46話_Family来訪
ゼノヴィアが一誠の『6人目』となってから数日が経過したこの日、駒王学園では授業参観が行われ、一誠達がいる教室の後方には、生徒達の両親達が、授業中の我が子の姿を一目見ようと集まっていた。
一誠の両親である兵藤
そんな中で始まったのは英語の授業、の筈が、
「先生、これは一体?」
一誠達に教材として配られたのは、何故か紙粘土だった。
「良い質問ですね、兵藤君。皆さん、今日は今渡した紙粘土を用いて授業を行います。さあ、この紙粘土で好きな物を作って下さい。動物や人、果ては家まで、とにかく己の好きな物であれば何でも良い。自分が今思い描いたありのままを形作るのです。英語とは会話、会話とはコミュニケーション、そしてコミュニケーションとは『伝える』事、そう!己の思いのままを紙粘土に込めて伝える事で、英語の原点に立ち返るのです!」
『なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁ!?』
「それでは、Let’s try!」
それに疑問を投げかけた一誠に対する教師の答え、その余りにも飛躍した解答に、更には『良い事言った』と言いたげなどや顔を見せる教師の姿に、クラス中がずっこけた。
だがそんな光景など知ったこっちゃないと言わんばかりに始めの号令を掛ける教師、生徒達も納得していないながらも渋々作業を始めた。
一誠も同じく作業に取り掛かり、
「こ、これは!素晴らしい、兵藤君!この短時間で此処までの物を作り上げるとは!」
「ど、どうも、ありがとうございます」
「こ、これは、ありがとうございます、イッセーさん!」
「あ、ありがとう、イッセー!此処まで想われるというのは、幸せな物だ…!」
「ありがと、イッセー君。イッセー君に恋をして、本当に良かったよ」
「す、すげぇ!まるでフィギュアだ!兵藤、5000円で売ってくれ!」
「ならイッセー君、私は7000円で買うわ!」
「何を!だったら8000円だ!」
「こうなったら後には引けないわ!諭吉出すわよ!」
「この際だ兵藤君、ゲームクリエイター業の傍ら、フィギュアの造形師を副業にやってみてはどうだね?」
「え、遠慮して置きます。その場の勢いで他業種に手を出すと碌な事にならないので」
リアス、朱乃、アーシア、白音、イリナ、そしてゼノヴィア、数日前に見た恋人達の水着姿を再現した紙粘土細工を、高級なフィギュアばりの精巧さで作り上げていた。
その完成度の高さに教師は絶賛、モデルとなったアーシア達は一誠の想いに大喜びしていた。
それを聞きつけ、紙粘土細工を巡ってクラスメート達が一誠に断りなくオークションを開始したり、教師が一誠にフィギュアの造形師になってはどうかと勧めたりしたが、余談である。
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「凄いわね、イッセー。こんな精巧に作ってくれるなんて」
「うふふ、ありがとうございます、イッセー君。イッセー君の想い、確り受け取りましたわ」
「嬉しいです、イッセー先輩。私、イッセー先輩の恋人になれて、本当に幸せです」
午前中のみだった授業は終わって、此処オカルト研究部の部室では、先程一誠が作り上げた紙粘土細工の鑑賞会が開かれ、モデルとなったリアス達が先程のアーシア達同様、大喜びしていた。
尚、恋人達『だけ』しか作っていなかったため、眷属の中でハブられる形となった黒歌は不満なのかブーたれていて、祐斗は凹んでいたが。
「ところでリアス、リアスのご両親は参観に来ているのか?折角の機会だ、挨拶をしたい。出来ればバラキエルさん達やトウジおじさん達にもと思ったが、只でさえ三大勢力の関係が思わしくない上に、つい最近あの一件があったばかりだからな…」
「お父様なら来ているわ。あと、お兄様もね。お兄様には言わない様口止めした筈なんだけど…
それはともかく。そしたらイッセー、一緒にどうかしら?お兄様も来た以上、学校の案内もしたいし」
「ああ。なら善は急げ、だ。早く行くとしようか」
そんな中一誠は、リアスの両親が学園に来ているのかを尋ねた。
どうやらリアスと付き合っている関係故に挨拶がしたい様で、それを受けて彼女と2人、部室を後にした。
「やあ、リアス。来たよ」
「酷いじゃないかリアス、私に黙っているなんてさ。しかも父上にも口止めしていたらしいじゃないか」
「済まない、リアス。約束通りサーゼクス達には情報が漏れない様、手は尽くしたんだが…」
歩いて数分して2人は、兄弟と思しき赤髪の男性2人と出会った。
1人はラヴリカが擬態していた姿とそっくりな青年、もう1人はその青年より少し年食った印象を受けるダンディな壮年男性だった。
気付いた人も多いだろうが、青年男性はリアスの兄であり、現代の悪魔社会を引っ張る魔王でもあるサーゼクス・ルシファー、そしてもう片方の男性は、
「リアス。側にいる其処の少年は、もしや?」
「ええ、お父様。紹介します、私の『兵士』で、恋人のイッセーです」
「そうか、彼がか。初めまして、兵藤一誠君。リアスの父、ジオティクス・グレモリーです」
「初めまして、兵藤一誠です。宜しくお願いします」
リアスの父親でありグレモリー家当主、ジオティクス・グレモリーだった。
「イッセー君、
娘の事、末永く大事にして欲しい。宜しく頼んだよ」
「は、はい!」
ジオティクスは一誠が、リアスの想い人である事を認識するや否や、彼にそう声を掛けた。
どうやらジオティクスは、リアスと一誠が結ばれる事に異論は無い様だ。
嘗て純血悪魔同士の繋がりを強めるべく組まれた、フェニックス家の三男であるライザーとリアスとの婚約話を反故にした最大の要因である一誠と愛娘との交際を随分あっさりと受け入れた様に見えるが、この件に関しては後日、詳しく話される事だろう。
「ところでリアス、セラフォルーは見掛けなかったかい?」
「セラフォルー様、ですか?いえ、見ていませんが…」
「そっか、途中まで共にいたんだけどな…」
そんな一誠とジオティクスの話はさておき、知り合いの姿を見かけない事が気になったサーゼクスが、リアスに尋ねた。
すると、
「ん?えーと、ジオティクスさん?」
「そんな他人行儀な呼び方は止したまえ。出来ればお義父さんと呼んで欲しい」
「あ、はい。では義父さん、何か体育館の方が騒がしい様な…」
「体育館が?そういえば周囲の生徒達がやれ『体育会で撮影会をしている!』だとか、やれ『体育館に魔法少女がいるぞ!』だとか言っていたが、まさか…?」
「お父様、きっとそのまさか、ですね。あはは…」
「行こうか、体育館に。今後の打ち合わせもあるし、早めに連れて行かないと」
体育館の方向から騒ぎを聞きつけた一誠と、道中で噂を耳にしていたジオティクスの発言で、リアス達は当たりを付け、件の体育館へと向かうことにした。
其処では、
「ソーたん、待ってぇぇぇぇ!」
「姉様、『たん』を着けないでとあれ程ぉぉぉぉ!」
「ははは、相変わらずだな、セラフォルーは。そう思うだろう、リーアたん」
「『たん』を着けて呼ぶのは止めて下さい。イッセーがいるんですから」
魔法少女の出で立ちをした少女――サーゼクスと同じく今の悪魔社会を引っ張る魔王、セラフォルー・レヴィアタンが、実の妹であるソーナを追い掛け回しているという、シュールな光景があった。