ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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4話_人としてのFinal Time

「びっくりだわ。まさか数年前に朱乃達を助けた戦士が、エグゼイドに変身したイッセーだったなんて」

「俺も正直びっくりしています、あの時助けた人達が朱乃先輩達だった事に。世間って案外狭いですね」

 

突如としてエグゼイドに抱き付いた朱乃に困惑していたリアス達、だがその訳を把握すると納得した様子を見せた。

 

実を言うとエグゼイドと朱乃は、これが初対面ではない。

数年前、一誠が遠出した際にふと訪れた神社、其処で数人の武装した男に囲まれていた母娘を見かけ、助け出したのが初対面だった。

普通に考えて当時小学生位の一誠が、武装した大の男数人を相手にする等無茶にも程があるが、この時には既にゲーマドライバーやライダーガシャットを開発し、仮面ライダーエグゼイドとして文字通り街を脅かす敵との戦いに明け暮れていた中で、戦闘技術を磨いて行ったのだ、撃退は難なく完遂出来た。

 

「でも数年前からそれ程の手腕を持っていたなら、ここ数年この街にはぐれ悪魔、それもB級以上の存在と思しき死骸が相次いで発見されていたのも納得ね。あれ、貴方の仕業でしょう?」

「はい。あ、勝手に倒したり、報告しなかったりだったのは、不味かったですか?」

「いえ、むしろ助かったわ。私もこの街の『裏』に関する管理を大公様から任されている身ではあるけど、まだまだ至らない面は多いもの。実際、貴方がいなければこの街に侵入したはぐれ悪魔によって、多数の犠牲者が出ていたでしょう。そんな事態は管理者としてあってはならない事よ。報告に関しても、いきなり此方に乗り込んではぐれ悪魔を倒しました、なんて言われても信じない、そうでしょう?」

「そうですね、もし俺がリアス先輩の立場なら救急車を呼びますね、それも黄色いのを」

 

そんなエピソードからエグゼイドが持つ戦闘能力の高さを認識したリアス、同時に此処最近この街で多数寄せられるはぐれ悪魔と思しき死骸の発見報告、それに彼が関わっているのではと当たりを付け、問いかけるとあっさりと認めた。

それに関してエグゼイドは余計な事をしたのではないか、事後処理がなっていなかったのではないかと若干ばつの悪そうな様子を見せるが、リアスは寧ろ、自らが対処しきれなかったであろう事態を未然に防いでくれた事に感謝の意を示していた。

 

「それでイッセー、そんな貴方の腕を見込んでお願いしたい事があるんだけど、良ければ私の眷属に」

「良いですよ」

「え?ちょ、ちょっと待って、あっさりと決めるわね。誘った私が言うのも変だけど、悪魔に生まれ変わるのはメリットばかりじゃないのよ?光には弱くなるし、神聖な物は天敵になるし」

 

そんなエグゼイドの腕を見込み、自らの眷属にならないかと誘うリアスだったが、それに対して即答で応じたエグゼイド、余りにあっさりと快諾した事で逆に戸惑い、何故か考え直すよう説得していた。

が、

 

「悪魔になる事でのメリット・デメリットだとか、そういう物は関係有りません。

 

俺は、つい最近までうちのクズな弟、兵藤誠次郎(せいじろう)が起こして来た事件の責任を、そんな弟をああなるまで放って置いてしまった家族としての責任を取りたい。アイツの所為で迷惑を被って来た人達に、少しでも償いをしたい。今まではぐれ悪魔の駆除を行って来たのも、それが理由です。そんな俺をリアス先輩が必要としてくれるなら、俺はそれに応えたい。それで少しでも罪を償えるなら」

 

一誠の意志は固かった。

 

「兵藤誠次郎…

確か、幼少期から性的な犯罪を立て続けに起こし、今は少年刑務所に入れられている男よね…」

「まさかあの男がイッセー君の弟だったとはね、血の繋がった兄弟でも此処まで違う人に育つんだ…」

「成る程、さっき一部の生徒会員に睨まれていると言っていましたが、そういう事だったんですか。えっと、苦労しているんですねイッセー先輩…」

「まああんな変態を弟に持つと、風評被害も致し方ないって事かにゃ。私達はそう思っていないけどね」

「そうです、イッセー君はそんな悪い子ではありませんわ。イッセー君の人となりを見もしないで、あんな男の兄と見るなんて、いけない人達です。誰だか分かりませんが、お仕置きしませんと…!」

 

己の弟が起こした罪の数々、それを少しでも償えるならと、あっさり応じた理由を話したエグゼイド、その中で上がった名にリアス達はそれがどの様な存在かを思い出した。

兵藤誠次郎。

一誠の双子の弟として生まれた彼は、幼少期より性的な犯罪を立て続けに起こして来た事で、この街では『史上最悪の性犯罪者』として悪い意味で有名だった。

覗きやセクハラ発言ならまだ可愛い方で、18歳未満閲覧厳禁な雑誌・ビデオの万引きや下着泥棒、盗撮・盗聴、挙げ句の果てには性的暴行を行おうと女の子を襲撃する事もあった。

流石に性的暴行は未遂に終わってはいたし、上記の犯罪を起こしても必ず捕まってはいたのだが、その取り調べに対する供述も「兄がやろうとしていたのを見咎めようとしただけだ」だとか「兄に脅されたんだ」だとかの様に兄である一誠に罪を擦り付けようとする物、それもどう考えても嘘だと分かる物ばかりで反省の態度が見られず、数か月前に少年刑務所へと送られていた(尚、これが初めてではない)。

 

「でもそれは貴方自身では無く貴方の弟がやった事、それに貴方だって言って見れば被害者でしょう?聞いたわよ、捕まって取り調べられても貴方の所為にするばっかりだって」

「それでも、です。ああなってしまったのは兄である俺が至らなかったのもあると思うんです。だからこれは俺の罪。はぐれ悪魔を駆除する事も、先輩の眷属になる事も、償うにはどうすれば良いかを考えた結果です」

 

そんな弟の所業を兄として背負う姿に、リアスはエグゼイドの所為ではないと言葉を掛けるが、それでも彼の意志は揺るぎなかった。

 

「まあ、幾らそれがあると言っても、この街の管理者なら誰でも、という訳では無いですけどね。最大の理由は、リアス先輩や、此処にいる皆の人となり、いや、悪魔だから悪魔となり?ですね。さっき朱乃先輩も言っていましたけど、悪魔となりを見もしないで、この街の管理者とその眷属として見て、眷属になろうとするのは良くない事です。そんな関係、絶対に長続きしません」

 

が、それだけではない事も打ち明けた、それを語る際の彼の堂々とした様子は、それが場の空気を変えんが為の嘘では無いと知らしめる様だった。

 

「其処まで買ってくれるなんて、嬉しいわイッセー。なら、これを」

 

その決意を聞いたリアスもまた、彼を眷属とする事を決め、何処からともなくチェスで使われる様な駒を取り出した。

 

『ガッチャーン!ガッシューン』

「はい!」

 

それを見たエグゼイドは変身を解除、リアスへと歩み寄った。

 

------------

 

「…まさか、兵士(ポーン)1つで転生出来るとは思わなかったわね。

イッセー程の実力者なら複数の駒、或いは僧侶(ビショップ)戦車(ルーク)を使わざるを得ない筈だけど…」

 

無事に一誠の悪魔への転生に成功したリアス、だがその結果に彼女は何処か拍子抜けした様子を見せた。

 

「恐らく、エグゼイド自体はともかく、俺自身のスペックはそれ程ではない、と判断されたという事ではないでしょうか?」

「それでも戦い慣れしている部分を加味してもいい筈、だけど…

まあ良いわ。イッセー、私達オカルト研究部は貴方を歓迎するわ、悪魔としてね」

 

その一誠が有するであろうポテンシャルに対して余りにも低い消費で転生出来た理由、それに一早く思い当たった一誠自身が己の考えを話したが、それでもリアスはまだ釈然としない表情だった。

だがこれ以上考えても仕方ないと切り替え、一誠に歓迎の意を伝えた。

 

「改めまして、私は姫島朱乃。リアスの女王(クイーン)ですわ。イッセー君、これからも宜しくお願いしますね」

「僕は木場祐斗。リアス部長の騎士(ナイト)だよ。宜しくね、イッセー君」

「私は塔城黒歌にゃ。祐斗と同じくリアスの騎士をやっているのにゃ。今後とも宜しくね、イッセー」

「黒歌姉さまの妹の、塔城白音です。リアス部長の戦車です。改めましてイッセー先輩、これからも宜しくお願いします!」

「そして(キング)のリアス・グレモリーよ。今後とも宜しく頼むわね、イッセー」

「改めまして、今回リアス先輩、いや部長と言った方が良いですね、部長の兵士となりました、兵藤一誠です。これからも宜しくお願いします!」

 

そして一誠は、オカルト研究部の、リアス・グレモリー眷属の一員となった。

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