「こんな、ところで…」
「エミっ…!」
「マスター…お任せを」
いつからだ、いつから俺は道を違えた…何を思い、何を目指していたのかも思い出せない。この手に残ったものは人殺しが上手いという事実だけ…
1人の例外もなく、二度と同じケースを起こさない。あらゆる悪の痕跡を消し、後に続く悲劇の可能性を潰してきた。そう、俺はそうやって生まれたのだから、その為に、その為だけに―――――俺は生きてきた。
そうだというのに、なぜ…なぜ、今になって、こんなにも―――――懐かしい輝きが、俺を照らすんだ。
「ようやく、会えましたね―――――シロウ」
「―――――」
誰なんだ、この声は
何なんだ、その剣は
どこなんだ、この景色は―――
月の光が土蔵の中を照らし、彼女の姿をより美しく見せる。言い表すなら―――運命の夜
少年は様々な戦いを彼女とともに駆け抜けた。守り、守られ手を取り合い、最後の責務を果たした後。
二人はその丘に辿り着いた。
その時、少年は…俺は何を想ったのか
俺は、■◾️◾️◾️を■してる。けれど、本当に彼女を■してるなら…その誇りを汚すことだけは―――してはならない
月は沈み、日が昇り始め、朝焼けの雲が漂っていた。暖かい空気が二人の間を通り過ぎて行く。風が吹き抜け、彼女の髪を靡かせる。
―――最後に一つだけ―――士郎、あなたを愛している
「セイバー、なのか…?」
「はい。私はあなたの知る…あなたの剣です。」
「は、はは…本当に、悪い夢だ…」
こんな時でさえ、気の利いた言葉も出ない。染み付いた皮肉なセリフが口から零れ落ちる。
「なぁ、セイバー…―――すまなかった」
「…」
「追い求めた理想があったんだ…想い描いた思想があったんだ…―――君に伝えたいことがあったんだ」
「…」
「そうだと言うのに、何もかも…忘れてしまった、失くしてしまった、喪ってしまった…」
こんな姿を彼女に見せたくなかった。変わり果てた姿に腐りきった心。嗤う鉄心など皮肉にも程がある。
「走り続け、手を伸ばすものを切り捨て、あの戦いを忘れ、自分の名前さえ溶かしてしまった。俺にはもう―――何もない…」
「そんなことはありません…だってあなたには―――私がいますから」
「!」
そうだったな。君はそういうやつだったな…なぜ忘れてしまったのか。なぜ今になって彼女を求めてしまうのだろうか。そんなもの答えは一つだ
「なぁ、セイバー…今からでも間に合うか…?」
「えぇ、もちろん。」
「なら、最後に一つだけ―――俺もセイバーを愛していた…」
「はい…」
「―――はぁ…少し眠る」
「はい、ゆっくりと休んでください。」
そうして、エミヤオルタは目を瞑り、長く悪い夢からひとときの安らぎを得た
「見ているのですか、シロウ―――理想の果てを」
安らかな表情で眠るシロウ。その横からは何とも腹ただしく、耳触りな声が聞こえてくる
「うふふふ、私を悪と断じたごく少数の希少種だけですが、そういうヒトに限ってあのように社会から逸脱した罪人とされました。哀れな方…いっそう空っぽのまま道具のように壊れてしまった方が良かったでしょうに」
「っ!あんたなんかに、エミヤの何がっ…?!」
マスターの横を一筋の光が過ぎ去る。それは殺生院の頬を擦り地面を抉った
「アルトリア…?」
「マスター、彼に治癒の魔術を。」
「!…わかった。すぐに戻るから」
マスター率いる数名のサーヴァント達は一旦前線から引く。その場に残されたのは青の騎士王とビーストⅢだけ
「ふふ、愚かな人ですね。たったひとりでこの場に残るだなんて」
「貴様が……のか…?」
「え?―――っ!?」
下を向くアルトリア。ボソボソと聞き取れないほどの声で何かを呟くと、周囲の闇を覆すほどの眩ゆい光を聖剣から放つ
「貴様が、シロウを…―――私の鞘を壊したのかっ!!」
風が巻き起こり風圧だけで殺生院の頬からまたも血が出る。周囲から聖剣へと次々に光が収束して行く。そして、隠されていた聖剣が姿を現す
「その剣は…」
「貴様は我が逆鱗に触れた…その罪、命を持って償ってもらう。覚悟しなさい―――ビーストⅢ!」
エミヤオルタは多分鉄心ルートだと思ったのですが、書いてしまいました
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