「まさか、これ程までとは…!」
その日、レイヴェルは目前の『存在』を、悔しさを隠す事無く睨み付けていた。
「私達が本気を出しても、戦略を練って何度挑んでも攻略出来なかったこの難攻不落の譜面、それをあのゲーマーはクリアして見せた。私達とあのゲーマーに、一体どれほどの差があると言うのですか…!」
その視線の先には『FAILED』とディスプレイに表示された、ドレミファステップの筐体があった。
ドレミファステップ。
一誠が開発した所謂『ドレビーシリーズ』と呼ばれる、ドレミファビートの派生ゲームの1つで、そのゲーム性を一言で言うなら『足でやるドレミファビート』。
プレイヤーが乗るそれを中心に、上下左右に斜めを加えた8方向の矢印が書かれたそれを繋げた3×3、9つのパネルをコントロールデバイスとし、画面に(基本的には楽曲に合わせて)流れて来る矢印と同じ方向のパネルをタイミング良く踏んでいき、最後まで1楽曲分プレイ出来ればクリアとなるこのゲーム、その難易度の中に、他のゲームにおけるレベル・インファナルに該当する
『現実に鳴る音の通りにステップを踏む』という設定意義の通り、楽曲内のちょっとした音にすらも合わせろと言わんばかりに大量の矢印が流れて来る事から『他の全ての難易度が過去になった』と言わしめたREALIZE、中でも『初音ミクの消失-DEAD END-』のREALIZE譜面は、その無茶苦茶としか言いようのない譜面から『究極のクソ譜面』『ISが遂にヤケクソになった』『人間辞めてもクリア出来ない』『そもそも筐体が耐えられるのか?』『生きている内にクリア者は出ない』『フルコンボ達成する前に太陽が終わる』という声が上がり、このゲームにおいても第一人者であるレイヴェルやゼファードルの実力を以てしても、サビどころかAメロにすら辿り着けず、これまで誰一人クリア者は現れなかった。
そう、現れ『なかった』のだが、つい先日、そんな状況をひっくり返すニュースが流れた。
『初音ミクの消失-DEAD END- REALIZE譜面、クリア』…
その信じがたいニュースに、当初は誰もがガセだと、釣り記事だと思っていたが、とある動画投稿サイトに突如としてアップされたドレミファステップのプレイ動画、其処には確かに『初音ミクの消失-DEAD END-』のREALIZE譜面をプレイし、完走した光景が映し出されていたのだ。
生きている内に出ないとまで言われたクリア者が現れると言う奇跡に沸き立ったゲーマー達、だがそれを成し遂げたのは、レイヴェルでも無ければゼファードルでも無く、U1を始めとしたゼファードルの弟子達でも無く、
『やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!やったのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『2B』と名乗る無名のゲーマー、幼女に見えなくもない短躯を巫女服で覆い、恐らくはカシューシャを装着しているからだろうか、金髪の間から狐耳が飛び出た様な出で立ちの少女だった。
「
まさか自分をも超えるであろう才能を有したゲーマーが無名だっただけではなく、自分の半分くらいしか生きていない少女だった事に、当初驚きを隠せなかったレイヴェル、だが直ぐに2Bが持つゲーマーとしての類稀な資質を認め、ライバル心を剥き出しにした。
毎日の様に近所のゲームセンターに通ってはドレミファステップの筐体に向かい、何度失敗しても、息が絶え絶えになろうと、脂汗が流れようと諦める事無く難攻不落の譜面に挑み続けるレイヴェル。
そんな彼女と2Bはそう遠くない未来に邂逅を果たす事となるのだが、それはまた別の話。
次章、ハイスクールDevil×Ex-aid――
「ほっほっほ、求めに応じて来てやったぞい」
とある目的から、突如として来日した北欧の主神、オーディン――
「あの、兵藤さん」
「折角ですし、イッセーと呼んで下さい、ロスヴァイセさん」
「は、はい。では、イッセーさん」
オーディンの護衛として共に来日したヴァルキリー、ロスヴァイセと一誠が接近?――
「初めましてだな、諸君!邪魔しに参った!」
そんな彼らを妨害する存在もまた、日本に襲来――
7章『放課後のMIGHTY BROTHERS XX』