43話_意外なNew Face
コカビエル達によるエクスカリバーの盗難事件から数日が経った。
その間に起こった事と言うと、最終盤に起こったコカビエルと仮面ライダー達の戦いの場になった影響か、駒王学園の校舎及び校庭等が損傷してしまい、生徒会長であると同時に学園の『裏』の管理を担うソーナ及び彼女の眷属、更には悪魔社会の上層部が手配した面々が徹夜で修繕にあたっていた。
その迷惑料と言えるのかどうかはともかく、後日学園のプール掃除をオカルト研究部の面々で行う事になったのだが。
また、盗まれたエクスカリバーも教会に戻っていった、が、
「皆。知っていると思うけどこのオカルト研究部に、私の眷属に新しいメンバーが2人加わったわ。イリナ、ゼノヴィア、自己紹介を」
「はい、部長!皆さん、改めまして紫藤イリナです。リアス部長の『兵士』に転生しました。これからも宜しくお願いします!」
「ゼノヴィアだ。イリナと同じくリアス部長の『兵士』となった。改めてよろしく頼むよ」
その返還の為に教会本部に帰っていたであろうイリナとゼノヴィアが、リアスの眷属悪魔として今、転生した事を他のメンバーに報告していた。
教会を脱退してリアスの眷属悪魔になる事を既に表明していたイリナは兎も角、まさかゼノヴィアまでいるとは思わなかった一誠達は、その光景にしばし唖然としていた。
「ぜ、ゼノヴィア?何故此処にいる?」
「神の不在を知っていると分かり、教会を追放されてしまったんだ。コカビエルも言っていた通り神の死は信者が知ってはならない禁則事項だったからね。尤も、デュランダルを没収されなかったのは不幸中の幸いかな。行く当ても無いし、イリナを経由して部長に、悪魔に転生させて貰う様頼み込んだんだ」
「いやー、上層部の掌返しは鮮やかだったよ。教会を脱退すると表明した時は『そんな事が許されると思っているのか』と力づくでも引き留めようとしていたのに、神は死んだ、と言った途端『知ってはならん事を知ってしまった貴様達を教会に置く訳には行かない。何処へでも行くがよい』だもん、怒りを通り越して笑っちゃうよねぇ」
代表して一誠が理由を聞き出すと、納得したと言わんばかりの空気になった。
それも無理はない、ばらした本人であるコカビエルが言っていた通り、聖書の神が死んでいたという事実は知ってはならない禁則事項、それを知っていた存在を留め置いては教会の存続に関わるのだから。
尚、追放を言い渡されたのを受けて駒王学園に向かっていたイリナ達を、教会のエクソシストと思しき集団が襲撃するも、風魔に変身したイリナがあっさりと返り討ちにしたという一幕があったが、それはまた別の話。
それはともかく、今しがた納得したのはあくまでゼノヴィアが此処にいる理由。
「然しゼノヴィア。イリナに関しては自慢になってしまうが、俺と言う存在が居たから分かる。だがお前まで、敵であった悪魔に転生する必然性は無かった筈だ。一体何が、お前に悪魔への転生を決断させた?」
悪魔への転生を決めさせた理由にはならない、そう思った一誠が尚も聞いた。
「その疑問も尤もだ。今まで私は神の、教会の、信仰の為に生きて来た。主の為に戦う、エクソシストとして悪魔と戦う事しか知らなかった。イリナみたいな穿った考えも、アーシア・アルジェントみたいな優しさも持ち合わせていなかったからね。
だが、そんな私が、私の様なエクソシストが教会を追い出されるという事、それ即ち『自分』の破綻に等しい。破綻した私に残っていたのは、同僚だったイリナの伝手しかない。藁にもすがる思いで、その伝手にしがみつくしか私の道は無かった。それに、
イリナがあの時言っていただろう。神が齎せし奇跡は、遺された物は今でも力を振るわれている。我ら信ずる者を見守られている。そしてその教えは、精神は、意思は、魂は我らの心の中で生きている、と。悪魔になったとはいえ、信仰を捨てるつもりはない。これからは悪魔としての道をお示し頂いた、主の教えを信仰していくつもりさ」
それに対するゼノヴィアの答え、それははぐれとなってしまったエクソシスト達が抱えるであろう問題を一誠達に知らしめつつ、それでも信仰を捨てる事のないゼノヴィアの決意を示した物だった。
「一皮むけたって感じだね、ゼノヴィア。エクソシストだった時はいけ好かない異教徒だと思っていたけど、人間、いや今は悪魔だったね、変われる物だよね。主よ、貴方のおみちびびびびびびびびび!?」
そんなゼノヴィアを見て何処か満足げなイリナが、感謝の祈りを捧げようとしたその時、突如として頭に襲い掛かった激痛に、奇声をあげながら身悶えしていた。
言うまでもないが、悪魔にとって神聖なる物は天敵、神への信仰心を想起させる行いすらも拒絶反応を示すのだ。
たった今イリナを襲っている激痛もまた、祈りを捧げた事に対する拒絶反応の類だろう、が、
「こ、これが悪魔に生まれ変わった事で引き起こされる拒絶反応…
でも、何のこれしき!これこそ、立場上敵となってしまった私に主が課した試練!私の変わらぬ信仰を試されておられるのね!ならば絶対に乗り越えて見せるわ!主よ、試練に臨む私達を見守りりりりりりりりり!?」
イリナはそれにへこたれる事無く、むしろ自らに課せられた試練なのだろうと結論付け、懲りずにまたも祈りを捧げ、結局激しい頭痛が再び襲い掛かった。
何はともあれ、こうしてオカルト研究部に、リアスの眷属にイリナとゼノヴィア、嘗て教会のエクソシストだった2人のメンバーが新たに加わった。