ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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今話から戦闘に入ります。


116話_第一試合、風魔VSロスト

「さて、うちの黒歌がやらかした事で何やら闇深いステージに飛ばされる事になってしまいましたが、始めましょうか」

 

黒歌のやらかしによって、組み込んだ覚えのないステージへと転移する事となってしまった一行だが、模擬戦は予定通り行う事となった。

尚、やらかした当人である黒歌は、

 

「ねぇ、随分痛そうだけど大丈夫なのかい?後でアタシと模擬戦やる時に響いても困るんだけど…」

「大丈夫です、アーシア先輩がやってくれますから。大体もげればいいんです、あんな駄肉。そういえば…」

「な、何を言い掛けながらアタシや夏煉の胸に視線を向けているのかな!?」

「も、もいじゃ駄目ですよ!?」

 

咄嗟に逃げようとした所で白音が確保し「何ですか!?何ですかこの胸は!?また育ったのですか!?頭に行くべき栄養が全部そっちに行っているんですか!?」と某爆裂魔法の凄さに魅了された紅魔族の如き憎悪の籠った胸への往復ビンタを浴びせられる事となり、思いっきり痛がっていた。

そんな黒歌を、後で模擬戦をする事となっている薫がその身を案じたが、白音は気にするどころか、黒歌らと同じく巨乳である薫と夏煉の胸に何処か闇深そうな視線を向けていた。

 

「では、模擬戦を始めます。第一試合、紫藤イリナ、仮面ライダー風魔VS鬼鉄一輝、仮面ライダーロスト!」

 

それはさておき、ゾンビゲーマーとなったリアス――ゲンムの宣言によって開始した模擬戦、最初の試合で戦うイリナと一輝が中央に設けられたステージへと移動した。

 

「じゃあ、始めよっか」

「はい、宜しくお願いします」

 

ステージ中央で対峙するイリナと一輝、彼女の言葉と共に戦意を昂らせた両者は、其々のライダーに変身すべく準備を始める。

 

『HURRICANE RISING!』

「チャプターX!変身!」

『デュアル・ガシャット!ガッチャーン!デュアルアップ!レッツスニーキング!ハリケーンライジング!』

 

何時も通りの手順で仮面ライダー風魔・ライジングゲーマーレベルXへと変身したイリナ、一方、

 

『ケル、ケルケル!』

 

一輝は赤いレバーと円形のパーツに2つの歯車、そして2つの装填スロットとパイプが着いたドライバー――ビルドドライバーを腰部に装着する。

すると、ギリシア神話に登場する三つの首を持つ犬の怪物で冥界の番犬と呼ばれた幻獣『ケルベロス』をSD化させた様なメカ――ロストケルベロスが鳴き声をあげながら近寄って来るのを確認し、彼は左手を差し出す。

ロストケルベロスは一回転しながら跳び上がると、頭と尻尾を折り畳む様に引っ込めてガジェットモードへと変形し、一輝の左手に収まった。

そして、右側のポケットから取り出した黒色の小さなキャップが着いた緑色で、ケルベロスのイラストが銀色を基調としたエングレーブとして描かれているボトル――ケルベロスマイナソーフルボトルを上下に数回、シャカシャカと音を立てて振りながら、ボトルのキャップを正面にして変形させたロストケルベロスの背中にある窪みにセットする。

 

『ROD UP!』

 

セット時にロストケルベロスから音声が周囲に響き渡った後、一輝はケルベロスマイナソーフルボトルをセットした状態のロストケルベロスをビルドドライバーのスロットに挿入する。

 

『LOST CERBERUS!!』

 

ロストケルベロスをドライバーに挿入したと同時に力強い音声が周囲に鳴り響いた後、軽快なリズム音と猛犬の唸り声や遠吠えが重なりあう様な音楽が響き渡る。

そして、一輝はその音楽に合わせるかの様にビルドドライバーの右側にあるレバーを回し始めると、ドライバーから深紫色の液体が流れる2本のガラスパイプが出現、それと同時に周囲を囲うかの如く金属の土台が出現、それを伝い、まるでコンテナのような形に展開したガラスパイプがプラモデルランナーの様に彼の前方と後方に半分になっている特徴的な鎧の半身(ハーフボディ)を形成する。

 

『Are You Ready!?』

 

ドライバーから鳴り響く独特な待機音声が終わりを告げると同時に、力強い音声が一輝自身に問いかける、それはまるで「命を賭ける覚悟はあるか?」や「戦う準備は出来ているか?」を言われているかの様だった。

そして、その問いに答えるかの様に彼は深呼吸しつつ両目を閉じた後…

 

「変身!」

 

その言葉と共に目を見開いた瞬間、一輝の前方と後方に形成されていた深紫を基調とした2つのハーフボディが、土台の可動部が動くのに連動して勢いよく迫り、寸分の誤差も無く合体するかの様に一輝の身体を覆い尽くした。そして、左側の側面に青紫色を基調としたアーマーベストが彼の背部に取り付き、頭部と胸部を覆い被さる様に重ね着された。

 

『ROD UP WHOLE! HATRED LOST CERBERUS!!Yeah!!!』

 

全体的に深紫色を基調としたカラーリングで、両目の複眼は頭部が正面に向いている犬が唸りをながら威嚇をしている形状となっており、複眼の周囲を燃え盛る業火が囲み、それがアンテナ風となっている。

更に額にあたる中央部には威嚇と共に口から炎が吹き出ている一回り大きい犬が重なるように加わり、まるで『ケルベロス』をイメージさせる特徴的な仮面と口元には白いマスクが装着されている。

全身は同じく深紫色の装甲と黒色のアンダースーツに身を包み、胸部と両肩部には威嚇をしているそれぞれ三体の犬の頭部を象った青紫色の装甲が装着されており、両腕部には犬の頭部を象った赤紫色の装甲が装着している。

そして、装甲が装着されたと同時に背面から黄緑色のマントが出現し、風に靡いている。

そして、変身し終えた一輝――ロストは右手を翳すとビルドドライバーから青色のパイプが出現し、剣の形へと形成されると刀身にイコライザーの様なメーターがついた“奏剣”『ビートクローザー』となり、彼はそれを手に取ってビートクローザーの剣先を風魔へと向ける。

 

『ビートクローザー!』

「仮面ライダーロスト、鬼鉄 一輝!渾沌の誇りを舞い掲げる!!」

 

仮面ライダービルドガシャットでも聞き、ロストの一連の変身動作でも発せられ続けた某ファンキーなラジオDJの声による宣言と共に、ロストは名乗りを上げた。

それを受けてイリナも己の武器を手にするが、それは、

 

「仮面ライダー風魔、紫藤イリナ!主の意志と共に、全て振り切るよ!」

「あれは、黄昏の聖槍…?」

 

京都での英雄派との戦いで曹操からリプログラミングによって奪取、己が手にした黄昏の聖槍だった。

 

「僕の全力を以てして、君の全力を打ち破る!!」

「へぇ、その戦いへの決意、凄まじいね。なら言って置くけど、テストとは言え花を持たせる積りは無いから。覚悟、良いね?」

 

其々の武器を構え、戦意充分な両者、

 

「それでは…試合、開始!」

 

それを見てゲンムは、開始を宣言した、次の瞬間、

 

「ぐ、が、あぐ!?」

 

風魔の姿が消えたかと思ったら、何時の間にかガードの態勢をとっていたロストの身体が誰かに攻撃されたかの様に吹き飛ばされた。

 

「何処を見ているのかな?言った筈だよ、花を持たせる積りは無いと!」

 

謎の連撃によって振り回されるロストの身、それを行ったのは、何時の間にか彼の背後に現れた風魔だった。

ゲンムが開始を宣言した瞬間、持ち前のスピードを全開にして奇襲、更にそれに反応してガードしようとしたロストのがら空きな部分を狙い撃ちにしたのだ。

 

(速い!それに只速いだけではなく、僕が咄嗟に行ったガードを掻い潜って的確に攻撃をヒットさせている!あの動きは『読んで』いた上での物じゃない、確かに『見えて』いる!まるであの速さを『普通のスピード』と思える程に時間をゆっくりと感じているかの様に…!

そうか、クロックアップだ!あの仮面ライダーはサソードと同様、クロックアップが使えるのか!)

 

その一連の行動から、自分が何をされたか、何故がら空きの部分に攻撃を受けたのかを、持ち前の解析手腕で見抜いたロスト。

クロックアップ――ロストの変身者である一輝が嘗て変身していた仮面ライダーサソードに搭載されていたシステムで、身体を流れるタキオン粒子を操作する事で時間の流れに干渉し、その中での自在な活動を可能にする力である。

このクロックアップシステムを発動すると、周りの時間が止まっていると言っても過言では無い位にゆっくりな物に感じられ、システムを持たない相手に対して圧倒的なアドバンテージが得られるのだ。

そう、瞬間的なガードも止まっているかの様に見え、空いた所へ的確に攻撃をする事が出来る程に。

ライジングゲーマーとなった風魔も、左眼部分に装着された眼帯型の時間流制御装置『ザンゲキクロックアッパー』を起動する事で体力を犠牲に思考・感覚・行動速度を急激に高め、クロックアップと同等の効果を得られ、その力を活かしてロストに連撃を叩き込んだのだ。

 

「さあ、どんどん行くよ!」

(クロックアップと同等の力、確かに脅威だけどタネが割れてしまえば幾らでもやり様はある!)

 

そんなロストの考えを知ってか知らずか再びスピードを活かした奇襲を仕掛ける風魔だったが、同じ手は通じなかった。

クロックアップと同等の状態を活かした速くも精密な連撃をロストに繰り出す風魔ではあったが、迎え撃つロストもまた同等の状態に至ったかの如く、風魔が黄昏の聖槍から繰り出す連撃を『見て』捌き切ったのだ。

だがこれはロストにクロックアップ同様のシステムが搭載されているから出来ている訳では無い、これはロストが、一輝が偉人の域に達するまで磨き上げた技量が成せる業だ。

一輝は嘗て、煉獄義姉弟の一員となるまでは煉獄の園とはまた違う異世界で、明らかに劣る才能故に生家から想像を絶する迫害を受けながらも一流の騎士となるべく様々な剣術や武術を会得、それらを磨き上げた事で未だ成人とは言えない歳でありながら、歴史においてその人ありと言われた程の偉大なる武人に匹敵する技術を身に着けた。

それ故に己の集中力を高める事で感覚を研ぎ澄まし、所謂「ゾーンに入る」――クロックアップと同等の領域に至り、それによって聖槍の連撃を『見る』事が出来た。

それに加え、圧倒的に劣っていた才能で駆使できる数少ない力『身体能力倍加』を行使して行動速度を高め、連撃を捌き切る事に成功したのだ。

 

(な!?風魔の超スピードに、あの連撃に付いて来たですって!?いや、きっと偶々よ!)

 

自慢のスピードから繰り出される怒涛の連撃を捌き切るという、まさかの事態に動揺を隠せない風魔。

偶々捌けただけではないかと結論付けて再び仕掛けるも結果は同じ、しかも動揺が現れたのか槍さばきに粗が目立ち、故にいなされた際の反動がやや大きくなってしまった。

その隙を突いて何処からか、ギリシア神話に登場する蛇の髪の毛を持つ女性の姿をした怪物『メドゥーサ』のイラストが銀色を基調としたエングレーブで描かれている緑色のボトル――メドゥーサマイナソーフルボトルを取り出し数回、シャカシャカと音を立てて振り、黒色のボトルのキャップを正面にしてビートクローザーの空洞に装填した。

 

『スペシャルチューン!』

『ヒッパレー!』

『スマッシュスラッシュ!』

 

それと共に鳴り響いた声と共にグリップを引っ張るとまたも声が響き、それと共にテンポの良い音楽が鳴り出す、それを受けて剣の柄にあるボタンを押すと、三度響いた声と共に刀身が光り輝いた。

 

「か、身体が!?」

 

もう一度攻撃を仕掛けようとした風魔だったが、ビートクローザーの光り輝く刀身を見た瞬間、信じられない現象に襲われた。

突如金縛りに襲われたかの様に動けなくなってしまった風魔、その身はまるで石になったかの如く鈍色に染まっていった。

 

『ヒッパレー!ヒッパレー!』

『ミリオンスラッシュ!』

 

その現象を引き起こしたロストは再びビートクローザーのグリップを、今度は2回引っ張った。

すると声と共に、先程よりもアップテンポな音楽が鳴り出す、それを受けてまた剣の柄にあるボタンを押すと、刀身からエネルギーが放出、それはやがて蛇の様な形状となった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 

そのエネルギーを纏ったビートクローザーを鞭の如く振るうと、蛇型のエネルギーが蛇腹剣の如く風魔へと襲い掛かり、四方八方から彼女を切り刻んだ。

 

『ガッシューン』

 

風魔もこれ程のダメージを受けて耐えられる筈もなく、吹っ飛ばされながら変身は強制解除され、イリナの姿へ戻った。

 

「勝者!仮面ライダーロスト!」

 

一連の光景を見ていた審判役であるゲンムは、変身解除されたイリナを見て戦闘不能と判断、ロストの勝利を宣言した。

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