「マキシマムだか何だか知らねぇが今度こそくたばれやクソ兄貴ィィィィ!」
『WelshDragonBalanceBreaker!』
エグゼイドの言葉と共に始まった英雄派との戦い、まずは誠次郎が己の身に宿った神滅具『赤龍帝の籠手』の禁手である赤い龍の様な全身鎧――『
「当て身!」
「がはっ!?」
「悪いが貴様の相手はこの俺だ、兵藤誠次郎!貴様には色々とぶつけたい物があるのでな!」
それに待ったを掛ける様に体当たりした、白龍皇の鎧を纏ったヴァーリ、己が誠次郎に対して抱く怒りをぶつけるかの如く立ちはだかった。
その他にも其々が戦うべき相手と対峙する等して、続々と戦いの火ぶたが切られていた中、
「さて、今此処でお前達を直ぐ倒すのは造作も無い事だが、敢えて問おう。お前達英雄派は何故、テロリストの道を歩む?バラキエルさんが言っていた通り、人外達への復讐の為に身を落とした者も大勢いるだろうが、貴様を含めた幹部勢はそうでもなさそうだ。故に気になってな」
マキシマムゲーマーレベル99となったエグゼイドは、対峙する曹操にガシャコンキースラッシャーの切っ先を向けながら、英雄派の活動理由を問いただした。
「俺達の活動理由はシンプルな物だ。
俺達は『人間』として何処までやれるのか。悪魔や天使、ドラゴンに神々といった超常の存在に『人間』が何処まで通用するか、それが知りたい、其処に挑戦したいんだ。それに超常の存在を倒すのは何時だって後々に英雄として称えられる『人間』だ。いや『人間』でなければならない」
そんなエグゼイドの問い掛けに応じ、己の想いを声高に宣言する曹操。
「人間として?はっ、勘違いも甚だしいな。随分と薄っぺらい考えだ」
「な、何だと!?」
「人間として超常に挑むと言うが、お前達がその超常の存在に向けている物は何だ?神器だろう。そもそも神器は、超常の存在である聖書の神が作り上げし物、いわば超常の物だ。増してお前が用いる黄昏の聖槍は聖書の神の意思が宿った物、誠次郎が用いる赤龍帝の籠手は二天龍の一角たる赤い龍の魂が宿った物、何処から如何考えても超常の力、超常の存在だ!」
「っ!?」
だがエグゼイドは、そんな曹操の想いを、英雄派の活動理由を薄っぺらい物と断じた。
超常の存在によって生み出された超常の力である神器に頼り、その力を振るっていながらそれを否定し、超常では無い存在として越えると言う曹操の言葉は、エグゼイドの心に響く事はなかった。
「仮にお前達が超常の存在に挑み、倒したとしよう。けれどそれが果たされた時に生きている者達は、後世の歴史家達は『神器使い』が超常の存在を下した、としか見ない。『人間』が超常の存在を下したと考える者は、お前達をお前が言う『英雄』として称える者は誰一人としていない!」
「黙れ…」
「神器の力を振るう事でしか世界に影響を及ぼさないお前達は『神器使い』であって『人間』ではない!お前が口にしていた英雄と呼べる存在に、お前達が至る可能性は万に一つもない!」
「黙れ…!」
「『人間』として超常の存在に挑み、勝利したと言いたいのなら『人間』としての、超常の存在に頼らない純粋な『人間』としての力を磨き上げてから言うものだ!『人間』だった頃の俺がバグスターウィルスを生み出したのを切っ掛けに、仮面ライダーの力を一から作り、磨き上げた様に!」
「黙れぇぇぇぇ!」
そしてそんな曹操の、英雄派の『矛盾』を突きつける。
図星を突かれたのか、エグゼイドの言葉に曹操は逆上し、怒りのままに突撃するが、
『ガッチャーン!キメワザ!』
「迷える魂に導きの光を!」
その時には既に、エグゼイドは準備を終えていた。
『ガッチャーン!「マキシマムマイティ・クリティカル・ブレイク!」』
「ぐはっ!?」
激情の余り槍捌きが荒くなった曹操の攻撃を余裕で捌きながら、閉じていたゲーマドライバーのレバーを開いたエグゼイド、必殺の一撃を告げる音声に被せるかの如く宣言しながら、伸び縮みする手を活かしたフリッカージャブの要領で曹操に拳を叩き込んだ。
「がっ!?あぁぁぁぁぁ!?」
「曹操!?」
その一撃を叩き込まれた直後、曹操の身に異変が起こった。
苦悶の様子を露わにする曹操の身を縛り付けるかの様に、DNAを彷彿とさせる螺旋状の白いエネルギーが放出され、
「ひゃっ!こ、これって、黄昏の聖槍…?
わ、私が、主の意思を…?」
持っていた聖槍が消失すると同時に、彼の身体から手槍型のエネルギーが出現、それはジャンヌと戦う風魔の身体に入って行き、それと同時に彼女の左手には彼が持っていたそれと全く同じ槍が握られていた。
「今だ、一誠!」
『DivideDivideDiviDDDDD!』
「なっ!?くそ、離しやがれ!」
その光景を見て何を思ったか、ヴァーリが誠次郎を羽交い絞めにし、抵抗は許さないと言わんばかりに半減の力を連続で発動、誠次郎の力を吸収して抵抗を弱めた。
「そのガシャットが持つリプログラミングとやらの力が俺の想像通りなら、俺には効果が無い筈だ!俺は俺に宿った神滅具を、白龍皇としての自分を、アルビオンを信じる!だからイッセー、俺ごとやれ!哀れな赤い龍の魂を、このクズから救い出してくれ!」
「分かった、ヴァーリ!」
『ス・パ・パ・パーン!ガシャット!キメワザ!マキシマムマイティ・クリティカル・フィニッシュ!』
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃっ!」
「ぐぅっ!」
先程ゲオルグと思しき存在から出て来たであろう霧を放つ光球と、曹操から出て来た手槍型のエネルギー、それを引き起こしたガシャットの力を、マキシマムゲーマーの『不殺』の力を見抜き、そして自分には効果が無いだろうと確信し、自分ごと誠次郎を攻撃する様に告げ、エグゼイドもそれを受けてガシャットをガシャコンキースラッシャーのスロット部に再度装填、根元にある斧の様な刃を、ヴァーリを巻き込む形で誠次郎に叩き込んだ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
『遂に戻って来たぁぁぁぁ!』
「赤い龍の魂が、兵藤誠次郎から離れていく…!
俺の身には、何も無いか。有難う、アルビオン。俺を選んでくれて」
『お前は歴代最強にして最高の相棒だ、ヴァーリ。誰が離れてやるものか』
変化は直ぐに現れた。
禁手が解除され、曹操の時と同じく苦悶の様子を露わにする誠次郎、やはりその身を縛り付けるかの様に螺旋状の白いエネルギーが放出され、赤く小さいドラゴン型のエネルギーが彼の身体から出て来た。
一方でヴァーリの身には何も起こらず、そしてガシャコンキースラッシャーでの攻撃で付く筈の外傷も無かった。
自分が思った通りの結果となった事に、自らが宿す神器の根源である白い龍――アルビオン・グウィバーが自分を相棒であると認めてくれた事に、ヴァーリは何処か穏やかな様子で、アルビオンにお礼を言っていた。
『それよりもヴァーリ、一誠の方を見てみろ。赤いのの魂が、まさかの方向へと向かっていくぞ』
「何?其処にいるのは…!
はは、よもや道を踏み外しそうになった俺を引き戻してくれたイッセーが、俺の宿命のライバルになるとはね。運命とは分からない物だ」
「あ、ああ、俺の、神滅具が…!」
ヴァーリの身の中で発言しているのと同じである為に顔は見えないものの、恐らくどや顔でヴァーリを称賛するアルビオンだが、ふとエグゼイドの方向を向く様ヴァーリに促した。
それを受けてヴァーリが眼を向けると其処には、ドラゴン型のエネルギーがエグゼイドの身体に入って行く光景があった。