ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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96話_Odin来日!

「ほっほっほ、求めに応じて来てやったぞい」

 

所変わって一誠達の屋敷。

どうやらオーディン一行の来日が想定よりかなり早かった事から、会談が行われるこの街の管理者であるリアスはこの件についてサーゼクスから何も聞かされなかったらしく、その経緯と屋敷を訪ねる旨を一誠から連絡を受けた彼女の驚き振りは凄まじかった。

ただバガモンや、屋敷の使用人達の尽力もあってかオーディン(及び、サーゼクスと共に会談を仲介していて、来日を受けて急遽駆け付けたアザゼル)を出迎える準備は何とか整えられた。

 

「爺さん、来日するにしては早過ぎねぇか?会談の日程は大分先だと俺は聞いていたが…」

 

その早過ぎる来日の真意を問うアザゼルに、オーディンは白髭をさすりながら、

 

「実を言うとわが国の内情で少し厄介事、というより厄介な輩にわしのやり方を非難されておる。で、事を起こされる前に先手を打っておこうと思ってのぅ」

 

と、ため息をつきながら訳を話した。

 

「厄介事って、ヴァン神族にでも狙われたってクチか?頼むから勝手に『神々の黄昏(ラグナロク)』を起こさないでくれよ、マジで」

 

その訳に、オーディン程の存在が厄介と感じるのであろう事柄を想像して苦笑いを浮かべたアザゼルは、ラグナロク――北欧神話において世界の終末が訪れると言われる日――でも起こるんでは無いかと皮肉気に返した。

 

「ヴァン神族はどうでも良いんじゃがな、まぁ、この話をしていても仕方ないのぅ。話は変わるが、アザゼル坊。どうも禍の団は、禁手に至った神器所有者を増やしている様じゃな。怖いのぅ、あれは稀有な現象と聞いておったが?」

 

が、これ以上この話題を引っ張っても進まないと思ったのか話題を変えたオーディン、その話題に一誠達は驚きを隠せなかった。

タイムリー且つデリケートな話題にも躊躇なく触れた事もそうだが、事態が想像していた以上に大事と化している事に対する物の方が大きかった。

確かに一誠達、というよりこの街でも禍の団が関わる事件は頻繁に起こっているが、その全てがバグスター達の手によって未然に防がれている状態、だが、此処以外もそうとは限らない。

 

「ああ、稀有だ。だが何処かのクズが手っ取り早く、それでいて恐ろしく分かりやすい強引な方法でその稀有な現象を乱発しようとしているって訳さ。もう幾つかの報告が上がっている」

「まさか、禍の団の真意は…!」

 

バカの一つ覚えの如く連続して行われる襲撃、だがそれその物が目的ではないとしたら…

オーディンと、応じたアザゼルの言葉に、一誠は1つの結論に至った。

 

「ああ、お前さんの考えている通りだ。下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦さ。まず、世界中から神器所有者をかき集める。殆ど拉致だ。次に洗脳を施し、俺らへの敵意を植え付ける。そして強者が集う場所、例えばこの街だな。超常の存在が住まう重要拠点に神器所有者を送り込む。それを、禁手に至る者が出るまで続け、至った奴は強制的に魔法陣で帰還させるって寸法だ。こんなやり方、どの勢力も例え思いついていたとして実際にやれる訳がない。内外から非難に晒された挙句、それを口実とした戦争に発展するからだ。だが奴らはテロリストだからこそそんな手段が選べるって訳だ」

 

テロリスト故の形振り構わぬやり方、それを目の当たりにして怒りにかられると同時に、禍の団の恐ろしさを再認識した一誠達、其処に、

 

「アザゼル、お前その様な事を本気で思っているのか…?」

「バラキエル?お前何を言って」

 

何処か感情を押し殺すようなバラキエルの問い、それに応じようとしたアザゼルだったが、

 

 

 

 

 

「この分からず屋がぁぁぁぁ!」

「がはっ!?」

「お、お父様!?」

「バラキエルさん!?」

 

その言葉が最後まで口にされる事は無かった。

アザゼルの態度が琴線に触れたのか、怒りのままにその顔面をぶん殴ったバラキエル、だがそれだけでは収まらず、吹っ飛びそうになったアザゼルの胸ぐらを掴み、そのまま壁へと押し込んだ。

 

「貴様、この期に及んでまだ真実から目を逸らすか!良いか、禍の団に与する神器所有者は皆、殆どと言って良い位の者達が、自らの意志で加わった輩だ!多少なりとも洗脳を施されてはいたかも知れん、我らに刃を向ける意志が挫けぬ様に、囚われた際芋づる式に捕縛されぬ様にとな!だが彼奴等の我ら人外に向ける敵意は本物だった、洗脳によって植え付けられた薄っぺらいそれとはまるで違う!ではその敵意はどうやって芽生えたか!?

 

答えは単純だ、我ら人外は此れまで人間を力無きものと捉え、見下し、歯牙にもかけずに、今まで足蹴にしてきたからだ!例えば教会は世界のあらゆる地に布教と称してその支配の手を伸ばし、十字軍や魔女狩り、ホロコースト等という形で相容れぬ思想を有した人々を抹殺した!例えば堕天使は表向き、というよりお前が神器所有者の保護を提唱しながらその実組織ぐるみで危険視し、有無を言わさず排除して来た!例えば悪魔は悪魔の駒による眷属化を強引に行い、刃向かった者をはぐれ悪魔として処断して来た!かような事態が続けば、人間が抱く我らへの憎悪は募るばかりなのは自明の理!その憎悪を抱いた人々に神器という力が齎されたとしたら!はっきり言おう、禍の団とはその答えだ!そんな事をも見て見ぬふりをし、今まで通りただ抹殺するだけと言う気か貴様は!?そんな有様では第二、第三の禍の団は雨後の筍の如く生まれるだろう!」

 

バラキエルの怒り、それは長きに渡って人間を軽く見て来た人外達、その失政へ向けられた物だった。

だが同時に、そんな失政に関わって来た自分への怒りでもあった。

 

「こ、これバラキエル坊、気持ちは分からんでも無いが程々にせんか。これからにこやかにせねばならん場に、日ノ本の神々との会談に臨むという時に、その気が萎えては事じゃ」

「はっ申し訳ありません、オーディン殿。見苦しい物をお見せしました。詫びと言える物ではありませんがこれからこの街の、夜の顔をご案内致します。リクエストがあればなんなりと」

「では、おっぱいパブに行きたいのぅ!」

「はは、流石は好色と名高いオーディン殿といった所か。うむ、帰った後の朱璃が怖いが、武士に二言は無し。実を言うと最近、直ぐ其処にグリゴリの若い娘達がVIP向けにそういった趣向の店を開いたらしいのです、其処に招待しますよ。店の者共もオーディン殿が相手だ、大盤振る舞いでしょうな」

「うほほい!分かっておるではないか、バラキエル坊!お堅い烏かと思うたが、先のゲーマー振りといい、お主も話せるではないか!」

「私も欲に塗れ、天から堕ちた者ですから。では行きましょう、オーディン殿!」

 

まさか『お客様』である自分の前でバラキエルが怒りを爆発させるとは思わなかったオーディンは、その剣幕に少し引きながらも窘めた。

バラキエルもオーディンの目前でやって良い事では無かったと気付いて謝罪、その詫びに(殆どなっていないが)と2人で屋敷を後にし、夜の街へと旅立っていった。

 

「バラキエルさんって、あんなキャラだっけ…?」

 

そんな2人には、一誠達の唖然とした声も、

 

「だったら、どうすれば良かったんだよ…!

俺に一体、どうしろって言うんだよ…!」

 

アザゼルのやり場のない思いがこもった声も聞こえなかった。

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