「イリナ達教会のエクソシストが、この街の管理者であるリアスとの会談を望んでいる、か。十中八九エクスカリバーの事だろう」
数年ぶりの再会を果たした一誠とイリナ、教会のエクソシストになっていた彼女から、この街に帰ってきた訳を聞いた一誠は一人、その理由を考えていた。
イリナと、彼女と共にこの街へと来た、青髪に緑のメッシュを入れたエクソシストの少女ゼノヴィア、2人はエクソシストとしての任務としてこの街にやって来たそうで、その為の交渉を明日行いたいとリアスに、ソーナを通じて要望したそうだ。
昨日カイデンが、教会にて保管されていた筈のエクスカリバーを所有していた、聖職者らしき存在からの襲撃を返り討ちにした件を踏まえれば、それ関連の可能性は高い、一誠はそう踏んでいた。
「それにしても、ボーイッシュを通り越して男子にしか見えなかったイリナが、あれ程まで綺麗に成長するとは思いも寄らなかった。しかも抱きついて来た時に感じたおっぱいの感触…
重力などなんのそのと言わんばかりの弾力を有しながらも、もっちりとした正に天使のおっぱい…
数年という歳月は分からない物だ、もし俺がリアス達と出会わず、悪魔に転生していなかったら、イリナと恋人になっていたかも、あの究極なおっぱいを揉み尽くしていたかも知れないな、実に良いおっぱいだった」
『正に心踊る再会ですな、父上!父上でなければ塩をぶん投げていた所ですぞ!このリア充め、と!」
「うぉっ!?なんだ、ソルティか。驚かせるな」
そんな最中、変態丸出しな独り言を、両手をわきわき動かすというこれまた変態丸出しな行動を取りながら呟いていた一誠しかいない筈の部屋、其処に何処からともなく声が聞こえると共に、彼の背後からスクリーンがひとりでに出現、其処から青を基調とした体躯に黒のシルクハットを被り、黒のマントを羽織った、ソルティと呼ばれた異形――マイティアクションXのライバルキャラ『ソルティ伯爵』を模したバグスターが出現した。
「先の情熱的な再会からして、先方は父上に想いを寄せている様子。この際、イリナ殿も父上のハーレムに加えてみてはどうです?父上も満更では無いのは、今の独り言からも明白ですぞ」
「馬鹿を言うな、ソルティ。イリナの事を少なからず想っているのは否定しない。だが俺はリアスの眷族悪魔、イリナは教会のエクソシスト、お互い相容れない間柄だ。リアスの前任であるクレーリア・ベリアル女史とエクソシストだった八重垣正臣氏の最期、アーシアがこの街に来る切っ掛けとなった事件…
それらを踏まえるまでもなく、無理と言う物だ。大体、仮に俺とイリナが乗り気だとして、リアス達が受け入れると思うか?」
「むむむ、それもそうですな。折角父上と想いを支え合う存在がまた一人増えたと思ったのに…
父上が究極と称したあのおっぱいを、あわよくば堪能出来たかも知れんと思ったのに…」
「言っておくがソルティ、仮にイリナと恋仲になったとしても、イリナのおっぱいは誰にも触らせないぞ。増してやお前みたいな奴に触らせた日には…」
「しょ、承知しておりますぞ父上。ただ言ってみたかっただけです」
突如乱入したソルティは一誠に、イリナも彼女にしてはと提案するが、一誠の立場的に無理な話だ。
一誠が挙げた、リアスの前にこの街の『裏』を管理していた純血悪魔、クレーリア・ベリアル。
グレモリー家やシトリー家と同様に、悪魔社会において由緒正しい家系、ベリアル家の出身であるクレーリアは、管理者に任ぜられるや、家系故の太いコネクションを駆使してこの街の管理を全うして来た。
だがある日、教会において将来を嘱望された若手エクソシストである八重垣正臣と出会い、互いに恋に落ちた事でその運命は暗転する。
アーシアが悪魔を治療した事で追放された一件を例に挙げるまでもなく、悪魔陣営と天使陣営は一時休戦しているとは言えど敵対関係の真っ只中、それを問題視した悪魔社会及び教会双方から激しいバッシングを受ける事になったのだが、クレーリア及び正臣の想いは固く、結果として両者はエクソシストによって暗殺されたそうだ。
それを踏まえて、一誠とイリナが想いを通じ合わせたとなれば、その事によって激しいバッシングを浴びかねない、まして一誠はリアスという主人(兼恋人)、朱乃にアーシアに白音という恋人が既にいる身、彼女達をも巻き込みかねないのだ。
恋に立場は関係ないとは、恋愛モノの物語にありがちなフレーズだが、事は物語の様にはいかない。
「とりあえずイリナとの間についてはこれで終わりだ。エクスカリバーを所有していた襲撃者についても、カイデンが難なく対処出来た事を踏まえれば問題ない。それよりも、今の懸案は木場だ」
「仮面ライダーブレイブへと変身するあのクソイケメンの事ですな」
一先ず一誠とイリナの関係に関しては終結させ、祐斗に関する懸案に移った。
「知っての通り、木場は嘗て聖剣計画なる企てに参加させられた挙句、失敗作として仲間達諸共、酷いやり方で殺された。その憎悪は凄まじい、昨日あの写真に映っていた聖剣らしき物を目にして以来、その憎悪が木場を少なからずおかしくしている。そんなタイミングで聖剣計画の大元であるエクスカリバーを目にして見ろ、何を仕出かすか分からないぞ。下手をすればエクスカリバーを、その使い手を倒すべくブレイブに変身しようとしかねない」
「父上、宜しければこの私めがあ奴を塩で揉んでやろうと思うのですが」
「おい馬鹿やめろ、お前の場合加減を忘れかねない、色々な意味で」
「ちょっとしたバグスタージョークですぞ、父上。グラファイトやアランブラの折檻は勘弁願いたい」
それ以後も一誠とソルティは(所々変態丸出しな猥談も混ざったが)明日のイリナ達との交渉に関して話を進めてはいたが有効な対策は見つからず、夜は更けていった。