「忌々しき偽りの魔王の血縁者よ。魔王の座を簒奪しただけでは飽き足らず、人間如きに頼りその座を、大王の座すらも穢した愚か者共よ。今此処で散るがいい!」
数多の魔法陣から現れた禍の団・旧魔王派に与する悪魔達、その中の1人が侮蔑と敵意を隠す事無くそう宣戦布告と言うしかない物言いをした。
彼らの立場からすればまあ当然と言えば当然の言葉ではあるが、そんな事を言われて黙っているゲンム達ではない、構えを維持したまま戦意を漲らせ、何時でも飛び掛かれる状態となった。
そんな時、
「空が…?」
「何?こ、これは一体…!?」
真紅一色だった空が、突如として冥界のそれを思わせる紫色に変色した。
その光景は周りの悪魔達にとっても想定外だった様で狼狽える者も少なくなかった。
「っ!皆、伏せて!」
『ガッシューン!ガシャット!キメワザ!デンジャラス・クリティカル・ストライク!』
「リアスお姉様、私も援護します!」
『シールド・オン!マグネット!』
そして何か風らしき物がフィールドに吹き荒れ始める、それに何か良からぬ気配を感じたゲンムは己の眷属達に伏せるよう指示を飛ばしつつ、何時も通りの手順でデンジャラスゾンビガシャットを左腰のスロットに装填、その力を解放した。
するとゲンム達を守ると言わんばかりに周りから滅びの魔力と似た漆黒の靄が吹き上がり、それはやがて無数の、ゾンビアクションゲーマーとなったゲンムそっくりな戦士となった。
本来ならこの後、周囲の物体に組み付く事で滅びの魔力をダイレクトに浴びせる事で腐敗を通り越して消滅までさせたりするのだが、今回はゲンム達を囲う様に隙間なく集合し、まるで組体操の如く互いが組み付いてドーム状に形成、風らしき物から文字通り身を挺して守る構図となった。
その動きからゲンムのやろうとしている事を察したポッピーもまた動いた、拡張されたディスプレイの左上部に表示された10個のアイコン、その中から『18』と書かれた物と『31』と書かれた物を選ぶと、電子音声と共に、ドーム状に組んだ戦士達を守る様に電磁状のエネルギーフィールドが展開された。
こうして二重の防壁を展開したゲンム達は何事も無く切り抜ける事が出来たが、
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ば、馬鹿な、馬鹿なぁぁぁぁ!?」
「こんな、こんな事がぁぁぁぁ!?」
そういった対策が出来なかった(しなかった、とは言えまい)悪魔達が風らしき物にさらされた次の瞬間、その身が崩れ出し、やがて消滅していったのだ。
そう、それは、まるで、
「この風、まさか滅びの魔力…!?」
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「さて、いよいよか。今まで事ある毎にサーゼクス・ルシファーに邪魔されたけど、それも今日までだ。リアス・グレモリーとその眷属は禍の団のエージェントによって皆殺し、そしてアーシアは僕の物だ!今から心が躍るなぁ!」
遡る事数十秒前、フィールド内の神殿内に陣取っていたディオドラは、下種の極みと言って良い笑みを浮かべながらそう声高に叫んでいた。
案の定と言うべきか、禍の団と内通していた裏切り者はこのディオドラだったのだ。
以前より教会のシスターを罠に嵌めて『魔女』として追放させ、誘惑した末に堕として己の眷属としてきた彼、アーシアが追放された一件に出て来る悪魔の正体もまた彼だったのだ。
だが結果としてアーシアはリアスの眷属であり、そして今や一誠の恋人の1人となったが。
後者について彼は知る由も無いが、どうしてもアーシアを諦められない彼は秘密裏に禍の団と協力関係を結び、情報提供や騒動(ゼファードルの兄が死んだ一件も含まれる)の手引きと引き換えに、禍の団トップであるオーフィスの力の欠片『蛇』を入手、シーグヴァイラとのゲームではそれを用いて大逆転劇を成し遂げたのだ。
そして今回のレーティング・ゲームの乗っ取りも彼の手引きによる物、これで禍の団に属する悪魔達がリアス達を皆殺しにする間にアーシアの身柄を奪い去り、己が物としようという算段を立てていた。
取らぬ狸の皮算用と言っても良い未来を想像して悦に浸るディオドラだったが、そろそろ悪魔達がリアス達の元に転移しただろうと思い、その隙にアーシアを拘束しようと転移用の魔法陣を起動しようとした、が、
「な、こ、これは!?」
突如として何かが砕け散る音が鳴り響く、それに驚いて振り向いたディオドラの眼に映っていたのは、部屋の中心部に設置された大掛かりな装置が壊れ、破損した部分から紫色の気体らしき物が噴出する光景だった。
「ぎゃぁぁぁぁ!?ば、馬鹿なぁぁぁぁ!?こんな、こんな事がぁぁぁぁ!?」
その気体――滅びの魔力を諸に浴びてしまった事で身体が崩壊していくディオドラ、断末魔の叫び声を上げながら、程なく消滅した。
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暴風の如く吹き荒れた滅びの魔力、それが止んだのを受けてエネルギーフィールドも、ドーム状に組まれた戦士達も消え失せ、ゲンム達が周囲を見回してみると、其処にはもう何も無かった。
周囲に広がっていた神殿群も、奇襲を仕掛けて来た禍の団・旧魔王派の悪魔達も、今回の奇襲を先導したディオドラ達も跡形も無く消え去り、澄み切った青空が広がるだけだった。
「一体、何が起こったと言うの…?」
仮面ライダー達の困惑を代弁するかの様に呟かれたゲンムの言葉、だが当然ではあるが、その呟きに答える者はいなかった。
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レーティング・ゲームを利用した禍の団・旧魔王派による襲撃、だがその最中に突如として吹き荒れた滅びの魔力によってこの襲撃に参加した禍の団の構成員は全滅…
その余りにも不可解な事件を受けて調査が行われた結果、ディオドラと禍の団が協力関係にあった事が発覚、その監督責任を問われたアスタロト家は現当主を解任、及び次期魔王を輩出する権利を永遠に剥奪されるという処分が下った。
尚、この処分の根拠となるディオドラの罪状に教会のシスターに対する干渉行為は含まれていない、それを裏付ける証拠も、その事を知る存在もいない中、当事者であるディオドラも元シスター達も残らず消滅させられた今、真相は文字通り闇の中となった…