「ゼノヴィア、其処に居るのか?居るのなら返事を」
「そ、その声は、兵藤一誠か?ああ、私は此処だ。待たせた様ですまないね」
程なく更衣室に辿り着いた一誠、もし着替え中だったらと考えるまでもなく、ノックせずに異性のいる部屋を開けるなど言語道断だと、扉をノックしつつ声を掛ける。
それに何処か慌てた素振りで、応じる様に出て来たゼノヴィアの水着は、青地に白い紐、そしてフリルが付いたビキニ、生まれてから今までエクソシストとして生きて来た彼女にしては、異性のいの字すら意識して来なかった彼女にしては、随分と可愛らしいチョイスだった。
「おお、似合っているな、ゼノヴィア。しかし随分とまた、可愛らしい奴を選んだ物だ」
「こ、この水着が私に似合っているのか。そうかそうか、似合っているか。ありがとう兵藤一誠、この前イリナに相談した甲斐があったな」
無論と言うべきかそれはゼノヴィア自身ではなく、イリナが選んだ物らしい。
「それにしても、随分と時間が掛かったな。イリナは着替えに手間取っていると言っていたが…」
「ああ、それもある。何しろ、こういった物は着た事無いからね」
それはともかくとして、遅くなった訳を尋ねる一誠、それに対するゼノヴィアの返答は先程イリナが言っていた通りだったが、
「だがそれだけじゃない。着替えた後に少し考え事をしていてね」
「考え事?」
それだけでは無いらしい。
「その件に関して兵藤一誠、いや、イッセー。折り入って頼みがある。聞いてくれるかい?」
「俺に頼み、か。俺に応えられる範囲なら構わない」
何か考え事をしていたらしいゼノヴィアから何かしらの頼み事を頼まれた一誠。
今まで教会に属するエクソシストとして、悪魔等の敵対勢力と戦う事しか知らなかった彼女を取り巻く環境は、この数日だけで目まぐるしく変わってしまった。
エクスカリバーを奪還すべくこの街へ派遣されたかと思えば、此処でその首謀者から信仰する神の死を告げられ、それが禁則事項だったが故に教会を追放、行きついた先が敵対していた悪魔への転生…
傍から見れば「まるで意味が分からんぞ!」とツッコみたくなる状況故、幾らあの時のイリナの助言で絶望から立ち直ったと言っても、思う所はあるのだろうと考え、応えられる範囲でならと応じた。
それを聞いたゼノヴィアは、ずいっという擬音が聞こえてきそうな様子で一誠に近づくと、
「ではイッセー、
私を『6人目』にして欲しい!」
「…ゑ?」
と、頼み事を口にした。
「イリナから聞いたぞ。イッセーにはイリナの他に、部長、姫島朱乃、塔城白音、そしてアーシア・アルジェント、計5人と恋人関係にあると。其処で、私を6人目の恋人にして欲しい」
「…何故、急に?」
6人目にして欲しい、つまり自らを一誠の新たなる恋人にして欲しいというゼノヴィアの頼み事に、思わず一誠はその訳を尋ねる。
無理もない、一誠とゼノヴィアは出会ってまだ半月も経過していない、その間の接点と言えばエクスカリバーが盗まれた一件において、一誠の方から協力を持ち掛けた位なのだから。
「確かに、そう思われるのも致し方ないか。では、順を追って話そう」
ゼノヴィアもそれを理解していたのか、経緯を話し始める。
「前にも話したが、今まで私はエクソシストとして、神の、教会の、信仰の為に生きて来た。主に仕え、戦う。それが私の全てだった。故に悪魔としての生き方を知らん。其処で部長に姫島朱乃に塔城黒歌…
悪魔として先輩と言える皆に尋ねたんだ。そしたら部長は「悪魔は欲を持ち、欲を叶え、欲を望む者。好きに行きなさい」と、姫島朱乃は「悪魔も堕天使も人も、欲を抱くという点は一緒ですわ。自分が抱く欲が何なのか、一度深く向き合ってはどうでしょう?」と、塔城黒歌は「一度、本能に赴くまま行動してみたらどうにゃ?例えば、子作りとか?」と言われたんだ。其処で私は女としての喜びである、子作りをしようと考えたんだが…
それを何処かから聞きつけたイリナに「何事にも順序って物があるでしょ!」と例の如く甚振られてしまってね。子作りへの順序としてまずは、異性に恋をしてみようと改めたのさ。
その時ふと、思い浮かんだ異性がイッセー、君だ。あの騒動で出会ってから数日、その間に少ししか君と言葉を交えてはいなかったが…
私にはその僅かな会話で十分過ぎた。イリナ達が君に惚れるのも分かる、君はそれ程の魅力を有した男だ。私の心もまた君の魅力に囚われ、そして今、己の想いを抑える事が出来なくなってしまったよ」
「ゼノヴィア…」
所々突飛な展開はあったが、嘘偽りなく紡がれる、ゼノヴィアが今の想いを抱く経緯。
「イッセー、いきなりで本当に済まないが、私の想い、受け取ってk」
それを聞いて、一見すると呆然としていた様に見える一誠の姿に不安を隠せないゼノヴィアが彼に今一度尋ねる、が、それが最後まで口にされることは無かった。
「んぅ!?」
「ん…」
その最中に、一誠がゼノヴィアの口を塞ぐようにキスしたからだ。
「ゼノヴィア、これが俺の答えだ。お前の想い、確かに受け取った。俺も、お前の事が好きだ!」
「イッセー…!
ありがとう、本当に、ありがとう…!」
ゼノヴィアを6人目の恋人にする、それが、一誠の答えだった。
それを聞き、涙目になりながらも満面の笑みを浮かべるゼノヴィア。
「では行こうか、ゼノヴィア。俺達の記念すべき、初デートだ」
「ああ!」
こうして恋人同士となった2人は、皆が待っているだろうプールへと足を進めた。
ゼノヴィアの水着ですが、FGOの水着清姫(第三段階)のものとなっています。
次章、ハイスクールDevil×Ex-aid――
「では、会談を始めるとしよう」
エクスカリバー盗難事件を契機に、和平を結ぶ事となった三大勢力――
「『
其処にテロ組織『禍の団』が襲撃を仕掛けて来た!
「皆、これを!」
『リバースクロスナイト!』
緊迫した状況の中、禁断のガシャットが、
『マックス、パワー!マックス、スピード!リ、バース、クロス、ナイト!』
「ギャォォォォォォォォ!」
咆哮を上げる!
第4章『停止教室のBAKURETSU FIGHTER』