「森の中に3人位の気配がするのにゃ。駒の種類は全て兵士ね。それと、この辺りに向かった連中以外は皆あの部室棟から動いていないにゃ」
「イッセー君が考えていた通りに動いて来ましたね。それじゃあ、僕達も行きましょうか、黒歌先生」
「行くのにゃ!あの焼き鳥野郎に目に物見せてやるのにゃ!」
一方、旧校舎の近くに鬱蒼と広がる森林地帯へと辿り着いた祐斗と黒歌、其処で彼女もまた敵の気配を察知した。
その際、それ以外の面子が何処にいるかも察知していた辺りは、術式に長けた黒歌の本領発揮と言うべきか。
『タドルクエスト!』
『ハテサテパズル!』
「術式レベル2、変身!」
「2連鎖、変身!」
『『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!』』
「「ハァッ!」」
そんな、敵の状況を把握した祐斗と黒歌もまた仮面ライダーになるべく其々の行動に移る。
『辿る巡る!辿る巡る!タドルクエストォォォォ!』
まずは祐斗、ホルダーから抜き取ったガシャットを回転させながら起動させてゲーマドライバーに装填、レバーを開き、兜で覆われたキャラクターが映ったパネルを選択、『Select!』の文字と共にそれと同じ顔の仮面ライダー――仮面ライダーブレイブのレベル1の姿に変身、その直後に登場した水色のパネルを通過すると共に浮き上がる様に異空間へと転移、其処に次々と現れる扉の中から1つを選んで開くと、水色をベースカラーとしたライダースーツに覆われ、左腕には盾を、背中にはレベル1時の頭部だったパーツを装着した姿となって帰還した。
『運命の鎖、解け!ハテサテパズル!』
次に黒歌、起動させたガシャットを一旦放り投げ、直ぐに逆向きの状態で掴んでゲーマドライバーに装填、レバーを開き、青いリーゼントヘアのキャラクターが映ったパネルを選択、『Select!』の文字と共にそれと同じ顔の仮面ライダー――仮面ライダーパラガスのレベル1の姿に変身、その直後に登場した青色のパネルを通過すると共に異空間へと転移、其処に自らと共に5×5の配列で並ぶ様々な色のブロックを入れ替え、自分と同じ列に青いブロックを並べた瞬間、ブロック諸共身体が頭部を残して爆散、直後に残った頭部から青のベースカラーにジグソーパズルを模した黒いラインが特徴的なライダースーツに覆われた新しい身体が出現、そのまま帰還した。
「これより、序列三十七眷属の切除手術を開始する」
『ガシャコンソード!』
「私の掌の上で踊るが良いにゃ!」
『ガシャコンパラブレイガン!』
其々が仮面ライダーとしての姿になると、決め台詞と共に、ブレイブは、刀身から炎を発する長剣型のガシャコンソードを、パラガスは斧型のガシャコンパラブレイガンを装備し、森林地帯へと入ろうとする。
其処へ、
『ライザー・フェニックス様の『女王』、リタイア』
体育館の周辺で待ち伏せしていたユーベルーナがスナイプに狙撃された事を示すアナウンスが流れた。
「どうやら朱乃がやった様にゃ。相手はこれで混乱状態に陥る筈、不意打ちなら今にゃ!」
『『透明化!』』
「はい、黒歌先生!」
それを聞きつけ、今がチャンスだと言わんばかりに、パラガスはガシャコンパラブレイガンの後方に空いている口らしき機構から、水色のベースカラーに人が透けている様な絵柄が描かれたメダルらしき物を2枚取り出し、その内1枚をブレイブに投げつける。
すると投げつけられたブレイブは勿論、パラガスも身体が透けていき、やがてその姿が消えた。
無論その場から離れた訳でも、レーティング・ゲームにおいて戦闘不能と判定されて安全の為に転移された訳でも無く、身体が透明になったのだ、その証拠に2人の足音は少しばかりながら聞こえている。
これを成し遂げたのは、先程パラガスが取り出したメダル状のアイテム――エナジーアイテムの力である。
これによって身体が透明になった2人が森林地帯にいるであろうライザーの眷属達が慌てふためいているであろう姿を捉えたその時、
「な!?」
「え、な、何、今の轟音!?」
「ユーベルーナ様が真っ先にやられた事といい、今の轟音といい、まるで意味が分からないわ!」
(確かに、それには同感なのにゃ。朱乃のパワー、上げ過ぎなんじゃない?)
『ライザー・フェニックス様の『兵士』3名、『戦車』1名、リタイア』
混乱を加速させるであろう、轟音とアナウンスが響き渡った。
無論これは、スナイプがガシャコンマグナムから放った必殺の一撃が、体育館は勿論、射線上の地形すらも巻き込んで眷属達を薙ぎ払った事による物である。
そして、混乱の加速は終わらない。
「きゃぁ!?」
「あぐぅ!?」
「うっ!?て、敵襲…!?」
『ライザー・フェニックス様の『兵士』3名、リタイア』
透明化したブレイブとパラガスが、森林地帯に潜んでいたライザーの眷属達を次々と斬りつけていった。
姿なき相手からの攻撃だった為に対応する事は出来ず、襲撃されたと気付いた時には既にその身は転移の為の光に包まれていた。
「これで相手との人数差は殆ど無くなりました。決戦の時は近いですね、黒歌先生」
「そにゃね、祐斗。となれば、白音達と合流しようかにゃ」
襲撃を終えると共に、エナジーアイテムの有効期間が切れたのか姿が再び見える様になったブレイブとパラガスは、既に体育館方面での役目を終えたエグゼイド達に合流すべく、移動を再開した。
――――――――――――
「…朱乃先輩、強過ぎです」
「…ライダーシステムを開発した俺がクレームをつけるのは筋違いでしょうが、幾ら何でも力を出し過ぎです、朱乃先輩」
その合流先であるエグゼイドとノックスは、先程スナイプが放った一撃の、余りの強烈さに唖然としていた。
だがそれも無理もない、目前の体育館は跡形もなくなり、射線上の地形も大きく抉れて黒焦げになっている光景を見せられては、そうもなる。
「ま、まあ、何はともあれ、状況は此方の思惑通りに進んでいる。後は俺達4人が前衛となって攻撃を仕掛けよう」
「そうですね、イッセー先輩。となれば、先程森林地帯で襲撃してきた様子の姉様達に合流しましょう」
とはいえまだまだレーティング・ゲームは終わっていない、そう切り替えたエグゼイド達もまた、ブレイブ達と合流すべく、抉れた地形を避けながら移動を開始した。
程なく、
「早かったですね、姉様、祐斗先輩」
「早速使いこなしている様だな、ライダーシステムを」
「うん、イッセー君。やっぱり凄いよ、ライダーシステムの力は」
「うわー…
祐斗、そっち見るのにゃ。あれ、さっき朱乃がやった奴みたいよ」
「あ、あはは…」
4人は倉庫の物陰で合流した。
「ま、まあそれは一先ず置きましょう、姉様」
「それで、この後はどう動こうか。黒歌先生の話では、残る眷属はあの部室棟に籠っている様子だよ」
「いきなり圧倒されて出るに出れないのか、或いは出方を未だに伺っているのか…」
合流した4人は、早速これからの戦術を話し合う事にした。
が、
「む?どうやら、その必要はなくなった様だ」
「あらら、本当にゃ。向こうからノコノコやって来た様にゃ」
「私はライザー様に仕える騎士のカーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのはもう止めだ!リアス・グレモリーの眷属よ!いざ、尋常に刃を交えようではないか!」
思わぬ形で切り上げる事となった。
部室棟の方向から1人、カーラマインと名乗った軽装の剣士と言いたげな出で立ちの少女が真正面から此方へと向かい、挙句名乗りを上げ、一騎打ちを申し込んで来たのだから。
戦争においてこの様な行為は自殺行為と言っても過言じゃない、レーティング・ゲームにおいてもそれは同じ事、そんな無謀な奴の挑戦状など受ける存在は、
「名乗られたからには僕も騎士として名乗らない訳には行かないね。僕はリアス様に仕える騎士、木場祐斗!またの名を、仮面ライダーブレイブ!騎士同士、剣で決着を付けよう!」
いた。
「あーあ、まんまと乗せられちゃって…
まあ良いのにゃ。同じく騎士の塔城黒歌にゃ!またの名を、仮面ライダーパラガス!」
「同じく戦車の塔城白音です。またの名を、仮面ライダーノックス!」
「同じく兵士の兵藤一誠。またの名を、仮面ライダーエグゼイド!」
カーラマインの挑発に乗せられる形で名乗り出てしまったブレイブ、こうなっては仕方ないと言わんばかりに残る3人も名乗り出る事にした。
その1人であるエグゼイドが名乗ると、
「あ、アイズ様!?そ、そのお姿は一体!?」
部室棟から現れた内の1人、エグゼイドが人間だった頃から親しい仲であったレイヴェルが、仮面ライダーとしての姿に驚きを隠せないでいた。
無理もない、彼女とエグゼイドは、天才ゲーマー『L』と天才ゲームクリエイター『IS』という存在での関係、彼が街の平和を守る為に暗躍していた戦士である事など彼女には知る由も無いのだから。
「ああ、そういえばL達には話していなかったか。この姿は、俺が人間だった頃に生み出した、人の身でありながら様々な人外達と戦う力をもたらすシステムを用いて変身した、平穏を守る戦士としての姿――仮面ライダーだ!」
「か、仮面ライダー…!
私達ゲーマーの心を常日頃踊らせてくれるゲームの数々だけでなく、その様な力まで生み出すとは、流石は、アイズ様ですわ…!」
「然し、人の身でありながら人外と渡り合えるシステムを作り上げた存在が、戦う相手である人外の1勢力である悪魔になるとは、何とも数奇な事か」
「それ程の力を有するという話が本当かどうかは、ユーベルーナが瞬殺されたのを見れば分かる。そのシステムを悪魔が用いるとなればどれ程の力があるのか…!
ますます面白い!仮面ライダーブレイブとやら!その力、私に見せてみよ!」
その姿の意味を、仮面ライダーという存在を明かすエグゼイド、それを聞いてまるで心酔しているかの様に感心するレイヴェルと、その開発者であるエグゼイドが悪魔に転生したという事実に何処か数奇な物を感じていると呟く仮面を被った女性の一方、その力の程を既に見ていたカーラマインはますます戦意をたかぶらせていた。
「どうやら、そっちは準備OKみたいだね。じゃあ、始めようか!」
「バッチ来いにゃ!」
「心の滾りのままに、ぶん殴ります!」
「ノーコンティニューで、クリアする!」
それを受け、其々の眷属達による決戦は始まった。