「あの、兵藤一誠さんですよね!」
「ん?あ、あぁ。兵藤一誠は俺だが?」
午後の授業も全て終わり、家に帰って作業の続きをやろうと考え、下校しようとした一誠。
だが校門に差し掛かったところで、彼を呼び止める声があった。
その声の主は、
(何故未だ、この女が此処にいる?白音ちゃん経由で生徒会に伝えていた筈だが)
そう、昼休みの時に校門前にいたのを一誠が見つけた、あの女子である。
「それで、一体何の用かな?あ、此処だと皆の邪魔になる、場所を移そう」
「あ、はい。分かりました」
昼休みに彼女が校門前にいた事は白音が伝えてある筈、その不審さから生徒会が何かしらの対応を取っても良い筈なのに、未だ校門前に彼女がいた事を訝しむ一誠ではあったが、ともあれ話を聞いてみないと始まらない、そう考え、場所を移すことにした。
その旨を彼女に伝え、了解を取った一誠は、学校から少し離れた公園へと移動した。
その際、何故か公園内に人っ子一人いなかった事、公園の敷地内に入った瞬間に何とも言い難い違和感を覚える等、何かしら気になる事があったが、一誠はそれらに構う事無く公園内を進み、中程に来た所で彼女へと振り向く。
「それで、
天界から叩き落とされた烏が俺に何の用だ?」
「え!?な、何のこと」
「とぼけても無駄な事だ。近場の学校では見られない制服姿で白昼堂々と出待ちする女子高生が何処にいる?完全にダウトだよ、『堕天使』」
「そう、最初からバレていたの。なら遠慮はいらないわね、結界は既に張った後だし」
彼女の『正体』はお見通しだと、言い放ちながら。
一誠に『正体』を見抜かれていた彼女は、最初は何の事だと白を切るも、違和感丸出しだという一誠の指摘によって諦めたのか、あっさりと本来の姿――露出の激しい黒のボンテージを身に纏い、背中から黒い翼を生やした黒髪の少女へと変貌した。
その姿は一誠が言う様に『堕天使』のイメージぴったりである。
「神器は無さそうだけど、昨日貴方がはぐれ悪魔を殺したというドーナシークの報告が間違いじゃないであろう事、今の問答ではっきりしたわ。貴方は此処で始末」
『ゲキトツロボッツ!』
「排除」
「あぐっ!?」
正体を見せた彼女が何やら不穏な事を呟きながら一誠へと飛びかかろうとしたその時だった。
某野菜をもじった名の戦士が主人公を務めるバトルアニメの主題歌を歌う歌手と思しき声が響いたかと思うと、一誠の背後に『GEKITOTSU ROBOTS』の文字と真紅に輝くロボット戦士がデカデカと映ったスクリーンが出現、其処から何者かの影が飛び出し、彼女に突進していった。
余りに唐突な事態に彼女は何の対応を取る事も出来ず、突進をまともに喰らってしまい、外壁へと叩きつけられ、その衝撃によって粉塵が舞った。
「攻撃対象、沈黙確率80%。ファザー、次の指示を」
「まだ増援がいるかも知れない。ガットン、お前は周囲を警戒して貰う。ヤツは俺が対応して置く」
「了解、索敵モードに移行」
突如として現れた影――一誠がガットンと呼んだ、赤を基調としたカラーリングに、クレーンのアームを思わせる右腕が特徴的な如何にもロボットと言える異形に、一誠は指示を飛ばしつつ、先程吹っ飛ばされた少女に対処すべく準備に取り掛かる。
指示を受けたガットンが公園を出ると同時に制服のジャケットを脱いだ一誠、それによって露わになった、腰に巻かれたベルトのバックルは、ライムグリーンを基調とした据置型ゲーム機らしき異様な外見であった。
そんな妙なベルトを巻いている一誠、だがそれに突っ込む存在は何処にもおらず、一誠も気にする事無く、ベルトの左腰部分にぶら下げていたホルスターらしき場所からゲームのカセットを思わせる物体を取り出し、
『マイティアクションエックス!』
起動させた。
すると一誠の背後に『MIGHTY ACTION X』の文字とピンクを基調としたほぼ一頭身のキャラクターがデカデカと映ったスクリーンが出現、
『父上、今宵の敵は随分と良い体つきの女ですな。捕えて薄い本の如き展開に持ち込みましょうぞ!』
「ソルティ、そう言うのを死亡フラグと言うんだ。そうなる事は千に一つもないだろうが、油断するな」
一誠がソルティと呼んだ、某変態と言う名の紳士な熊と思しき声が響き渡った。
余りにも変態丸出しなソルティの発言、だが一誠は何故かその内容では無く発言のタイミングに対して突っ込みを入れ、
「ライダー、変身!」
『ガシャット!』
某世界で最初に誕生した仮面戦士の変身ポーズを思わせる挙動を見せながら、左手に握っていたカセットを、バックルの左側に設けられたカセットの差込口らしき部分に突き刺した。
『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?アイムア仮面ライダー!』
すると音声と共に一誠の周囲を回る様に十数枚ものパネルが出現、その中からピンク色の髪をしたキャラクターが映ったパネルを一誠が選択すると『Select!』の文字と共にそのパネルが彼の身体に重なり、パネルに映っていたキャラクターと同じ顔、体力を現しているかの様なゲージを映し出したディスプレイとゲームのコントローラーらしき4つのボタンを設けた胸当て、モノクロを基調とした4頭身のずんぐりむっくりとした体躯のキャラクターへと変身した。
「この街の運命は、俺が変える!」
『ガシャコンブレイカー!』
「ノーコンティニューで、クリアして見せる!」
そんな、今から命のやり取りをするとは思えない様な可愛らしい、どストレートに言うならゆるキャラな姿に変身した一誠、だが彼は何も気にする事無く己の決意を叫ぶ、それと同時に新たに現れたパネルからハンマーを思わせる武器――ガシャコンブレイカーが出現、装備し、未だ舞っている粉塵の向こうにいる少女に対処すべく、身構える。
やがて粉塵が晴れて行く、と、
「…………
あれ?」
『何処にも、おりませんな。これは失敬、別の意味でフラグを立ててしまった様ですな』
少女の姿は何処にもなかった。
「これからどうした物k、何、魔法陣?」
『新手!これはどうやら、無駄足にならずに済みそうですな』
が、事態はまだ終わりでは無かった。
標的の少女がいなくなってしまい、どうした物かと考え始めた一誠とソルティ、だが次の瞬間、その近くに何故か、真紅の魔法陣と思しき物がひとりでに描かれていき、完成すると共に紅く発光したのだ。
「あら?此処に堕天使の気配があった筈だけど…」
やがてその光と共に人影らしきものが現れ、その人影のシルエットがはっきりして来たと同時に光が晴れ魔法陣は消失、
「リアス・グレモリー、先輩?」
其処から、一誠の知る人物が出て来た。
腰まで届く赤髪に、一誠に匹敵する身長のグラビアモデルばりの体躯を駒王学園の制服で包んだ美少女――リアス・グレモリー。
彼女は『駒王学園の2大お姉さま』として駒王学園では知られている。
「え?ええ、そうよ。私の名を知っているって事は貴方、駒王学園の生徒かしら?」
「はい。あ、変身を解いた方が良いですね」
『ガッシューン』
「あ、貴方確か兵藤一誠君?白音が、毎日ハンバーガーをご馳走して貰っているって言っていた…」
「はい、その兵藤一誠です」
そんなリアスと一誠が出会った事で、運命の歯車は、回り始めた…!