで母親へと捥ぎ取って、私は育つはずであった街を後にして。

 母に連れられて知らない土地へと移住することと相成った。

 

 その選択がどのようなバタフライエフェクトを醸すのかなどは、私の知ったことではない。

 やり直させるために幼い僕へ、私を押し付けてくれたカミサマとやらには、せいぜいこう言ってやるべきだろう。

 ザマアミロ。

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

「ガニハミです。どーぞよろしく」

 

 前世と比べればどっこい過分に慰謝料を捥ぎ取らせていただいた母に連れられた行く末は、何気に良いところの名門私立。

 海鳴、という聞き覚えの無い市の、聖祥という学校へ通うことになっていた。

 随分と経済的に余裕そうですねお母様、いったい幾ら捥ぎ取ったのですか。

 まあ、前世ではそもそもが祖父なんかの琴線に触れ、家から追い出された経緯の母だ。

 二回も女を作って妻を追い立てる父も父だが、そんな家だとしても前世の私は裕福であった事実を無常にも思うことは無い。

 慣れ親しみも無いニューゲーム、過去は過去と割り切って気楽に逝こう。

 

「それと、こんな成りですが男子ですので。先立って言いますので勘違いは無しの方向で、改めてヨロシク」

 

 騒然とする教室。

 さもありなん。

 

 転生のカミサマか悪魔サマかが何をしたのかは知らないが、今の私の成りはこの頃の私と比べるとかなり変更点が大きい。

 ネットと本で調べて医者へ行ってそれっぽいことをテキトーに掻き立て並び立てるだけで、テレビなんかで耳馴染みのあるカテゴライズは終了。世間の理解も一丁上がり。

 私は高校生の頃にそんな『人生掛けてマイノリティを演じたかった』、本物の人には罪悪感を覚える程度の美人へと変貌していた。

 元々中性的ではあったのだが、それでも多少のエクササイズとナチュラルメイクだけでは隠しようもないはずの男性的な身体の線を一切見せずに、細くしなやかに美麗な脚で堂々と街を歩けるほどの自称親友曰く『綺麗な人』。

 

 それがそのまま子供の頃を匂わせるような、美少女然とした姿になっているのが今の私だ。

 そんな成りなので男子の服より女子の服を母は喜んで用意して、私は私で過去と決定的な決別を謀る要因のひとつにでもなればと女装を敢行した。

 むしろ似合う姿へなったので、男だと言われても違和感しか抱かれない程度には美少女だ。

 我ながら痛々しいというか、気持ち悪いというか。

 

 まあ、こんな真似はよっぽどの自信過剰でもないと出来やしまいよ。うん。

 

 騒然とする教室の端に、見知った蟹の気配を捉えつつ、私は『見ないように』焦点を暈かして睥睨する。

 やっぱり今世でも見るなぁ、と落ち着く様子が見当たらない子供たちの喧騒に紛れるように、担任に指定された席へと私は向かった。

 それにしても髪色がカラフルなクラスだ。

 わざわざ自身を晒した私がその必要性を見失うほどに個性豊かで少々、侘しくも思う。

 

 

 






途中までしか出来てませn
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